2012年9月16日のシリア情勢

国内の動き

シリア国内で活動している与党、野党、反体制組織など24団体が変革解放人民戦線の主導のもと、「平和的民主的変革のために」と銘打って、ダマスカスで記者会見を開き、反体制勢力による包括的な国民大会の開催を呼びかけた。

呼びかけを行った組織は以下の通り。

SANA, September 16, 2012

SANA, September 16, 2012

1. 変革解放人民戦線
2. 平和的変革諸勢力連立
3. 人民意志党
4. シリア民族社会党
5. シリア祖国党
6. シリア民主党
7. シリア青年公正開発党
8. シリア国民青年党
9. シリア世俗主義ムスタクバル党
10. 民主団結党
11. シリアのための第三潮流

12. 平和的変革の道潮流
13. 世俗民主主義潮流
14. 民主マルクス主義連合
15. 国民民主ブロック
16. アレッポ国民結束事務局
17. シリアの家族委員会
18. ダイル・ザウル人民民主運動委員会
19. カーミシュリー人民民主運動委員会
20. ブーカマール市民平和委員会
21. マヤーディーン平和委員会
22. アームーダー人民民主運動委員会
23. クナイニース市民平和委員会
24. アラブ民主団結党

SANA, September 16, 2012

SANA, September 16, 2012

シリア政府の動き

『クッルナー・シュラカー』(9月16日付)は、ブシュラー・アサド女史が子供とともにシリアを去り、UAEのドバイ指導部の招きでアブー・ザビー市滞在を再開したと報じた。

ブシュラー・アサド女史は、2008年にアースィフ・シャウカト少将が実質的粛清を受けたあと、シャウカト少将および家族とともにUAEで「亡命生活」を送っていた。

その後、2011年にシャウカト少将とともに帰国したが、少将は7月18日にダマスカス県で爆殺されていた。

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シリア政府は国連安保理議長と国連事務総長宛てに書簡を送り、トルコによるテロリスト支援を非難し、対処を求めた。

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DamasPost(9月16日付)は、アサド大統領とアスマー夫人が、シリア軍に同行して現地取材を行う記者らと懇談したと報じた。

懇談は2時間半にわたって行われた、という。

反体制勢力の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は、スカイプを通じて、自由シリア軍の指導者たちと会談した。

会談には、アレッポ軍事評議会議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐、自由シリア軍ダマスカス軍事評議会議長のハーリド・ハッブーシュ大佐、自由シリア軍合同司令部報道官のカースィム・サアドッディーン大佐が参加した。

アカイディー大佐は、AFP(9月16日付)に対して、ブラーヒーミー共同特別代表に信頼を寄せつつ、「前任の使節団と同様、彼は失敗するだろう。しかし我々はこの失敗の原因になろうとは考えない」と述べた。

また「我々は彼が失敗すると考えている。なぜなら国際社会がシリア国民を実際には支援したいと考えていないからだ」と付言した。

会談内容に関して、「シリア情勢全般、とりわけ政府による破壊行為」が協議されたが、ブラーヒーミー共同特別代表は、戦闘停止のための具体的な計画は持ち合わせていなかったという。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マイダーン地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

またアルクーブ地区、マサーキン・ハナーヌー地区、シャッアール地区などでも軍・治安部隊と反体制武装勢力がの間で戦闘があり、サーフール地区などが空爆を受けたという。

バーブ市では、複数の活動家・住民によると、市内の野戦病院などが砲撃を受け、数十人が死傷した。

一方、SANA(9月16日付)によると、アレッポ市マイダーン地区で軍・治安部隊が「傭兵テロリスト」の完全浄化を完了した。

またフィルドゥース地区でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員数十人を殺傷、アルクーブ地区でも反体制武装勢力のアジトに突入した。

バーブ市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力に対して特殊作戦を行い、反体制武装勢力の装備(車)を破壊した。

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ダマスカス県、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アサーリー地区、タダームン区、ハジャル・アスワド市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、砲撃に曝された。

