ヌスラ戦線のアミールであるアブー・アブドゥッラー・ミスリー氏がイスラーム国に合流したと報じられるなか、反体制武装集団とサラフィー主義武装集団がアレッポ県内の軍拠点を「ほぼ完全に再制圧」(2013年11月9日)

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反体制勢力の動き

『ハヤート』(11月10日付)は、複数の信頼できる消息筋の話として、ハサカ県ラアス・アイン市からのシャームの民のヌスラ戦線の撤退に抗議し、戦線のアミールの一人、アブー・アブドゥッラー・ミスリー氏が戦線を離反し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に参加したと報じた。

同報道によると、ダーイシュは約8,000人の戦闘員からなり、そのうち約60%はシリア人のサラフィー主義者だという。

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シリア革命反体制勢力国民連立がイスタンブールで総合委員会会合を開催した。

会合では、ジュネーブ2会議への対応、移行期政府の人事などが協議される予定。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣首班は、同連立総合委員会会合に合わせて、同委員会に12人からなる閣僚リストを提出した。

『ハヤート』(11月10日付)によると、12人のなかには、国防大臣候補としてアスアド・ムスタファー元農業大臣、内務大臣候補としてアンマール・カルビー氏が含まれている。

国防大臣と内務大臣の候補を軍人ではなく、文民としたのは、シリア革命反体制勢力国民連立の強い要望によるという。

このほか、リーマー・フジャー氏が救援大臣、アブドゥルアズィーズ・ミスリー氏が農業大臣、アブドゥッラフマーン・ハーッジ氏が教育高等教育大臣、ムハンマド・ワジーフ・ジュムア氏が保健大臣、ヤースィーン・ナッジャール氏が財務大臣、イリヤース・ワルダ氏が石油大臣、ワリード・ズウビー氏がインフラ大臣、ジャービル・アルヤーン氏が地方自治大臣に指名されている。

なお、外務担当大臣に関して、シリア革命反体制勢力国民連立が執行部からの輩出を求めていたが、トゥウマ首相が兼務し、副大臣にイヤード・クドスィー氏が就任する見込み。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団(ラーミー・アブドゥッラフマーン代表)によると、アレッポ国際空港の防衛を任務とする第80旅団の基地で、反体制武装集団とサラフィー主義武装集団が、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員と交戦、同旅団の陣地・拠点を奪還、「ほぼ完全に再制圧」した。

同監視団によると、この戦闘で、反体制武装集団戦闘員22人、サラフィー主義戦闘員11人、軍兵士20人が死亡した。

ヒズブッラー戦闘員の死者数は不明だという。

また同監視団などによると、アレッポ市のアシュラフィーヤ地区に何者かが撃った迫撃砲弾が着弾し、子供2人を含む5人が死亡、またハイダリーヤ地区にも迫撃砲が着弾し、女性1人、子供2人を含む6人が死亡した。

両地区はいずれもシリア政府の支配地域。

一方、SANA(11月9日付)によると、クワイリス村、ナイラブ村東部、シャイフ・ナッジャール市、ナッカーリーン村近郊、アブー・ダンナ村、タッル・ハースィル村、キンディー大学病院周辺、アレッポ中央刑務所周辺、マンスーラ村、アレッポ市旧市街、サーフール地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区、ジャウバル区が、軍の砲撃・爆撃を受けた。

一方、SANA(11月9日付)によると、カフルスーサ区の警察署近くに反体制武装集団が撃った迫撃砲弾2発が着弾し、治安警官2人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市近郊のヌール検問所、フジャイラ村、スバイナ町近郊、ハジャル・アスワド市で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(11月9日付)によると、スバイナ町周辺、ブワイダ市郊外、ハラスター市、アッブ農場、アーリヤ農場、ヤブルード市郊外、ダイル・アティーヤ市東部、ジャブアディーン町西部、ハーン・シャイフ・キャンプ、ダルバル村(ジャバル・シャイフ)で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(11月9日付)によると、タルビーサ市・ガントゥー市間、マシュラファ村、タッル・ザハブ町、ハムラー地区ト村、ティールマアッラ村、ハーリディーヤ村、タッルカラフ市郊外、ヒムス市ワルシャ地区、バーブ・スィバーア地区、ジャウラト・シヤーフ地区、バーブ・フード地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(11月9日付)によると、アクラブ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

諸外国の動き

ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は声明を出し、シリア情勢に関して、暴力と流血停止のために「ジュネーブ2会議の開催が必要」と述べた。

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トルコの国家安全保障局は、アダナ県の警察が押収したとされる約1,200発の弾頭、武器弾薬などに関して、起爆性はなく、武器とはみなしえないと発表した。

『ハヤート』(11月10日付)が伝えた。

AFP, November 9, 2013、al-Hayat, November 10, 2013、Kull-na Shuraka’, November 9, 2013、Naharnet, November 9, 2013、Reuters, November 9, 2013、Rihab News, November 9, 2013、SANA, November
9, 2013、UPI, November 9, 2013などをもとに作成。

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