仏外務省がシリア革命反体制勢力国民連立を支援するための国際会議を開催、これに対しシリア国内の反体制活動家らがジュネーブで「民主的シリアと市民国家のためのシリア国際会議」を開催(2013年1月28日)

シリア政府の動き

クッルナー・シュラカー(1月28日付)は、カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣がドバイに到着したと報じた。

同報道によると、この訪問は数年前にジャミール副首相がUAEで起業したコンピューター、人工衛星関連の企業の運営状況を点検するためだという。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で軍と反体制武装勢力が交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市の防空局周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。またダーライヤー市などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月28日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、カフルバトナー町、ハッザ町などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またナブク市の軍人用団地の襲撃を試みた反体制武装勢力を軍が撃退した。

さらにヤブルード市では、反体制武装勢力どうしが、住民からの略奪品の分配をめぐって交戦し、多数の戦闘員が死傷した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の戦闘で、後者の戦闘員10人が殺害された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月28日付)によると、東ブワイダ市、シューマリーヤ市などクサイル市郊外、ハウラ地方、ヒムス市ジャウバル区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(1月28日付)によると、マッルアナーズ市、マンナグ村、サフィール市、アナダーン市、バーブニス村、フライターン市などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、シャイフ・サイード地区、ブスターン・カスル地区、カルム・マイサル地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(1月28日付)によると、ダルアー市、ブスル・ハリール市、ブスラー・シャーム市、サイダー町、ヌアイマ村、ラジャート高原などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(1月28日付)によると、ビンニシュ市、マアッラトミスリーン市、ハルブンウーシュ市、カフルシャッラーヤー村などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月28日付)によると、ダイル・ザウル市内の軍の拠点を襲撃しようとした反体制武装勢力を軍が撃退した。

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ハマー県では、SANA(1月28日付)によると、カルナーズ町などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、ファールーク大隊の司令官、シャーム自由人大隊メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

パリでの国際会議に対抗するかたちで、ジュネーブでシリアの反体制活動家らが「民主的シリアと市民国家のためのシリア国際会議」を開催し、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長らが出席した。

大会にはシリア人反体制活動家、アラブ諸国、欧米諸国など36カ国の活動家、研究者ら約200人が出席した。

大会委員長のマンナーアによると、大多数のシリア人が民主的市民国家の建設を求めており、政権による弾圧、暴力を通じた体制転換のいずれをも拒否していることを国際社会に告知することが大会の目的。

またパリでの国際会議との違いに関して、マンナーアは「違いは我々が民主的シリア人の集まりで、より多くのシリア人に対して呼びかけを行い…、シリア国内および避難民における民主的・市民的な勢力を作ろうとしていることにある。一方、パリで起きていることは、フランス外務大臣が自らの欲するものをシリア人に押し付けるための呼びかけに過ぎない」と非難した。

しかし『ハヤート』(1月29日付)によると、スイス当局は、フランスの圧力を受けて、活動家67人に対してビザ発給を拒否、入国を認めなかった。

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クルディーヤ・ニュース(1月28日付)は、ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の戦闘停止を呼びかけるトルコのイスタンブールで活動家の声明への署名を、シリア革命評議会のハイサム・マーリフ代表が拒否した、と報じた。

拒否の理由は声明においてラアス・アイン市がクルド語の「セレ・カニ」と記されていたため。

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在外の人権組織12団体が共同声明を出し、軍と反体制武装勢力、民主統一党と反体制武装勢力の戦闘が続いているアレッポ県、ハサカ県のキリスト教徒に対する襲撃事件が多発していると警鐘を鳴らした。

共同声明を出したのは、アッシリア人権ネットワーク、シリア人権ネットワーク、シリア人権機構(SWASIAH)、アラブ人権機構、(シリア・)シリア人権機構(Maf)、ダマスカス人権研究センター、シリア・クルド人権委員会、DADなど。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月28日付)は、民主統一党が、ハサカ県カーミシュリー市西部にあるスライマーン・ヒラール氏の商店を焼き討ったと報じた。

同報道によると、ヒラール氏はラアス・アイン市に侵入した自由シリア軍ミシュアル大隊司令官のウサーマ・ヒラールの父親。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は党機関紙(アンバー)において、シリア情勢について言及し、そのなかでシリアのドゥルーズ派に対して、アサド政権が最近発足した国防隊に参加しないよう呼びかけた。

諸外国の動き

フランス外務省は、パリでシリア革命反体制勢力国民連立を支援するための国際会議を開催し、欧米諸国、アラブ諸国約50カ国と国際機関の代表、シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーの約3分の1が出席した。

開会の辞でローラン・ファビウス外務大臣は、会合の目的を「体制の野蛮な抑圧に立ち向かう」シリア国民への支援と、シリアの「平和、多元主義、自由の未来を体現する反体制勢力への具体的支援」と明言した。

また、シリア革命反体制勢力国民連立が日に日に国民の支援を受けるようになっており、「国民の基本的ニーズ、そして和解をめざすシリアに関わる約束を履行する能力がある」と断じて、「シリア国民の正統な代表」である連立への国際社会の支援を求めた。

そのうえで、「国家と社会の崩壊が生じれば、真空を埋めようとする過激派が台頭する」と警鐘を鳴らした。

パリでの会議に出席したシリア革命反体制勢力国民連立のリヤード・サイフ副議長はファビウス外務大臣との共同記者会見で、「アサド政権が崩壊した場合、それに代わる政権を発足するための活動支援を必要としている…。シリア国民を支援する能力を我々が得るための支援が必要だ」と述べ、自らの無力を吐露した。

また移行期政府がシリア人の救済と解放区の運営を行ううえで不可欠だと述べたうえで、「義務を果たすための資金が必要」だと強調する一方、「アサドを当事者としないという条件のもとでの公正な対話」を歓迎すると述べ、対話を通じた紛争解決を事実上拒否した。

シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーでもあるシリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長は会議で、「数十億ドルが必要だ…。最低でも5億ドルが必要だ…。武器が必要だ」と資金・武器支援を国際社会に呼びかけ、紛争の平和的解決を拒否した。

『ハヤート』(1月29日付)は、フランス外交筋の話として、会議の目的が、シリア国民を支援する能力を持った反体制勢力の枠組みを強化・活性化することにあると報じた。

同消息筋は、「シリア革命反体制勢力国民連立の枠組みは不完全で、内部対立がある」と認めたうえで、「しかし事態を進展させ、政治的アクションを行うために最大限の努力を行う」べきだと述べ、会議の主旨を明らかにした。

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バラク・オバマ米大統領は『ニュー・リパブリック』(1月27日付)のインタビューに応じ、そのなかで、「シリアのような状況について、我々は、こうした状況下で別のことをできるかと問わねばならない…。軍事介入に効果はあっただろうか?…簡単な答えなどない」と述べた。

また『60ミニッツ』(1月27日付)とのインタビューにおいて、オバマ大統領は「シリアは、米国の安全保障を高めるだけでなく、シリア国民やイスラエル国民に適切に対処するかたちで我々が関与しなければならない古典的な例だ」と述べ、米国の対シリア政策を自己正当化した。

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イスラエルのアヴィ・ディヒター国内治安大臣は、イスラエル放送局(1月28日付)のインタビューに応じ、そのなかでレバノンのヒズブッラーがシリアの化学兵器貯蔵施設の近くに基地を建設していると断じ、ヒズブッラーがシリア情勢に乗じて大量破壊兵器の入手を試みていると批判した。

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『ハヤート』(1月29日付)は、イスラエル治安筋の話として、イスラエル軍がアイアンドーム防空システム2基を北部(占領下のゴラン高原方面)に配備した、と報じた。

同消息筋によると、配備は一時的な移動によるものだという。

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英国のブリタム・ディフェンスはHPで、リビアからシリアのヒムス県に化学兵器を密輸して使用し、シリア軍に嫌疑をかけ、シリアとイランへの欧米諸国の軍事介入の準備することをカタールが提案していたと暴露した。RT(1月28日付)が伝えた。

AFP, January 28, 2013、Akhbar al-Sharq, January 28, 2013、al-Anba’, January 28, 2013、al-Hayat, January 28, 2013, January 29, 2013, January 30, 2012、Kull-na Shuraka’,
January 28, 2013、al-Kurdiya News, January 28, 2013、Naharnet, January 28,
2013、Reuters, January 28, 2013、SANA, January 28, 2013、UPI, January 28,
2013などをもとに作成。

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ヌスラ戦線がダマスカス郊外県サアサア町で爆弾テロを実行し兵士8名が死亡、ラアス・アイン市では人民防衛隊が複数の拠点を自由シリア軍・サラフィー主義者らから奪還(2013年1月25日)

国内の動き

SANA(1月25日付)などによると、宗教関係大臣の呼びかけを受け、シリア各地で多数の市民が、サラート・ハージャが行い、国内での治安と安全の回復を祈願した。

SANA, January 25, 2013
SANA, January 25, 2013

ダマスカス県では、旧市街中心に位置するウマイヤ・モスクで、ビラード・シャーム・ウラマー連合代表のムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティーが礼拝の導師を務めた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団などによると、サアサア町の軍事情報局施設の近くで、シャームの民のヌスラ戦線が爆弾を仕掛けた車を爆発させ、これにより少なくとも兵士8人が死亡、複数名が負傷した。

この爆弾テロを受けるかたちで、軍は同市を含む県東部に空爆を行った。

また、ドゥーマー市の軍検問所近くで、5人の男性の遺体が発見された。

一方、SANA(1月25日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、フサイニーヤ町、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、アクラバー村、ムライハ市などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍・サラフィー主義者が交戦した。

『ハヤート』(1月26日付)などによると、この交戦の結果、人民防衛隊は市内のヒラーバート地区、国立病院などを奪還、自由シリア軍・サラフィー主義者は市内の複数の拠点を放棄し、トルコに撤退した。

一方、クッルナー・シュラカー(1月27日付)は、民主統一党の治安部隊が、ハサカ県ラアス・アイン市、アームーダー市、カーミシュリー市での青年らによる反体制デモを強制排除したと報じた。

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AFP(1月26日付)は、スワイダー県ドゥルーズ山山頂を1月16日に反体制武装勢力の戦闘員約100人が占拠したことを受け、同県住民と軍が奪還に攻防を続けている、と報じた。

同報道によると、反体制武装勢力は、ダルアー県出身者などからなり、スワイダー市攻略のため、避暑地として使用されている山頂のコテージ7棟を占拠し、住民の要請を受けて当局が派遣した兵士4人を殺害したことを受け、戦闘が激化した。

両者の戦闘は、ハルドゥーン・ザインッディーン(ドゥルーズ派の離反士官)と彼が率いていた反体制武装集団の戦闘員7人が殺害されたことで決着したという。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区、タダームン区で軍が反体制武装勢力と交戦した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ジャウラ・シヤーフ地区、スルターニーヤ地区、ジャウバル区などで軍が反体制武装勢力と交戦した。

またヒムス市各所、タドムル市周辺、クサイル市、東ブワイダ市などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月25日付)によると、ハイダリーヤ村、タッルドゥー市、ラスタン市郊外、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区などで軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市中央刑務所周辺で、軍がシャーム自由人大隊、シャームの鷹旅団と交戦した。

複数の反体制活動家によると、シャーム自由人大隊、シャームの鷹旅団は刑務所内への突入に成功したという。

一方、SANA(1月25日付)によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、マアッラト・ヌウマーン市、ジスル・シュグール市郊外、イドリブ市・サルキーン市街道などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月25日付)によると、タッル・シュガイブ村、サクラーヤー村、タッル・ジブリーン市、クワイリス市などで軍が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、バーブ・ハディード、バーブ・ナイラブ、カースティールー地区、シャイフ・サイード地区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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一方、SANA(1月25日付)によると、反体制武装勢力がダルアー市内の検問所を襲撃、占拠を試みたが、軍が撃退、多数の戦闘員を殺傷した。

またタファス市、タスィール町、ブスラー・シャーム市、ブスル・ハリール市、ハイト村、アービディーン市、ダーイル町などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制武装勢力の動き

『ハヤート』(1月26日付)などによると、サウジアラビアのジェッダに駐在し、シリア軍徴兵局高官を務めていたという反体制活動家のイマード・マイーン・ヒラークは、シリア政府がハッジ期間中にメッカでの爆破テロを計画していた、と暴露した。発言の真偽は定かでない。

Akhbar al-Sharq, January 25, 2013
Akhbar al-Sharq, January 25, 2013

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アフバール・シャルク(1月25日付)は、24日のアサド大統領が参加した集団礼拝の映像に、2012年12月に殺害されたザイン・アービディーン・ビッリーの映像が映り込んでおり、過去の映像が用いられていたと報じた。

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自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)メンバー(ヒムス地区)のカースィム・サアドッディーン空軍大佐は、『ハヤート』(1月26日付)に対して、ヒムス県に対する軍の攻撃激化に関して、「ヒムスでの民族浄化を行おうとしている」と述べた。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は預言者聖誕祭を祝してテレビ演説を行い、そのなかでシリア情勢に触れ、「軍事情勢や地域・国際情勢の進展のすべてが、多くの党派の夢が実現しないことを示している」と述べ、欧米諸国、湾岸アラブ諸国、トルコ、レバノンの野党、シリアの反体制武装勢力、外国人サラフィー主義戦闘員によるアサド政権打倒の試みが失敗に終わることを示唆した。

諸外国の動き

ヨルダン国王アブドゥッラー2世は、第43回世界経済フォーラム(ダボス会議)で、ヨルダン国内のシリア人避難民流入に対処するためのさらなる支援を国際社会に求めた。

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AFP(1月25日付)は、英国警察当局がテロ活動支援のためにシリアに渡航しようとした男性(31歳)を逮捕・起訴したと報じた。

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『ハヤート』(1月25日付)は、ジハード・マクデイスィー外務在外居住者省報道官が米国にいるとのロバート・フォード駐シリア米大使の発言を米国務省高官が否定した、と報じた。

AFP, January 25, 2013、Akhbar al-Sharq, January 25, 2013、al-Hayat, January 25, 2013, January 26, 2013、Kull-na Shuraka’, January 25, 2013,
January 27, 2013、al-Kurdiya News, January 25, 2013、Naharnet, January 25,
2013、Reuters, January 25, 2013、SANA, January 25, 2013などをもとに作成。

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ラアス・アイン市で人民防衛隊がサラフィー主義者戦闘員(ヌスラ戦線は含まず)や自由シリア軍と激しく交戦するなか、シリア革命反体制勢力国民連立はカタールから供与された800万ドルを傘下の11組織に配分(2013年1月19日)

シリア政府の動き

ハルキー内閣の危機解決政治プログラム実施閣僚委員会が会合を開き、国民対話大会への在外反体制政治組織・活動家の参加を促進・補償するための具体的措置に関して審議を行った。

SANA, January 19, 2013
SANA, January 19, 2013

また鉄道網などを通じた被災者への人道支援の配給、避難民の帰国支援などを審議した。

SANA(1月19日付)が伝えた。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、シリア・アラブ・テレビ(1月20日放映予定)のインタビューに応じ、そのなかでカタール、サウジアラビア、トルコが米国の指示のもと、シリア国内のテロリストに武器と資金を供与している、と非難した。

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変革解放人民戦線と人民意思党は声明を出し、国内通商消費者保護省による灯油の公定価格の40%引き上げ決定が「現下の危機をより複雑にする」と批判、変革解放人民戦線代表と人民意思党党首を兼務するカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護省に決定の撤回を求めた。

国内の暴力

ハサカ県では、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊(YPG)が、サラフィー主義者戦闘員や自由シリア軍と激しく交戦した。

『ハヤート』(1月20日付)は、サラフィー主義者戦闘員や自由シリア軍の側にシャームの民のヌスラ戦線は含まれていないとしながらも、彼らがトルコ領から進入し、ラアス・アイン市を攻撃していると報じた。

シリア人権監視団によると、両者の戦闘で過去48時間に33人が死亡した。うち28人が自由シリア軍・サラフィー主義者戦闘員。

一方、『ハヤート』(1月20日付)は、ルマイラーン町とカルズィールー村間の軍拠点周辺で、軍と民主統一党人民防衛隊(YPG)が交戦し、軍が同地帯から撤退したとの情報が伝えられている、と報じた。

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ダルアー県では、『ハヤート』(1月20日付)によると、県の国民和解委員会メンバーを務めていたシャイフ、ハーリド・ヒラールがシュハイブ市・タッル・アスファル市間の街道で反体制武装勢力に襲撃され、同行していた3人とともに殺害された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市、ジュダイダ・アルトゥーズ町郊外の農園などを軍が空爆した。

またアルバイン市、ザバダーニー市などが砲撃を受けた他、スバイナ町、アクラバー村、ムライハ市、ハーン・シャイフ(パレスチナ難民キャンプ)周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月19日付)によると、アルバイン市、ムライハ市、シャイフーニーヤ村郊外、ダーライヤー市、ヤブルード市、ザバダーニー市、ナブク市などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、アンサール・イスラームのメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区を軍が空爆した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(1月20日付)によると、ヒーシュ村とハーン・シャイフーン市を結ぶ国際幹線道路沿いで、反体制武装勢力が軍を襲撃した。

シリア人権監視団によると、この襲撃は、ワーディー・ダイフ軍事基地、ハーミディーヤ航空基地への兵站を絶つことが目的だという。

一方、SANA(1月19日付)によると、サルキーン市などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月19日付)によると、マーリア市、アナダーン市、タームーラ村、バヤーヌーン町、ラスム・アッブード村、クシャイシュ市、マーイル町、ハイヤーン町、フライターン市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、ブスターン・カスル地区、マイサル地区、カッラーサ地区、スッカリー地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、『ハヤート』(1月20日付)によると、ヒムス市ジャウバル区、バーブ・アムル地区などが軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(1月19日付)によると、東ブワイダ市近郊、マスウーディーヤ村、アービル村、タッルドゥー市などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

1月16日からトルコのイスタンブールで続けられているシリア革命反体制諸勢力国民連立の会合に関して、出席者の一人は、『ハヤート』(1月20日付)に対して、暫定内閣発足をめぐる審議が、発足時期、閣僚人事をめぐって紛糾していると語った。

同出席者によると、暫定内閣首班候補者としてリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相やアスアド・ムスタファー元農業大臣の名前があがる一方、暫定内閣への国際社会の承認や、組閣前にシリア国内の解放区に拠点を設置する必要があるとの意見が出ている、という。

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シリア革命反体制勢力国民連立は、カタールから供与された800万ドルを傘下組織に配分したと発表し、その内訳を公表した。

同発表によると、配分先の詳細(地元評議会を名乗る在外活動家)は以下の通り:

ダルアー県地元評議会:ムハンマド・カッダーフに70万ドル支給。
イドリブ県地元評議会:アドナーン・ラフムーンに80万ドル支給。
ハマー県地元評議会:サラーフッディーン・ハマウィーに70万ドル支給。
ヒムス県地元評議会:アブドゥルイラーフ・ファフドに80万ドル支給。
アレッポ市および郊外地元評議会:ジャラールッディーン・ハーンジーに100万ドル支給。
ダマスカス郊外県地元評議会:ジャワード・アブー・ハトブに60万ドル支給。
ダマスカス県地元評議会:ムハンマド・ヤフヤー・マクタビーに60万ドル支給。
タルトゥース県地元評議会:アブドゥルカリーム(フルネーム不明)に60万ドル支給。
クナイトラ県地元評議会:アフマド・アワド・ムハンマドに20万ドル支給。
スワイダー県地元評議会:リーマー・フライハーンに10万ドル支給。
ラッカ県地元評議会:ムスタファー・ナウワーフ・アリーに20万ドル支給。
ハサカ県地元評議会:ムハンマド・ムスタファー・ムハンマドに20万ドル支給。
ラタキア県地元評議会:ズィヤード・ライイスに60万ドル支給。
ダイル・ザウル県地元評議会:リヤード・ハサンに70万ドル支給。
シリア革命最高評議会:リーマー・フライハーンに20万ドル支給。
シリア革命総合委員会:20万ドル支給予定。

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シリア国民評議会は声明を出し、ラアス・アイン市での民主統一党と自由シリア軍・サラフィー主義者の戦闘に関して、住民に対して不和を解消し、すべての社会勢力からなる委員会を設置し、体制およびその手先の支配を排除するために同市を監督するよう呼びかけた。

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『ハヤート』(1月20日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市の地元評議会が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立と自由シリア軍に対して、「シリア革命の原則と目標を貶める犯罪的な戦争を停止するよう武装集団に圧力をかける」ことを求めた。

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シャームの民のヌスラ戦線が声明を出し、アレッポ県タッル・ハースィル村に位置する第559防空大隊基地を制圧したと発表した。

基地制圧には、シャーム自由人大隊に属するシャフバー大隊、ムハージリーン大隊も参加した。

第559防空大隊基地はアレッポ国際空港から5キロの地点に位置し、同空港の防衛にあたっていた、という。

レバノンの動き

UNHCRは、レバノン国内のシリア人・パレスチナ人避難民の数が21万2000人以上に達する、と発表した。

県別の内訳は、北部県が73,970人、ベカーア県が56,284人、ベイルート県と南部県が合わせて17,404人。

避難民のうち難民登録が完了したのが147,000人で、64,000人は申請中だという。

諸外国の動き

ユニセフの中東・北アフリカ地域事務所のマリア・マリビス代表は声明を出し、ヒムス市ハサウィーヤ地区での「虐殺」やダマスカス郊外県フサイニーヤ町のパレスチナ人居住区への空爆を「もっとも厳しい表現で非難」、「すべての当事者に民間人、とりわけ子供を保護し、紛争の被害から回避させることを保証するよう改めて呼びかける」と述べた。

AFP, January 19, 2013、Akhbar al-Sharq, January 19, 2013、‘Aks al-Sayr, January 19, 2013、al-Hayat, January 20, 2013、Kull-na Shuraka’, January 19, 2013、al-Kurdiya News,
January 19, 2013、Naharnet, January 19, 2013、Reuters, January 19, 2013、SANA,
January 19, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市ムハーファザ地区で発生した爆発により数十名が死傷するも活動家は政府による犯行と主張、シリア政府は約10,000人の若者から構成される「国防隊」の新設を進める(2013年1月18日)

国内の暴力

アレッポ県では、『ハヤート』(1月19日付)などによると、アレッポ市ムハーファザ地区で爆発があり、建物が崩壊、12人が死亡した。

ワヒード・アッカード県知事は、AFP(1月18日付)に対して、この爆発で3人が死亡、67人が負傷したと述べた。

SANA(1月18日付)は、テロ集団がアレッポ市カッラーサ地区から同市ムハーファザ地区にミサイルを撃ち、多数の市民が死傷、建物が倒壊した、と報じた。

一方、AFP(1月18日付)は、シリア軍筋の話として、軍戦闘機がブスターン・カスル地区の反対武装勢力を攻撃するなかで、同地区の反体制武装勢力がムハーファザ地区に地対地ミサイルを撃った、と報じた。