またカダム区では処刑された遺体6体が発見された。

一方、複数の活動家によると、自由シリア軍はバルザ区の「シャッビーハ」の兵舎を爆破した。

これに対して、SANA(9月16日付)は、カダム区、ハジャル・アスワド市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡を継続し、多数の戦闘員を殺傷したと報じた。

『クッルナー・シュラカー』(9月16日付)は、治安当局がダマスカス県ハーン・シャイフの学校に避難していた避難民を追放、学校経営者らに避難民を受け入れたら粛清すると脅迫したと報じた。

またタダームン区では、AFP(9月16日付)によると、学校は閉鎖されたままだという。

DamasPost(9月16日付)は、ヤルムーク地域にあるパレスチナ難民キャンプでの取材に向かっていたイランのアーラム・チャンネルの取材チーム(5人)が反体制武装勢力の要撃を受け、ニダール・ハマーダ支局長が軽傷を負ったと報じた。

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ダルアー県では、反体制活動家らによると、ヒルバト・ガザーラ町の陸橋が軍・治安部隊の砲撃を受け、破壊され、多数が死傷した。

またダルアー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡を行い、多数が逮捕された。

一方、SANA(9月16日付)によるとヒルバト・ガザーラ町近くの高速道路で反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、市民8人が死亡、25人が負傷した。

爆弾は600キロ相当で、車6台、バス2輌が巻き込まれ、道路が寸断された。

ダルアー市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力の残党の追跡を継続し、多数を逮捕した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市、タッルカラフ地方に軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた。

一方、SANA(9月16日付)によると、タッルカラフ地方でレバノンからの密入国を試みた反体制武装勢力が国境警備隊に撃退された。

また軍・治安部隊はラスタン市などで反体制武装勢力の掃討を継続し、多数の戦闘員を殺傷、大量の武器弾薬を押収した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、砲撃に曝された。

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イドリブ県では、複数の活動家によると、カフル・ウワイド市が砲撃を受け、12人が死亡した。

一方、SANA(9月16日付)によると軍・治安部隊がカフル・ウワイド市、カンスフラ村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力との交戦を続けた。

諸外国の動き

SANA(9月16日付)は、トルコのアンカラの米大使館前でトルコ労働党の呼びかけのもと、シリア人避難民キャンプ閉鎖と、レジェップ・タイイップ・エルドアン内閣および米国の対シリア政策拒否を訴えるデモが発生した。

SANA, September 16, 2012

SANA, September 16, 2012

またハタイ県のアンタキア市でも同様のデモが発生し、数百人が参加した。

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トルコの『ヒュッリイェト』(9月16日付)はCIA元高官の話として、CIAの工作員15~20人がトルコ国内でシリア危機に対処するための任務についていると報じた。

また米国、フランス、ドイツ、英国などの諜報員合わせて50人がトルコ・シリア国境で活動している、と付言した。

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トルコに亡命中のターリク・ハーシミー副大統領(死刑判決)は、イスタンブールでロイター(9月16日付)に対して、イラクがイランからのアサド政権への支援物資などが通過する「回廊」になっていると非難する一方、イラク兵数千人が同政権支援のためにシリアに入っている、と述べた。

 

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イラン・イスラーム革命防衛隊クドス軍団のムハンマド・アリー・ジャアファリー最高司令官は記者会見で「クドス軍団の要員多数がシリアとレバノンにいる。しかし、これは我々が軍を駐留させていることを意味しない。我々は自分たちの経験を活かして、アドバイスや見解を示しているだけである」と述べた。

al-Hayat, September 17, 2012

al-Hayat, September 17, 2012

AFP(9月16日付)が報じた。

AFP, September 16, 2012、Akhbār al-Sharq, September 16, 2012、DamasPost, September 16, 2012、al-Ḥayāt, September 17, 2012、Kull-nā Shurakāʼ, September 16, 2012、al-Kurdīya News, September 16, 2012、Naharnet.com, September 16, 2012、Reuters, September 16, 2012、SANA, September 16, 2012などをもとに作成。

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