駐シリア中国大使がムアッリム外相らと面会し「外国のいかなる内政干渉をも拒否する」姿勢を改めて表明するなか、地元調整諸委員会が声明を出しシリア国民評議会の「再建」の必要性を主張(2012年3月7日)

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アサド政権の動き

中国の李華新前駐シリア大使がダマスカスを訪問し、ムアッリム外務大臣、アフマド・アルヌース外務次官らと会談した。

SANA, March 7, 2012

SANA, March 7, 2012

SANA, March 7, 2012

SANA, March 7, 2012

SANA(3月7日付)によると、李前大使は、シリアの危機解決に向けた「六つの提案」を示した書簡を手渡した。

この「六つの提案」の骨子は以下の通り。

1. すべての暴力の即時、包括的、無条件の停止。非暴力的な手段を通じた当事者による政治的要求の表現。
2 コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使の仲介のもとでのすべての当事者による包括的政治対話の即時且つ無条件の開始。
3. シリアの主権尊重を原則とした国連主導による人道支援調整への中国の支援。「人道問題」を口実としたシリア内政干渉の拒否。
4. シリアの独立、主権の尊重と、シリア人による対話の結果の尊重。
5. 外国の軍事介入拒否。
6. 平和的な解決に資さない制裁、脅迫の拒否。

李前大使はアルヌース外務次官との会談で、「外国のいかなる内政干渉をも拒否する」との中国側の姿勢を改めて伝えた。

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国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長がシリアを訪問し、ワリード・ムアッリム外務大臣と会談した。

『ハヤート』(3月8日付)によると、アモス次長の訪問の目的は「人道状況の評価」。

SANA(3月7日付)によると、ムアッリム外務大臣は会談で、「シリアの主権と独立が尊重され、シリア政府との調整がなされる」かたちで人道支援に関して協力すると伝えた。

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『クッルナー・シュラカー』(3月7日付)は、定年で退職していた政治治安部前中部地方課長のワリード・アバーザ氏が、ダマスカス県内での「シャッビーハ」の指導のために「復職」したと報じた。

国内の暴力

シリア軍・治安部隊がイドリブ県各地で反体制(武装)勢力に対する掃討作戦を重点的に行う一方、ロンドンで活動するシリア人権監視団などが弾圧による被害を宣伝した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カンスフラ村、カフルルーマー村、ムアスラーン村、マルイヤーン村、カフルナブル市など軍・治安部隊が掃討作戦を行い、5人が死亡した。

シリア国民評議会によると、ラタキア県から戦車42輌、兵員輸送車131輌がサラーキブ市方面に向かっており、「大規模な軍事作戦」が行われることが懸念されている。

カイロに避難した反体制活動家のムハンマド・ヌアイミー氏は、ハーン・シャイフーン市に対しても軍・治安部隊が激しい砲撃を加えていると述べた。

また同氏によると、現在イドリブ県にはアサド政権が掌握していない地域がザーウィヤ山、イドリブ市南部などに13カ所ある、という。

一方、SANA(3月7日付)によると、マアッラ市、ハーン・シャイフーン市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、前者の大尉1人が戦死した。

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ヒムス県では、赤十字国際委員会報道官が、ヒムス市バーブ・アムル地区に人道状況調査のためシリア赤新月社のチームが入ったと発表した。

同報道官によると、「住民のほとんどはバーブ・アムル地区を立ち去り、赤十字国際委員会が支援を行っている地域に既に避難した」という。また赤新月社の調査は「45分しか」行われなかった。

シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区で子供1人が治安部隊に射殺された。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アターリブ市で治安部隊が市民1人を射殺した。

またアレッポ市では、反体制デモを行った37人が逮捕された。

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ダマスカス県およびダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区、カーラ市、ヤブルード市、ランクース市などで軍・治安部隊が活動からの逮捕を行った。

一方、SANA(3月7日付)によると、バルザ区で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、多数のテロリストを逮捕した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がダイル・ザウル市内に展開した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市で1歳の乳児を含む16人がナイフで殺された。

ドゥンヤー・チャンネル(3月7日付)は、この惨殺が反体制武装集団による犯行だと報じた。

またSANA(3月7日付)によると、各地で武装テロ集団が爆弾敷設作業中に爆弾が爆発、5人が自爆死した。

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ハマー県では、SANA(3月7日付)によると、シーズル市で武装テロ集団が民間人の乗ったマイクロバスをRPG弾で攻撃し、6人を死亡した。

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シリア人権監視団によると、2011年3月以降の死者数が8,458人に上ったと発表した。

