Contents
アサド政権の動き
情報省は、アラブ諸国・外国の新聞・テレビ局の報道関係者約80人をラスタン市に案内し、同地の状況を公開した。
同行したヒムスのガッサーン・アブドゥルアール知事は、ラスタン市が「通常の生活」を取り戻したと宣言した。
**
在ワシントン・シリア大使館は、「米国およびシリア国内で反体制デモを行う人々の映像ビデオ、音声テープなどの情報を集め…(これらの人々に)おそらく危害を加えた」との容疑で逮捕・起訴されたムハンマド・アナス・ハイサム・スワイド氏をめぐる問題に関して声明を出し、「根拠がなく、決して受け入れられない」と否定した。
反体制運動掃討
イドリブ県では、複数の活動家によると、軍の戦車装甲車がビンニシュ市に侵入し、離反兵と戦闘した。シリア人権監視団によると、この戦闘で民間人5人が犠牲となった。
シャーム・ニュース・ネットワーク(10月14日付)は、この戦闘に際して、ビンニシュ市内の総合情報部内務治安課支部内で銃撃戦があったと報じ、同支部内の兵士が離反したことを示唆した。
またオガレット・ニュース・ネットワーク(10月14日付)はこの戦闘で複数の民間人が負傷したと報じた。
**
ダルアー県では、シリア革命総合委員会によると、ハーッラ市で少尉1人を含む複数の国軍兵士が離反した、軍と戦闘状態に入った。これにより、軍兵士6人と、離反兵2人、民間人1人が死亡した。
**
ハサカ県では、カーミシュリー市近郊に民間人の服をまとった軍・治安部隊兵士と多数の戦車が展開した。これは数日前に暗殺されたミシュアル・タンムー氏の遺族との連帯を求めるデモに備えた動きと見られる。
**
ヒムス県では、軍・治安部隊がヒムス市掃討作戦を継続した。
シリア人権監視団によると、クスール地区に早朝、軍・治安部隊が突入し、19人を逮捕した。またタルビーサ市では、複数の活動家によると1,200人以上がこれまでに逮捕され、ライフラインが遮断されたままだという。
**
ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、自由シリア軍がハマー市総合情報部内務治安局支部を襲撃するなど、各地で軍・治安部隊と戦闘し、シャッビーハに「大きな打撃」を与えたという。
**
空軍情報部のラドワーン・マドルーシュ准将がアサド政権による殺戮と犯罪に抗議して離反するとの声明を読み上げる映像がインターネット上で配信された。http://www.youtube.com/watch?v=qggn-5zR5_o&feature=share
反体制勢力の動き
シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン議長はフランス24のインタビューに応じ、「EUと西側諸国はロシアや(対シリア制裁に)慎重な態度をとる国々を満足させるため、政治的に可能なすべてを行っていない、充分強力な立場や行動が示されたとは思えない」と述べた。
**
AKI(10月13日付)は、反体制活動家のアンワル・ブンニー弁護士が、アサド大統領によってまもなく設置が宣言されると言われる憲法改正委員会や政権主導の憲法改正に関して「美化しようとする試みであり、彼ら(アサド政権)は改革への意思があり、改革プロセスが実行されていることを示そうとしているだけだ。しかし、改革は社会全体の参加…、政権交代なくしてはあり得ない…。憲法は抜本的な再検討を必要としており、政権交代や多数派支配に基づく多元的な民主社会を再構築する必要がある」と述べたと報じた。
**
シリア変革大会(アンタルヤ)は声明を出し、シリア国民評議会発足への歓迎の意を示した。
**
アレッポ県では、アレッポ市のロシア領事館前でデモが発生、参加者はロシアの国連安保理での対シリア制裁決議案採決時の拒否権発動に抗議してロシア国旗を焼いた。http://www.youtube.com/watch?v=g9WyvQMluD8&feature=related
**
フェイスブックの「シリア革命2011」ページは15日に「軍自由運動家の金曜日」と銘打って、離反兵への支持を表明するとともに、各地で反体制デモの実施を呼びかけた。
諸外国の動き
EUは声明を出し、アサド政権による反体制抗議運動への弾圧を改めて非難し、「政権を支援する機関の資産を新たに凍結する」と発表した。この機関が何を指すのか具体的に明示しなかったが、複数の外交筋によると、シリア商業銀行が制裁対象になる、という。
これに対して、ロシア外務省報道官は、「EUが外交問題において一方的な制裁を行おうとすることを懸念している」と述べた。
**
英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド政権が大使館などを通じて英国内でのシリア人反体制活動家を脅迫しているとして、サーミー・ヒヤーミー在ロンドン・シリア大使を外務省に呼び出し抗議を行った。
**
SANA(10月13日付)は、シリアの電力省がドイツのシーメンス社とダマスカス県北方に位置するナースィリーヤ発電所の設備拡張事業の契約に合意したことをイマード・ハミース大臣が発表したと報じた。
同契約は305,000,000ユーロ規模で、発電所拡張に関するすべての材料、設備などを行うことを定めている。これにより同発電所は351メガワット/日の電力供給が可能になるという。
同事業は、アラブ諸国の基金が融資するほか、EU諸国からの融資についても現在議論が行われているという。
なお政府発表によると、シリア全土の発電量は5,500~6,200メガワット/日。
AFP, October 13, 2011、Akhbar al-Sharq, October 13, 2011、AKI, October 13, 2011、AP, October 13, 2011、al-Hayat, October 14, 2011、Kull-na Shuraka’, October 13, 2011、SANA, October 13, 2011, October 14, 2011などをもとに作成。
(C)青山弘之All rights reserved.