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国内の動き
シリアの外務在外居住者省は声明を出し、EUによる追加制裁発動に関して、国民とその糧を標的たもので、法的、道徳的根拠を欠く、と批判した。
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SANA(10月17日付)は、ダマスカス郊外県とアレッポ県での「最近の事件」に関連して逮捕された逮捕者のうち、殺人を犯していない市民それぞれ16人、109人を釈放したと報じた。
国内の暴力
アレッポ県では、SANA(10月17日付)によると、アレッポ県のサーフール地区、シャッアール地区、ナイラブ地区、バーブ街道地区、ハイダラート市、シャッアーラ村、タッル・ラッハール村、マーリア市、ターディフ市、ダイル・ハーフィル市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを襲撃するなどして、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊し、「浄化」を進めた。
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ダマスカス郊外県では、SANA(10月17日付)によると、シャイフーニーヤ村、ジスリーン町などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の浄化を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。
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ハマー県では、SANA(10月17日付)によると、マスウード村、タッル・ムザイラア村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、逮捕した。
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ヒムス県では、SANA(10月17日付)によると、クサイル市郊外のジュースィーヤ村の浄化が完了し、街は治安と安定を回復した。
一方、クサイル市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。
地元調整諸委員会によると、ジュースィーヤ村に軍・治安部隊が突入した。
『クッルナー・シュラカー』(10月17日付)は、ヒムス市バーブ・アムル地区、タルビーサ市で、軍警察が90人を逮捕した、と報じた。
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ダルアー県では、SANA(10月17日付)によると、マアルバ町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討を継続し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(10月17日付)によると、ダイル・ザウル市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力への特殊作戦を行い、複数の戦闘員を殺傷した。
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イドリブ県では、SANA(10月17日付)によると、ワーディー・ダイフに対して、軍・治安部隊が特殊作戦を行い、反体制武装勢力に甚大な被害を与えた。
またマアッラト・ヌウマーン市郊外のカフルナブル市、バスィーダー村、ジスル・シュグール市郊外のビダーマー町、シュグル市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦市、複数の戦闘員を殺傷した。
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ダマスカス県では、各紙によると、治安当局が市内各所でテロに警戒して、道路を封鎖するなどして厳戒態勢を敷いた。
クルド民族主義勢力の動き
クルド最高委員会は声明を出し、クルド民族主義政党および調整17団体は、イスタンブールで現在行われて、近くその成果がカタールで明らかになる予定のシリア国民評議会組織改編の努力をボイコットする、と発表した。
アフマド・スライマーン報道官は、「クルド最高委員会を構成する主要な二つのブロック(シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会)は、シリア国民評議会再編の交渉や努力とは関係ない。交渉は我々への連絡がないままに行われている」と述べた。
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PKKの事実上の党首であるムラード・カライラーンは党本部があるイラク北部で、「PKKはすべてのシリア人の要求を保護し、シリアのクルド人の支援を拡充させる。もしトルコ軍が彼らを攻撃すれば、もっとも激しい報復行動をもってトルコ領に反撃する」と述べた。
反体制勢力の動き
フランスで暮らす離反士官マナーフ・トゥラース准将は、『シャルク・アウサト』(10月17日付)に対して、「私にはシリア国民の救済を支援するため、常にシリアに戻る計画がある…。しかしその時期はさまざまな要素と関係している」と述べ、逃亡生活を続ける意思を暗に示した。
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ロンドンで活動するシリア人権委員会は、軍・治安部隊が乳幼児を家族の前で拷問にかけ、反体制運動に関する情報を聞き出そうとする事件が多発している、との報告書を発表した。
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アラウィー派の有識者約30人が共同声明を出し、軍・治安部隊、シャッビーハによる蛮行を批判した。
共同声明に署名した有識者は、アーファーフ・アフマド、ハーティル・ダワーらいずれも無名。
レバノンの動き
AFP(10月17日付)は、シリア・レバノン国境地帯でシリアの反体制武装勢力とヒズブッラーの戦闘員の戦闘が連日のように発生するようになっている、と報じた。
同報道によると、戦闘はレバノン人が暮らすシリア領内に位置するとみなされている村(ただし両国は国境画定をしていない)で発生しており、村人によると、反体制武装勢力の侵入を防ぐため、ヒズブッラーの戦闘員約5,000人が展開している、という。
この村人によると、戦闘ですでにレバノン側の戦闘員16人が死亡している、という。
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『デイリー・テレグラフ』(10月19日付)は、ヒズブッラーがベカーア県ヘルメル郡からシリア領内の反体制武装勢力の拠点に砲撃を加えた、と報じた。
イラクの動き
ロイター通信(10月17日付)は、イラク人戦闘員(シーア派)が軍・治安部隊とともに、反体制武装勢力掃討のために戦闘に参加していると報じた。
戦闘に参加しているイラク人は、マフディー軍やバドル機構の元戦闘員や離反者、アサーイブ・アフル・ハック、ヒズブッラー大隊の戦闘員など。
その多くはレバノンのヒズブッラーの傘下で任務にあたっているという。
マフディー軍の離反戦闘員のアブー・ハージルはロイター通信の電話取材に対して、「我々はアブー・ファドル・アッバース大隊を結成し、同隊にはイラク人、シリア人、そのほかの外国人戦闘員500人からなる」と語った。
アブー・ハージルによると、これらの部隊の主な任務はダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブなどシーア派の聖地の防衛だが、自由シリア軍のこれらの聖地への攻撃を行おうとしているとの情報が入った場合は、反体制武装勢力との戦闘を行っている、という。
諸外国の動き
シリアでの人権侵害を調査するための国連人権理事会調査委員会のパウロ・セルジオ・ピネイロ委員長は、外国人戦闘員に関して、「彼らの存在は過激化をもたらすだけだ…。彼らはシリアでの民主的国家建設において必ずしも必要な存在ではないにもかかわらず、彼らだけの特別な動機で活動している」と批判した。
ピネイロ委員長によると、外国人戦闘員は「数百人」いる、という。
また同委員会のカーリン・アブー・ザーイドや、外国人戦闘員とシリアの反体制武装勢力が「ほとんどの場合、別々に行動している」としながらも「彼らは自由シリア軍の一部を過激化させている」と指摘した。
AFP(10月17日付)が報じた。
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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「(シリア)政府は、ミグ(戦闘機)、TNT樽爆弾を用いることで暴力の新たな段階を越えた。最近では、クラスター爆弾使用の危険が高まっている…。政府がたとえこうした情報を否定しようと、我々には証拠がある」と述べた。
シリア革命諸評議会なる団体の使節団との会談後で述べた。
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AFP(10月17日付)、ロイター通信(10月17日付)によると、トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)に、シリア領から発射された迫撃砲が着弾し、トルコ軍が応戦した。
AFP, October 17, 2012、Akhbar al-Sharq, October 17, 2012、The Daily Telegraph, October 19, 2012、al-Hayat, October 18, 2012、Kull-na Shuraka’, October 17, 2012、al-Kurdiya News,
October 17, 2012、Naharnet, October 17, 2012、Reuters, October 17, 2012、SANA,
October 17, 2012、al-Sharq al-Awsat, October 17, 2012などをもとに作成。
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