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反体制勢力の動き
クッルナー・シュラカー(11月8日付)によると、ハサカ県ラアス・アイン市の競技場で、民主統一党が「ジハード・サラフィー主義部隊に対する人民防衛隊の勝利」を祝うための祝典を行った。
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民主的変革諸勢力国民調整委員会の幹部筋はAKI(11月8日付)に、リフアト・アサド前副大統領とジャミール・カドリー前経済問題担当副首相が反体制勢力の代表としてジュネーブ2会議に参加した場合、委員会は大会参加を拒否すると述べた。
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ハマー県で活動する反体制武装集団7団体が「ハナースィル・ハマー作戦室」を結成、糾合すると発表した。
同作戦室に参加を表明したのは以下の組織:
1. イスラーム・クドス大隊(アレッポ)
2. タウヒード旅団第30連隊
3. サハーバ末裔(イドリブ)
4. ラーヤ旅団(アレッポ)
5. アビー・フィダー大隊(ハマー)
6. ムジャーヒディーン救済旅団(ハマー)
7. イスラーム殉教者旅団(ハマー)
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アレッポ県で活動する「スユーフ・ハック大隊連合」が声明を出し、ジュネーブ2会議へのイランの参加をめぐる動きに関して「ヒズブッラー、アブー・バドル・アッバース旅団を通じて、我々の国へのイランの占領を確立するもの」と非難した。
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シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、11月6日のスワイダー市空軍情報部施設周辺での自爆攻撃を実行したと発表した。
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シリア革命反体制勢力国民連立は、トルコのイスタンブールで政治委員会会合を開催し、ジュネーブ2会議への対応などについて協議した。
総合委員会開催に向けた動きで、『ハヤート』(11月9日付)によると、ロバート・フォード駐シリア米大使ら西側諸国の高官もトルコに入り、ジュネーブ2会議への参加を連立に説得したという。
会合では、「バッシャール・アサドは移行期、および移行期後においていかなる役割も担い得ない」といった文言や、イランのジュネーブ2会議参加拒否などを含む決議案などの審議がなされた。
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アッシリア民主機構は声明を出し、ジュネーブ2会議開催を支持するとの意思を表明した。
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リハーブ・ニュース(11月10日付)などによると、ダマスカス県のダーマールーズ・ホテルで、国内の野党・反体制組織の代表らが、平和的変革諸勢力連立の名で一同に介して、ジュネーブ2会議への対応について協議、声明を出した。
同声明で、平和的変革諸勢力連立は、ジュネーブ2会議を「シリアの危機解決の最後の機会」と位置づけ、開催・参加の必要を強調するとともに、会合に参加した組織の一部の存在が無視されていると非難した。
会合に参加した組織は以下の通り:
1. シリア民族社会党インティファーダ派(連立与党、変革解放人民戦線加盟政党)
2. 人民意思党(カドリー・ジャミール前経済問題担当副首相が党首、変革解放人民戦線加盟政党)
3. シリアのための第3潮流
4. 平和的変革への道潮流
5. 民主社会党
6. マルクス主義民主連合
7. アラブ国民委員会
8. 民主世俗潮流
9. クナイニス市民平和委員会
10. マヤーディーン市民平和委員会
11. ブーカマール市民平和委員会
12. アームーダー平和運動委員会
13. ダイル・ザウル人民平和運動委員会
14. カーミシュリー人民平和運動委員会
15. シリア未来青年潮流
16. 国民民主潮流
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リハーブ・ニュース(11月10日付)は、ダイル・ザウル市のモスクのイマーム、ムハンマド・シャイフ師が、金曜礼拝での説教で、「自由シリア軍」戦闘員の「余命は短い」としつつ、一部の住民が娘を彼らに嫁がせることを拒否していることを「不正」と批判したと報じた。
シリア政府の動き
クッルナー・シュラカー(11月8日付)は、シリア当局が、アレッポ県アアザーズ市で拘束されたレバノン人巡礼者の解放のための「捕虜交換」の一環として女性収監者4人を新たに釈放したと報じた。
国内の暴力
アレッポ県では、シリア人権監視団によると、軍が、国防隊、ヒズブッラー民兵の支援のもと、アレッポ国際空港周辺を防衛する第80旅団の陣地・拠点の大部分を奪還した。
同監視団によると、現地では、午前4時頃から、軍、国防隊、ヒズブッラー民兵と、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などからなる反体制武装集団の激しい戦闘が始まり、軍が空港周辺の拠点を爆撃、これにより反体制武装集団の戦闘員15人以上が死亡した。軍側の死傷者数は不明だという。
これに関して、SANA(11月8日付)も、軍がシャームの民のヌスラ戦線との戦闘の末、アレッポ国際空港周辺の第80旅団基地を奪還したと報じた。
またSANAによると、ナイラブ村北部、タッル・ハースィル村、キンディー大学病院周辺、ハンダラート・キャンプ、カフルダーイル村、ジュッブ・サファー村、アブー・ダンナ村、アルバイド村、カスィース村、クワイリス村、マンスーラ村、ジャンドゥール交差点、ハーン・アサル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
さらにアレッポ市では、アシュラフィーヤ地区に進入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、アサーリー地区、ヤルムーク区が軍の砲撃を受けた。
