制憲委員会第6ラウンド小委員会会合が何らの合意にも達せず閉幕(2021年10月22日)

スイスのジュネーブにある国連本部で10月18日に開幕していた制憲委員会(憲法制定委員会)第6ラウンド小委員会会合が閉幕した。

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ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表は閉幕後の記者会見で、シリア政府、反体制派、市民社会の各代表のそれぞれが憲法起草にかかる四つの基本原則を示すかたちで行われたが、「我々は成し遂げたいと考えていたものを実現しなかった…。このトラックを前進させる方法について充分な理解を欠いていた…。今回のラウンドで、我々は何らの相互理解にも達せず、何らの問題においても共通点に至らなかった」と述べた。

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シリア政府代表を率いるアフマド・クズバリー人民議会議員は閉幕後に記者会見を開き、シリア国民の願望や懸念を反映した諸原則を提唱し、外国のアジェンダを排除しつつ、第6ラウンドを成功に導くために誠実且つ積極的な精神をもって行い得るすべてを行ったと述べた。

クズバリー人民議会議員によると、シリア政府代表は第6ラウンドで「シリア・アラブ共和国の主権、独立、領土の一体性」にかかる文書、「テロと過激主義」にかかる文書を提示し、その内容を反体制派代表や市民社会代表に説明、質疑に応じたという。

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これに対して、反体制派(シリア交渉委員会)代表を率いるハーディー・バフラ氏は、シリア政府側はコンセンサスに至るような文書を一切提出せず、またそうした意思すらないと批判したうえで、反体制派側が、戦闘停止と新憲法起草に向けた真の政治プロセスを推し進めたいと主張した。

なお、アナトリア通信(10月20日付)によると、シリア交渉委員会は今回のラウンドで、憲法における軍、治安部隊、諜報機関の位置づけにかかる以下4つの基本原則を示していた。

1. 国家は治安諜報機関を法の支配のもとに置き、人権を尊重する。
2. 軍治安部隊においてイデオロギーや党派への帰属を排除する。
3. 軍は法律に基づいて組織され、憲法のもとで任務を遂行する。
4. 治安機関も同じく法に従い、基本的人権のもとで任務を遂行する。

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SANA(10月22日付)、アラビーヤ(10月22日付)、アナトリア通信(10月20日付)などが伝えた。

AFP, October 22, 2021、Alarabia, October 22, 2021、Anadolu Ajansı, October 20, 2021、ANHA, October 22, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 22, 2021、Reuters, October 22, 2021、SANA, October 22, 2021、SOHR, October 22, 2021などをもとに作成。

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