西クルディスタン移行期民政局人民防衛部隊主導のシリア民主軍の政治母体シリア民主評議会のマンナーア共同議長は「ロジャヴァ・北シリア民主連邦」樹立宣言を拒否(2016年3月17日)

ハイサム・マンナーア氏が率いるカフム潮流は声明を出し、民主統一党の主導のもとハサカ県ルマイラーン町で採択された「ロジャヴァ・北シリア民主連邦」樹立宣言を無視し、シリア民主評議会に宣言の内容を押しつけることを拒否すると発表した。

Kull-na Shuraka', March 17, 2016

Kull-na Shuraka’, March 17, 2016

カフム潮流は声明のなかで、シリア民主評議会の一部の組織がロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣の発言(2月29日)に促されるかたちで「連邦制」に向けた動きを加速させたと指摘した。

そのうえで、ジュネーブ3会議においてクルド人が排除されている状況下で、ロシアや米国による「連邦制」構想を受け入れないよう警鐘を鳴らし、シリア民主評議会の政治委員会会合で連邦制の採用が審議事項として提起されたことに反対し、会合の延期を求めていたことを明らかにした。

しかし、この要請にもかかわらず、3月16日にシリア民主評議会政治委員会はシリア北部での連邦制の樹立を強硬採決したと批判、「我々は2016年3月16~17日の(ルマイラーン町での)会合の決定とは無関係であり、シリア民主評議会にこれが現実として押しつけられることを拒否する」と表明した。

シリア民主評議会は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体で、マンナーア氏は、民主統一党の参加社会団体の民主連合運動(TEV-DEM)のイルハーム・アフマド氏とともに共同議長を務めている。

ジュネーブ3会議へは、いわゆる「ロシア・リスト」に名を連ね、2月初めの第1ラウンドには参加したが、3月14日に再開された第2ラウンドはボイコットしている。

なお、カフム潮流は、民主的変革諸勢力国民調整委員会の渉外局長を務めていたマンナーア氏が委員会を脱会後の2015年月に設立した反体制組織。

AFP, March 17, 2016、AP, March 17, 2016、ARA News, March 17, 2016、Champress, March 17, 2016、al-Hayat, March 18, 2016、Iraqi News, March 17, 2016、Kull-na Shuraka’, March 17, 2016、al-Mada Press, March 17, 2016、Naharnet, March 17, 2016、NNA, March 17, 2016、Reuters, March 17, 2016、SANA, March 17, 2016、UPI, March 17, 2016などをもとに作成。

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