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国内の暴力
UNSMISのロバート・ムード司令官はダマスカス国際空港に到着、記者団を前に、シリアのすべての当事者に暴力停止と停戦監視活動への支援を呼びかけた。
ムード司令官は、「すべての当事者に暴力停止と暴力停止のための支援を求める…アナン特使の和平案を成功させるため…。和平案を実行するためすべての当事者と協力するだろう…。監視団だけではすべての問題を解決することはできないからだ」と述べた。
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UNSMIS先遣隊は、ヒムス市ハーリディーヤ地区の「廃墟」、ラタキア市、タルトゥース市を視察した。
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在外の反体制勢力、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県、ヒムス県、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、ハマー県、イドリブ県、ダルアー県で軍・治安部隊の弾圧により少なくとも17人が殺害された。
また同監視団によると、ハーン・トゥーマーン村にある軍施設に対する爆弾攻撃でシリア軍兵士4人が死亡した。
この爆発に関して、SANA(4月29日付)は、ハーン・トゥマーン地区の軍の武器局の倉庫内で弾薬を移動中に爆発が発生し、4人の兵士が死亡したと伝えた。
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シリア革命総合委員会によると、ダマスカス県マイダーン地区で反体制デモが発生し、治安部隊が催涙弾などを使用し、強制排除した。
また同委員会によると、ヒムス県のクサイル市、ジュワイスィーヤ市、ナザーリーヤ村、アレッポ県のアナダーン市、ハーン・トゥマーン市、イドリブ県のアイン・ラールーズ市、アリーハー市、ダマスカス郊外県のザマルカー町、ドゥーマー市、ダイル・ザウル県のクーリーヤ市、ブーカマール市などで軍治安部隊による砲撃、逮捕・摘発が行われ、少なくとも10人が死亡した。
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SANA(4月29日付)は、ダイル・ザウル県のクーリーヤ市・マフカーン町間でユーフラテス石油社のパイプラインが武装テロ集団によって爆破されたと報じた。
またその後、武装テロ集団はクーリーヤ市内で治安維持警察と市民に発砲し、子供1人が死亡した、と付言した。
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イドリブ県では、SANA(4月29日付)によると、ラタキア市とイドリブ県アリーハー市を結ぶ街道でも武装テロ集団が仕掛けた爆弾2発が爆発した。
またイドリブ県アイン・シャイブ村で郵便局職員1人が武装テロ集団に襲撃・殺害された。
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ハマー県では、SANA(4月29日付)によると、ハマー市東部で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦、テロリスト多数を逮捕した。
その他のシリア国内での動き
SANA(4月29日付)は、ダマスカス県マイダーン地区で27日に発生した「自爆テロ」に関して、最近のシリア国内での一連のテロに「アル=カーイダを筆頭とする過激派のテロ思想の指紋」が見られると評した。
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SANA(4月29日付)は、変革解放国民戦線が記者会見を開き、改めて国民対話の必要を強調した、と報じた。
反体制勢力の動き
シリア国民評議会は、ダマスカス県マイダーン地区で27日に発生した「自爆テロ」やタルトゥース市で発生した爆弾攻撃に関して、「タイミング、状況、方法は政権が用いるもの」と非難し、アサド政権の自作自演だと断じた。
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シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表はアナン特使宛てに公開書簡を提出し、そのなかで、シリアのすべての逮捕者を釈放するために介入するよう呼びかけた。
レバノンの動き
レバノン中央銀行のリヤード・サラーマ総裁は、MTV(4月29日付)で、西側の制裁を免れるため、シリア人がレバノンの銀行でマネーロンダリングしているとの一部報道を否定した。
諸外国の動き
赤十字国際委員会のジャコブ・ケレンベルガー総裁は、シリア情勢に関して、アナン特使の和平案が「危機的状態」にあると警鐘を鳴らし、UNSMISの停戦活動の迅速な進展が重要だとの見方を示した。
AFP, April 29, 2012、Akhbar al-Sharq, April 29, 2012、al-Hayat, April 30, 2012, May 1, 2012、Kull-na Shurakaʼ, April 30, 2012、Naharnet.com,
April 29, 2012、Reuters, April 29, 2012、SANA, April 29, 2012などをもとに作成。
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