またハミード・バーラーシューを名乗る活動家は、「戦闘員はまだこれほどの能力を持っていない…。空爆が行われる前に同地区上空に戦闘機が旋回しているとの報告が多数ある。政府はアレッポ市をさらなる混乱に陥れようとしている」と述べ、爆発が政府軍によるものだと主張した。

SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013

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同じくアレッポ県では、SANA(1月18日付)によると、アレッポ市カースティールー地区、カッラーサ地区、ザラーズィール地区、ブスターン・カスル地区、バニー・ザイド地区、バーブ・ナイラブ地区、カーディー・アスカル地区、マアスラーニーヤ地区などで軍が反体制武装勢力を攻撃・追撃し、多数の戦闘員を殺傷、武器庫などを破壊した。

また、タッル・スーティーン市、カフルハムラ村、タッル・ハースィル市、フライターン市、カブターン・ジャバル市、アターリブ市、シハーラ市、アズィーザ市、クワイリス市、タッル・シュガイブ村、バーブ市などでも軍が反体制武装勢力を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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ハサカ県では、『ハヤート』(1月19日付)が、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊(YPG)とシャームの民のヌスラ戦線などサラフィー主義者戦闘員が激しく交戦し、戦闘では戦車や迫撃砲が使用され、多数が死傷したと報じた。

AFP(1月18日付)は、「ハヴィダール」を名乗る活動家の話として、この戦闘で、ヌスラ戦線はトルコ領から戦車3輌をシリア領内に侵攻させたが、人民防衛隊が同戦線の戦車1輌を捕捉した、と報じた。

SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013

しかし、クッルナー・シュラカー(1月17日付)は、シャームの民のヌスラ戦線メンバーに近い消息筋の話として、クルド人戦闘員から編成される自由シリア軍グワイラーン大隊、使徒末裔大隊が攻撃を行っており、ヌスラ戦線は参加していない、と報じた。

また、同報道によると、自由シリア軍の複数の大隊が軍から奪った戦車2輌と重装甲車1輌を使用して攻撃を行っているという。

さらに、複数の目撃者によると、戦闘激化を受け、ラッカ市、タッル・アブヤド市方面から、反体制武装勢力の武装四輪駆動車約10輌からなる増援部隊がラアス・アイン市方面に進軍、民主統一党の人民防衛隊もカーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市などから増援部隊を派遣した、という。

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ダルアー県では、SANA(1月18日付)によると、ダルアー市のフサイン・モスク前で爆弾が仕掛けられた車2台が相次いで爆発し、礼拝者多数が死傷した。

ジャズィーラに記事・情報を提供してきたムハンマド・ムサーラマ(通称:ムハンマド・ハウラーニー、シリア人)がバスラー・ハリール市の戦闘を取材中に撃たれて死亡した。

ジャズィーラ(1月18日付)は、ムサーラマを特派員と位置づけたうえで、彼が軍によって狙撃され、死亡したと伝えた。

しかし、ジャズィーラは2011年3月以降のシリア情勢への偏向した報道ゆえに、シリア国内での取材活動を認められていない。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ドゥーマー市、バイト・サフム市、アクラバー村などに軍が空爆を行い多数死傷し、アルバイン市での砲撃で女児1人が死亡した。またバイト・サフム市、アクラバー村では軍と反体制武装勢力が交戦した。

さらに同監視団によると、アドラー市の軍の検問所で身元不明の遺体11体が発見され、地元調整諸委員会によると、ドゥーマー市でも離反兵の遺体13体が発見されたという。

一方、SANA(1月18日付)によると、ダーライヤー市、フジャイラ村、ムウダミーヤト・シャーム市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、ムライハ市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県にある使徒末裔大隊の司令官の一人アブー・アリー大尉の自宅を軍の砲撃し、同大尉が死亡した。

アブー・アリー大尉は、ダマスカス県、ダマスカス郊外県での戦闘での戦闘を指揮していた。

クッルナー・シュラカー(1月20日付)は、シリアへの「アラブの春」波及当初から、フェイスブックを通じてダマスカス県・ダマスカス郊外県の映像を配信してきた活動家のアムジャド・スユーフィーがサクバー市で殺害された、と報じた。

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イドリブ県では、SANA(1月18日付)によると、サルジャ村およびその周辺で、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、シャーム自由人大隊のメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(1月18日付)によると、カルアト・ヒスン市などで、軍が反体制武装勢力と交戦市、複数の戦闘員を殺傷した。

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フェイスブックなどでは、「革命の大学の金曜日」と銘打って反体制デモが呼びかけられた。

シリア政府の動き

RT(1月18日付)は、シリア当局が軍(正式名称「軍武装部隊」)の予備兵力として、約10,000人の若者から構成される「国防隊」の設置を進めていると報じた。

同報道によると、「国防隊」は、兵役を終えた民間人約10,000人によって構成され、自警活動を行う人民諸委員会とともに、反体制武装勢力の攻撃からの市街地防衛を任務とし、制服、給与が支給される、という。

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『ハヤート』(1月19日付)は、複数のインターネット・サイトの情報として、「国防隊」がすでに発足し、各県に本部が設置され、20,000人以上の若者が徴兵され教練を受けている、と報じた。

同報道によると、「国防隊」の車輌、制服が支給され、対ゲリラ・民兵戦の専門家の教練を受けており、近く各地に配属予定の部隊は地元出身者から編成されている、という。

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SANA(1月18日付)は、国内通商消費者保護省が灯油の価格を40%引き上げ、公定価格を35ポンド/リットルとすることを決定したと報じた。

クッルナー・シュラカー(1月18日付)は、この決定に関して、カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣は反対の意思を表明し、決定への署名を拒否した、と報じた。

なお闇市場では、115ポンド/リットルで売買されることもある。

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シリア外務在外居住者省は国連安保理議長と事務総長に宛てて書簡を提出し、スイスなど57国による国際刑事裁判所へのシリア情勢の付託を求めた連名書簡に関して、「テロから国民を保護するというシリアの国家としての権利を承認することを拒否する誤った方法に遺憾の意を表明する」と非難の意を表明した。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会は声明を出し、ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と反体制武装勢力の戦闘激化への懸念を表明し、軍事行動の停止、逮捕者・捕虜の即時釈放、市内からの武装集団の撤退を求めた。

パレスチナ人の動き

『アフバール』(1月18日付)は、レバノンのアイン・フルワ難民キャンプ出身のパレスチナ人戦闘員8人が、シリアの反体制勢力に参加し、死亡したと報じた。

死亡した8人のなかには、アンサールッラーの指導者ジャマール・スライマーンの甥でヒズブッラーの党員だったマフムード・スライマーンも含まれている。

同報道によると、マフムード・スライマーンは数週間前に、自身の支持者がシリアの反体制勢力を支援することを阻止できずに、ヒズブッラーを離反していた。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首はロシアを訪問し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

LBC(1月18日付)に対して、ジュンブラート党首は、ロシアがレバノンのシリア人避難民をめぐる問題を解決するため財政、政治の両面で貢献するだろう、と述べた。

諸外国の動き

AFP(1月18日付)は、フランス人記者のイヴ・ドゥベ(Yves Debay)氏(ベルギー出身)が17日夜から18日にかけて、アレッポ市中央刑務所近くでの軍と反体制武装勢力の戦闘を取材中に狙撃手に打たれ、死亡した、と報じた。

ドゥバイ氏は、トルコから不法入国し、反体制武装勢力が制圧する地域を取材していた。

アレッポ報道局を名乗るフェイスブックのページによると、ドゥベ氏を狙撃したのは軍だという。

AFP, January 18, 2013、al-Akhbar, January 18, 2013、Akhbar al-Sharq, January 18, 2013、Aljazeera.net, January
18, 2012、al-Hayat, January 19, 2013, January 20, 2013、Kull-na Shuraka’, January 17, 2013,
January 18, 2013, January 20, 2012、al-Kurdiya News, January 18, 2013、LBC,
January 18, 2013、Naharnet, January 18, 2013、Reuters, January 18, 2013、RT,
January 18, 2013、SANA, January 18, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍がヒムス市内の複数地区に進軍し「前代未聞の虐殺」を行うなか、ラアス・アイン市では人民防衛隊と自由シリア軍が引き続き交戦(2013年1月17日)

国内の動き(シリア政府の動き)

SANA(1月17日付)によると、高等教育省職員がダマスカス県内の本舎でアレッポ大学での爆破テロの犠牲者を追悼する集会を行った。

SANA, January 17, 2013
SANA, January 17, 2013

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SANA(1月17日付)によると、ダマスカス大学とフラート大学(ハサカ県)では学生集百人が、アレッポ大学での爆破テロなどシリア国内でのテロ活動に抗議するデモを行った。

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SANA(1月17日付)によると、アレッポ大学、バアス大学(ヒムス市)などで、アレッポ大学での爆破テロの犠牲者に対して黙祷が捧げられた。

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SANA(1月17日付)は、アサド大統領が、ダイル・ザウル県のファウワーズ・アリー・サーリフ県知事認証式を行い、同知事と会談する大統領の写真を公開した。

SANA, January 17, 2013
SANA, January 17, 2013

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『イクティサーディー』(1月17日付)は、シリア財務省が、「地域(シリア)が直面したテロ活動に関与した」との理由で165人の資産を凍結した、と報じた。

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アリー・アブドゥルカリーム・アリー在レバノン・シリア大使は、アドナーン・マンスール外務大臣とベイルートで会談し、そのなかでレバノンに避難中のシリア人に帰国し、テロリスト残党にともに対抗するよう呼びかけた。UPI(1月17日付)が報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、フサイニーヤ町のパレスチナ人居住区が軍の空爆を受け、子供7人、女性3人を含む11人が死亡した。

死傷者のほとんどがパレスチナ人だという。

また軍は、フサイニーヤ町の他、ダーライヤー市周辺、ムウダミーヤト・シャーム市に対しても空爆を行い、ムライハ市の防空局周辺では、反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(1月17日付)によると、カタナー市で、ハーリド・アッブード人民議会議員の弟のワリード・アッブード大佐が自宅前で反体制武装勢力に暗殺された。

また、ムライハ市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、ダーライヤー市、ザバダーニー市などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、アンサール・イスラーム連合のメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

さらに、ヤブルード市では、反体制武装勢力どうしが略奪品の分配をめぐって交戦し、多数が死傷した。

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ダマスカス県では、複数の活動家によると、新ザーヒラ街道で爆弾が仕掛けられた車が爆発した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、前日に引き続き、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊(YPG)と自由シリア軍が交戦し、クルド人戦闘員3人、自由シリア軍戦闘員7人が死亡し、双方に59人の負傷者が出た。

同監視団によると、今回の戦闘には、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム外国人大隊といったサラフィー主義組織は参加していない、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市に対して軍が空爆を行った。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルヌブーダ町に軍が空爆を行い、反体制武装勢力に多数の死傷者が出た。

一方、SANA(1月17日付)によると、軍がズール・アビー・ザイド地方の反体制武装勢力の浄化を完了し、治安と安定を回復した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サルジャ村に軍が空爆を行い、女性2人を含む市民4人が死亡した。

一方、SANA(1月17日付)によると、タフタナーズ市周辺などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、『ワタン』(1月17日付)によると、ヒムス市ハサウィーヤ地区、ドゥワイル地区、および両地区の農園に軍が進軍し、両地区を浄化した、と報じた。

アブー・ヤーズィンを名乗るヒムスの反体制活動家は、AFP(1月17日付)に対して、自由シリア軍がハサウィーヤ地区の農園に侵入し、近くの軍事アカデミーへの攻撃を繰り返していた、と述べ、「軍が反体制勢力の侵入を許した民間人に制裁を加えた」と断じた。

一方、ヒムスの別の反体制活動家は、「虐殺」を実行した集団はまだ特定されていないとしたうえで、殺害後に焼かれたと思われる遺体に関して、反体制勢力はシャッビーハの犯行だと言うが、今回は(軍の)攻撃が行われている最中に多くの家が焼かれたと明らかにした。

このほか、SANA(1月17日付)によると、ヒムス市のジャウバル区、スルターニーヤ地区、サアン地方、カフルアヤー市、ラスタン市などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月17日付)によると、ラスム・アッブード村、クワイリス市、ドゥワイリーナ地方、マーイル町、ダーラ・イッザ市、バヤーヌーン町、ナッカーリーン村などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市のブスターン・バーシャー地区、ジスル・ハーッジ地区、マサーキン・ハナーヌー地区、カーディー・アスカル地区などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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『ハヤート』(1月18日付)は、複数の専門家の話として、1月15日のアレッポ大学の爆破テロの破壊状況・規模が、迫撃砲や手製のロケット弾によるものとは考えにくいと報じた。

反体制勢力の動き

ヨルダンのサラフィー主義武装集団の指導者アビー・ムハンマド・タフターウィーは、シャームの民のヌスラ戦線メンバーのムハンマド・ジャッラードとダーウド・アブー・ムウタスィムがスワイダー県ムジャイミール検問所での戦闘で1月16日に死亡した、と発表した。

ジャッラード(22歳)は、アブー・ムスアブ・ザルカーウィーの娘婿。

なおタフターウィーによると、シリア国内で戦っているヨルダン人サラフィー主義戦闘員は約350人おり、うち22人がこれまでの戦闘で死亡した、という。

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自由シリア軍タウヒード旅団のハーッジ・アンダーンを名乗る司令官はAFP(1月17日付)に対して、「自由シリア軍はアレッポ市を解放するための新たな措置を講じる…。我々はアレッポ周辺の軍事拠点(攻略)に力点を置いている」と述べた。

またアンダーンは自由シリア軍がアレッポ国際空港の「80%を包囲」しており、近く、他の基地とともに同時に攻略すると付言した。

一方、アンダーンは「政府の支配下にある(アレッポ市内の)ほとんどの地区は完全に掌握されていないため安全でない。反体制勢力はアレッポの複数地区を制圧しているが、空爆や爆破があるため安全ではない」と述べた。

アンダーンはタウヒード旅団の司令官の一人であるが、野戦司令官でなはない。

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シリア人権監視団は、アレッポ大学での爆破テロに関して、調査継続中としながらも、爆発が上空からのミサイルによるものだと複数の学生が証言していると指摘した。

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シリア人権監視団は、複数の反体制活動家らの情報をもとに、アレッポ大学で爆破テロがあった1月15日に、ヒムス市で女性や子供を含む市民106人が軍によって「虐殺」されたと主張し、国際社会に至急調査を行うよう呼びかけた。

同監視団によると、「虐殺」はヒムス市ハサウィーヤ地区の農園に軍が突入した直後に発生し、遺体の一部は焼かれていたという。

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シリア国民評議会は声明を出し、ヒムス市ハサウィーヤ地区で軍が「前代未聞の虐殺」を行ったと断じたうえで、事件への国際社会の沈黙を非難した。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)のラアス・アイン機構は声明を出し、民主統一党人民防衛隊(YPG)と自由シリア軍双方に戦闘停止と対話による危機解決を呼びかけた。

レバノンの動き

『ジュムフーリーヤ』(1月17日付)は、ベカーア県ヘルマル郡で、ヒズブッラーが自由シリア軍メンバーだと思われるシリア人2人を身柄拘束した、と報じた。

この身柄拘束は、シリアの反体制武装勢力がシリア領内(ヒムス県ウンム・ダマーム村)でヒズブッラーのメンバーを拘束したことへの対抗措置で、現在、ズアイティル家とヘルメル郡の名望家が身柄交換の交渉を仲介している、という。

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SANA(1月17日付)によると、レバノンのヒズブッラーが声明を出し、アレッポ大学で爆破テロを強く非難した。

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ワーイル・アブー・ファーウール社会問題大臣(進歩社会主義党)は『ジュムフーリーヤ』(1月17日付)に対して、「我々はクウェートでの支援国会議でシリア人避難民の追放を求めることはないだろう」と述べた。

またファーウール社会問題大臣は「レバノンから他のアラブ諸国に移動するかどうかはシリア人自身が決めるべきだ」と付言した。

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レバノンのイスラーム教スンナ派大ムフティーのムハンマド・シャイフ・カッバーニーは、記者会見を開き、アサド政権を「自国民を殺害する…抑圧者」と非難し、「我々はシリア国民が自らの祖国の中心で勝利することを祝うだろう」と述べた。

諸外国の動き

ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、アレッポ大学での爆破テロに関して「米国は衝撃を受けている。シリア政府がアレッポ大学に対して行った血塗られた攻撃を遺憾に思う」と述べ、テロが軍の空爆によるものだと断じた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、アレッポ大学での爆破テロをアサド政権の犯行(空爆)だとする米国務省報道官の発言を「落ち度がある」と一蹴した。

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エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は『ハヤート』(1月18日付)のインタビューに応じ、そのなかで、シリア政府と関係を持つ国は、これまでに提起された危機解決のイニシアチブにアサド政権を応じさせるかためのビジョンを明示すべきだ、と述べた。

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ヨルダンの国際計画協力省は声明を出し、シリアでの危機が続けば、ヨルダンへのシリア人避難民の数は60万人以上になると述べ、国際社会に支援を呼びかけた。

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『ハヤート』(1月17日付)は、ザアタリー避難民キャンプ内で火災が発生し、シリア人一家7人が死亡した、と報じた。

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SANA(1月17日付)によると、ヴェネズエラ外務省が声明を出し、アレッポ大学で爆破テロを強く非難した。

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SANA(1月17日付)によると、ブラジル外務省が声明を出し、アレッポ大学で爆破テロを強く非難した。

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『インディペンデント』(1月17日付)は、英国の警察当局が、シリアでのテロ活動支援容疑で身柄拘束していた4人を釈放した、と報じた。

AFP, January 17, 2013、Akhbar al-Sharq, January 17, 2013、al-Hayat, January 17, 2013, January 18, 2013、The Independent, January 17, 2013、al-Iqtisadi, January 17, 2012、al-Jumhuriya, January 17, 2013、Kull-na Shuraka’, January 17, 2013、al-Kurdiya News,
January 17, 2013、Naharnet, January 17, 2013、Reuters, January 17, 2013、SANA,
January 17, 2013、UPI, January 17, 2013、al-Watan, January 17, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

全国の大学がアレッポ大学で前日発生した爆破テロの犠牲者らの追悼集会を開く、ハサカ県ラアス・アイン市では人民防衛隊と反体制武装勢力が早朝から戦闘を再開(2013年1月16日)

国内の動き(シリア政府の動き)

1月15日にアレッポ大学で発生した爆破テロの犠牲者87人を追悼するため、シリア国内の大学が全学臨時休講となった。

SANA, January 16, 2013
SANA, January 16, 2013

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SANA(1月16日付)によると、ダマスカス大学の学生数百人が、大学構内で1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するための集会を開いた。

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SANA(1月16日付)によると、ティシュリーン大学、シリア学生国民連合、BASMA青年機関(NGO)がラタキア市のダウワール・ズィラーアと大学構内で、1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するための集会を開いた。

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SANA(1月16日付)によると、タルトゥース市では、教員組合とシリア学生国民連合が市内にあるティシュリーン大学分校内で1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するための集会を開き、数百人が参加した。

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SANA(1月16日付)によると、ヒムス市では、バアス大学の学生数百人が1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するための集会を開いた。

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SANA(1月16日付)によると、シリア学生国民連合スワイダー支部の学生が、1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するため、スワイダー市で連帯集会を開いた。

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SANA(1月16日付)は、1月15日のアレッポ大学での爆破テロで破壊された施設の復旧作業にシリア学生国民連合の学生約100人がボランティアで参加したと報じた。

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シリア外務在外居住者省は国連安保理議長と事務総長に宛てて書簡を提出、そのなかで15日のアレッポ大学での爆破テロへの非難の姿勢を明示するよう求めた。

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シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、1月15日のアレッポ大学での爆破テロをアレッポ市ライラムーン地区からの砲撃」によると断じ、強く非難、テロ掃討と治安回復に全力を挙げる意志を改めて示した。

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バアス党シリア地域指導部は声明を出し、1月15日のアレッポ大学での爆破テロを強く非難した。

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イランを訪問中のワーイル・ハルキー首相は、モハンマド・レザー・ラヒーミー第一副大統領と、シリア・イラン両国の10億ドル相当の融資促進計画に関する合意、およびエネルギーおよび電化製品の輸送に関する7つ合意に調印した。

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『ティシュリーン』(1月16日付)は、国連安保理決議第7章に基づく国連平和維持軍派遣を主唱したアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長の姿勢に関して、「軍事介入を含むさまざまな介入、そして国家転覆の必要を世界にどう説得するかとう問題が頭のなかを占めている」と批判した。

また『バアス』(1月16日付)は、国連安保理決議第7章に基づく国連平和維持軍派遣を主唱したアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長の姿勢に関して「カタールの雇われ人」と非難した。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市内の総合情報部内務課、政治治安部、そして治安維持部隊検問所で爆弾が仕掛けられた車3台が次々と爆発し、兵士ら24人が死亡した。

この爆破テロに関して、SANA(1月16日付)は、イドリブ市のダウワール・ズィヤーラ、ダウワール・ムトラクで爆弾が仕掛けられた車2台が次々と爆発し、この爆破テロで市民22人が死亡、30人以上が負傷した、と報じた。

一方、イドリブ市・マストゥーマ村街道では、爆弾が仕掛けられた車2台を軍が破壊した。

さらにマストゥーマ村周辺、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、マジュダリヤー村、ビンニシュ市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月16日付)によると、アレッポ市シャッアール地区、フルワーニーヤ地区、ブスターン・カスル地区、シャイフ・ナッジャール地区、スッカリー地区、マサーキン・ハナーヌー地区、サファーヒーヤ地区、ナッカーリーン村などで軍が反体制武装勢力の拠点を破壊、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ダーライヤー市などに軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(1月16日付)によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市、アクラバー村などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、ヌスラ旅団を名乗る組織のメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア情報センターによると、ラスタン市を軍が砲撃し、6人が死亡した。

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ダルアー県では、SANA(1月16日付)によると、インヒル市郊外のタッル・ムワウワクで、軍が2台の車に積まれた熱感知ミサイル数十発を含む大量の武器を発見、押収した。

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ハマー県では、SANA(1月16日付)によると、タイバト・イマーム市で、軍が住民の協力のもと、反体制武装勢力のアジト・拠点に突入、大量の武器・弾薬を押収した。

またサラミーヤ市郊外にあるハトムルー村の農園で、軍が大量の爆発物を発見、押収した。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(1月17日付)は、反体制活動家の話が、1月15日のアレッポ大学での爆破テロでは、「複数回爆発があり、地対地ロケット弾が発射されたようだった」と証言したと報じ、軍の空爆だとする在外の反体制組織などの発表に疑義を呈した。

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地元調整諸委員会は声明を出し、1月15日のアレッポ大学での爆破テロが、反体制武装勢力による迫撃でなく、軍の空爆によるものだと発表した。

しかし具体的な証拠は示さなかった。

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シリア民主フォーラムは声明を出し、1月15日のアレッポ大学での爆破テロを「政府による砲撃」断じ、強く非難した。