うち6,195人が民間人、2,263人が軍・治安部隊兵士で、このなかのさらに428人が離反兵だという。

国内の反体制勢力の動き

地元調整諸委員会は声明を出し、シリア国民評議会の「再建」の必要を主張、現在の非力を暗に非難した。

諸委員会は声明のなかで、シリア国民評議会が「反体制活動家間の個人的意見の相違」ゆえに「現時点でさえ、強力な一体としての組織として台頭できずにいる」と指摘、「シリア国民評議会がこのようなかたちであり続けることは受け入れられない」と暗に非難した。

そのうえで「組織の再構築」を呼びかけるとともに、シリア国民評議会の指導のもとに自由シリア軍の統合指導部を構築すべきだと主張、「政治的空白の継続は…危機を長期化させる」と警鐘を鳴らした。

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シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表は、李前大使が反体制勢力の代表多数と会談したことを明らかにするとともに、中国側の「六つの提案」を歓迎すると述べた。

『ハヤート』(3月8日付)が報じた。

在外の反体制勢力の動き

在外シリア人などからなるシリア国民評議会は声明を出し、イドリブ県での「大規模軍事作戦」への警鐘をならすとともに、ダマスカス、アレッポ、ハマーの住民に対して、「イドリブ住民への圧力を軽減するための行動を実行するよう」呼びかけ、身の安全が保障されている欧州の地から地元住民に命がけのデモを行うよう煽動した。

レバノンの動き

アドナーン・マンスール外務大臣はヒズブッラーが運営するマナール・チャンネル(3月7日付)で、自由シリア軍メンバーの保護を求めたモーラ・コネリー米大使の要請をレバノン政府は拒否したと語った。

マンスール外務大臣によると、コネリー米大使は3月6日のマルワーン・シルビル内務地方自治大臣との会談で、この要請を行った、という。

諸外国の動き

国連では米国が作成した対シリア決議案をめぐって、安保理諸国およびモロッコ(アラブ連盟代表)による調整と米・ロシア間での調整が並行して続けられた。

『ハヤート』(3月8日付)は信頼できる消息筋の話として、対シリア決議案をめぐる西側諸国および米・ロシアの調整作業に関して、中国が自国の重要性低下につながるとみなし「恨み」を募らせていると報じた。

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レオン・パネッタ米国防長官は上院軍事委員会で、シリアへの軍事侵攻の是非に関して、「国際的な同盟を構築する必要がある…。しかしそれは容易でなく時間を要する…。(米国のみによる)単独行動は誤りだ」と述べ、消極的な姿勢を示した。

また飛行禁止空域の設定に関しても「国連安保理ないしはNATOとの合意・調整」と必要だとしたうえで、「軍事的選択肢について他国と協議を始めたが…計画を準備している訳ではない」と述べる一方、シリア国民への食糧品、医薬品などの人道支援のために1000万ドルの予算を配分したと明らかにした。

さらにアサド政権に対してロシアが多大な影響力を行使し得るとしたうえで、「もし(ロシアが)何らかのかたちで望めば、彼の退任に資するだろう」と述べた。

またマーティン・デンプスィー米陸軍参謀長は上院軍事委員会で、バラク・オバマ大統領が「軍事的選択肢」に関する報告を準備するよう国家安全保障会議に要請したと述べた。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領はテレビのインタビューで、2008年と2010年にアサド大統領の訪仏を受け入れたことに関して、「2年前に、彼はヒムスで女子供を殺していなかった。2年前も民主的ではなかったが人殺しではなかった。でも今は人殺しだ」と述べた。

またシリアへの軍事介入の可能性に関して、国連の要請がない限り介入できないと述べた。

なおサルコジ氏が大統領に就任する前の2005年2月、レバノンで発生したラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件に関して、フランス(ジャック・シラク政権)は他の西側諸国とともにアサド政権の犯行を推定し、激しいバッシングをかけていた。

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ロシアのウラジーミル・プーチン首相は、アサド大統領の政治亡命を受け入れるかとの記者団の質問に対して、「我々はそのようなことをまったく検討してない」と述べた。

ロシア外務省は声明を出し、「あらゆる勢力による暴力の即時停止の必要がある」との姿勢を改めて示した。

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中国の陳徳銘商務大臣は、シリア国内の治安状況を踏まえて中国人労働者約100人を一時帰国させると発表した。

帰国の対象となるのは、シリア国内の開発プロジェクトや関連施設で就労する労働者。

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エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は、シリアの反体制勢力の武装に関して、軍事的闘争をエスカレートさせ、内戦勃発をもたらす、と警鐘をならした。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣がトルコを訪問し、トルコ首脳とシリア情勢への対応について協議した。

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エール・フランスは、アサド政権による弾圧に抗議するため、パリ・ダマスカス便の就航を停止すると発表した。

AFP, March 7, 2012、Akhbar al-Sharq, March 7, 2012、al-Hayat, March 8, 2012、Kull-na Shuraka’, March 7, 2012、Naharnet.com, March 7, 2012、Reuters, March 7, 2012、SANA, March 7, 2012などをもとに作成。

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