シリアのアル=カーイダ「シャーム・ファトフ戦線」はトルコ軍との共闘を禁じる声明を発表し、シャーム自由人イスラーム運動と一線を画す(2016年9月23日)

シャーム・ファトフ戦線(シャームの民のヌスラ戦線)は声明を出し、トルコ軍と反体制武装集団がアレッポ県北部(ジャラーブルス市、ラーイー村一帯)で行う「ユーフラテスの盾」作戦に関して、「地域および国際社会のいかなる当事者のもとであっても(アレッポ県)北部での戦闘を禁じる」と発表し、反体制武装集団に対してトルコ軍や有志連合との連携しないよう呼びかけた。

声明でシャーム・ファトフ戦線は以下の通り述べている。

「アレッポ県北部郊外で起きていることは、過去の出来事や状況の延長上にある。この地域にはさまざまな計画が錯綜している。ハワーリジュ派(ダーイシュ(イスラーム国)の計画、政権そしてその同盟者であるロシアの計画、米国の支援を受けたPKK(クルディスタン労働者党、人民統一党のこと)の計画、米国の計画、国境地帯でのPKKの勢力伸長に対抗するトルコの国家安全保障計画、さらに、ハムザ師団、ムウタスィム旅団など、ペンタゴンの配下に身を置き、その命令に従い、有志連合の旗のもとで戦う諸勢力、地域住民のさまざまな集団、最近になって同地に入ってきた武装勢力…。地域、ないしは国際社会の願望に準じて、アレッポ市の解囲のための血の戦い、ハマーでの進軍、ダマスカスへの道の開放を阻止しようとすることは、政権およびその同盟者の打倒に向けた正しい道からの逸脱である…。ユーフラテスの盾」作戦に関して、「地域および国際社会のいかなる当事者のもとであっても(アレッポ県)北部での戦闘を禁じる」。

Kull-na Shuraka', September 23, 2016

Kull-na Shuraka’, September 23, 2016

Kull-na Shuraka', September 23, 2016

Kull-na Shuraka’, September 23, 2016

 

シャーム・ファトフ戦線は、米国とトルコがアレッポ県北部国境地帯を「安全保障地帯」に設置した2015年8月、有志連合との同盟を回避するとして、同地一帯から撤退、その後にはダーイシュが進攻し、支配下に置いていた。

なお、ファトフ軍などにおいてシャーム・ファトフ戦線と共闘するシャーム自由人イスラーム運動は、アレッポ県北部でトルコ軍と共闘することを認める立場をとっている。

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これに対して、アレッポ県シャリーア評議会を名のる組織は声明を出し、シャーム自由人イスラーム運動シャリーア評議会のファトワーに同調するかたちで、「ユーフラテスの盾」作戦でトルコ軍と共闘することは「正当なジハード」だと発表した。

Kull-na Shuraka', September 23, 2016

Kull-na Shuraka’, September 23, 2016

AFP, September 23, 2016、AP, September 23, 2016、ARA News, September 23, 2016、Champress, September 23, 2016、al-Hayat, September 24, 2016、Iraqi News, September 23, 2016、Kull-na Shuraka’, September 23, 2016、al-Mada Press, September 23, 2016、Naharnet, September 23, 2016、NNA, September 23, 2016、Reuters, September 23, 2016、SANA, September 23, 2016、UPI, September 23, 2016などをもとに作成。

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