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クッルナー・シュラカー(1月16日付)は、ダマスカス県タダームン区とダマスカス郊外県サフナーヤー市在住のドゥルーズ派住民が、政権支持者(シャッビーハ)による暴力を恐れ、スワイダー県に避難したと報じた。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月16日付)によると、ハサカ県ラアス・アイン市で未明から、民主統一党の人民防衛隊(YPG)と反体制武装勢力が戦闘を再開、人民防衛隊の兵士1人が死亡、反体制武装勢力戦闘員3人が負傷し、トルコ領内に搬送された。

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クッルナー・シュラカー(1月16日付)は、自由シリア軍事評議会の前線司令官であるハサン・アブドゥッラー大佐が、ラアス・アイン市での戦闘を受け、早朝、ハサカ県解放作戦を開始すると発表した、と報じた。

レバノンの動き

ムスタクバル潮流のウカーブ・サクル議員はムスタクバル・テレビ(1月16日付)で、自由シリア軍の「リヤード・アスアド司令官がこの問題(レバノン人人質の釈放)に真剣にとりくんでおり、ファールーク大隊さえも誘拐されたレバノン人を釈放するために武器を引き渡した…。しかしヒズブッラーはこうした我々の努力にもかかわらず彼らの釈放を望んでいない」と発言した。

諸外国の動き

国際連合世界食糧計画(WFP)のアーサリン・カズン事務局長は、シリア政府が地元NGOを通じた支援物資の配給を許可したと発表した。

カズン事務局長によると、シリア政府は1月9日、国内での人道支援活動が可能な110の地元NGOのリストを提示した、という。

WFPによる支援はこれまでは、シリア赤新月社のみを経由して150万人を対象としてきたが、WFPの評価の結果、このうち40団体の参加により、新たに100万人に対して支援が行えるようになる、という。

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米ホワイト・ハウス国家安保会議(NSC)のトミー・ヴィーター報道官は『ハヤート』(1月17日付)に対して、2012年12月23日にシリア軍がヒムス県で化学兵器を使用したとの一部報道(『フォーリン・ポリシー』)が「シリアの化学兵器に関して我々が正しいと考えていることと一致しない」と否定した。

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国連の潘基文事務総長は、1月15日のアレッポ大学での爆破テロを強く非難し、民間人や民間施設に対するテロは戦争犯罪をなす、との厳しい姿勢を示した。

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ロシア外務省は声明を出し、15日のアレッポ大学での爆破テロを強く非難、国際社会に対して、テロへの断固たる姿勢をとるよう呼びかけ、「シリアでの即時流血停止、ジュネーブ合意に基づく平和的関係正常化、人道支援のために、外国のアクターが全力を尽くす」よう求めた。

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イラン外務省報道官は、15日のアレッポ大学での爆破テロを非難、「レジスタンスの原則維持という意思強化のみをもたらす」と述べ、断固たる拒否の姿勢を示した。

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英国のアリステール・バート中東問題担当大臣は、1月15日のアレッポ大学での爆破テロに関して、以降プロセスが火急に必要であることを示すと述べ、テロ活動を通じて体制転換をめざしているとも受け取られかねない暴言を吐いた。

AFP, January 16, 2013、Akhbar al-Sharq, January 16, 2013、al-Ba‘th, January 16, 2013、al-Hayat, January 17, 2013、Kull-na Shuraka’, January 16, 2013、al-Kurdiya News,
January 16, 2013、al-Mustaqbal TV, January 16, 2013、Naharnet, January 16,
2013、Reuters, January 16, 2013、SANA, January 16, 2013、Tishrin, January 16, 2013、UPI, January 16, 2013などをもとに作成。

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ハルキー内閣がアサド大統領の演説で示された危機解決に向けたプログラムの詳細行程を閣議決定するなか、シリアの反体制武装勢力は昨年8月に拉致していたイラン人巡礼者48人を釈放(2013年1月9日)

シリア政府の動き

ワーイル・ハルキー内閣は、アサド大統領の1月6日の演説で示された危機解決に向けたプログラムに必要な仕組みを構築するための特別会合で、その詳細を閣議決定した。

プログラムの実施に関して、閣議では以下の方針が承認された。

1. 首相、経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣、運輸大臣、情報大臣、工業大臣、法務大臣、国民和解問題担当国務大臣、赤新月社担当国務大臣、人民議会担当国務大臣からなる作業チームを設置する。
2. 武装集団と関係を持つ諸外国、国際社会・中東地域の当事者に、資金、武器、潜伏先提供の停止を呼びかける。
3. 武装集団に暴力の即時停止の履行を呼びかける。
4. 避難民の帰国を促すため、祖国、国民統合、主権、独立を維持する。
5. 武装テロ集団による停戦履行を受け、軍治安部隊は報復権を留保しつつ、軍事作戦を停止する。
6. 国際社会への危機の政治的解決とテロ撲滅支援を呼びかける。
7. 外務在外居住者省に、国際社会、地域に対してプログラムの内容を開示・広報する。
8. 救急医療活動、インフラ等の復興事業、消費物資確保、経済復興、避難民に対する補償を加速するための内閣特別分科委員会を設置する。
9. 最高支援委員会による人道支援、NGOとの協力を拡充する。
10. 逮捕者の裁判、釈放への迅速な対応を行うため、法務省が関係機関との調整を進める。
11. 内閣は国内外の愛国的反体制勢力およびすべての政党、指導者、運動、社会組織への公開対話参加を呼びかけ、国民対話大会開催の準備をともにめざす。

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そのうえで、ハルキー内閣は、シリア国民に向けて、危機解決に向けたプログラム実施の行程を提示する声明を採択した。

3段階からなる同行程の詳細は以下の通り:

1. 準備段階

1-1. すべての国、国際社会・地域の当事者が武装集団への資金、武器、潜伏先の提供を停止する。
1-2. すべての武装集団があらゆる暴力を即時に停止する。
1-3. 軍武装部隊は、自衛、国民および公共・私有財産の保護目的以外の軍事作戦を停止する。
1-4. 当事者による暴力停止、国境監視の仕組みを構築する。
1-5. 人道支援の搬入を円滑化する。
1-6. インフラ復興と被災者への補償を開始する。
1-7. 避難民に対して必要な補償を行う。
1-8. すべての反体制勢力に、国民対話参加のためのシリアへの帰国、滞在、出国を保証する。
1-9. 法務省は関係機関と調整し、危機に関連する司法手続きや逮捕者の釈放を迅速に行うための必要な措置を講じる。
1-10. 内閣は、国内外の愛国的反体制勢力、政党、政治組織、市民社会団体と連絡を強化し、包括的国民対話大会開催を準備するための公開対話を開始する。

2. 移行期間(準備期間終了をもって開始される)

2-1. 内閣は、国民憲章起草のため、以下の点に即して、包括的国民対話大会の開催を呼びかける。
2-1-a. 主権、統合、国土・国民の安全の確保。
2-1-b. あらゆる内政干渉の拒否。
2-1-c. あらゆる暴力、テロの拒否。
2-1-d. 民主的シリアの政治的未来の描出。立憲法治体制確立の合意。政治的多元主義、司法の独立、市民国家の維持、人種・宗教などを問わない市民の平等、表現の自由、人権尊重、汚職撲滅、行政改革、政党・選挙・地方自治・情報などに関する新法制定への合意。
2-2. 国民憲章は国民投票によって承認する。
2-3. 憲法の規定に従い、広範な行政権を有する拡大政府を発足する。同政府はシリア社会のすべての構成要素を代表し、新憲法起草のための制憲委員会を設置する。
2-4. 制憲委員会の任務完了を受け、憲法草案を国民投票によって承認する。
2-5. 憲法制定後、拡大政府が新憲法を公布する。
2-6. 新選挙法と新憲法の規定に基づき議会選挙を実施する。

3. 第3段階

3-1. 新憲法に基づき新政府を樹立する。
3-2. シリア国民を特徴づける道徳的・愛国的概念に依拠して、シリア国民どうしの結束を回復するため国民和解大会を開催する。
3-3. 危機にかかる犯罪への恩赦と逮捕者の釈放を行う。
3-4. インフラ整備、復興、被災者への補償を加速・完了する。

SANA(1月9日付)が報じた。

反体制勢力の動き

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県には依然として、約4,500人の反体制武装勢力の戦闘員が潜伏し、そのなかにはダーライヤー市を拠点とするシャームの民のヌスラ戦線メンバー150人も含まれる、という。

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ダマスカス国民民主変革宣言(ダマスカス宣言)事務局が声明を出し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が「一部の反体制勢力と不可解で欺瞞に満ちたゲーム」に終止していると非難する一方、国際社会が「シリアでの流血や犠牲を無視している」と批判した。

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ロイター通信(1月10日付)が複数の消息筋の話として、反体制武装勢力が占拠するイドリブ県サルミーン市で、ファールーク大隊の司令官(イスラーム主義者)が9日に狙撃され、死亡した、と報じた。

同消息筋によると、この暗殺事件は、2011年9月に起きたシャームの民のヌスラ戦線の司令官の一人であるフィラース・アブスィー暗殺への報復の可能性があるという。

戦闘員の一人は、ロイター通信(1月10日付)に対して、「車を降りたところ、食糧庫から銃弾を浴びた」としたうえで、「ヒムスの司令官であるアブスィーの兄弟が、フィラース暗殺の復讐を約束しており、その約束を実行したようだ」と述べた。

またファールーク大隊高官は、アブスィー暗殺に関して、「政府が殺害の背後におり、我々にはヌスラ戦線を標的とするような政策をとっていない。我々は一部の地域で同戦線と共闘している」と述べた。

同報道によると、離反兵や武装した民間人からなるファールーク大隊とシャームの鷹旅団がイドリブ県の対トルコ国境のバーブ・ハワー国境通行所を制圧する一方、外国人ジハード主義者からなるヌスラ戦線も同地域一帯に展開しており、両勢力の間では緊張状態が続いている。

しかし、2012年12月にトルコのハタイ県アンタキア市で欧米諸国の肝入りで結成された自由シリア軍参謀委員会に、ファールーク大隊、シャームの鷹旅団、ヌスラ戦線は参加しておらず、事態収拾のための介入ができない、という。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(1月9日付)は、クルド人活動家14人が共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のムアーッズ・アフマド・ハティーブ議長に対して、ハサカ県ラアス・アイン市の民家を占拠する「自由シリア軍を名乗る民兵」を退去させるよう要求した。

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クルディーヤ・ニュース(1月9日付)は、ドイツの人道支援団体が声明を出し、ドイツによるクルド人への支援に関するシリア・クルド民主党のアブドゥルハキーム・バッシャール書記長の批判に対して、告訴も辞さないとの強い姿勢で反論したと報じた。

同報道によると、バッシャール書記長は4日のエルビル(イラク)での記者会見で、ドイツの人道支援団体がシリアのクルド人に供与されるべき物資を民主統一党の人民防衛隊(PYD)に提供していると非難していたが、ドイツの人道支援団体はこの発言が事実無根だと反論した。

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クルディーヤ・ニュース(1月10日付)は、パリで、PKK創設メンバーの女性活動家1人を含むクルド人女性3人が暗殺された、と報じた。

国内の暴力

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ジバーブ・ハマド村が未明に軍の空爆を受け、子供4人を含む10人が死亡した。

同監視団によると、空爆に先立って、ジバーブ・ハマド村に近いフルクルス町入口の諜報機関本部を反体制武装勢力が襲撃を受けた、という。

一方、SANA(1月9日付)によると、タッルドゥー市で、軍が反体制武装勢力のロケット弾製造工場を攻撃、破壊、多数の戦闘員を殺傷した。

またタイバ村、クサイル市郊外などで、軍が反体制武装勢力を攻撃・追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市・ハラスター市間に位置する車輌管理施設周辺で未明に爆発と銃撃戦があった。またフジャイラ村、サイイダ・ザイナブ町、ムウダミーヤト・シャーム市が砲撃を受けた。

一方、SANA(1月9日付)によると、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、マダーヤー町、ダーライヤー市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市西部が砲撃を受けたが、死傷者はなかった。

一方、クッルナー・シュラカー(1月9日付)は、複数の士官の話として、シリア軍がイドリブ県にエリート部隊を投入し、反体制武装勢力の掃討作戦を行っている、と報じた。このエリート部隊の兵力は約4,000人の完全武装した兵士からなるという。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(1月9日付)によると、ダマスカス県のマッザ86地区と人民宮殿をつなぐ複数の道路が再開された。

これらの道路は共和国護衛隊によって封鎖され、住民の往来が規制されていた、という。

同じく、クッルナー・シュラカーによると、アッバースィーイーン広場で市民92人が「テロリスト摘発」を目的に、人民諸委員会によって身柄拘束された(未確認情報)。

身柄拘束された市民の多くは、同広場でセルヴィスなどを待っていたジャウバル区住民だという。

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アレッポ県では、SANA(1月9日付)によると、バウワービーヤ村、クサイバ市、ズィーターン市、カラースィー村、ハーン・アサル市、カイラワーン村、バスラー・フーシュール市、カフルナーハー村、ハーン・トゥーマーン村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

レバノンの動き

『シャルク・アウワト』(1月9日付)は、シリアのシーア派筋の話として、ヒズブッラーがベカーア県東部で、シリア人のシーア派宗徒約1,500人に軍事教練を行っている、と報じた。

自由シリア軍国内合同司令部中央広報局のファフド・ミスリー(在レバノン)によると、彼らはシリア国内のシーア派の村を反体制武装勢力の攻撃から防衛するために教練を受けているという。

諸外国の動き

シリアの反体制武装勢力は、2012年8月に拉致したイラン人巡礼者48人を釈放した。これを受けシリア政府は、2,135人の逮捕者を「善意」(イラン消息筋)に基づいて釈放した。

イランの複数の消息筋によると、この身柄拘束者の交換は、トルコとカタールの合同の努力の結果だという。

シリア政府が釈放した2,130人の氏名については公表されていないが、同消息筋は、釈放者のなかにトルコ人など外国人が多数含まれていることを明らかにした。

同消息筋によると、イラン側とシリアの反体制武装勢力との交渉は、数ヶ月にわたり、トルコ、カタールなどを仲介して行われたが、反体制武装勢力が立場を翻したり、シリア政府が反体制武装勢力の要求を受け入れる準備ができていなかったために難航した、という。

釈放されたイラン人巡礼者48人は、ダマスカス県のシェラトン・ホテルにマイクロバスで到着し、ムハンマド・リザー・シャイバーニー駐シリア・イラン大使がこれを出迎えた。

自由シリア軍のダマスカス県・ダマスカス郊外県の報道官を名乗るアフマド・ハティーブはAFP(1月9日付)に対して、2,135人の逮捕者釈放のための「交渉が理論的に完了した」としたうえで、釈放された逮捕者のなかに「重要人物が含まれている」ことを明らかにした。

しかし、釈放された逮捕者の氏名など交渉の詳細については、「カタール、トルコのもと、イランの介入を通じて行われた体制との取引が実行されるまで」明らかにしない、と述べた。

『ハヤート』(1月10日付)は、トルコの人道支援組織の報道官(セルカン・ナルジス氏)の話として、釈放された逮捕者が民間人で、ダマスカス県、ヒムス県、イドリブ県、ラタキア県、タルトゥース県の住民が多く、トルコ人4人も含まれていると報じた。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、エジプトを訪問し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と会談、シリア情勢について協議した。

サーレヒー外務大臣は10日までエジプトに滞在、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、ムハンマド・ムルスィー大統領、ムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談予定。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はBBC(1月9日)のインタビューに応じ、そのなかで、アサド大統領の6日の演説で示された危機解決に向けたプログラムに関して、「提示されたものは、実質的に成功を収めなかったこれまでのイニシアチブの繰り返しになるだけではないか…。実際、この点に相違はなく、おそらくより宗派主義的で一方的なものかもしれない」と述べた。

また「上からの改革に与えられた時間は…終わった。人々は自分たちが支配の方法について語りたいと思っており、自らの将来に関する事柄を自身で行いたいと思っている」と付言、アサド大統領の演説によってシリア危機の解決の「機会が逸する」との見方を示した。

そのうえで「シリア人はアサド家がシリアを統治した40年という期間があまりに長いと考えており、それにもっとも近い立場の発言が、アサド大統領の退陣を直接呼びかけるものだ」と述べた。

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ロシア外務省は声明を出し、シリア紛争をめぐる国際社会の交渉が「1月6日のアサド大統領の演説で示された幾つかのアイデアを考慮するかたちで」続けられるだろうと発表した。

「幾つかのアイデア」の詳細については言及しなかった。

また「シリア大統領はシリアでの対話開始と、シリアの主権、独立、領土の統一性、内政不干渉の原則に基づく改革実施の用意があることを強調した」と述べ、アサド大統領の姿勢を評価した。

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『ハヤート』(1月10日付)は、シリア問題を担当する米高官の話が、「アサド大統領と彼の取り巻きのマフィアの選択肢は権力を去ることだけで、ラタキアにアラウィー派国家を建設することではない」と述べたと報じた。

同高官は、シャームの民のヌスラ戦線に関して、「アラウィー派を脅迫する…最近のビデオ声明は、多くのシリア人の恐怖を高めるだろう…。(ヌスラ戦線による)脅迫は、政治的解決を通じてアラウィー派が平和に暮らせるということを示し、彼らを安心させようとする我々の試みに完全に逆行する」と付言した。

一方、同高官は、イランやヒズブッラーによるアサド政権への軍事支援についても非難した。

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NTV-Turk(1月9日付)など複数のトルコ・メディアは、トルコ政府がPKKの指導者アブドゥッラ・オジャランとの停戦に合意したと報じた。

同報道によると、交渉は2012年から行われており、合意は、①PKKによる攻撃を2013年3月に停止と戦闘員のイラクへの移動、②トルコ政府によるクルド人活動家の釈放、クルド人の人権拡大のための改革実行、を骨子とする。

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『ハヤート』(1月10日付)は、欧州の外交筋が、シリア国内での暴力が停止した場合、欧州がアサド政権と反体制勢力の対話を支援するだろうと述べた、と報じた。

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『フィナンシャル・タイムズ』(1月9日付)は、西側の匿名高官筋の話として、米国および中東の複数の専門家が、シリアのウラニウムの備蓄をアサド政権が管理できなくなることを懸念しているとの根拠のない報道を行った。

西側諸国政府による化学兵器などの拡散の可能性への懸念表明は、シリアの反体制武装勢力が劣勢を強いられる度に行われている。

AFP, January 9, 2013、Akhbar al-Sharq, January 9, 2013、BBC, January 9, 2013、The Financial Times, January 9, 2013、al-Hayat, January 10, 2013、Kull-na Shuraka’, January 9, 2013, January 10, 2013、al-Kurdiya
News, January 9, 2013, January 10, 2013、Naharnet, January 9, 2013、Reuters,
January 9, 2013, January 10, 2013、SANA, January 9, 2013、al-Sharq al-Awsat, January 9, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県ではヌスラ戦線やシャーム自由人大隊などがタフタナーズ空軍基地攻略に向け攻勢を強める、ハサカ県内の民主統一党検問所で人民防衛隊とシリア・クルド・イェキーティー党の民兵が交戦(2013年1月3日)

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人大隊など反体制勢力の戦闘員約800人がタフタナーズ空軍基地攻略をめざして攻勢をかけている、と報じた。

一方、SANA(1月3日付)によると、ワーディー・ダイフ基地周辺、カフルミード市、ビンニシュ市などで、軍が反体制武装勢力と苦戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

また軍武装部隊総司令部は声明を出し、軍がタフタナーズ空軍基地の攻略を企図するシャームの民のヌスラ戦線に対する特殊作戦を行い、大打撃を与えたと発表した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ国際空港周辺、マンナグ航空基地周辺で軍と反体制製武装勢力の戦闘が続いた。

一方、SANA(1月3日付)によると、サフィーラ市、ウワイジャ地区、ムスリミーヤ村、アドナーニーヤ村、アナダーン市、ハイヤーン町、アブティーン村、アレッポ市フィルドゥース地区、ブスターン・カスル地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力の追撃を続けた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市に対して軍が空爆・砲撃を続けた。

一方、SANA(1月3日付)によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市、ダイル・アサーフィール市、バフダリーヤ村、フジャイル市、フサイニーヤ町などで軍が反体制武装勢力を追撃し、ハトフ大隊メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

RTシリア特派員のカーミル・サクルがダーライヤー市での取材活動中に狙撃され、負傷した。RT(1月3日付)が報じた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ブスル・ハリール市西部の入り口で軍が反体制武装勢力と交戦した。

交戦に先立って、軍が空爆を加えた。

一方、SANA(1月3日付)によると、ブスル・ハリール市、ナワー市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊、押収した。

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ダマスカス県では、SANA(1月3日付)によると、カフルスーサ区で関係当局がフランス製のロケット弾を押収した。

一方、シリア人権監視団によると、バルザ区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、子供を含む市民11人が死亡した。

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ハマー県では、SANA(1月3日付)によると、反体制武装勢力がムハルダ市の発電所襲撃を試みたが、軍が撃退した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月3日付)によると、ダイル・ザウル市東部のカッハール油田を襲撃し、原油を略奪後、油田を焼き討った。

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ヒムス県では、SANA(1月3日付)によると、タドムル市東部で、軍が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

国内の動き

ナビール・ファイヤードらシリア国内で活動する反体制活動家がベイルートで記者会見を開き、新たな政治組織、シリア救済国民潮流を結成すると発表した。

SANA, January 3, 2013
SANA, January 3, 2013

公正党の代表であるファイヤードは会見で、「2011年3月15日以前のシリアへの回帰を拒否する」と述べる一方、「体制支持者であれ、反体制活動であれ、すべての当事者と危機からの脱却のためにコミュニケーションをとる必要がある点で国内の反体制勢力は一致している」と協調した。

また記者会見に参加したシリア・クルド国民イニシアチブ代表で人民議会議員のウマル・ウースーは、「ジュネーブ合意に基づく国民対話こそ、シリアの現下の危機を解消する唯一の方途だ」と述べた。

反体制武装勢力の動き

ドイツを拠点とする反体制組織のシリア近代民主主義党は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立が「革命の政治的側面における活動を独占している」と批判、そのことが「シリア革命の政治運営に失敗をもたらし、さらには道徳的、政治的、人道的な性格を頓挫させたことの責任を負っている」と批判した。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(1月3日付)は、ハサカ県ダイリーク市で、クルド民族主義勢力が対トルコ国境通行所を運営する五つの委員会の委員の選挙を実施した、と報じた。

五つの委員会とは監視委員会、運営委員会、税関委員会、広報委員会、旅券委員会、治安委員会。

委員には、シリア・クルド進歩民主党、シリア・クルド民主党(アル・パールティー)バッシャール派、同イブラーヒーム派、シリア・クルド・アーザーディー党ウースー派、同ジュムア派、シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)、シリア・クルド左派党、シリア・クルド民主平等党、シリア・クルド・イェキーティー党などの党員が選出された。

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クッルナー・シュラカー(1月3日付)は、ハサカ県ダルバースィーヤ市入り口の民主統一党検問所で、シリア・クルド・イェキーティー党の民兵「殉教者ジュワーン・カトナ大隊」と人民防衛隊(YPG)が交戦したと報じた。

