ロシア軍参謀本部機動総局のセルゲイ・ルドスコイ局長はモスクワの国防省で記者会見を開き、シリア情勢の進捗についての説明を行った。
記者会見の骨子は以下の通り:
ロシア軍の支援を受けるシリア軍は1月以降、イドリブ県東部、首都ダマスカス近郊、東グータ地方、東カラムーン地方、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ、ヒムス県北部をテロ組織の支配から解放した。
1月から2月にかけて、シャームの民のヌスラ戦線(シャーム解放機構)の戦闘員1,500人強および同程度のダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殲滅した。
イドリブ県東部、アレッポ県西部、ハマー県北部の4,300平方キロをシリア軍が解放した。
アレッポ市とハマー市を結ぶ国際幹線道路が再開し、イドリブ県西部(反体制派支配地域)で暮らしていた市民9,573人がアレッポ県に帰還した。
アスタナ会議での合意に基づき、緊張緩和地帯とシリア政府支配地域を隔てる境界地帯に、ロシアは10カ所、トルコは12カ所、そしてイランは7カ所の監視所を設置した。
当事者和解調整センターは、東グータ地方、東カラムーン地方、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプでのシリア軍の人道作戦を監督し、戦闘員2万8,725人と住民18万8,234人を退去・脱出させた。
パレスチナ難民キャンプで活動を続けてきたダーイシュは根絶され、同地は現在(パレスチナ諸派ではなく)シリア軍の支配下にある。
同地のダーイシュ戦闘員の一部には、当事者和解調整センターの活動により、投降し、恩赦を受け入れるか、イドリブ県に家族とともに退去する機会が与えられ、3,283人が同地を退去した。
ヒムス県北部の緊張緩和地帯でも、投降・恩赦か退去を選択する同様のプロセスが進められ、ラスタン市、タルビーサ市などで活動を続けてきた戦闘員1万3,407人が、イドリブ県とアレッポ県ジャラーブルス市に退去した。
シリアでテロ組織に対する軍事作戦によって被害が生じた地域の復興、さらには経済支援には、国際社会から支援を得る必要があり、国連や国際社会は言葉ではなく、行動によってシリア復興に貢献すべきである。
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また、ユリ・エヴトゥシェンコ(Yuriy Evtushenko)中将らも、テレビ会議システムを通じて、当事者和解調整センターの活動についての報告を行った。
報告の骨子は以下の通り:
4月にシリア政府の支配下に復帰した東グータ地方では、6万6,257人が帰還した。
ロシア軍憲兵隊が東グータ地方、東カラムーン地方、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ、ラスタン市、タルビーサ市での警備活動を実施している。
ヒムス県では、2017年11月以降、1万3,763人が帰還した。
Ministry of Defence of the Russian Federation, May 23, 2018をもとに作成。
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