アサド大統領は、ダマスカス郊外県ダーライヤー市にあるサアド・ブン・ムアーッズ・モスクでイスラーム教の犠牲祭(イード・アドハー)の集団礼拝に参加した。
集団礼拝には、シリア政府閣僚、バアス党幹部、イスラーム教法曹界重鎮らが参列した。
ダーライヤー市は8月25日に成立した停戦合意に基づき、市内で籠城を続けてきた武装集団はイドリブ県に退去、ないしは当局に投降、また住民はシリア政府が用意した仮設住宅に移転している。
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アサド大統領はまた閣僚らとダーライヤー市内を視察、同行した記者の質問に答えた(https://youtu.be/9q512BiEuPQ)。
アサド大統領の主な発言は以下の通り:
「今日のダーライヤー市訪問にはいくつもの大きな意味がある…。おそらくこの訪問は象徴的なものなのかもしれない。だが、それはシリア国民に向けたものではない。私とシリア国民、私とすべてシリア人は、危機発生当初から一つの状況下で暮らしてきた。我々は同じように事態を見てきし、同じように評価してきた。陰謀は明らかだった。外国の役割は明らかだった。手先、反逆者の役割は明らかだった」。
「テロリストが域内に入ってきたとき、我々は同じ感情を持った。住民が退去し、避難させられたときに、同じ感情を持った。軍がやって来て、地域を解放し、あるいは和解が成立し、住民が戻り、生活が戻り、インフラが復旧したときも同じで、我々は同じ感情を持った。私は今、シリアの市民にメッセージを送っているとは考えていない。このメッセージは、シリアに敵対する者たちに向けられていると考えている。最初の数日、数週間、数ヶ月でシリアが倒れると賭けた者、今でも、シリアに直接陰謀を企て、テロリストを支援している国、そしてもちろん外国の計画の一部になることを決心したシリア人の反逆者と手先たちに向けられている。つまり、この訪問はこうした者たちに向けられたものだ」。
「我々は国家としてこの地域に戻り、これらの者たちに対して、シリアという国家がテロリストからすべての地域を奪還し、治安と安全を回復させる意志があるというメッセージを伝えたい。復興し、インフラを普及し、人的物的なすべての被害を復興するという意志があるというメッセージを。今日ここに来たのは、危機当初にダーライヤー市などでこうした者たちが売り込もうとしていた偽りの自由を真の自由に置き換えるためだ。治安と安全の回復をもって開始され、復興を継続させ、国民の自決をもって完了する自由に。それは彼らが始めて、毎月彼らに与えられてきた数ドルの支払い、あるいはテロの到来…で終わるような自由ではない」。
「我々が今日ここに来たのは、その他すべてのシリア人とともに、この祝福された日に、「アッラーは偉大なり」という言葉を、うわべだけでなく、本当の意味で連呼するためだ。本当の意味というのは…、すべての天啓宗教に込められているもの、すなわち人間の尊厳…、慈愛、平和、安寧であり、尊厳の侮辱、殺戮、荒廃といった意味ではない」。
「我々はすべてのシリア人に和解に向かって進むよう呼びかけている…。このように話す時、私は、ほとんどのシリア人が愛国者で、武装集団が存在する地域で暮らすほとんどの人が祖国の胸のなかに戻りたいと願っていると考えている。もちろん国家に対する疑念、武装集団への恐怖もあろう…。しかし、とりわけ過去3年間の経験から皆が承知しているのは、国家がすべての言葉を守ってきたということだ…。国家はこれまでと同様にこれからも、その手を和解実現、流血停止に向けて伸ばし続ける。祖国の胸のなかに戻りたいと願う人々にそう呼びかけたい」。
AFP, September 12, 2016、AP, September 12, 2016、ARA News, September 12, 2016、Champress, September 12, 2016、al-Hayat, September 13, 2016、Iraqi News, September 12, 2016、Kull-na Shuraka’, September 12, 2016、al-Mada Press, September 12, 2016、Naharnet, September 12, 2016、NNA, September 12, 2016、Reuters, September 12, 2016、SANA, September 12, 2016、UPI, September 12, 2016などをもとに作成。
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