人民防衛隊がカトナ大隊メンバーが所持していた武器の引き渡しを求めたことが原因で、この交戦により、人民防衛隊の戦闘員2人が負傷した。

またこの戦闘を受け、人民防衛隊がダルバースィーヤ市内のシリア・クルド・イェキーティー党の事務所を包囲、事務所内の党員複数名と衝突の末、逮捕した。

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クルド最高委員会は声明を出し、国際社会に対して、シリアのクルド人地域(ジャズィーラ地方、アレッポ県アフリーン市、アイン・アラブ市など)への人道支援を求めた。

レバノンの動き

ファーイズ・グスン国防大臣は、シリア人避難民に混ざって「武装集団ないしはテロリスト」がレバノン国内に潜入していると述べた。

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ナジーブ・ミーカーティー内閣は、シリア人避難民の登録、医療食糧支援、治安対策に関する対応策を採決、承認した。

しかしナハールネット(1月3日付)などによると、対シリア国境の「管理強化」(閉鎖)を主張する変化改革ブロックは反対票を投じた。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、テレビ演説を行い、「シリアとの国境は閉鎖されるべきではない。なぜなら避難民は、シリアの体制を支持していようがそれに反対していようが、レバノンで保護されるべきだからである」と述べた。

また「避難民の流入という事態の責任は…、シリア国内であれ、地域・国際社会の場であれ、流血停止のための政治的解決を妨げている当事者たちにある」と非難した。

そのうえで、「レバノンは米国、欧州諸国、アラブ連盟、国連に対して、避難民への人道的・社会的負担をこれ以上行うことはできないと説明すべきだ」と付言した。

一方、中東情勢に関して、ナスルッラー書記長は「イエメンからイラク、そしてシリアにいたるまで、この地域はこれまで以上に分断の脅威に曝されており、エジプト、リビア、さらにはサウジアラビアさえも脅かされている…。我々は、レバノンそしてこの地域において、もっとも重要で危険な段階に身を置いている」との危機感を示した。

諸外国の動き

AFP(1月3日付)は、日本人トラック運転手の藤本敏文氏が日々の仕事への倦怠感を解消するため、「戦争観光客」としてアレッポ市旧市街で反体制武装勢力に同行して、写真を撮って過ごしている、と報じた。

Akhbar al-Sharq, January 3, 2013
Akhbar al-Sharq, January 3, 2013

同報道によると、藤本氏は45歳で、6ヶ月以上前にシリアに入り、こうした暮らしをしているのだという。

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AKI(1月3日付)は、EU高官が「豊富な情報に基づくと、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリアでの平和的移行に向けた計画が、我々の問題解決に向けたビジョンに沿ったものだ」と述べたと報じた。

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アナトリア通信(1月3日付)は、トルコのコジャエリ県の複数の人道支援NGOがシリアへの医療、食糧、医療物資などの陸路での搬入を開始したと報じた。

AFP, January 3, 2013、Akhbar al-Sharq, January 3, 2013、AKI, January 3, 2013、al-Hayat, January 4, 2013, January 5, 2013、Kull-na Shuraka’, January 3, 2013、al-Kurdiya
News, January 3, 2013、Naharnet, January 3, 2013、Reuters, January 3, 2013、SANA,
January 3, 2013、UPI, January 3, 2013などをもとに作成。

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ヌスラ戦線のジャウラーニー指導者はアサド政権打倒後に「ムジャーヒドゥーン」による支配がなされると明言、シリア・クルド民主政治連合議長にシリア・クルド国民評議会議長のバッシャール氏が就任(2012年12月28日)

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺で軍と反体制武装勢力が交戦、また軍が空爆を行い、多数の反体制武装勢力戦闘員が死亡、軍の一大拠点だというハーミディーヤ航空基地周辺から退却した。

同監視団は、軍事基地攻略がダマスカス・アレッポ街道再開を不能とし、アレッポへの軍の兵站路と政府の人道支援物資ルートを絶つことを目的としていると述べた。

現地の反体制活動家によると、攻略はシャームの民のヌスラ戦線が主導している、という。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ国際空港近くで、シャームの民のヌスラ戦線をはじめとする武装集団が軍と交戦し、「空港防衛の任務にあたっている軍の拠点周辺に進軍した」。

同監視団によると、アレッポ国際空港は、アレッポへのシリア政府による人道支援物資や兵站の搬入を絶つ作戦の一環だという。

一方、SANA(12月28日付)によると、サフィーラ市、ウワイジャ地区、カフルナーヤー市、フライターン市、ズィルバ村、ナッカーリーン村、アレッポ市バニー・ザイド地区、ブスターン・カスル地区などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アッサール・ワルド町を軍が空爆し、民間人1人が死亡、数十人が負傷した。

またダーライヤー市、ヤルダー市、ドゥーマー市、アルバイン市、ハラスター市などで砲撃が再開された。

一方、SANA(12月28日付)によると、ドゥーマー市、ハラスター市、ダーライヤー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、ナブク市、ヤブルード市、フサイニーヤ町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

またバイト・サフム市では電力省管轄の送電機構の職員1人が反体制武装勢力によって殺害され、複数が負傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区、カダム区で軍と反体制武装勢力が交戦し、迫撃砲が着弾した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(12月28日付)によると、ダイル・ザウル市、マヤーディーン市などで軍が反体制武装勢力の追撃を行い、ファルカーン旅団、イブン・タイミーヤ旅団のメンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月28日付)によると、ヒムス市ダイル・バアルバ地区で軍が反体制武装勢力を追撃、戦闘員が武器密輸などに使用していた地下トンネルを発見した。

またアフワーシュ・ディーワーニーヤ地方、ガントゥー市、タルビーサ市および同市郊外などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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反体制活動家がフェイスブックなどで「血のパンの金曜日」と銘打って反体制デモを行うよう呼びかけた。

『ハヤート』(12月29日付)によると、ヒムス県ワアル地区などで発生したデモでは、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問への反対の意が示された。

反体制武装勢力の動き

マナーラ・バイダー広報制作機構なる組織はユーチューブ(12月28日付)を通じたシャームの民のヌスラ戦線の指導者を名乗るアブー・ムハンマド・ジャウラーニーの声明を発表した。

同声明で、ヌスラ戦線は「この体制(アサド政権)を延命させようと米国、国際社会が支援し、猶予を与え、(国連)監視団を派遣し、休戦をめざそうとしている」と非難した。

また「米国はヌスラ戦線をテロ組織に指定するいことで地域におけるその役割が失敗したことを表明し…、イスラーム世界の人民の怒りを買った」と付言した。

そのうえで、アサド政権打倒後に、「ムジャーヒドゥーン」による支配がなされるだろうと述べた。

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クッルナー・シュラカー(12月28日付)は、シャームの民のヌスラ戦線がユーチューブで声明を出し、スワイダー県で「ドゥルーズ派」が拘束した「スンナ派」住民(ダルアー県住民)を48時間以内に釈放するよう要求、釈放されない場合は、自らが拉致している20人の市民(ドゥルーズ派)を殺害すると脅迫した。

同報道によると、事の発端は、約1週間前にスワイダー県ムジャイミル村の検問所を襲撃した反体制武装勢力多数が殺害、2人が捕捉されたことを、ヌスラ戦線が「シャッビーハの犯行」と断じ、村人多数を誘拐したことにあるという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、スカイニュース・アラビック(12月28日付)に対して、ロシアのミハイル・ボクダノフ外務副大臣による会談の呼びかけに対して、ロシアを訪問する意思はないとしたうえで、ロシアとアラブ諸国の会議を提案、またセルゲイ・ラブロフ外務大臣に対してアサド政権を支援したことをシリア国民に謝罪するよう求めた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のワリード・ブンニー報道官は、アサド政権との対話を求めるロシアの呼びかけに関して、「連合はあらゆる者と政治的対話を行う準備がある。しかしアサド政権との対話や交渉を行わないということが基礎となる…。すべてはアサド政権が去ってから生じる」と述べ、慎重な姿勢を示した。

またロシアによるアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長のモスクワ訪問の呼びかけについては、「モスクワの意図が不明瞭だ」と述べ、是非を明言しなかった。

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シリア革命反体制勢力国民連立は、ナジーブ・ガドバーンを在米代表に、アディーブ・シーシャクリーを在GCC代表に、ワリード・ブンニーを在ハンガリー代表に任命した。

シリア国民評議会のシリア広報通信センターが伝えた。

なおこれに先立ち、連立はムンズィル・マーフースを駐フランス代表に、ワリード・サフールを駐英代表に任命している。

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ザマーン・ワスル(12月28日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立がエジプト外務省から施設を賃借りし、本部開設の準備を進めている、と報じた。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長はトルコの野党、共和人民党の議員2人と会談し、シリア情勢について意見を協議した。アナトリア通信(12月28日付)が伝えた。

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アフバール・シャルク(12月28日付)はトルコ外交筋の話として、シリア空軍の少将2人が兵士数十人とともに離反し、トルコのハタイ県に避難したと報じた。

一方、アクス・サイル(12月28日付)は、アレッポ士官学校を離反した准将、大尉がトルコに避難したと報じた。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(12月28日付)は、シリア・クルド民主政治連合の議長にシリア・クルド国民評議会議長でシリア・クルド民主党(アル・パールティ)書記長のアブドゥルハキーム・バッシャールが就任したと報じた。

レバノンの動き

UNHCRはレバノン国内のシリア人避難民が170,637人に達したと発表した。このうち126,724人が難民登録を済ませているという。

パレスチナ人の動き

シリア人権監視団は、『ハヤート』(12月28日付)に対して、パレスチナのハマースの軍事部門であるイッズッディーン・カッサーム旅団の戦闘員、ムハンマド・アフマド・クナイタ(35歳)がイドリブ県マアッラト・ヌウマーン市での戦闘で死亡したと発表した。

同監視団によると、クナイタはシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人大隊などともに戦闘に参加していた。

これに関して、フェイスブックのページ「ロシアと中国を嫌う数百間人」は、クナイタが12月25日に死亡したと伝えた。

同ページによると、クナイタは「鷹」の名で知られ、イッズッディーン・カッサーム旅団の元戦闘員だという。

諸外国の動き

ロシアのミハイル・ボクダノフ外務副大臣は、ロシアが、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長に対して、モスクワ、ジュネーブ、ないしはカイロでの会談を呼びかけていると述べた。

RIAノーヴォスチ通信(12月28日付)によると、「我々はすでに招聘状を送り、それはアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長に届いた」という。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣との会談後の記者会見で、アサド政権が反体制武装勢力との対話の意思を示したとしたうえで、「シリアの指導部とのこれまでの会談で、対話の準備に関するこれまでの言葉を具体的な行動に移す必要を確認した」と述べた。

またラブロフ外務大臣は反体制武装勢力に対して、「いかなる対話をも行わずして体制打倒に力点を置くのではなく、対話への方途を検討」するよう呼びかけ、この点に関して米国などと協議していると述べた。

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ロシアの外交筋は『ハヤート』(12月29日付)に対して、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣との2日にわたる協議で、シリア政府が近くファールーク・シャルア副大統領のもとで、国内での暴力停止後の暫定内閣発足や選挙の仕組みを確定するための国民対話を呼びかけを行う意思を示した、と述べた。

同外交筋によると、セルゲイ・ラブロフ外務大臣との27日の会談で、ミクダード副大臣は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の提案に対して「態度を保留する」としたうえで、近くシリア政府が公式の立場を表明すると述べたという。

AFP, December 28, 2012、Akhbar al-Sharq, December 28, 2012、‘Aks al-Sayr, December 28, 2012、Facebook, December 28, 2012、al-Hayat, December 28, 2012, December 29, 2012、Kull-na Shuraka’, December 28, 2012、al-Kurdiya News, December 28, 2012、Naharnet, December 28, 2012、Reuters, December 28, 2012、SANA, December 28, 2012、Zaman al-Wasl, December 28, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ブラーヒーミー共同特別代表が民主的変革諸勢力国民調整委員会のアブドゥルアズィーム代表らと面会するなか、イスラエル副首相はシリア軍がサリン・ガスを使用したとする主張を一蹴(2012年12月25日)

反体制勢力の動き

ダマスカスに滞在中のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表ら反体制組織の使節団とシェラトン・ホテルで会談した。

AFP(12月25日付)によると、使節団は、ハサン・アブドゥルアズィーム代表、ラジャー・ナースィル(委員会執行委員会書記長)ら6人から構成されていた。

アブドゥルアズィーム代表は、ブラーヒーミー共同特別代表が「日曜日(30日)まで(シリア国内での)折衝を続け、この危機を解決させるための国際社会のコンセンサスを確実なものとするために活動するだろう」と述べた。

ナースィルは、「会談が終わるまで、全般的な印象を明らかにすることはできない」としつつ、アサド政権首脳とブラーヒーミー共同特別代表との追加会談によって「合意ないしは前向きな成果」がもたらされることへの「大いなる希望」を持っていると述べた。

そのうえで「全権を担い、国を安全へと導く暫定政府」を発足する必要があると強調するとともに、政治的解決こそ唯一の出口」と述べ、「現体制を残すことなく、新たな民主的体制を建設する」との意思を示した。

民主的変革諸勢力国民調整委員会はブラーヒーミー共同特別代表と使節団の会談後に声明を出し、「アラブ諸国や国際社会の努力は依然として不充分で、外国の介入のなかには消極的なものもあり、あたかもシリアの根絶を狙っているかのようだ」との姿勢を示した。

また会談でブラーヒーミー共同特別代表が、政治的解決に向けた国内情勢の整備、反体制勢力の分裂克服が必要で、「米国とロシアのコンセンサスが政治的解決の基軸となる」との立場を示したことを明らかにした。

さらに同声明によると、ブラーヒーミー共同特別代表は、「軍事的決着」をめざすことに警鐘をならし、「勝者はシリアという国家を見出すことはないだろう…。国家を存続すべきで、イラク・シナリオを繰り返してはならない」と述べたという。

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地元調整諸委員会は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問に関して、「現体制に…殺戮と破壊を継続させる新たなチャンスを与える」と非難し、「アサドをはじめとするすべての軍、治安機関、政治高官の退任が、紛争解決に向けたあらゆるイニシアチブを成功させるうえでの不可欠な条件」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は声明を出し、「連立指導部はブラーヒーミーに直接、体制およびその首脳の権限が維持されることを拒否する…。体制救済のためのいかなる政治的解決もアサド退任をもって開始されなければ、拒否すべき」と述べ、ダマスカス訪問を非難した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問に関して、「専制体制が犯した罪と腐敗すべての清算」を主張し、「未来のシリアに殺人者・犯罪者がいる場所はない」と述べ、否定的な姿勢を示した。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐は、アレッポ市郊外の基地でAFP(12月25日付)の取材に応じ、そのなかで、武装闘争の戦略を変更したことを明らかにし、都市部での戦闘に代えて、郊外各地の軍の基地を包囲し、兵士離反を誘い、突撃に向けて弱体化を図っていると述べた。

アカイディー大佐によると、反体制武装勢力は現在、クワイリース、ナイラブ、マンナグの三つの軍事基地を包囲している、という。

また、アカイディー大佐の部隊は「いかなるアラブ諸国、外国からも支援を受けていない」と弁明した。

『ハヤート』(12月26日付)によると、アカイディー大佐は25,000~30,000人の戦闘員を指揮している。

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スカイ・ニュース・アラビック(12月25日付)は、ムハンマド・アドナーン・アラブー人民議会議員(バアス党、アレッポ県諸地域B部門選出)が離反した、と報じた。

同報道によると、人民議会議員の離反者はアラブー議員が3人目だという。

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『ガーディアン』(12月25日付)は、ジハード・マクディスィー外務在外居住者省スポークスマンが、米ワシントンに滞在し、彼のレバノンへの逃走を支援した米各機関の援助を受けている、と報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ヤルダー市などが軍の砲撃を受け、アルバイン市・ハラスター市間で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月25日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー郊外、ハラスター市、ヤブルード市郊外などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、複数の反体制武装集団がハーリム市を数ヶ月におよぶ包囲の末に完全制圧した(未確認情報)。

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シリア人権監視団は、クナイトラ県ゴラン高原のハーン・アルナバ市で、軍と反体制武装勢力が激しく交戦した、と発表した(未確認情報)。

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アレッポ県では、SANA(12月25日付)によると、カフルナーハー村、フライターン市、ズィルバ村、ハーン・トゥーマーン村、アレッポ市ナッカーラ地区、カッラーサ地区、ブスターン・カスル地区、ハイダリーヤ地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(12月25日付)によると、タッル・カルターン市、ムーリク市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

また、軍武装部隊総司令部は声明を出し、シリアの国民および国家に敵対する外国と結託した武装テロ集団が、同県郊外の村々を襲撃し、民間人を殺害、脅迫、略奪行為を続けている、と批判し、同集団掃討にあたっていると発表した。

一方、シリア人権監視団によると、サラミーヤ市で元政治犯で活動家のファイサル・ハッラークが車で遺体で発見された。

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ヒムス県では、SANA(12月25日付)によると、東ブワイダ市、ジュースィーヤ村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、バーバー・アムル団の指導者ら多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(12月25日付)によると、ブスラー・シャーム市の砦を占拠しようとした反体制武装勢力を軍が撃退した。

またタスィール町で軍が反体制武装勢力を殲滅した。

シリア政府の動き

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣とアフマド・アルヌース同省次官がベイルート経由でモスクワに向かった。

レバノンの動き

AFP(12月25日付)は、ベイルートのアメリカン大学に入院中のムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣を、レバノンの弁護士が「1986年(レバノン内戦中)のトリポリ市バーブ・タッバーナ地区での宗教関係者らや子供に対するジェノサイド」で告訴した、と報じた、

諸外国の動き

『ル・フィガロ』(12月25日付)は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が、アサド大統領の2014年までの残留を前提とした暫定政府発足を骨子とする提案を携えて、シリアを訪問している、と報じた。

同提案は、アサド大統領は2014年の任期終了まで大統領職を務め、次期大統領選挙に出馬しないことを求めている、という。

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イスラエルのモシェ・ヤアロン副首相は、イスラエル軍のラジオで、シリア軍がサリン・ガスを使用したとする反体制勢力の主張を証拠がないと述べ否定した。

副首相は「我々は反体制派の報告を見た。こうした報告は今回が初めてではない。反体制派は国際社会の軍事介入を望んでいる」と述べた。

そのうえで「今のところ、実際に化学兵器の使用は確認されておらず、そうした証拠もない。しかし、我々は事態を懸念して見ている」と明言した。

さらに「我々が見た(ユーチューブなどでの化学兵器が使用されたと訴える)映像が化学兵器使用の結果だとの確証はないが、おそらくは別のものだろう」と付言した。

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イラン外務省報道官は、訪問先のアンカラで、シリア情勢に関して、「政府から反体制諸派に至るすべての集団がシリアで民主的選挙を実施するために協力し合うべきで、選挙こそ双方が危機解決のために従うべき唯一の方法」と述べた。

アナトリア通信(12月25日付)が報じた。

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UAEのアブドゥッラー・ブン・ザーイド・アール・ナヒヤーン外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立のムハンマド・ムアーッズ・ハティーブ議長とアブダビで会談し、非宗派主義的な政治的移行プロセスを支持することを伝えた。AFP(12月26日付)が報じた。

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ローマ法皇ベネディクト16世はクリスマスを祝してメッセージを発表し、そのなかでシリアでの「流血停止」、「支援促進」、「紛争の政治的解決の模索」を呼びかけた。

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ロイター通信(12月25日付)は、イタリア籍貨物船2隻がロシアからシリアのバーニヤース港(タルトゥース県)に灯油約42,000トン(4,000万ドル相当)を搬送した、と報じた。

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イラク・クルディスタン地域政府大統領報道官は、クルディスタン・シリア間の国境通行所で閉鎖されたヵ所はないと発表した。

AFP, December 25, 2012、Akhbar al-Sharq, December 25, 2012、Le Figaro, December 25, 2012、The Guardian, December 25, 2012、al-Hayat, December 26, 2012, December 27, 2012、Kull-na Shuraka’, December 25, 2012、al-Kurdiya
News, December 25, 2012、Naharnet, December 25, 2012、Reuters, December 25,
2012、SANA, December 25, 2012、Sky News Arabic, December 25, 2012、UPI, December
25, 2012などをもとに作成。

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ダマスカス県カーブーン区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し5人が死亡する一方、シリア国民評議会が「シリア革命は宗派的でなく、無血」と主張(2012年12月22日)

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、5人が死亡、数十人が負傷した。

SANA(12月22日付)によると、シリア・アラブ・テレビのカメラマン、ハイダル・サムーディー(1967年生まれ)がカフルスーサ区の自宅前で反体制武装勢力に射殺された。

またSANA(12月22日付)によると、タダームン区で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺害した。

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ハマー県では、ハマー郊外アンサール旅団司令官を名乗るラシード・アブー・フィダーなる活動家が、キリスト教徒が多数住むムハルダ市とスカイラビーヤ市の住民に対して、「アサドの悪党とシャッビーハの放逐と、我々の村への砲撃停止のため、役割を果たすよう警告を発する」と脅迫した。

アブー・フィダーは「もしそうしなければ(反体制武装勢力に協力しなければ)、我々はアサドの悪党とシャッビーハのアジトに突入する勇士を送り込むだろう」と両市への攻撃を予告した。

またシリア人権監視団によると、カブル・フィッダ村、ラムラ村などで軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

一方、SANA(12月22日付)によると、軍がカスル・アブー・サムラ市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市を軍が空爆・砲撃した。

一方、SANA(12月22日付)によると、ハウラ地方ブルジュ・カーイー村、ヒムス市スルターニーヤ地区、ジャウバル区で軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーライル村、ムーハサン市を軍が空爆した。

一方、SANA(12月22日付)によると、ダイル・ザウル市内各所で軍が反体制武装勢力と交戦し、ハドラー大隊、ユーフラテス大隊などを名乗る集団の戦闘員多数を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハムーリーヤ市、ズィヤービーヤ町、アルバイン市、ハラスター市などに軍が砲撃を加え、ダーライヤー市では軍と反対武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月22日付)によると、フジャイラ村、ダーライヤー市、ドゥーマー市郊外、アルバイン市、バフダリーヤ村、フサイニーヤ町などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、「アンサールッラー」のメンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

また、軍武装部隊総司令部は声明を出し、シャブアー地方の軍事技術中隊の一つが反体制武装勢力に襲撃され、司令官1人を失いつつも応戦・撃退した、と発表した。

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アレッポ県では、SANA(12月22日付)によると、アターリブ市、タカード村、サフィーラ市、タッル・ズィーターン市、ワディーヒー村、フライターン市、アレッポ市シャッアール地区、ブスターン・バーシャー地区、イシャーラート地区などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(12月22日付)によると、ガッサーニーヤ村、タフタナーズ市、タヒーラ市、マアーッラ・ニウサーン市、ビンニシュ市、アリーハー市などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、SANA(12月22日付)によると、ルバイア地方サラヤー村で軍が反体制武装勢力のアジトを攻撃破壊、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

国内の動き(シリア政府の動き)

