ロシア軍がイドリブ県、ラタキア県を爆撃、オリーブ収穫用工場が狙われ2人(ドゥルーズ派)死亡、7人負傷(2021年11月22日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が「決戦」作戦司令室の支配下にある県北東部のスンマーク山(ハーリム山)一帯を爆撃し、通信塔が破壊され、県北部のほぼ全域でインターネット通信が一時途絶えた。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

爆撃は、同地に近いタルティーター村近郊にあるオリーブ収穫用工場に対しても3回にわたって行われ、なかで働いていた2人(いずれもドゥルーズ派)が死亡、7人が負傷した。

一方、「決戦」作戦司令室に所属するシャーム解放機構がシリア政府の支配下にあるジャウバース村を砲撃、これにより兵士1人が死亡した。

このほか、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ市で、同機構によって自治を委託されているシリア救国内閣所轄の警察部隊が、市内を撮影していたメディア活動家1人を一時拘束した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるクバイナ丘一帯を爆撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室に所属する国民解放戦線がシリア政府の支配下にあるガーブ平原のマナーラ村(タンジャラ村)を砲撃した。

これに対して、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるアンカーウィー村を激しく砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるタディール村、カフルタアール村を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ウンム・ワラド村とジュビーブ村を結ぶ街道で正体不明の武装集団が、プロパンガス・ボンベを積んだ車を運転していた男性を襲撃、殺害した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を5件(イドリブ県0件、ラタキア県0件、アレッポ県5件、ハマー県0件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は0件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を2件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, November 22, 2021、ANHA, November 22, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, November 22, 2021、Reuters, November 22, 2021、SANA, November 22, 2021、SOHR, November 22, 2021などをもとに作成。

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