一方、SANA(11月8日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、フジャイラ村、ムカイラビーヤ市、ムウダミーヤト・シャーム市、ハジャル・アスワド市で、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。
一方、リハーブ・ニュース(11月8日付)によると、「自由シリア軍」はサイイダ・ザイナブ町にあるアブー・ファドル・アッバース旅団の拠点を爆破し、多数の戦闘員を殺害した。
また、クッルナー・シュラカー(11月8日付)は、「自由シリア軍」の複数の部隊がジャバル・シャイフ(ヘルモン山)の「ハルブーン連隊」と「M/T連隊」の拠点を制圧し、同地域の軍拠点の90%を掌握したと発表した、と報じた。両拠点は「シリア最高峰」の軍の拠点だという。
他方、ダマスカス郊外県では、SANA(11月8日付)によると、ダーライヤー市、アーリヤ農場、アッブ農場、ドゥーマー市、ヤブルード市、ハラスター市、バハーリーヤ市郊外、ダブラ市郊外、ルハイバ市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(11月8日付)によると、ラスタン市、ラスタン湖周辺、キースィーン村、マヒーン町、タイバ村、ウンム・ダバービール村、ガジャル村、タッルドゥー市、カルアト・ヒスン市、ヒムス市クスール地区、ワルシャ地区、サフサーファ地区、ハミーディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、SANA(11月8日付)によると、カフルヌブーダ町郊外、ジスル・ジスル・バイト・ラース村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員やシャーム自由人運動メンバーらを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(11月8日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺、ウンム・ジャリーン村南部、タッル・サラムー村南部、ジャーヌーディーヤ町、カニーヤ村、マアッラト・ヌウマーン市、カフリーヤ村、タラータ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(11月8日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、工業地区、マリーイーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(11月8日付)によると、ムライハ村、ダルアー市、ラジャート高原で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
諸外国の動き
アル=カーイダの指導者アイマン・ザワーヒリー氏は音声声明(https://www.youtube.com/watch?v=_5PXVA4s9QU)を出し、シリアでの活動に関して、シャームの民のヌスラ戦線との直接の関係を否定する一方、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を廃止し、イラク・イスラーム国の名で活動するよう指示した。
ザワーヒリー氏は声明のなかで「シャームの民のヌスラ戦線は、総司令部に従うアル=カーイダ聖戦機構から独立している」とし、その活動場所をシリアに限定する一方、「イラク・イスラーム国が存在する地域はイラクである」と述べた。
また「アブー・バクル・バクダーディー・フサイニー師(イラク・シャーム・イスラーム国指導者)は、我々の命令を受けることなく、イラク・シャーム・イスラーム国を宣言するという過ちを犯した…。アブー・ムハンマド・ジャウラーニー師(ヌスラ戦線指導者)は、イラク・シャーム・イスラーム国を拒み、我々の命令を受けることなく、アル=カーイダとの関係を誇示するという過ちを犯した」と批判した。
そのうえで「アブー・バクル・バクダーディー・フサイニー師をこの裁定から1年間の任期でイラク・イスラーム国のアミールとすることを承認し、任期後、イラク・イスラーム国シューラー会議は、アル=カーイダ聖戦組織総司令部に活動報告を行うものとする。そのうえで、総司令部はアブー・バクルの任務継続、ないしは新アミールの任命を決する」と述べた。
さらに「アブー・ムハンマド・ジャウラーニー師をこの裁定から1年間の任期でイラク・イスラーム国のアミールとすることを承認し、任期後、ヌスラ戦線シューラー会議は、アル=カーイダ聖戦組織総司令部に活動報告を行うものとする。そのうえで、総司令部はアブー・ムハンマドの任務継続、ないしは新アミールの任命を決する」と付言した。
そして、イラク・イスラーム国、シャーム戦線の双方に、戦闘員、武器、避難所などといった諸側面で協力し合い、戦闘を行わないよう呼びかけた。
声明はジャズィーラ・チャンネル(11月8日付)を通じて発表された。
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ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェヴィッチ報道官は、モスクワでの記者会見で、シリアが化学兵器を隠し持っているとの米国(国連大使)の主張に関して、「国際機関のシリアでの活動を尊重していないかのようだ」と批判した。
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ロイター通信(11月8日付)などは、2014年半ばまでに全廃するとしたシリアの化学兵器廃棄の行程を6ヶ月間猶予することを米露が合意する見込みだと報じた。
化学兵器廃棄の受け入れ国の選定が難航していることなどが理由だという。
AFP, November 8, 2013、AKI, November 8, 2013、al-Hayat, November 9, 2013、Kull-na Shuraka’, November 8, 2013, November 9, 2013、Naharnet,
November 8, 2013、Reuters, November 8, 2013、Rihab News, November 8, 2013,
November 10, 2013、SANA, November 8, 2013、UPI, November 8, 2013などをもとに作成。
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