12月5日に逝去したイグナティウス4世ハズィームの後任として東方正教会アンタキア総主教に選出されたヨハネ10世ヤーズジーはダマスカスで就任後初の記者会見を開き、「我らキリスト教徒はこの国に残る…。我々は常に自らの国の民、そして祖国とともにあった。外国人に立ち向かうとき、市民権や祖国の意味を悟る。ときにそうした外国人はキリスト教徒だった」と述べた。

SANA, December 22, 2012
SANA, December 22, 2012

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OTV(12月22日付)は、ジハード・マクディスィー前外務在外居住者省報道官がベイルートに滞在していると報じた。

反体制勢力の動き

ヨルダンのサラフィー主義潮流のアブドゥルカーディル・シハーダ(アビー・ムハンマド・タフターウィー)は、21日にダルアー県での戦闘でマフムード・アブー・タビーフが死亡したと発表した。

アブー・タビーフはザルカー県出身のヨルダン人サラフィー主義者。

UPI(12月22日付)が報じた。

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シリア国民評議会は、シリア国内の紛争が「宗派的」様相を帯びてきたとした国連の国際調査委員会の報告に対して、「シリア革命は宗派的でなく、無血だ…。シリア社会が直面している唯一の分断は、殺人的体制…と、自由と平等を求める人々の社会の間の分裂だ」と述べた。

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元駐シリア・イラク大使のナウワーフ・ファーリスは滞在先のカタールで『ハヤート』(12月23日付)に対して、「アサド政権の同盟者たちは体制が終わったと考えるようになったが、シリアにとってもっとも危険なのは体制崩壊後だ」と述べた。

また「シリア革命反体制勢力国民連立が国際社会においてシリアに資する正しい決定に立脚できなければ、シリア国民にとって大災難だ」としたうえで、「国内と連携し、国民の意思を反映すれば、いかなる勢力も同連合に意見を押し付けることはできない」と強調し、同連立が外国の影響下にないと断じた。

一方、ファーリスは、体制転換後に新政党を作る意思があることを明らかにした。

レバノンの動き

ナハールネット(12月22日付)は、ヒムス県タッルカラフ地方でシリア軍によって殺害されたレバノン人サラフィー主義者の遺体3体をシリア当局がレバノン側に引き渡した、と報じた

諸外国の動き

SANA(12月22日付)は、トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)アンタキア市で、数千人の市民がAKPの対シリア政策やNATOによるパトリオット・ミサイル配備に反対するデモを行った、と報じた。

SANA, December 22, 2012
SANA, December 22, 2012
al-Hayat, December 23, 2012
al-Hayat, December 23, 2012

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、「シリアの内戦は座礁に乗り上げており、アサド大統領を退任させようとする国々の努力は失敗に終わるだろう」と述べた。

AFP, December 22, 2012、Akhbar al-Sharq, December 22, 2012、al-Hayat, December 23, 2012、Kull-na Shuraka’, December 22, 2012、al-Kurdiya News, December 22, 2012、Naharnet, December 22, 2012、OTV, December 22, 2012、Reuters, December 22, 2012、SANA, December 22, 2012、UPI, December 22, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県ヤルムーク区で反体制武装勢力が「明らかに進軍」し戦闘が激化、フォード駐シリア米大使がイラクのマーリキー首相と会談しアサド政権退陣への固辞を示す(2012年12月18日)

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(12月19日付)などによると、ヤルムーク区で反体制武装勢力が「明らかに進軍」、住民の一人は「自由シリア軍のメンバー数百人がキャンプ内にいる」と述べた。

同住民らによると、ヤルムーク区内のモスクなどから軍が拡声器で住民に「12時までに」避難するよう呼びかけ、多くの住民(パレスチナ人)が避難したという。

複数の目撃者によると、軍はダマスカス郊外県へと通じる入り口以外のヤルムーク区の入り口を封鎖し、反体制武装勢力に対する掃討作戦の準備をしている、という。

『ハヤート』(12月19日付)によると、反体制武装勢力は現時点で、ヤルムーク区内のタカッドゥム通り、ウルーバ通り、サラースィーン通りの三つの街区を占拠している、という。

ヤルムーク区内では、PFLP-GCの民兵組織(人民諸委員会、兵員約700人)が抵抗を試みたが、ほどなく反体制武装勢力に降伏し、拠点を明け渡し、シリア軍の拠点へと撤退した、という。

一方、パレスチナ人の一部は「革命家」に合流した、という。

シリア人権監視団によると、ヤルムーク区およびダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市周辺で軍とPFLP-GCの民兵が反体制武装勢力と激しく交戦した。

『ハヤート』(12月19日付)によると、ヤルムーク区に居住するパレスチナ人約15万人のほぼ半分がすでにダマスカス県内の安全な場所ないしはレバノンなどに避難している、という。

一方、SANA(12月18日付)によると、ハジャル・アスワド市で、軍が反体制武装勢力を追撃し、アンサールッラーのメンバーら多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊・押収した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、軍が反体制武装勢力の攻勢を受け、県北部(カフルヌブーダ町、ヒヤーリーン町、ハマーミーヤート村、ハルファーヤー市、シャイフ・ハディード村、バーブ・ターカ村、ハスラーヤー村)の拠点・検問所から撤退した。

反体制武装勢力の攻勢により、軍兵士多数が殺害、捕捉されたという。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月18日付)によると、ザマルカー町、ハラスター市郊外、ドゥーマー市、ダーライヤー市、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町で、軍が反体制武装勢力を追撃し、イスラーム旅団メンバーら多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊・押収した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(12月18日付)によると、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(12月18日付)によると、アナダーン市、マンスーラ村、カフルダーイル村、アレッポ市旧市街などで、軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(12月18日付)によると、イドリブ市、ザルダナー村、サラーキブ市などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月18日付)によると、クサイル市郊外、ラスタン市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

国内の動き

シリア・アラブ共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師は、アサド国立図書館での講演で、「在外の反体制活動家だと主張する者たちは最終的には対話のテーブルに着くことを強いられるだろう」と述べた。

ハッスーン師はまた「対話のテーブルに着くことを強いられる前にイニシアチブを発揮し、自らの活動を停止すべきだ…。なぜなら体制転換は力ではなく、対話によってのみなされるからだ」と付言した。

SANA(12月19日付)が報じた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍中央広報局のファフド・ミスリーは声明を出し、イラン外務省が発表した危機打開の6項目提案に関して、「イラン人が交渉のテーブルをダマスカスからテヘランに持っていこうとしており、このことは彼らがシリアの危機に関与していることを示すものだ」と述べ、拒否すると発表した。

ミスリーはまた同声明で「アサド政権は諸外国、友好国、同盟国の忠告に耳を傾けようとしない」と述べ、イラン以外の諸外国の関与については是認する姿勢を示した。

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作家・記者のヤースィーン・アブドゥッラティーフは反体制組織のシリア・ジャーナリスト連盟発足声明から自身の名前を削除するよう求め、組織からの脱会を宣言した。

脱会の理由は、「曖昧な」財務状況。

パレスチナ人の動き

『ハヤート』(12月19日付)は、ダマスカス県ヤルムーク区での戦闘激化を受け、パレスチナ各派内で異なる三つの対応策が示されている、と報じた。

同報道によると、この三つの対応策とは以下の通り:

1. シリア国内のパレスチナ難民キャンプでの戦闘回避の要求(ファタハ、PFLP、DFLP)
2. 武装した人民委員会の結成を通じた自由シリア軍の進入阻止とキャンプ防衛(PFLP-GC、サーイカ)
3. 非武装の人民委員会の結成と人道支援(イスラーム聖戦)

レバノンの動き

『ナハール』(12月20日付)は、ナジーブ・ミーカーティー内閣閣議で、シリア人、パレスチナ人避難民の流入をめぐる問題が審議され、ジュブラーン・バースィール電力水資源大臣(自由国民潮流)、アリー・カーンスー国務大臣(シリア民族社会党)が対シリア国境の封鎖を主張したと報じた。

諸外国の動き

米NBC特派員のリチャード・エンゲルは、NBC(12月18日付)に対して、シリアでの取材中に「アサド大統領を支持する政府系の民兵で、シャッビーハの名で知られる集団」に誘拐・拉致されたと述べた。

Akhbar al-Sharq, December 18, 2012
Akhbar al-Sharq, December 18, 2012

NBCによると、エンゲルは取材チームとともに、12月13日にトルコ経由でシリアに入国(不法入国)後、何者かによって誘拐、5日間拉致され、消息を絶っていたという。

エンゲルらは、イドリブ県マアッラトミスリーン市に近い場所に監禁され、その後17日に別の場所に移動中、反体制武装勢力のシャーム自由人大隊の検問所で脱走、18日早朝にトルコに無事避難した、という。

イドリブ県マアッラト・ミスリーン市は反体制武装勢力が制圧したと主張している地域である。

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ロバート・フォード駐シリア米大使(米国勤務)は、バクダードを訪問し、米大使館にヌーリー・マーリキー首相らイラク首脳、『ハヤート』記者らを招き懇談した。

『ハヤート』(12月19日付)によると、この懇談で、フォード大使は、米国が思い描く「政治的解決」が、アサド政権存続と両立せず、政権交代が反体制勢力側の本質的条件で、このことに関して交渉の余地はないと述べた。

米国自身が同意した2012年6月のジュネーブ合意に関して、「米国、ロシア、安保理常任理事国、トルコ、アラブ連盟はジュネーブ宣言を合意したが…、反体制勢力は彼(アサド大統領)およびその取り巻きがいかなる政治的枠組みに参加することにも同意しないだろう」と述べ、実現不可能だとの見方を示した。

また7月のカイロでの反体制勢力大会で、シリアの反体制勢力がジュネーブ合意を事実上受諾したことに関しては、「しかしアサドが何よりもまず退任しなければならない」と述べ、アサド政権退陣が、反体制勢力ではなくむしろ米国の要求であることを暴露した。

一方、反体制勢力の過激化傾向に関して、フォード大使は「米国政府にとって最大の恐怖は、長期間暴力が続くことで、それは、(シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長に代表される)穏健な声が徐々にかき消され、過激派がより大きな影響力を行使することだ」と述べ、こうした懸念ゆえにシャームの民のヌスラ戦線をテロ組織に指定したことを明らかにした。

そのうえでフォード大使は「数日前、自由シリア軍の士官は私にヌスラ戦線は反体制武装勢力の戦闘員の3分の1以下を占めるに過ぎず、それ以外の武装大隊は反体制武装闘争において重要な役割を占めており…、ヒムスにはファールーク大隊、アレッポにはタウヒード旅団、ダマスカスにはそれ以外の大隊がおり、戦闘員の大多数は過激派でないと述べた」ことを明らかにした。

なお、マーヒル・アサド大佐が事実上の司令官を務める共和国護衛隊(推計約1万人)は、シリア軍(約30万人)の30分の1程度を占めるに過ぎない。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表がエジプトを訪問し、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談、シリア情勢について協議した。

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国連世界食糧計画(WFP)報道官はジュネーブで記者会見を開き、シリア国内での「暴力激化」、「人員不足」、「燃料不足」により、食糧人道支援が充分に行うことができなくなっている、と述べた。

シリア・アラブ赤新月社によると、250万人が食糧援助を必要としているが、同報道官は過去数週間の暴力の激化で支援物資を搬送する貨物車両が襲撃されるケースが急増していると述べた。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は訪問中のモスクワでロイター通信(12月18日付)に対して、「我々はそれ(アサド政権崩壊)を大いに疑っている。シリア軍も国家機関も円滑に機能している」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はアンカラで記者団に対して、「(パトリオット・ミサイル)システムを批判するのではなく、イランはシリア政府に国民の弾圧や国境でのトルコに対する挑発を止めるよう言うべきだ…。シリア政府に明確なメッセージを向ける時が来た」と述べた。

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イタルタス通信(12月18日付)は、ロシア国防省の話として、ロシア軍が新たに戦艦2隻を地中海に派遣したと報じた。

同通信社は、両艦がタルトゥース港に寄港するかは明らかにしなかったが、バルチック艦隊消息筋の話として、両艦がシリアからのロシア人退避させる場合に参加する可能性はある、と報じた。

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イスラーム諸国会議機構(OIC)のエクメレッディン・イフサン・オグル事務局長は、ジェッダでの記者会見で、シリア情勢に関して「終わりの始まり」と評し、アサド政権に対して「国民のための犠牲」を求めた。

AFP, December 18, 2012、Akhbar al-Sharq, December 18, 2012, December 19, 2012、al-Hayat, December 19, 2012, December 20, 2012、Kull-na Shuraka’, December 18, 2012, December 19, 2012、al-Kurdiya News, December 18, 2012、al-Nahar, December 20, 2012、Naharnet, December 18, 2012、Reuters, December 18, 2012、SANA, December 18, 2012, December 19, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハルキー首相を団長とする閣僚使節団がアレッポ市を訪問、ダマスカス県では親アサド政権パレスチナ人民兵が反体制武装勢力およびパレスチナ人戦闘員と交戦(2012年12月17日)

国内の動き

ワーイル・ハルキー首相を団長とする閣僚使節団がアレッポ市を訪問し、ムハンマド・ワヒード・アッカード県知事、アレッポ県の経済・社会・宗教界の代表と会談、アレッポ県のライフライン復旧、食糧(パン)・燃料(灯油)供給に尽力するとの意思を伝えた。

SANA, December 17, 2012
SANA, December 17, 2012

使節団は、ハルキー首相の他、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー福祉問題担当副首相兼地方自治大臣、イマード・ムハンマド・ディーブ・ハミース電力大臣、ムハンマド・ヤフヤー・マアッラー高等教育大臣、ハズワーン・ワッズ教育大臣、ムハンマド・ザーフィル・ミフバク経済対外通商大臣、アドナーン・アブドゥー・サフニー工業大臣、サイード・ムウズィー・フナイディー石油鉱物資源大臣、ジャースィム・ムハンマド・ザカリヤー社会問題労働大臣、サアド・アブドゥッサラーム・ナーイフ保健大臣などから構成されていた。

SANA(12月17日付)が報じた。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、「パレスチナ人の閉塞状況の責任は国連と国際社会にある。なぜならパレスチナ人民の合法的な権利に関わる国連決議を履行しないからだ」と述べた。

またムアッリム外務在外居住者大臣は、「シリアがパレスチナ人同胞に対して数十年にわたり与えてきたものは、他のいかなる国も及ばない」と付言した。

さらにムアッリム外務在外居住者大臣は、パレスチナ人に対してヤルムーク区で「テロ集団」に潜伏先や支援を提供せず、テロリストを放逐せねばならないと呼びかけた。

この発言はヤルムーク区に対する軍の攻撃への「重大な懸念」を表明した潘基文国連事務総長の発言を受けたもの。

SANA(12月17日付)、シリア・アラブ・テレビ(12月17日付)などが報じた。

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『アフバール』(12月17日付)はファールーク・シャルア副大統領のインタビュー全文を掲載した。

そのなかで、シャルア副大統領は、「大統領閣下との面談する機会を与えられた者はみな、これが長期にわたる紛争になり、陰謀が強大で、その当事者が多様だと大統領から聞くことになろう…。彼は最終的な勝利を実現するまで事態を軍事的に決着させようとする意志を隠すことはない…。そのうえで政治的対話は現実的に行い得るものとなる」と述べた。

12月14日に行われたインタビューで、シャルア副大統領はまた「我々は個人や体制を擁護しているのではなく、シリアの存在を擁護している…。解決は地域の主要諸国と国連安保理を含んだかたちでの歴史的関係正常化を通じてなされねばならない…。関係正常化はすべての暴力の停止、挙国一致内閣の発足が保障されねばならない」と付言した。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で、アサド政権を支持するパレスチナ人民兵(PFLP-GC)が、シリアの反体制武装勢力およびパレスチナ人戦闘員と交戦した。

ダマスカス郊外県では、反体制武装勢力によると、軍が増援部隊を派遣しダーライヤー市包囲を強化した。

一方、SANA(12月17日付)によると、ズィヤービーヤ町、フジャイラ村、フサイニーヤ町、ザマルカー町、ドゥーマー市、ハラスター市などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、「軍事評議会」メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハルファーヤー市郊外の軍の検問所を、反体制武装勢力が攻撃したが、軍の反撃を受け、戦闘員7人が死亡した。

しかし同監視団によると、反体制武装勢力はハマー市郊外の「ほとんどの検問所を襲撃し…、シャイフ・ハディードの検問所の軍を撤退させた」という。

反体制武装勢力による攻撃は、ハルファーヤー市、カルナーズ町、カフルズィーター市、カフルヌブーダ町などの検問所に対して行われているという。

この攻撃に先立って、自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)のカースィム・サアドッディーン大佐が声明を出し、「ハマー市解放作戦」を開始したと発表した。

また自由シリア軍ハマー県軍事評議会は、「アッラーの恋人」旅団、「アビー・フィダー」旅団、「アフル・バイト」旅団が「ハマー解放作戦」を開始したと発表した。

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アレッポ県では、SANA(12月17日付)によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(12月17日付)によると、ムサンミヤ地方で軍がシャームの民のヌスラ戦線メンバー多数を殲滅した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シンシャール街道で軍の車輌に仕掛けられた爆弾が爆発し、兵士4人が死亡した。

またラスタン市が軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(12月17日付)によると、サムアリール村、ブルジュ・カーイー村などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長が声明を出し、シリア国内でアサド政権の弾圧で死亡したパレスチナ人の数が900人に上る(未確認情報)と発表した。

レバノンの動き

米財務省は、ミシェル・サマーア元情報大臣を「特別指定国際テロリスト」(Specially Designated Global Terrorist)に指定した。

パレスチナ人の動き

ワファー通信(12月17日付)によると、マフムード・アッバースPA大統領は声明を出し、シリアのパレスチナ人居住区・キャンプへの攻撃を回避するため、アラブ連盟事務総長、国連事務局長と電話で協議した。

また同声明によると、駐シリアのパレスチナ諸派から、事態収拾のために早急に介入するよう要請があった。

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PFLP-GCのフサーム・アラファート報道官はラーマッラーで声明を出し、ダマスカス県ヤルムーク区のモスクに対するシリア軍の空爆に関して、「シリアの政治指導部、とりわけアサド大統領にこの犯罪の詳細についての釈明、犯罪者の処罰、公式の謝罪を求める」と述べた。

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PFLP-GCのアンワル・ラジャー報道官はダマスカスでAFP(12月17日付)に対して、ラーマッラーのアラファート報道官の声明を「戦線とは何の関係もない」と批判、「戦線の見解を表明はダマスカスの中央情報局からのみ発せられる」と述べた。

諸外国の動き

『ハヤート』(12月19日付)によると、国連バレリー・アモス人道問題担当事務次長は国連安保理に対してシリア訪問の報告を行い、そのなかでシリア政府に対して、人道支援のため国連および人道支援機関が反体制勢力と直接連絡を取り合うことに同意するよう求め、シリア政府がこれを承諾したとを明らかにした。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリア軍によるダマスカス県ヤルムーク区への空爆に関して「パレスチナ難民キャンプの治安の責任はシリア当局にある」と述べるとともに、「パレスチナ人が受けている暴力は…国際法違反だ」と述べた。

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トルコの『ラディカル』(12月17日付)は、12月3日のロシアのウラジーミル・プーチン大統領のイスタンブール訪問時にレジェップ・タイイップ・エルドアン首相が2013年第1四半期中のアサド大統領の退任とシリア革命反体制勢力国民連立への政権移譲を骨子とする紛争解決策を提示していた、と報じた。

同紙によると、この提案は、米国、ロシア、エジプト、カタール、国連の間で審議されているという。

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『ハヤート』(12月19日付)は、パトリオット・ミサイル配備のためNATOドイツ軍がトルコに到着した、と報じた。

AFP, December 17, 2012、al-Akhbar, December 17, 2012、Akhbar al-Sharq, December 17, 2012、al-Hayat, December 18, 2012, December 19, 2012、Kull-na Shuraka’, December 17, 2012、al-Kurdiya News, December 17, 2012、Naharnet, December 17, 2012、Reuters, December 17, 2012、SANA, December 17, 2012などをもとに作成。

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軍がダマスカス県ヤルムーク区のパレスチナ難民居住区に対して初めての空爆を実施、シャルア副大統領「我々は個人や体制を擁護しているのではなく、シリアの存在を擁護している」(2012年12月16日)

国内の動き

ワーイル・ハルキー首相は、「テロとの戦いへの決着、武装テロ集団残党の殲滅に向けて、我らが武装部隊の犠牲と戦果を通じて断固且つ積極的に対処している」と述べた。

SANA(12月16日付)が報じた。

SANA, December 16, 2012
SANA, December 16, 2012

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ファールーク・シャルア副大統領は、『アフバール』(12月16日付)のインタビューに応じ、そのなかで政権も反体制武装勢力も現下の紛争を軍事的に決着することはできないだろう、と述べた。

12月14日に行われたインタビューで、シャルア副大統領はまた「我々は個人や体制を擁護しているのではなく、シリアの存在を擁護している…。解決は地域の主要諸国と国連安保理を含んだかたちでの歴史的関係正常化を通じてなされねばならない…。関係正常化はすべての暴力の停止、挙国一致内閣の発足が保障されねばならない」と付言した。

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アレッポ県では、SANA(12月16日付)によると、アレッポ市サビール地区などで、市民数百人がシリア軍支持、武装テロ集団の退去を訴えるデモを行った。

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SANA(12月16日付)は、シリア・イラン経済通商閣僚級会合が開かれ、シリア・イラン合同銀行開設、救急車両などの医療機器・物資のシリアへの供与などを合意したと報じた。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区のパレスチナ難民居住区に対して軍が初めて空爆を行った。

空爆は同地区内のバースィル病院周辺、ジャーウーナ地区に対して行われ、多数の死傷者が出たという。

またAFP(12月16日付)は住民の話として、アブドゥルカーディル・フサイニー・モスクが標的となり、多数が死傷したと報じた。

同モスクにはダマスカス県南部からの避難民約600人が避難していた。

またシリア人権監視団によると、ヤルムーク区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市周辺で、PFLP-GCの戦闘員とパレスチナ人を含む反体制武装勢力が、2日前から行われている、という。

『ハヤート』(12月17日付)によると、このほかハジャル・アスワド市、アサーリー地区に対しても空爆が行われた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ハラスター市、ズィヤービーヤ町、アルバイン市などで軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(12月16日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、ハラスター市郊外、バイト・サフム市、ザマルカー町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、複数の反体制活動家によると、タウヒード旅団などがアレッポ市北部の歩兵学校の施設を制圧した、と発表した(未確認情報)。

シリア人権監視団によると、軍はアレッポ歩兵学校から完全撤退したが、周辺の検問所に部隊を展開させている、という。

また『ハヤート』(12月17日付)は、トルコの複数の高官の話として、シリア軍が国境地帯のアアザーズ市を空爆し、多数の住民がトルコ領内に避難したと報じた。

一方、SANA(12月16日付)によると、アターリブ市、アレッポ・イドリブ街道各所、フライターン市、アアザーズ市、アレッポ市アンサーリー地区、カーディー・アスカル地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力の追撃・拠点攻撃を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(12月16日付)によると、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(12月16日付)によると、ハルファーヤー市で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月16日付)によると、ヒムス市郊外の石油パイプラインを反体制武装勢力が破壊した。

