イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ政府が最近の戦闘での制圧地からのシリア軍の撤退期限としていた2月29日、トルコ軍無人航空機(ドローン)が、M5高速道路沿線のマアッラト・ヌウマーン市、サラーキブ市、マアッルシューリーン村、ハーッス村、タッル・マルディーフ村一帯のシリア軍拠点、ナイラブ航空基地を爆撃した。
この爆撃で、シリア軍兵士26人と、レバノンのヒズブッラーの民兵10人が新たに死亡したという。
トルコ日刊紙『ミッリイェト』(2月29日付)は、トルコ軍が無人航空機を投入し、イドリブ県の領空封鎖を試みていると伝えた。
また、アラビー21(2月29日付)は、トルコ軍がドローン数十機からなる編隊をイドリブ県に進入させ、シリア軍の拠点を爆撃することで進軍を止め、反転攻勢に出ていると伝えた。
トルコ軍はまた、地上部隊がサラーキブ市近郊、ザーウィヤ山にあるシリア軍の拠点を砲撃するとともに、ヒルバト・ジャウズ村に違法に設置されている国境通行所から戦車や装甲車など約120輌をシリア領内に進入させた。
これに対して、ロシア軍戦闘機は、サルミーン市、サラーキブ市、アーフィス村などを爆撃、シリア軍戦闘機もサラーキブ市およびその一帯を爆撃した。
シリア軍はまた、地上部隊がサラーキブ市、サルミーン市、ビンニシュ市、マストゥーマ村、クマイナース村、ダーディーフ村、ザカール村、マアッラト・ウルヤー村、カフルバッティーフ村、マアーッラト・ナアサーン村、ジャーヌーディーヤ町などを砲撃し、ビンニシュ市では子ども1人が死亡した。
一方、ザーウィヤ山地方のスフーフン村、カフル・ウワイド村では、シャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室がシリア軍に対して反転攻勢を加え、両村を制圧した。
これに対して、シリア軍が再び反撃し、スフーフン村を奪還した。
なお、SANA(2月29日付)は、シリア軍がカフル・ウワイド村、サラーキブ市でトルコ軍の砲撃支援を受ける「テロ集団」に対する軍事作戦を継続したと伝えた。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がカフル・ヌーラーン村一帯、アターリブ市一帯を爆撃した。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がクライディーン村、ザクーム村でシリア軍に反転攻勢を加えて、両村を制圧した。
これに対して、シリア軍が再び反撃、クライディーン村を奪還した。
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シリア人権監視団によると、一連の戦闘で、シリア軍兵士23人、「決戦」作戦司令室戦闘員31人が死亡した。
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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を39件(イドリブ県8件、ラタキア県12件、アレッポ県18件、ハマー県1件)確認したと発表した。
トルコ側の監視チームは停戦違反を36件(イドリブ県33件、ラタキア県0件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認した。
AFP, February 29, 2020、ANHA, February 29, 2020、AP, February 29, 2020、Arabi 21, February 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 29, 2020、Milliyet, February 29, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 29, 2020、Reuters, February 29, 2020、SANA, February 29, 2020、SOHR, February 29, 2020、UPI, February 29, 2020などをもとに作成。
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