西クルディスタン移行期民政局支配地域が「ロジャヴァ・北シリア民主連邦」の樹立を宣言(2016年3月17日)

ハサカ県ルマイラーン町で16日から開催されていた西クルディスタン移行期民政局支配地域(ロジャヴァ)での「連邦制」樹立に向けた準備委員会会合「共存と諸人民の友愛のもとでの民主的連邦制シリア」が2日間の日程を終え閉幕し、「ロジャヴァ・北シリア民主連邦」樹立宣言を採択、「連邦制」樹立に向け、「ロジャヴァ・北シリア民主連邦樹立評議会」を設置、共同代表にハディーヤ・ムスタファー氏、マンスール・サッルーム氏の2人を選出した。

また意思決定機関に相当する「ロジャヴァ・北シリア民主連邦樹立評議会」の組織委員会も合わせて設置し、西クルディスタン移行期民政局ジャズィーラ地区代表15人、コバネ(アイン・アラブ)地区代表14人、アフリーン地区代表5人、アレッポ市北部シャフバー地区代表4人、タッル・アブヤド地区代表3人の計31人を選出した。

Kull-na Shuraka', March 17, 2016

Kull-na Shuraka’, March 17, 2016

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閉幕声明で発表された「ロジャヴァ・北シリア民主連邦」樹立宣言の骨子は以下の通り:

「全シリア人のための未来のシリアは、すべての社会集団を基礎とする民主的連邦制、ロジャヴァ・北シリア民主連邦制樹立に向けた行動、樹立評議会共同代表と31名からなる組織委員会の選出、そしてこの政体のための社会契約および包括的法的・政治的ヴィジョンを6ヶ月以内に準備することを組織委員会に付託することで実現される」。

「この評議会(樹立評議会)のもとで設置されるすべての委員会、文書は、国連によって承認される個人、団体の諸権利に基づき…、大会出席者は、樹立される政体がシリアの深層と関係を織りなすべく努力し…、同時に、平和、国民間の友愛をよりどころとする」。

「女性の権利は、民主連邦制の本質であり、女性には(男性と)平等に参加し、決定を下す権利がある。女性は、政治、社会生活のすべての分野において(男性と)平等である」。

「ロジャヴァ・北シリア民主連邦制のもとで暮らすすべての民族、社会集団は、自らがふさわしいと考える者と、政治的、経済的、社会的、文化的関係、民主的なパートナー関係を発展させることができる…。これはこの関係がシリアの民主連邦制の諸目的や利益に反しないことを条件とする」。

「テロ組織から解放された地域は、合意のもとに、ロジャヴァ・北シリア民主連邦制の一部をなす権利を有する」。

「地域レベルにおけるロジャヴァ・北シリア民主連邦制の目的は、中東における民主連邦制を実現し、中東で暮らすすべての国民の間で、政治、経済、文化、社会といった分野における民主連邦を発展させ、国境を越え、平和、友愛、安全のもとでの暮らしを実現し、シリアの領土保全を保障しつつ民主連邦制を樹立することである」。

閉幕後、サッルーム共同代表は、ロジャヴァにおける連邦制が「諸国民の友愛に基づく」としたうえで、「この連邦制は民族主義的な連邦制ではなく、民族主義国家の概念を克服するものだ。中東における諸々の民族問題への政治的解決策を提示するものであり、一部の人々が主張するようなシリア分割に向けたものではない。諸民族全体の意思を統合するためのモデルだ」と述べた。image002 image003 image004 image005 image006 image007

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「共存と諸人民の友愛のもとでの民主的連邦制シリア」会合は 西クルディスタン移行期民政局が主催、ハサカ県ルマイラーン町内の旧バアス党本部で開催され、西クルディスタン移行期民政局のアフリーン地区、コバネ、ジャズィーラ地区のクルド民族主義政党・政治組織(民主統一党、シリア民主評議会、民主連合運動(TEV-DEM)など)、アラブ人組織、キリスト教(アッシリア教、シリア正教、アルメニア教会)組織、チェルケス系住民、トルクメン系住民、民政局各地の代表、アレッポ市北部のシャフバー地区代表など31団体約200人が参加していた。

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西クルディスタン移行期民政局の管理下にあるハサカ県スィーマルカー国境通行所管理局は、シリア・クルド国民評議会のイブラーヒーム・バッルー議長、スライマーン・ウースー渉外局メンバーのイラク領内からの入国を禁じた。

クッルナー・シュラカー(3月17日付)が伝えた。

AFP, March 17, 2016、AP, March 17, 2016、ARA News, March 17, 2016、Champress, March 17, 2016、al-Hayat, March 18, 2016、Iraqi News, March 17, 2016、Kull-na Shuraka’, March 17, 2016、al-Mada Press, March 17, 2016、Naharnet, March 17, 2016、NNA, March 17, 2016、Reuters, March 17, 2016、SANA, March 17, 2016、UPI, March 17, 2016などをもとに作成。

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