一方、ラスタン市では軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、タッルカラフ市では国境警備隊がレバノン領からの潜入を試みる反体制武装集団を撃退した。

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イドリブ県では、SANA(12月16日付)によると、ジスル・シュグール市郊外、サラーキブ市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

アクス・サイル(12月16日付)は、自由シリア軍がダイル・ザウル市の政治治安部を完全制圧した(未確認情報)と発表した、と報じた。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、そのなかで3月14日勢力に対して「一部の人物(ハリーリー前首相)がダマスカス空港を経由して帰国するのを待つべきでない…。あなたたちが間違った計算をしているという事実にあなたたちの注意を向けたい…。2ヶ月でシリア政府が崩壊すると言っているが…、何も起きないまま2年が経った」と述べた。

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ナハールネット(12月16日付)は、ヒムス県タッルカラフ市での11月30日のシリア軍によるレバノン人イスラーム主義者要撃で殺害されたレバノン人の4人の遺体が新たにシリア当局からレバノン側に変換された。

パレスチナ人の動き

マフムード・アッバースPA大統領は声明を出し、ダマスカス県ヤルムーク区に対する空爆の「即時」停止を求めた。

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ハマースのイスマーイール・ハニーヤPA内閣は声明を出し、ダマスカス県ヤルムーク区に対する空爆に関して、キャンプ住民を標的とした空爆を非難、攻撃の停止を求めた。

諸外国の動き

スペイン地政学研究所のバラー・ミハイル研究員は、アサド政権崩壊が間近だとの宣伝を強化した最近の欧米諸国の指導者やメディアの言動・報道に関して、「クーデタか軍事介入、ないしはシリアの反体制勢力への外国からの兵站支援の激増がなければ、シリアの政権は崩壊し得ない」と否定した。

AFP(12月16日付)が報じた。

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イラン外務省は声明を出し、6項目からなるシリア危機解決案を発表しだ。

同解決案の骨子は以下の通り:

1. 国連監視下でのすべての暴力、武装活動の停止。
2. シリア国民への人道支援の配給。
3. 対シリア経済制裁の解除。
4. 新議会および制憲法議会の選挙実施を目的とした暫定政府樹立のための国民対話。
5. 大統領選挙後の政府、反体制武装勢力双方による政治犯の釈放。先導報道の停止。
6. 被害状況調査委員会の設置。復興。

AFP, December 16, 2012、al-Akhbar, December 16, 2012、Akhbar al-Sharq, December 16, 2012、‘Aks al-Sayr, December
16, 2012、al-Hayat, December 17, 2012, December 18, 2012、Kull-na Shuraka’, December 16, 2012、al-Kurdiya News, December 16, 2012、Naharnet, December 16, 2012、Reuters, December 16, 2012、SANA, December 16, 2012、UPI, December 16, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ムアッリム外相が国連人道問題担当事務次長と面会し「欧米諸国の制裁を非難し、その解除を求める」よう伝えるなか、民主的変革諸勢力国民調整諸委員会は民主統一党を除名したとの一部報道を否定(2012年12月15日)

シリア政府の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長はシリアを訪問し、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談した。

SANA(12月15日付)によると、会談でムアッリム大臣は、シリア国民の惨状は欧米諸国による経済制裁によるものだとしたうえで、「これらの国々の制裁を非難し、その解除を求める」よう伝えた。

SANA, December 15, 2012
SANA, December 15, 2012

一方、アモス副理事長は、ダマスカスの国連事務所がシリア政府との調整のもとに人道支援を継続すると伝えた、という。

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『リワー』(12月15日付)は、政権を離反したとされるジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官のもとに、アサド大統領がアリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣を派遣したと報じた。

同報道によると、マクディスィー次官はベイルートに滞在している、という。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で軍とパレスチナ人民兵が反体制武装勢力と交戦した。

またカダム区では、2度爆発があり、ヤルムーク区とバルザ区では砲撃があった。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、バイト・サフム市、ムウダミーヤト・シャーム市を軍が空爆・砲撃した。

またダーライヤー市に軍の増援部隊が派遣された。

一方、SANA(12月15日付)によると、ズィヤービーヤ町、フジャイラ村、フサイニーヤ町などで、軍が反体制武装勢力を追撃、ダーライヤー市、ハラスター市などで特殊作戦を実施、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(12月15日付)によると、ムスリミーヤ村、アナダーン市、ズィルバ村、アアザーズ市、アレッポ市スッカリー地区、シャイフ・ルトフィー地区、マルジャ地区、ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

タウヒード旅団は、アレッポ市北部の士官学校攻撃に参加していた司令官の一人アブー・フラート(ユーズフ・ジャーディル大佐)が死亡した、と発表した。

アブー・フラートは離反前は機甲師団の司令官を務め、離反後アレッポ市サラーフッディーン地区、サイフ・ダウラ地区などでの破壊工作(解放作戦)に参加していた。

AFP(12月15日付)が報じた。

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ハマー県では、SANA(12月15日付)によると、サラミーヤ市郊外で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市が軍の空爆を受けた。

一方、SANA(12月15日付)によると、ラスタン市で、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を実施し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

反体制武装勢力の動き

AFP(12月15日付)によると、アブドゥー・フサームッディーン元石油資源省次官が記者会見を開き、アンマンでシリア国家機関就労者自由国民連合なる組織の発足が宣言された。

フサームッディーン元石油資源省次官によると、同連合は、体制崩壊時に約150万人に達すると推計される公務員を保護することを目的とし、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相を議長とし、本部をドーハに設置する、という。

発足会合では、元公務員約30人とシリア革命反体制勢力国民連立のメンバーが参加した、という。

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民主的変革諸勢力国民調整諸委員会は声明を出し、ハイサム・マンナーア在外局長と民主統一党を除名したとの一部報道を否定した。

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ヨルダンのサラフィー主義武装集団の指導者アビー・ムハンマド・タフターウィーは、ダマスカス県カフルスーサ区の内務省施設を狙った連続爆弾テロの実行犯の葬儀(ヨルダンのブクア・キャンプで実施)で、シャームの民のヌスラ戦線に、「進め。汝らはアッラーとともにある…。ヌスラ戦線はシャームを解放し、そこからテルアビブの中心部に進軍する」と述べ、イスラエルへの攻撃を呼びかけた。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(12月15日付)は、シリア・クルド国民評議会を構成する4党がクルド民主政治連合を発足したと報じた。

シリア・クルド民主政治連合は、シリア・クルド民主党(アル・パールティ)アブドゥルハキーム・バッシャール派、シリア・クルド・イェキーティー党、シリア・クルド・アーザーディー党ムスタファー・ジュムア派、同ムスタファー・ウースー派からなる。

発足声明を発表したシリア・クルド・イェキーティー党のイスマーイール・ハンムーによると、連合の結成は、統一政党発足のための移行段階に過ぎない、という。

レバノンの動き

ナジーブ・ミーカーティー首相は、シリア司法当局によるとサアド・ハリーリー前首相とウカーブ・サクル国民議会議員への逮捕状発行に関して、「政治的であり法的に無効」だと述べた。

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NNA(12月15日付)は、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方で、シリア領から迫撃・銃撃があり、住民が一時避難したと報じた。

パレスチナ人の動き

シリアの複数の反体制活動家とパレスチナ筋によると、PFLP-GCのアフマド・ジブリール書記長が息子とともにダマスカス県ヤルムーク区からタルトゥース市に避難した。

ロイター通信(12月15日付)が報じた。

諸外国の動き

イラン学生通信(12月15日付)は、イラン軍のハサン・フェイルーズ・アバーディー参謀長がNATOによるトルコへのパトリオット・ミサイル配備に関して、「世界大戦をもたらし得る」と批判した、と報じた。

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NATOのジェームス・スタビリディス欧州軍最高司令官のは、「数日前、シリア領内で政府によりスカッド・ミサイルが反体制武装勢力を標的として発射され、数発がトルコ国境から非常に近い場所に着弾した。これは非常に懸念すべき事態だ」と述べた。

そのうえで「シリアは混沌とした危機的状況になる。しかし我々は、NATO加盟国国境の防衛を毅然と行わねばならない」と述べ、スカッド・ミサイルの着弾をパトリオット・ミサイル配備と結びつけようとした。

AFP, December 15, 2012、Akhbar al-Sharq, December 15, 2012、al-Hayat, December 16, 2012、Kull-na Shuraka’, December 15, 2012、al-Kurdiya News,
December 15, 2012、al-Liwa’, December 15, 2012、Naharnet, December 15, 2012、NNA, December 15, 2012、Reuters,
December 15, 2012、SANA, December 15, 2012、UPI, December 15, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアの友連絡グループ会合がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」として承認するなか、自由シリア軍アレッポ軍事評議会議長は米国によるヌスラ戦線のテロ組織指定に遺憾の意を示す(2012年12月12日)

シリアの友連絡グループ会合

モロッコのマラケシュでシリアの友連絡グループ会合(第4回閣僚級会合)が開催され、130カ国が参加、議長総括でシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」と承認した。

al-Hayat, December 13, 2012
al-Hayat, December 13, 2012

閉幕時に発表された声明で、「参加者はシリア国民連立をシリア国民の正統な代表として承認する」と明言された。

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会合では、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣が、シリア革命反体制勢力国民連立が統一指導部を結成することが「希望の光」になるとしたうえで、1億ドルを反体制勢力に支援すると発表した。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、アサド政権に関して「すでに終わっている」としたうえで、国際社会に対して停戦を科し、政権移譲を保障するよう求めた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、「現在のキーポイントは(シリア革命反体制勢力国民連立が)さらなる支援を得ることだ」としつつ、「我々の支援は武器以外の人道支援に集中するだろう」と述べた。

そのうえでアサド政権に退陣を呼びかけた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、会合前に記者団に対して、「現時点で、我々は行動しないことを決めた」と述べ、反体制勢力への武器支援を行わない意思を示した。

また、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定に関しては、「ジハード主義者がこのメカニズム(シリアへの将来の武器禁輸緩和措置)に加わる余地はない。これに関して、ヌスラ戦線がテロ組織に指定された今、さらなる議論を行う必要がある」と述べた。

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米国のウィリアム・バーンズ国務副長官は、4000万ドルの支援をシリア国民に対して行うと発表した。

ヒラリー・クリントン米国務長官は体調不良により会合を欠席した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、アラウィー派に対してアサド政権に対する市民的不服従を呼びかけた。

また、イランとヒズブッラーに対して、アサド政権への支持を止めるよう求めた。

一方、オバマ米大統領によるバラク・オバマ米大統領がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表だと考えることに決めた」と発言したことに謝意を示した。

しかし、ハティーブ議長は、シリアの友連絡グループ会合で、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定を再考するよう求め、シリア国内の「テロ」を支持する姿勢を示した。

ハティーブ議長は「一部の政党と、思想、政治的・イデオロギー的ビジョンの違いがあるが、反体制武装勢力の武装はシリアの体制を打倒することが目的であることは疑う余地がない」と述べた。

そのうえで「体制と戦う組織の一つをテロ組織とみなす決定は再検討の必要があり…、革命家の銃はすべて犯罪を犯す体制を打倒することを目的としている」と強調した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍アレッポ軍事評議会議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐はAFP(12月12日付)に対して、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定に遺憾の意を示した。

アカイディー大佐は「この決定は残念だ。ヌスラ戦線は、非難されるべき何らの違法行為も、我々とともに戦う外国および外国勢力には行っていない」と述べ、自由シリア軍が「外国勢力」に依存している事実を明らかにした。

また「(米国は)シリア政府高官をテロ組織のリストに加えるべきだ」と付言した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定を非難した。

声明で、シリア・ムスリム同胞団は、「一部の国がシリア国内で活動する革命勢力をテロ組織のカテゴリーに含めた暴挙を、性急で、誤った、非難されるべき措置だとみなす…。自由と人間の尊厳をめざす計画を支援することに矛盾している」と述べた。

また「テロ非難は国際社会の公式なコンセンサスがなされるべき」と述べ、米国の単独行動を非難した。

しかし、国連の承認を得ていないシリア革命反体制勢力国民連立が欧米諸国によって「シリア国民の正統な代表」として承認されることには何らの疑義も呈さなかった。

国内の暴力

ダマスカス県では、カフルスーサ区の内務省施設前で爆弾が連続して爆発し、民間人と内務省職員5人が死亡、23人が負傷した。

SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012

内務省が発表した声明によると、爆発は午後5時半頃に3回起き、最初の2回は時限爆弾、3回目は約200キロの爆発物が仕掛けられた車の爆発によるものだったという。

SANA(12月12日付)が報じた。

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同じくダマスカス県では、SANA(12月12日付)によると、マッザ86地区で、反体制武装勢力がセルヴィスに仕掛けた爆弾が爆発し、子供1人と女性2人の合わせて3人が死亡、8人が負傷した。

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同じくダマスカス県では、SANA(12月12日付)によると、カナワート区の裁判所裏で2大の車に仕掛けられた爆弾が連続して爆発し、1人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月12日付)によると、ジャルマーナー市内で、即席爆弾2発が連続して爆発し、市民1人が死亡、4人が負傷した。SANA(12月12日付)が報じた。

またダーライヤー市、アクラバー村などで、軍が反体制武装勢力の追撃を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊、爆発物などを押収した。

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アレッポ県では、SANA(12月12日付)によると、軍がハンダラート・キャンプ、フライターン市、カブターン・ジャバル村、カフルダーイル村、サフィール市、タッル・ラッハール村、ダーラ・イッザ市、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、マサーキン・ハナーヌー地区、旧市街、ライラムーン地区などで反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷し、装備を破壊した。

またアレッポ市、ニール通りおよびカルアジー病院・スーク・マハッリー交差点を反体制武装勢力が迫撃砲で攻撃し、子供数名を含む市民9人が死亡、多数が負傷した。この攻撃を受け、治安部隊が展開し、武装勢力と交戦、追撃したという。

SANA(12月12日付)は、軍が市民の往来を妨害していた反体制武装勢力を殲滅したことで、アレッポ国際空港への高速道路が「通常通りの運用」を回復した、と報じた。

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ハマー県では、シリア人権監視団が、11日晩にアクラブ町でアラウィー派住民が襲撃されたと発表した。

同監視団によると、「もっとも可能性が高いシナリオは、反体制武装勢力がアクラブ町に居住するアラウィー派の複数の家族に退去を求め、スンナ派の宗教関係者と退役軍人からなる代表がアラウィー派住民に退去するよう説得しに行った」のだという。

退去の理由は定かでない。

しかし交渉が行われているさなか、反体制武装勢力とアラウィー派住民が住む住居にいた武装集団が交戦、複数回の爆発が起き、9人が死亡、百人以上が負傷した、という。

犠牲者の内訳は、アラウィー派6人、反体制武装勢力戦闘員2人、スンナ派宗教関係者1人。

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ヒムス県では、SANA(12月12日付)によると、ラスタン市、タルビーサ市、タッルドゥー市、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(12月12日付)によると、サルジャ村、ハーン・スブル村、サラーキブ市などで軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を実施し、多数の戦闘員を殺害した。

またジスル・シュグール市郊外で軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃、ハーミディーヤ市、マアッラト・ヌウマーン市、アリーハー市で反体制武装勢力の追撃を行った。

レバノンの動き

サアド・ハリーリー前首相は声明を出し、「アサドは人道的・政治的倫理を欠いた獣だ」と罵倒、「暗殺やテロの計画に参加したかどでレバノンの法廷に出廷することなるだろう」と述べた。

しかしハリーリー前首相は2008年、父であるラフィーク・ハリーリー元首相暗殺にシリアが関与したとの主張を取り下げていた。

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シリアのムハンマド・マルワーン・ルージー・ダマスカス第一検事長は、サアド・ハリーリー前首相、ウカーブ・サクル国民議会議員への逮捕状発行に関して、両名の身柄がシリア当局に引き渡されなければ、「国際法違反」だと述べた。SANA(12月12日付)が報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、バラク・オバマ米大統領がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表だと考えることに決めた」と発言したことに関して、「非常に驚いた…。米国がこの連立を武装化することでの勝利に賭けることを決めた、と我々は結論するに至っている」と非難した。

ラブロフ外務大臣はまた、オバマ米大統領の発言がジュネーブ会議での合意に反していると付言した。

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ギリシャ外務省は声明を出し、アテネのシリア大使館に対して、シリア人外交官2人の退去を要請したと発表した。

同要請は11日に行われたという。

AFP, December 12, 2012、Akhbar al-Sharq, December 12, 2012, December 13, 2012、al-Hayat, December 13, 2012、Kull-na Shuraka’, December 12, 2012、al-Kurdiya News,
December 12, 2012、Naharnet, December 12, 2012、Reuters, December 12, 2012、SANA,
December 12, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米国がヌスラ戦線を「テロ組織」に認定しつつシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表」として承認、民主統一党も同連立との交渉に加わる意思を示す(2012年12月11日)

米国の動き

ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は記者会見を開き、外国テロ組織(FTO)およびイラクのアル=カーイダに関する大統領令第13224号(2004年10月15日)を修正し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを「イラクのアル=カーイダの新たな別称(new alias)」に加え、「テロ組織」に追加認定する、と発表した。

ヌーランド報道官によると、ヌスラ戦線は2011年11月以降、40件以上の自爆攻撃を含む約600件のテロ攻撃をシリア各地で行っている。

これらの攻撃において、ヌスラ戦線は自らを「合法的なシリアの反体制勢力」と位置づけようとしているが、実際にはイラクのアル=カーイダがシリア国民の闘争を「ハイジャック」しようと試みている、と指摘した。

また暴力的で宗派主義的なヌスラ戦線のヴィジョンは、大多数の反体制勢力を含むシリア国民の意思に反しており、アサド後のシリアにおいて、過激主義とテロのイデオロギーは居場所はないと断じ、すべての責任あるシリア人に、アル=カーイダをはじめとする過激派に対して声高に拒否の姿勢を示すよう呼びかけた。

なおアサド政権については、「国民に対する力の行使を選択したことで、アル=カーイダの暴力的な過激派を引き込む環境を作り出した」と非難、アサド後のシリアに向けた政治的転換が始まれば、シリア国民と中東にとって事態は好転するだろう、と述べた。

http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2012/12/201759.htm

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『ハヤート』(2012月12月12日付)は、米高官の話として、シャームの民のヌスラ戦線の「テロ組織」認定は、「シリアの反体制武装勢力における過激でない勢力」の武装支援を促すだろう、と報じ、この動きがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民に正統な代表と承認」する準備とみなした。

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レオン・パネッタ米国務長官は、「この方面において敵対的な措置がとられていることを新たに示すものはない」と述べ、アサド政権が化学兵器使用を準備している動きが現在のところ見られないと述べた。

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バラク・オバマ米大統領はABC(12月11日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表として承認することを決定したと発言した。

バーバラ・ウォルターズとの対談でオバマ大統領は、「シリアの反体制派の連立は充分包括的で、シリア国民を十分反映・代表しており、彼らがアサド政権に反対するシリア国民の正統な代表だと考えることを決心した」と述べた。

またオバマ大統領は「承認が責任を伴うことは明らかだ…。彼らが自らを効果的に組織し、すべての組織の代表となり、女性やマイノリティの権利を尊重する政治的転換にコミットすると確かめたい」と付言した。

http://abcnews.go.com/Politics/OTUS/exclusive-president-obama-recognizes-syrian-opposition-group/story?id=17936599

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ABC(12月11日付)は、オバマ政権高官が「大統領は将来の武器供与を決して排除していない」としつつ、「武器供与は政治的解決を促すかたちでなされねばならない」と述べ、米国がシリアの反体制勢力への武器供与に依然として慎重である、と報じた。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市北部のムスリミーヤ村にある砲兵学校周辺で、軍と反体制武装勢力の交戦が続いた。

同砲兵学校には約3000人の軍兵士が駐留しており、2週間前から反体制武装勢力が包囲しているが、制圧は「きわめて困難で、数千人の戦闘員を要する」という。

またアレッポ市内では、ブスターン・バーシャー地区で軍が攻撃を強めており、バーブ街道地区では市民7人が何者かに殺害された、という。

さらにシリア人権監視団は、声明を出し、アレッポ市郊外のシャイフ・スライマーン軍事基地を制圧したシャームの民のヌスラ戦線、ムハージリーン大隊、ムジャーヒディーン・シューラー評議会が、シャイフ・スライマーン地区の科学センター・貯蔵庫の制圧を完了した、と発表した。

制圧に際して、激しい戦闘が起き、軍の兵士35人が殺害され、64人が負傷、40~50人の兵士が逃走という。

一方、SANA(12月11日付)によると、軍がアレッポ国際空港に至る高速道路の各所で掃討作戦を行い、空港への往来を阻止していた反体制武装勢力戦闘員数十人を殲滅した。

またアレッポ市ブスターン・バーシャー地区、シャッアール地区、タッル・ザラーズィール地区、ブアイディーン地区、ライラムーン地区、ムスリミーヤ村、ファーフィーン村、バーブニス村、バーブ・ダイル・ハーフィル街道、タッル・リフアト・ファーフィーン交差点などで、軍が反体制武装勢力と交戦、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市周辺、ハラスター市などで軍と反体制武装勢力が激しく交戦し、反体制武装勢力の戦闘員30人が殺害された。

一方、SANA(12月11日付)によると、アクラバー村、ズィヤービーヤ町、シャブアー町、ダーライヤー市で、軍がシャームの民のヌスラ戦線の追撃を続け、リビア人戦闘員など多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム市で爆弾が爆発し、複数の市民が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ハトラ村での砲撃で子供を含む市民7人が死亡した。

一方、SANA(12月11日付)によると、ダイル・ザウル市各所、ハトラ村などで、軍が「ムスタファー大隊」、「カーディスィーヤ大隊」を名乗る武装集団と交戦、多数の戦闘員を殺傷した。

SANA(12月11日付)によると、ダイル・ザウル市各所、ハトラ村などで、軍が「ムスタファー大隊」、「カーディスィーヤ大隊」を名乗る武装集団と交戦、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月11日付)によると、ヒムス市ワルシャ地区、タルビーサ市などで、軍が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

SANA, December 11, 2012
SANA, December 11, 2012

シリア国内(アサド政権)の動き

アレッポ県では、SANA(12月11日付)によると、アレッポ市マアーディー地区で市民数百人が「武装テロ集団」の退去を求めるデモを行った。

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アサド大統領は、ダマスカス県およびダマスカス郊外県のモスク、高等学校、宗教学校で宗教教育を行う女性教師と面談した。

面談には、ムハンマド・アブドゥルサッタール・サイイド宗教関係大臣が同席した。

会談において、アサド大統領は、健全なイスラーム的教育指導の必要を強調する一方で、アラブ性(ウルーバ)とイスラーム教がシリア社会の主柱として不可分の関係にあると語った。

SANA(12月11日付)が報じた。

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『ワタン』(12月11日付)は、シリア公式筋の話として、政権を離反し、国外に逃走したとされるジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官に関して、同省が「3ヶ月の長期休暇の取得に同意し、公的な枠組みのもと国を離れている」と報じ、離反が「噂」に過ぎないと付言した。

