シリア軍、ロシア軍と思われる戦闘機がイドリブ県のファトフ軍支配地域などを爆撃(2016年5月13日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍の支配下にあるイドリブ市、アリーハー市各所を空爆し、15人が死亡した。

このうちイドリブ市に対する空爆では、マアッラトミスリーン交差点一帯が、アリーハー市では「人道組織の拠点や医療拠点」が標的となったという。

ARA News(5月13日付)によると、シリア軍と思われる戦闘機はまたサラーキブ市に対しても空爆を行った。

この空爆に関して、クッルナー・シュラカー(5月13日付)は、空爆を実施したのはロシア軍と断じたが、ARA News(5月13日付)はシリア軍戦闘機が空爆を行ったと伝えた。

一方、SANA(5月13日付)によると、シリア軍がウンム・ラジーム村、ラスム・トゥール村、タマーニア町東部でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団の拠点を空爆した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制派の襲撃(12日)を受けたザーラ村一帯を空爆、またシリア軍ヘリコプターも同地一帯を「樽爆弾」で攻撃した。

一方、SANA(5月13日付)によると、シリア軍がスカイク丘でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団の拠点を空爆、またヒルバト・ナークース村一帯でヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍と交戦し、車輌などを破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍の支配下にあるハーン・トゥーマーン市、カフルナーハー村を複数回にわたり空爆した。

戦闘機はまた、アレッポ市ラーシディーン、ムハンディスィーン第1区、カースティールー街道地区を20回あまり空爆した。

これに対して、ジハード主義武装集団などの反体制派は、シリア政府の支配下にあるアレッポ市マイダーン地区、ラームーサ地区、ザフラー協会地区、シャイフ・ターハー地区を砲撃し、複数人が死傷した。

一方、SANA(5月13日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市サラーフッディーン地区を砲撃し、女性1人が死亡した。

他方、ARA News(5月13日付)によると、反体制武装集団が西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるアフリーン市中心街をカチューシャ砲で攻撃した。

これに先立ち、反体制武装集団の一つでスンナ軍に所属する第13大隊は声明を出し、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に対して、4月のアイン・ダクナ村一帯での戦闘で死亡したスンナ軍戦闘員の遺体の返還を要求、これに応じない場合はアフリーン市などを攻撃すると脅迫していた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、国防隊が東グータ地方のフーシュ・アドマル村、ザブディーン村、ヌーラ村一帯に進軍し、ジハード主義武装集団などの反体制派の拠点を攻撃、制圧したことを受け、同地から数百人の住民が避難を開始した。

東グータ地方では、ダイル・アサーフィール市およびその一帯、バイヤード村一帯を戦闘機(所属明示せず)が8回にわたり空爆を行った。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がラスタン市郊外農場地帯、キースィーン村一帯、ブルジュ・カーイー村を空爆、ハルムーズ村を砲撃した。

一方、SANA(5月13日付)によると、シリア軍がガジャル村、ブルジュ・カーイー村でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団の拠点を空爆した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、5月12日に8件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は532件。

AFP, May 13, 2016、AP, May 13, 2016、ARA News, May 13, 2016、Champress, May 13, 2016、al-Hayat, May 14, 2016、Iraqi News, May 13, 2016、Kull-na Shuraka’, May 13, 2016、al-Mada Press, May 13, 2016、Naharnet, May 13, 2016、NNA, May 13, 2016、Reuters, May 13, 2016、SANA, May 13, 2016、UPI, May 13, 2016などをもとに作成。

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