トルコ軍によるジャラーブルス市郊外一帯での越境攻撃で民間人20人が死亡、トルコ側はテロリスト25人を殺害したと発表(2016年8月28日)

アレッポ県では、『ハヤート』(8月29日付)などによると、トルコ軍がジャラーブルス市郊外一帯で西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の拠点に対して砲撃と空爆を続け、シリア人権監視団によると、ジャラーブルス市南部郊外のビイルクーサー村に対するトルコ軍の越境砲撃と空爆で、民間人20人が死亡、15人が負傷した(シリア人権監視団は29日、ジュッブ・クーサー(ビイル・クーサー村)などでのトルコ軍の空爆での死者が41人(うち子供6人、女性6人)に上ると発表した。)。

SANA(8月28日付)も、トルコ軍および「それに追随する勢力」が「ダーイシュ(イスラーム国)に対する戦い」を口実としてジャラーブルス市郊外の複数の町村を空爆・砲撃し、ジュッブ・クーサー村(ビイル・クーサー村)に対する攻撃で民間人20人が死亡、50人が負傷したと伝えた。

一方、西クルディスタン移行期民政局の広報局は、トルコ軍の砲撃と空爆での民間人の死者は28日だけで75人にのぼったと発表した。

しかし、アナトリア通信(8月28日付)は、トルコ軍が、ジャラーブルス市郊外一帯での作戦によって、クルディスタン労働者党(PKK)と民主統一党(PYD)の「テロリスト」25人を殲滅したと伝えた。

トルコ軍による越境空爆・砲撃が続くなか、トルコ軍の支援を受ける反体制武装集団が同市南部郊外でシリア民主軍に対して攻勢を続け、クッルナー・シュラカー(8月28日付)によると、反体制武装集団は28日までに、ジャラーブルス市西部郊外で、バールーヤラーン村、ザーヒリーヤ村、ムダッリラ村をダーイシュから奪取し制圧、またジャラーブルス市南部郊外では、アイン・バイダー村、アマールナ村、ダービス村、バラーバーン村、ビイル・クーサー村、ナザル・フサイン村、マガーイル村、ハッジャージュ村、ヒルバ村をシリア民主軍所属組織から奪取し制圧、戦闘員多数を捕捉、武器を捕獲したという。

さらにラーイー村方面からジャラーブルス市方面に向かって西進する反体制武装集団(ハワール・キリス作戦司令室)は、カルサンリー村、シャイフ・ヤアクーブ村、アイヤーシャ村、アサリーヤ村をダーイシュから奪還、制圧したという。

なお、反体制武装集団の一つスルターン・ムラード師団のアフマド・ウスマーン大佐はロイター通信(8月28日付)に対して、トルコ軍の支援を受けている反体制武装集団は、シリア民主軍制圧下のマンビジュ市に向かって進軍しているという。

AFP, August 28, 2016、Anadolu Ajansı, August 28, 2016、AP, August 28, 2016、ARA News, August 28, 2016、Champress, August 28, 2016、al-Hayat, August 29, 2016、August 30, 2016、Iraqi News, August 28, 2016、Kull-na Shuraka’, August 28, 2016、al-Mada Press, August 28, 2016、Naharnet, August 28, 2016、NNA, August 28, 2016、Reuters, August 28, 2016、SANA, August 28, 2016、UPI, August 28, 2016などをもとに作成。

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