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クッルナー・シュラカー(12月11日付)は、シリア外務在外居住者省筋の話として、シリア政府に敵対的な複数の国の大使館の閉鎖を同省が求めていると報じた。

反体制勢力の動き

トルコのハタイ県アンタキア市で発足した自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長(准将)は、シャームの民のヌスラ戦線が「過激主義とは無縁で、アサドの悪党から祖国を護ろうとしている」と支持し、米国務省が同組織を国際テロ組織に指定したことを非難した。

また「西側がヌスラ戦線の若者と語らえば、考えていたのは逆だったと分かるだろう。あご髭をたくわえている者すべてがテロリストではない」と付言した。

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クッルナー・シュラカー(12月11日付)はフェイスブックからの情報として、ダマスカス宣言事務局のジャブル・シューフィー(シリア国民評議会事務局メンバー)が、シリア革命反体制勢力国民連立が発足をめざしている暫定政府に関して、「暫定政府を発足すれば血塗られた体制が終わり、凍結された資産が返還される…と思っている人々」に「我々は彼ら(欧米諸国など)の約束を信用しない」と述べ、拒否の姿勢を示したと報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月11日付)はフェイスブックからの情報として、民主的変革諸勢力国民調整委員会のムンズィル・ハッダームが、ロシアと米国が2014年のシリアの大統領選挙までに、著名な反体制勢力指導者を首班とする挙国一致内閣を発足するかたちで事態の収拾をめざすことで合意したとの情報を得たと綴った、と報じた。

クルド民族主義勢力の動き

クルド最高委員会のムスタファー・ウースー(シリア・クルド・アーザーディー党書記長)はクルディーヤ・ニュース(12月11日付)に、シリア・クルド国民評議会の執行委員会が、モロッコ(マラケシュ)で12日に開催されるシリアの友連絡グループ会合に派遣する使節団の設置と、クルド人の権利の憲法での名文保障の承認のためシリア革命反体制勢力国民連立との交渉を行うことを決定した、と述べた。

また民主統一党に関しては、シリア・クルド国民評議会とシリア革命反体制勢力国民連立の交渉を承知し、同党自身も参加を検討していると述べた。

そのうえで、シリア・クルド国民評議会がシリア革命反体制勢力国民連立に正式に参加する場合、評議会ではなく、クルド最高会議として参加することになるだろう、と付言した。

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西クルディスタン人民議会のイーサー・ハンムー(クルド最高委員会メンバー)はクルディーヤ・ニュース(12月11日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立との交渉を行う「使節団は、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会を代表し、クルド人の名のもとに交渉を行うだろう」と述べた。

また「連立に対して、シリア・クルド国民評議会ではなく、クルド最高会議の名でクルド人全体を代表することを条件として求めるだろう。連立がこれに同意しない場合、我々は連立には参加しない。これが評議会と人民議会の立場であり、ホリール(アルビール)で合意したことだ」と付言した。

レバノンの動き

MTV(12月11日付)は、シリアの司法当局がサアド・ハリーリー前首相、ウカーブ・サクル国民議会議員、シリア人活動家のルワイユ・ミクダード(自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官)に対して、テロ支援容疑で逮捕状を発行した、と報じた。

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ウカーブ・サクル国民議会議員は、シリア当局による逮捕状の発行に関して、「光栄」だと述べた。

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北部県トリポリ市ジャバル・ムフスィン地区を地盤とするアラブ民主党のリフアト・イード党首は記者会見を開き、同地区とバーブ・タッバーナ地区の最近の衝突に自由シリア軍が関与している、と非難した。

また「ムスタクバル潮流がトリポリ住民をせき立て、ジャバル・ムフスィン地区を攻撃させている」としたうえで、「ムスタクバル潮流は市内の戦闘員をコントロールできていない。彼らは自由シリア軍にコントロールされている」と指摘した。

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ムスタクバル潮流は定例会合後に声明を出し、「アサド政権は、(タッル・カラフでシリア軍が殺害したレバノン人イスラーム主義戦闘員の)遺体を引き渡し、この問題をめぐってトリポリの人々を戦わせるように仕向けた」と非難した。

諸外国の動き

UNCHRは声明を出し、国外に避難したシリア人の数が509,559人に達している、と発表した。

このうち難民登録を行った(ないしは申請中の)シリア人は425,160人。

避難先別の避難民数の内訳は、レバノン154,387人、ヨルダン142,664人、トルコ136,319人、イラク65,449人、北アフリカ各国11,740人。

またこれ以外に難民として登録されていないシリア人がヨルダンで10万人程度、トルコ、エジプトでそれぞれ70,000人程度、レバノンに数万人いると推計されるという。

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フランスのジャン・イブ・ルドリアン国防大臣は、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「フランスや米国はそれが貯蔵されている場所、そして現在のところ使用されていないということを知っている」と述べた。

またシリアへの軍事介入の是非に関して、「現在、この問題は提起されていない。化学兵器の使用はまだ確認されていない…。アサドが化学兵器を使用したら、それはレッド・ラインを越えることになり、我々は同盟国との合意される措置を講じるだろう」と付言した。

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ロシアの経済紙『コメルサント』(12月11日付)は、匿名筋の話として、ロシアがアサド大統領の退陣を迫ろうとする米国の圧力を拒否している、と報じた。

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AFP(12月11日付)は、エクアドルのラファエル・コレア大統領が、「エクアドルに亡命を求めるいかなる者の申請に対しても、我々はそれを検討する」と述べ、アサド大統領が亡命を求めれば検討することを暗示したと報じた。

ABC, December 11, 2012、AFP, December 11, 2012、Akhbar al-Sharq, December 11, 2012、al-Hayat, December 12, 2012、Kull-na Shuraka’, December 11, 2012、al-Kurdiya News,
December 11, 2012、MTV, December 11, 2012、Naharnet, December 12, 2012、Reuters,
December 11, 2012、SANA, December 11, 2012、al-Watan, December 12, 2012、Zaman al-Wasl, December 11, 2012などをもとに作成。

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シリア人権監視団代表がヌスラ戦線によるシャイフ・スライマーン軍事基地の制圧を「質的な進展」と評価、シリア・クルド国民評議会がクルド人の権利を憲法に名文規定することを条件にシリア革命反体制勢力国民連立に参加することを決定(2012年12月10日)

反体制勢力の動き

トルコの『ユルト』(12月10日付)は、CHP議員の話として、さまざまな国籍を持つアル=カーイダのメンバー約200人がトルコのハタイ県アンタキヤ市からトルコ人2人の手引きでシリア領内に潜入した、と報じた。

同報道によると、外国人戦闘員は、トルコ航空の旅客機に載って、アンタキヤ空港に着陸し、入国手続きを経ないまま、15台のマイクロバスに分乗して、対シリア国境地帯に搬送された、という。

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シリア人権監視団ラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、アレッポ県シャイフ・スライマーン軍事基地の制圧に関して、「シャームの民のヌスラ戦線および同組織と関係がある集団が達成した」としたうえで、戦果を「質的な進展」と評価した。

またアブドゥッラフマーン代表はシャームの民のヌスラ戦線が「アレッポ北部で最強の武装集団だが、すべての場所でそうであるわけでない」と述べた。

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シャイフ・スライマーン軍事基地(第111中隊)の制圧に関連して、ユーチューブでは、「ムハージリーン大隊」、「ダーラ・イッザ自由人旅団」などを名乗るサラフィー主義者の武装集団が、基地を解放したことを発表した。

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アクス・サイル(12月10日付)は、アレッポ県のマンナグ航空基地に駐留していた軍兵士約50人が離反し、「北の嵐旅団」など反体制武装勢力側についた、と報じた。

離反者のなかにはアミーン・アミーン空軍大佐も含まれていたという。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ルクンッディーン区、サーリヒーヤ区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

戦闘は、軍・治安部隊が同地域の複数の建物を包囲したのを受け発生したという。

一方、SANA(12月10日付)によると、ルクンッディーン区で、反体制武装勢力が車に爆弾を仕掛け爆破した。爆弾を仕掛けられた車は、国民和解委員会メンバーのラーミズ・サアディーが運転していた。

またシャイフ・ムフイーッディーン地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃、戦闘員を殲滅した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ハラスター市、アルバイン市に対して軍が空爆を行った。

またドゥーマー市、アルバイン市、スバイナ町、ハラスター市、ムウダミーヤト・シャーム市、サクバー市、ズィヤービーヤ町、ダイル・アサーフィール市、ニシャービーヤ市、ハッザ町、ダーライヤー市、バービッラー市、ランクース市でも戦闘があったという。

一方、SANA(12月10日付)によると、ズィヤービーヤ町、ヤルダー市、ドゥーマー市などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、外国人戦闘員など多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、『ハヤート』(12月11日付)によると、サラミーヤ市・ラッカ市街道沿いのイスリヤー村でシャームの民のヌスラ戦線と「サラーキブおよび郊外革命家戦線大隊」が軍の検問所を襲撃し、兵士9人を殺害し、20人を捕捉した。

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ヒムス県では、SANA(12月10日付)によると、クサイル市、ラスタン市、ヒムス市バーブ・フード地区、ジャウラト・シヤーフ地区、スルターニーヤ地区、ジャウバル区などで軍が反体制武装勢力と交戦、複数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(12月10日付)によると、サフィール市、アナダーン市、タッル・シュガイブ村、ファーフィーン村、バービンス市、ムスリミーヤ村、アレッポ市ザバディーヤ地区、カーディー・アスカル地区、シャッアール地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市ブスターン・バーシャー地区では、反体制勢力手製のロケット弾が誤爆し、5人が死亡した。

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イドリブ県では、SANA(12月10日付)によると、ジャーヌーディーヤ町、ハーッス村、ヒーシュ村、などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(12月10日付)によると、サルマー町に対して軍・治安部隊が特殊作戦を行い、複数の反体制武装勢力戦闘員を殲滅した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(12月10日付)によると、ダイル・ザウル市ムワッザフィーン地区、ジュバイラ地区、ハミーディーヤ地区、ハウィーカ地区で軍が反体制武装勢力と交戦、シャームの民のヌスラ戦線メンバー(サウジ人など)を殲滅した。

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ダルアー県では、SANA(12月10日付)によると、ダーイル町で反体制武装勢力が仕掛けようとしていた爆弾が爆発し、約25人の戦闘員が死亡した。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会の執行委員会は9、10日の2日にわたってハサカ県カーミシュリー市で会合を開き、クルド人の権利を憲法に名文規定することを条件にシリア革命反体制勢力国民連立に参加することを決定した。

そしてそのための交渉を行うべく、モロッコ(マラケシュ)で12日に開催されるシリアの友連絡グループ会合に合わせて使節団を設置・派遣することに合意した。

またこのほか以下の4点を承認した。

1. シリア・クルド民主党(アル・パールティ)アルージー派を名乗る2派の加盟資格凍結。
2. シリア・クルド・イェキーティー党、シリア・クルド・アーザーディー党、シリア・クルド民主党アル・パールティなどによるクルド民主政治連合結成を歓迎。
3. シリア・クルド・アーザーディー党、クルド青年調整連合の加盟資格の即時凍結。
4. シリア・クルド国民評議会議長選挙の延期。西クルディスタン人民議会との協力関係とクルド最高委員会の活性化に関する審議の延期。

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シリア・クルド国民評議会の執行委員会のタラール・ムハンマドは、クッルナー・シュラカー(12月10日付)に対して、モロッコ(マラケシュ)で12日に開催されるシリアの友連絡グループ会合に評議会使節団を派遣するとともに、クルド人の権利を憲法に明文規定することへの承認を条件に評議会がシリア革命反体制勢力連立に参加する、と述べた。

シリア・クルド国民評議会の使節団は、イスマーイール・ハムユ(シリア・クルド・イェキーティー党書記長)、アブドゥルハキーム・バッシャール(シリア・クルド民主党(アル・パールティ)書記長)、ムスタファー・ウースー(シリア・クルド・アーザーディー党書記長)、アブドゥルハミード・ダルウィーシュ(シリア・クルド進歩民主党書記長)、ファイサル・ユースフ(シリア・クルド改革運動書記長)、タラール・ムハンマド(シリア・クルド民主合意書記長)などからなる、という。

またシリア革命反体制勢力国民連立が発足をめざす移行期間に関して、ムハンマドは「連立がシリア・クルド国民評議会の要求を受け止めたら」参加するだろう、と述べた。

一方、民主統一党のシリア革命反体制勢力国民連立への参加について、ムハンマドは、「クルド最高委員会が連立に参加することに西クルディスタン人民議会の代表からの異議はなかった」と述べた。

そのほか国内の動き

12月5日にベイルートで死去したギリシャ正教アンタキア総主教区のイグナティオス4世ハズィムの葬儀がダマスカス県で執り行われた。

SANA, December 10, 2012
SANA, December 10, 2012

レバノンの動き

北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区で数日にわたって続いた住民どうしの武力衝突は、軍の展開により沈静化した。

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レバノンの中東航空は声明を出し、シリア領空で同社の旅客機2機が地対空ミサイルの標的となったとの一部情報を否定した。

諸外国の動き

EU外相会議がブリュッセルで開かれ、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が出席した。

ハティーブ議長は外相会議で、EUに対して紛争被害者への人道支援を3000万ユーロに引き上げるよう求めた。

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ドイツ外務省は、ベルリンのシリア大使館職員4人を国外追放処分としたと発表した。

これに関して、ギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は「アサド政権との関係を最低限まで軽減したいという我々の意思を明確に示す」と述べた。

また「シリア革命反体制勢力国民連立の強化に賭け…、行動力のある移行期間の早急な設置が可能になる」ことを望むと付言した。

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『ハヤート』(12月11日付)は、外交筋の話として、トルコに配備されるNATOのパトリオット・ミサイルは、自衛目的であることをロシアに示すため、対シリア国境から10キロ以上離れた地域に配備される、と報じた。

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ロシア外務省は声明を出し、ジュネーブでの米露高官とアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の会談(9日)に関して、「シリア政府の改革に関して必要な決定は、シリア人自身が行わねばならず、外国の介入、解決策の押しつけがあってはならない」との姿勢を示したことを明らかにした。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、12日にモロッコ(マラケシュ)で開催予定のシリアの友連絡グループ会合への参加を「健康上の理由で」1日遅らせる、と報道官を通じて発表した。

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デンマーク外務省は、シリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表として承認する」と発表した。

外務省の声明によると、「短期間で具体的な成果を実現した」のがその理由。

しかしシリア革命反体制勢力連立による暫定政府の発足は当初の予定より大幅に遅れているほか、国内の反体制勢力の多くが参加を見送っている。

AFP, December 10, 2012、Akhbar al-Sharq, December 10, 2012、‘Aks al-Sayr, December 10, 2012、al-Hayat, December 11, 2012、Kull-na Shuraka’, December 10, 2012, December 11, 2012、al-Kurdiya
News, December 10, 2012、Naharnet, December 10, 2012, December 11, 2012、Reuters,
December 10, 2012、SANA, December 10, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ県でサラフィー主義者の外国人武装集団がシャイフ・スライマーン軍事基地内に侵入し司令部を制圧する一方、ハサカ県ではシリア・クルド国民評議会がシリア革命反体制勢力国民連立への参加の是非を協議(2012年12月9日)

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団の声明によると、サラフィー主義者の外国人武装集団が、数週間にわたって反体制武装勢力によって包囲されていたシャイフ・スライマーン軍事基地内に進入、司令部などを制圧した。

SANA, December 9, 2012
SANA, December 9, 2012

同監視団は、イスラーム主義の複数の武装集団が「アレッポ市西部のシャイフ・スライマーン地方の第111大隊の3連隊および司令部を制圧した」と発表した。

戦闘により、反体制武装勢力の戦闘員2人と軍兵士1人が死亡、反体制武装勢力は兵士5人を捕捉した。

捕捉された兵士によると、同基地と近くの科学研究センターに駐留していた約140人の兵士がこの戦闘のさなかに逃走した、という。

AFP(12月9日付)は、制圧されたシャイフ・スライマーン軍事基地内の施設の一つに、サラフィー主義者の外国人武装集団の「黒い旗」が掲げられており、同集団はウズベク人が指導、アラブ人やチェチェン人から攻勢されていると報じた。

自由シリア軍の司令官の一人はAFP(12月9日付)に対して、「土曜日(8日)晩から、我々が基地に展開することのないまま、イスラーム主義者たちが(シャイフ・スライマーン軍事基地を)攻撃した」と述べ、同基地の制圧が自由シリア軍の戦果でないことを明らかにした。

一方、SANA(12月9日付)によると、ダーラ・イッザ市、カブターン・ジャバル村、ハンダラート・キャンプ、ムスリミーヤ村、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力への特殊作戦を実施、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、バイト・サフム市、アイン・タルマー村で軍と反体制武装勢力が交戦し、同地区が砲撃を受けた。

一方、SANA(12月9日付)によると、フジャイル市、ズィヤービーヤ町、ダーライヤー市などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線メンバーの追撃を続け、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で軍と反体制武装勢力が交戦し、同地区が砲撃を受けた。

一方、SANA(12月9日付)によると、ファハーマ地区で反体制武装勢力が車に爆弾を仕掛け爆破させ、1人が負傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイイフ軍事基地近くで軍と反体制武装勢力の戦闘が続いた。

一方、SANA(12月9日付)によると、アリーハー市郊外、サラーキブ市、ヤアクービーヤ村などで軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍がヒムス市旧市街を空爆した。

一方、SANA(12月9日付)によると、ヒムス市ワルシャ地区で軍が「ファールーク大隊」の拠点を攻撃し、6人のテロリストを殺害した。

またハイダリーヤ村などのクサイル市郊外でも軍が反体制武装勢力を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

このほか、反体制武装勢力はヒムス市南部のアルメニア地区を砲撃し、市民4人が死亡した。

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ハサカ県ハサカ市・ラアス・アイン市間のアーリヤ交差点の自由シリア軍検問所で、ラアス・アイン市で窃盗・暴行を行った使徒末裔大隊の戦闘員らを自由シリア軍が逮捕した。クッルナー・シュラカー(12月9日付)が報じた。

アサド政権の動き

ヌマイル・ガーニム在アルジェリア・シリア大使は、政権を離反したとするアラブ諸国のメディアやツイッターなどの報道に関して、AFP(12月10日付)を通じて、「完全な誤報」と否定した。

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サワサナ(12月9日付)は、ジャズィーラのキャスターを去年辞職したルーナー・シブル女史がジハード・マクディスィーの後任として、外務在外居住者省の報道官に就任した、と報じた。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月9日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立がカイロで暫定政府の閣僚に関する人選のための協議を行ったが、12日のモロッコ(マラケシュ)でのシリアの友連絡グループ会合後に閣僚人事発表を延期することで合意した、と報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月9日付)は、アラブ社会主義民主党の執行委員会が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立への参加を表明した。

同党の党首(書記長)で民主的変革諸勢力国民調整員会代表のハサン・アブドゥルアズィームがこの参加を了承済みかどうかは不明。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月9日付)によると、離反士官のムハンマド・ハリール・アリー准将が、自由シリア軍の傘下にシリア・クルド合同軍事評議会(8人から構成)を設置したと発表した。

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クルディーヤ・ニュース(12月10日付)は、シリア・クルド国民評議会がハサカ県カーミシュリー市で執行委員会会合を開き、シリア革命反体制勢力国民連立への参加の是非を協議した。

会合は10日まで行われる見込みで、クルド人の権利を憲法で名文保障するとの要求が保障されることを条件として、シリア革命反体制勢力国民連立への参加を決定するものと思われる。

この点に関して、シリア革命反体制勢力国民連立は、カイロで近く開催予定の会合で審議する予定だという。

またこれと合わせて、シリア・クルド国民評議会は、12日のモロッコ(マラケシュ)で開催されるシリアの友連絡グループへの派遣団の派遣を決定する模様。

なおクッルナー・シュラカー(12月10日付)によると、シリア・クルド進歩民主党、シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)が連立への参加に依然消極的だという。

レバノンの動き

住民どうしの衝突が続く北部県トリポリ市ジャバル・ムフスィン地区、バーブ・タッバーナ地区で、再び激しい戦闘が起こり、AFP(12月9日付)によると、市民6人が死亡、40人が負傷した。

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ヒムス市タッルカラフ市郊外でシリア軍の要撃で殺害されたレバノン人イスラーム主義戦闘員のうち3人の遺体がシリア当局からレバノン当局に引き渡され、レバノン国内に搬送された。

諸外国の動き

『サンデイ・タイムズ』(12月9日付)は、米国はシリアの反体制武装勢力に武器を供与するための極秘作戦を開始した、と報じた。

同報道によると、米国はリビアのムアンマル・カッザーフィー前政権が保有していた迫撃砲、ロケット弾、地対空ミサイルSAM7などを購入し、中東地域における同盟国を通じて供与の準備を進めている、という。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は自身が議長を務めるアラブ連盟シリア問題閣僚委員会で、「この問題に対して国連安保理が現下の対応を続けることは受け入れられない」と述べた。

また「政権交代せねばならず…、彼(アサド大統領)とその政府は事態が明白で、結果が明白であることを知らねばならない」と干渉した。

シリア国内の反体制武装勢力を支援するハマド首相は「シリア人への早急な人道支援」が必要だと付言した。

一方、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、反体制勢力に関して「適切な時期に体制にとって代わるオルターナティブとなることは可能だ」としたうえで、「事態がダマスカスにまで至っているこの正念場において反体制勢力を糾合させる」よう、反体制勢力と関係のある国々に求めかけた。

そのうえでアサド大統領に「政権移譲プロセスを促すため」辞任するよう改めて求めた

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はジュネーブでウィリアム・バーンズ米国務副長官、ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣と会談した。

会談後の記者会見で、ブラーヒーミー共同特別代表は、シリア危機の政治的解決が「依然として可能」との認識で一致したと述べた。

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クルディーヤ・ニュース(12月9日付)は、米国(ロバート・フォード米大使)、フランス、イタリア、オランダがシリア・クルド国民評議会に対して、シリア革命反体制勢力国民連立への参加を求めるため、アブドゥルハキーム・バッシャール議長(在イラク)と連絡を頻繁にとっている、と報じた。

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イスラエルのモシェ・ヤアロン副首相は、ラジオ・イスラエルでアサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「自衛の用意はできているが…、現時点でこれらの兵器が我々に向けられる兆候はない」と述べた。

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ミハイル・オレン駐米イスラエル大使は、フォックス・ニュース(12月9日付)で、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「それらの武器が悪の手、例えばヒズブッラーの手に渡れば、それは我々にとって形成を一変させるもの(game-changer)となるだろう」と述べた。

またオレン大使は「我々は悪の手に渡る化学兵器に関して明確なレッドラインがある。70000発のロケット弾を持つヒズブッラーの手に化学兵器が渡ったらどうなるか想像できるか?」と付言した。

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駐シリア・ルーマニア大使がシリア国内の「治安情勢の悪化」を受け、ベイルートに退避、またルーマニア国民にシリア国外への退去を勧告した。

