ジョン・ケリー米国務長官はサウジアラビアの首都リヤドを訪問し、サルマーン・アブドゥルアズィーズ国王、そしてアーディル・ジュバイル外務大臣などGCC諸国外相と会談し、シリア情勢、イエメン情勢などについて意見を交わした。
AFP(1月23日付)によると、会談でサウジアラビア側はケリー国務長官に対して、イラン核開発問題をめぐる合意後に米国とイランが接近することへの警戒感を表明した。
会談後の共同記者会見で、ケリー国務長官は、25日に開催予定のシリア政府と反体制派の和平交渉「ジュネーブ3会議」に関して、「我々は1日ほどで良いイニシアチブが発揮され、会合を始められると信じている」と述べ、予定通りに会合を開催すべきだと改めて強調した。
また「一部の国におけるイランの活動、そしてヒズブッラーへの支援継続に懸念」を表明、「アサドこそがテロ組織を引きつける最大の要因だ」と主張、周辺諸国へのテロ拡散阻止をめざすとの意志を表明した。
一方、イエメン情勢については「米国はイエメンのフーシー派による破壊の脅威に立ち向かうサウジアラビアとともにある」と述べ、サウジアラビアの空爆に理解を示した。
これに対して、ジュバイル外務大臣は「サウジアラビアはワシントンとともにシリアにおけるアサドの役割を終わらせ、イエメンでのクーデタを終わらせる」と述べた。
また「GCC諸国は米国とともに地域におけるイランの干渉に対抗する」と主張、「私は米国がイランと寄り添うとは見ていない…。イランは国際社会最大のテロ支援国家だ…。米国はイランの行動がもたらす脅威を総じて理解している」と述べ、両国の接近に警戒感を示した。
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ケリー米国務長官はまた、リヤドを拠点とする最高交渉委員会(リヤドでの反体制派合同会合で設置された反体制派統一代表団選出のための委員会)委員長のリヤード・ヒジャーブ議長と会談し、ジュネーブ3会議への対応を協議した。
この会談に関して、『ハヤート』(1月23日付)は、最高交渉委員会が決定した反体制派代表団の人選に関して、ケリー国務長官がヒジャーブ元首相に対して、団長のアスアド・ズウビー准将と交渉責任者のイスラーム軍ムハンマド・ムスタファー・アッルーシュ氏を民間人に交代させること、そして「ロシア・リスト」に名を連ねている主要な活動家(とりわけ民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首)を代表団に参加させるよう提案する模様だと伝えていた。
AFP, January 23, 2016、AP, January 23, 2016、ARA News, January 23, 2016、Champress, January 23, 2016、al-Hayat, January 23, 2016、January 24, 2016、Iraqi News, January 23, 2016、Kull-na Shuraka’, January 23, 2016、al-Mada Press, January 23, 2016、Naharnet, January 23, 2016、NNA, January 23, 2016、Reuters, January 23, 2016、SANA, January 23, 2016、UPI, January 23, 2016などをもとに作成。
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