AFP, December 9, 2012、Akhbar al-Sharq, December 9, 2012、al-Hayat, December 10, 2012、Kull-na Shuraka’, December 9, 2012, December 10, 2012、al-Kurdiya
News, December 9, 2012, December 10, 2012、Naharnet, December 9, 2012, December
10, 2012、Reuters, December 9, 2012、SANA, December 9, 2012、al-Sawasana.com,
December 9, 2012、The Sunday Times, December 9, 2012などをもとに作成。

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米国務長官、露外相、ブラーヒーミー共同特別代表がダブリンで一堂に会してシリア情勢について協議するも、「興味深い決定」はなされず(2012年12月6日)

国内の動き

クッルナー・シュラカー(12月6日付)によると、ハサカ県ダルバースィーヤ市とラアス・アイン市の社会・政治団体の代表者がラアス・アイン市内に駐留する自由シリア軍司令部と会談、同市からの退去を求めた。

Champress, December 6, 2012
Champress, December 6, 2012

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ファイサル・ミクダード外務在外居住副大臣は、マナール・チャンネル(12月6日付)に出演し、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関する欧米諸国の首脳らの発言に関して、「演劇じみた態度だ…。我々は、化学兵器があったとしても、シリア国民には使用されないし、国内で無責任なことはできないと言ってきた…。軍事介入を正当化するためにシリアが化学兵器を使用すると主張しているだけだ。こうした陰謀はワシントンと安っぽいその道具たちが行っているだけだ」と述べた。

またNATOによるトルコへのパトリオット・ミサイル配備については、「破産的措置」と非難した。

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クッルナー・シュラカー(12月6日付)は、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官の娘婿で軍事情報局のタマーム・サーリフ大佐の兄弟のムサンナー・サーリフが、ダマーローズ・ホテル(旧ダマスカス・メリディアン)社長を自ら辞し、米フロリダに去った、と報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、AFP(12月6日付)が、アブー・キナーンを名乗るダーライヤー市住民の話として、軍が「ゆっくりと(ダーライヤー市への)進軍」し、市内東部に駐留する一方、反体制武装勢力も「複数地点に駐留し…同市の約70%を占拠している」と報じた。

シリア人権監視団によると、東グータ地方とドゥーマー市での軍との戦闘で、反体制武装勢力の戦闘員6人が死亡した。

また戦闘はアルバイン市、サクバー市の周辺でも発生した。

同監視団によると、ザマルカー町、アクラバー村、バイト・サフム市、フジャイラ村、ブワイダ市、ドゥーマー市、ハラスター市、アルバイン市、ジスリーン町、ジュダイダ・アルトゥース市で軍が砲撃・空爆を行った。

一方、SANA(12月6日付)によると、ダーライヤー市、ズィヤービーヤ町、サクバー市、ザマルカー町、では、軍がシャームの民のヌスラ戦線を追撃し、多数のテロリストを殲滅した。

高官筋によると、「ダーライヤー市でのテロリスト浄化発表は近い」という。

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ダマスカス県では、シリア・アラブ・テレビ(12月6日付)などによると、カジャージュ・ダルアー近くのシリア赤新月社本部前で爆弾が仕掛けられた車が爆発、同本部の一部が損傷した。

またSANA(12月6日付)によると、マッザ区(マッザ86地区)で反体制武装勢力が車に爆弾を仕掛けて爆発させ、市民1人を殺害した。

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アレッポ県では、SANA(12月6日付)によると、ムスリミーヤ村、ハンダラート・キャンプ、アナダーン市、ダーラ・イッザ市、タッル・シュガイブ村、アブティーン村、アレッポ市ナイラブ地区各所などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、多数の戦闘員を殲滅した。

またシリア・アラブ・テレビ(12月6日付)は、シャームの民のヌスラ戦線がサフィール市から1キロの距離にあるガソリン・スタンドを制圧したとの情報を否定した。

一方、シリア人権監視団は、「3日前からマンナグ航空基地近く」で軍と反体制武装勢力が激しく交戦したと発表した。

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ヒムス県では、SANA(12月6日付)によると、ヒムス市バーブ・トゥルクマーン地区、アイスーン村などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殲滅した。

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クッルナー・シュラカー(12月6日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市で5日夜から民主統一党人民防衛隊(YPG)と自由シリア軍が交戦している、と報じた。

レバノンの動き

シリアの反体制勢力に武器供与していることを暴露されたウカーブ・サクル国民議会議員(ムスタクバル潮流)は、トルコのイスタンブールで記者会見を開き、そのなかで「我々はシリアの子供たちにミルクを配っている」と弁明した。

またシリアの反体制勢力と武器取引を行っているやりとりを録音した肉声テープを暴露したOTVや『アフバール』について、「馬鹿」、「シャッビーハ」だと批判した。

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北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区での住民どうしの衝突が続き、4日以降の死者数は11人に達した。

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『ナハール』(12月6日付)は、ヒムス県タッル・カラフ市での11月30日のシリア軍によるレバノン人イスラーム主義者要撃で生き残ったレバノン人戦闘員が、レバノン当局に引き渡されず、シリアの法廷で裁判を受けることになるだろう、と報じた。

諸外国の動き

ドイツ政府はNATO外相会議の決定を受け、トルコの対シリア国境へのパトリオット・ミサイル配備に合意した。

パトリオット・ミサイル配備とともに、ドイツ軍兵士約400人も対シリア国境地帯に展開する、という。

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アイルランドの首都ダブリンで、ヒラリー・クリントン米国務長官、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が会談し、シリア情勢について協議した。

この三者会談に先だって、クリントン国務長官とラブロフ外務大臣が二者会談を行い、ブラーヒーミー共同特別代表の役割について協議した。

三者会談後、ブラーヒーミー共同特別代表は、「興味深い決定は下さなかった…。我々は事態が悪いという点で合意した。また我々はともに行動し、この問題をどのように掌握することができるかを検討しなければならない点でも合意した」と述べた。

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国連の潘基文事務総長は、バグダードでヌーリー・マーリキー首相と共同記者会見を行い、そのなかで「化学兵器を使用すれば、使用した者は四方において追及されるだろう…。私はシリア政府に懸念を表明した…。(化学兵器の使用は)国民に深刻な影響をもたらすだろう」と述べた。

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レオン・パネッタ米国務長官は、アサド政権が化学兵器の使用を検討していることを示す情報を得た、と述べた。

しかしこの情報がどのようなものかは具体的に述べなかった。

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NBC(12月6日付)は、「複数の米国高官」の話として、シリア軍がサリン・ガスを発生する化学物質を充填した爆弾を増産し、アサド大統領による投下命令を待っている状態だと報じた。

しかしその真偽は定かでない。

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英国外務省高官は、来週にシリアに対する武器禁輸措置の見直しを行い、シリアの反体制勢力への「物的支援」の強化をめざす、と述べた。ロイター通信(12月6日付)が報じた。

アサド政権への武装闘争がシャームの民のヌスラ戦線によって支援されている現状において、「反体制勢力」への武器供与はテロ支援を行うに等しい。

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統一ロシアのウラジーミル・ヴァシリエフ党首(下院議会議長)は、英国議会使節団と会談し、「我々は、シリアの現政府が自らの仕事を実行すべきだという意見において合意したし、合意している。しかし現在、この任務はシリア政府の能力を越えてしまっている」と述べた。

AFP, December 6, 2012、Akhbar al-Sharq, December 6, 2012、Champress, December 6, 2012、al-Hayat, December 7, 2012、Kull-na Shuraka’, December 6, 2012、al-Kurdiya News, December 6, 2012、al-Nahar, December 6, 2012、Naharnet, December 6, 2012、Reuters, December 6, 2012、SANA, December 6, 2012などをもとに作成。

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アサド政権が「決戦」としてのダマスカス防衛に「80,000人」の兵士を動員するなか、米国務長官がシリア政府による化学兵器の使用が「レッド・ライン」だと改めて強調(2012年12月5日)

国内の暴力

『ハヤート』(12月6日付)は、複数の反体制消息筋の話として、アサド政権がダマスカスの防衛を「決戦」とみなし、80,000人の兵士を動員している、と報じた。

シリア軍筋によると、ダマスカス県の幅約8キロにわたる「防衛ライン」の確保をめざしている。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、バイト・サフム市、ムライハ市、ザバダイン市などに対して軍が空爆を行った。

またこれらの都市およびアクラバー航空基地周辺で、軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

さらにダーライヤー市、ザバダーニー市に対しても軍の空爆、砲撃は及んだという。

一方、『サウラ』(12月6日付)によると、ダーライヤー市、シャブアー町、バイト・サフム市、アクラバー村、フジャイラ村などで軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員多数を殺傷した。

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アレッポ県では、AFP(12月5日付)が住民の話として、サフィール市が反体制武装勢力によって制圧された、と報じた。

住民によると、反体制武装勢力の戦闘員のほとんどは、シャームの民のヌスラ戦線メンバーで、その陣地には戦線の名が書かれ、彼らの車にはジハードの旗が掲げられているという。

一方、『サウラ』(12月6日付)によると、ダーラ・イッザ市、バーニース村、タッル・シャイール村、ファーフィーン村、サフィーラ市、アレッポ市シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区、カッラーサ地区、旧市街、ブスターン・バーシャー地区などで軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバー多数を殺傷した。

またアレッポ市内の電力発電所を反体制武装勢力が襲撃し、複数地区の電力供給が停止した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラ・ヌウマーン市南部のバーブーリーン村の検問所を反体制武装勢力が襲撃し、軍兵士7人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のハミーディーヤ地区が軍の空爆を受けた。

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ヒムス県では、『サウラ』(12月6日付)によると、ヒムス市、クサイル市郊外などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷した。

しかし、ヒムス市ムハージリーン区とナズハ地区で、反体制武装勢力が住宅地を迫撃し、市民1人が死亡した。

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ハサカ県では、『サウラ』(12月6日付)によると、ハサカ市マサーキン・マハッタ地区で反体制武装勢力が市民を襲撃、1人を殺害した。

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ラタキア県では、『サウラ』(12月6日付)によると、カスタル・マアーフ街道で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の車輌4輌を破壊した。

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イスラエル国防軍報道官は、シリア領から発射された迫撃砲がイスラエルが占領するゴラン高原に着弾した、と発表した。死傷者はなく、同報道官は「誤射」による着弾だと付言した。

国内の動き(アサド政権の動き)

クッルナー・シュラカー(12月5日付)は、アサド政権支持者の間で、軍によるダマスカス郊外県での反体制武装勢力の掃討が遅れている背景として、自由シリア軍が首都周辺に総延長数キロにわたるトンネルを建設し、兵站支援を行っているからとの噂が広まっている、と報じた。

al-Thawra, December 6, 2012
al-Thawra, December 6, 2012

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『ハアレツ』(12月5日付)はヴェネズエラの複数の消息筋の話として、アサド大統領とその家族がラテンアメリカに政治亡命を申し出る書簡を送った、と報じた(未確認情報)。

同報道によると、この書簡は、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣を通じてヴェネズエラ、キューバ、エクアドルの当局に渡されたという。

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ザマーン・ワスル(12月5日付)は、ラッカ県のアリー・ハッダード副知事と同県執行委員会メンバー8人が、県行政、とりわけ穀物や燃料の配給への治安機関の介入に抗議して、辞表を提出した、と報じた。

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SANA(12月5日付)によると、ダマスカス郊外県のワーフィディーンでは、4日の反体制武装勢力の砲撃の犠牲となった市民の葬儀が行われた。

反体制武装勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月5日付)は、複数の反体制消息筋の話として、空軍情報部通信課長のナスル・アフマド・ファイヤード・マシュアーン准将が離反した、と報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月5日付)は、自由シリア軍の複数の士官が、12月2日だけで、MiG21、MiG23、戦闘ヘリコプター合わせて7機を撃墜したと証言している、と報じた(未確認情報)。

レバノンの動き

アリー・アブドゥルカリーム・アリー在レバノン・シリア大使は、アドナーン・マンスール外務大臣と会談し、シリア軍の要撃で11月30日に殺害されたサラフィー主義のレバノン人戦闘員の遺体を返還することを告げた。NNA(12月5日付)が報じた。

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ミシェル・スライマーン大統領は、ウカーブ・サクル国民議会議員によるシリアの反体制勢力への武器供与を受け、「シリアの対立し合う当事者を武装させることは我々の義務ではない」と述べ、シリア情勢への不関与政策を貫徹するよう呼びかけた。

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北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で住民らの衝突が続き、AFP(12月5日付)によると、4日からの死者は5人となった。

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3月14日勢力事務局は声明を出し、アサド政権が北部県トリポリ市での混乱を煽っている、と非難した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、NATO外相会議後、アサド政権による化学兵器使用の可能性について「我々の懸念の元は、アサド政権が絶望感を増し、化学兵器使用に訴えること、ないしは管理できなくなることで、シリアで現在活動している何らかの集団に利すること」と述べ、化学兵器の使用が米国にとっての「レッド・ライン」だと改めて強調した。

また、紛争を終わらせるため、マラケシュのシリアの友連絡グループ会合で、できることを検討すると述べる一方、「彼ら(アサド政権)の崩壊は必然的」、「(紛争を終わらせるには)アサド政権は政治的以降への参加を決断する必要がある」と付言した。

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『ハヤート』(12月6日付)はニューヨークの西側外交筋の話として、米国政府がシャームの民のヌスラ戦線をアル=カーイダと関係がある「国際テロ組織」として指定する準備を進めている、と報じた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、「アサドは約700基の(地対地)ミサイルを保有している…。我々は現在これらのミサイルがどこに展開し、どのように、そして誰の手によって保管されているのかを知っている」と述べ、アサド政権の脅威を誇張した。

またトルコ・シリア国境地帯へのNATOのパトリオット・ミサイル配備に関して、「抑えがきかない集団による行為」に対処するためと述べ、アサド政権による化学兵器使用に関する欧米諸国のプロパガンダによって配備を正当化した。

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アナトリア通信(12月5日付)は、トルコ外務省が声明を出し、NATOによるトルコ・シリア国境地帯へのパトリオット・ミサイル配備の承認への「大いなる幸福の念」を表明した、と報じた。

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『ハヤート』(12月6日付)によると、ハンガリー外務省は、インターネットでダマスカスの大使館の活動を閉鎖し、職員をシリアから出国させるとともに、ハンガリー国民に退避勧告を出したと発表した。

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ロシア外務省が声明を出し、ダマスカス郊外県ワーフィディーンの学校に対する反対生成勢力の砲撃の犠牲者に哀悼の意を示すとともに、攻撃を「テロ攻撃」として強く非難した。

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インテルファクス通信(12月5日付)は、ロシア軍参謀筋の話として、ロシアの戦艦2隻が、タルトゥースの軍事基地への燃料を補給するため、タルトゥース港に到着した、と報じた。

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イラクのアリー・スィースターニー事務所のムハンマド・フサイン・ウマイディーは『ハヤート』(12月6日付)に対して、マルジャイーヤの使節団がカーイム市(アンバール県)のシリア人避難民キャンプを視察し、人道支援を行ったと述べた。

またウマイディーは「マルジャイーヤは…、危機の炎を煽らないため、いずれの当事者にも与することはない。マルジャイーヤの姿勢がバランスのとれたものだったのはそのためだ」と述べた。

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AFP(12月6日付)は、ヨルダン赤新月社がカタール赤新月社と、ヨルダン国内の病院でのシリア人避難民負傷者の治療を行うことで合意した。

AFP, December 5, 2012、Akhbar al-Sharq, December 5, 2012、Haaretz, December 5, 2012、al-Hayat, December 6, 2012、Kull-na Shuraka’, December 5, 2012、al-Kurdiya News,
December 5, 2012、Naharnet, December 5, 2012、NNA, December 5, 2012、Reuters,
December 5, 2012、SANA, December 5, 2012、al-Thawra, December 6, 2012、Zaman al-Wasl, December 5, 2012などをもとに作成。

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シリア革命反体制勢力国民連立のハティーブ議長がサウジアラビアの支持を取りつける、NATOが「トルコ国民とその領土を防衛し、国境一帯での危機激化の軽減に寄与すべく」同地帯にパトリオット・ミサイルの配備を決定(2012年12月4日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア・アラブ・テレビ(12月4日付)などによると、ワーフィディーンにある学校に、反体制武装勢力の迫撃砲が着弾し、生徒9人、女性教師1人を含む29人が死亡、多数が負傷した。

ワーフィディーンはイスラエルに占領されたゴラン高原出身のシリア人避難民のために作られたキャンプで、25000人の避難民が暮らしている。

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同じく、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がダマスカス国際空港街道の軍検問所を襲撃、両者が激しく交戦した。

またズィヤービーヤ町、バイト・サフム市、アクラバー村、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市周辺に、軍が砲撃を加えた。

一方、『サウラ』(12月5日付)によると、ズィヤービーヤ町で、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またダーライヤー市、アクラバー村、バイト・サフム市、フジャイラ村、ドゥーマー市などで軍がシャームの民のヌスラ戦線やイスラーム旅団を追撃し、多数の戦闘員を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線がダイル・ザウル市とラッカ市を結ぶ街道に位置するタバンニー村を軍との戦闘の末に制圧した。

この戦闘で、兵士11人、戦闘員4人が死亡した。

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アレッポ県では、『サウラ』(12月5日付)によると、ダーラ・イッザ市、マクラビース村、ハンダラート・キャンプ、カフルナーハー村、カフルハムラ村、アレッポ市ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市南部のアレッポ中央刑務所を襲撃しようとした反体制武装勢力の戦闘員12人を殺害した。

さらにアレッポ市内のブスターン・バーシャー地区でも反体制武装勢力数十人を殲滅した。

このほか、アレッポ市でマフムード・ビービー民事裁判官とサーミル・キヤーリー技師が反体制武装勢力によって暗殺された。

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ハマー県では、『サウラ』(12月5日付)によると、ムハルダ市・スカイラビーヤ市間の街道で軍・治安部隊が反体制武装勢力1人を殺害した。

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ヒムス県では、『サウラ』(12月5日付)によると、クサイル市郊外のアーティフィーヤ村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺害した。

また、反体制武装勢力がハワーシュ町、ナースィル村を砲撃し、市民3人を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線をはじめとする反体制武装勢力がワーディー・ダイイフ基地周辺で軍と激しく交戦した。

一方、『サウラ』(12月5日付)によると、アイン・シーブ村、サルジャ村、サラーキブ市、ビンニシュ市、マアッラト・ヌウマーン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、数十人の戦闘員を殺害した。

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ダマスカス県では、『サウラ』(12月5日付)によると、『ティシュリーン』紙記者のナージー・アスアドがタダームン区の自宅前で反体制武装勢力に射殺された。

国内の動き

AKI(12月4日付)などは、ハサカ県ラアス・アイン市などでの民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の交戦を受け、同県のキリスト教徒たちが戦闘停止とジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東)の「中立化」を望んでいる、と報じた。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長はサウジアラビアを訪問し、サウード・ファイサル外務大臣と会談した。

Kull-na Shuraka', December 4, 2012
Kull-na Shuraka’, December 4, 2012

サウジ国営通信によると、会談で、ファイサル外務大臣は、連立の結成を「重要で前向きなステップ」と高く評価した。

ハティーブ議長のサウジ訪問には、リヤード・サイフ副議長、スハイル・アタースィー副議長、アフマド・アースィー・ジャルバ、ナジーブ・ガドバーンらが同行した。

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シリア革命反体制勢力国民連立は、国際社会の一部でイエメン・シナリオに基づく事態の収拾が図られているとの一部情報に関して、こうした問題解決を支持しないとの声明を発表した。

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『ガーディアン』(12月4日付)は、信頼できる複数の外交筋の話として、ジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官が米国に向かっていると報じた。

しかし『ハヤート』(12月5日付)は、米国務省高官がこの報道を否定した、と報じた。

レバノンの動き

Naharnet, December 4, 2012
Naharnet, December 4, 2012

ハーティム・マーディー検事総長は、中央刑事捜査課にウカーブ・サクル国民議会議員(ムスタクバル潮流)の肉声テープの内容についての調査を要請した。NNA(12月4日付)が報じた。

この肉声テープは先週、OTVと『アフバール』が公開していたもので、サクル議員がシリアの反体制勢力の活動家らとシリアへの武器供与を決定する会話が録音されていた。

録音されていた会話のなかで、シリアの反体制勢力の指導者だというアブー・ヌウマーンは、RPG300基、ロシア製の銃弾25万発、銃300丁をアレッポ県のアアザーズ市、タッル・リフアト市に配送するよう求め、アブー・バラー、アブー・ヌールを名乗る反体制活動家に引き渡すことでサクル議員と合意した。

サクル議員は12月3日にテープに録音されていた肉声が自身の声であることを認めている。

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自由国民潮流代表で国民議会議員のミシェル・アウン元国軍司令官は、ウカーブ・サクル国民議会議員によるシリアの反体制勢力への武器供与に関して、「サクルは裁かれねばならない…。サクルと3月14日勢力はシリアの反乱分子への武器供与を誇らしげに行っている」と批判した。

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ムスタクバル・ブロック(ムスタクバル潮流の国会内会派)は会合を開き、所属議員であるサクル国民議会議員によるシリアの反体制勢力への武器供与に関して、「サクル議員に対する法的措置を主張し、彼の議員特権の剥奪を要求している者たちは、ヒズブッラーとその高官、とりわけハサン・ナスルッラー書記長をまず追求すべきだ。彼はこれまで何度も公の場で、シリアにおいてヒズブッラーが軍事的役割を担っていると述べ、シリア政府や悪党に戦闘員、武器、装備を送っている」と反論した。

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サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー前首相(ムスタクバル潮流)はリヤドで、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長らと会談した。

Naharnet, December 4, 2012
Naharnet, December 4, 2012

会談でハリーリー前首相は、「いかなる挑戦を受けようとも、シリア革命への支持を取り下げない」と述べた。

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北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で住民らが衝突し、AFP(12月4日付)やNNA(12月4日付)によると、2人が死亡し、12人が負傷した。

衝突はヒムス県タッルカラフ市郊外に潜入したサラフィー主義のレバノン人戦闘員がシリア軍の要撃で殺害されたことが遠因。

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レバノン各メディアは、ヒムス県タッルカラフ市郊外に潜入し、シリア軍の要撃で11月30日に殺害されたサラフィー主義のレバノン人戦闘員のうち5人の身元が明らかになった、と報じた。

5人の身元に関する情報はナジーブ・ミーカーティー首相とアドナーン・マンスール外務大臣が関係各方面から電話で入手したという。

またシリア外務省は、「人道的理由」から殺害したレバノン人戦闘員の遺体を引き渡す意思があると伝えた、という。

諸外国の動き

NATO外相会議は、「トルコ国民とその領土を防衛し、国境一帯での危機激化の軽減に寄与すべく、トルコの防空能力を強化することに合意」、パトリオット・ミサイルの配備を決定した。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、ブリュッセルでのNATO外相会議に先だって記者団に対して、「化学兵器のいかなる使用も国際社会にとって決して容認できない」と述べた。

ラスムセンNATO事務局長は「シリアの化学兵器庫は懸念の種だ。我々はシリアがミサイルを保有していることを知っている…。我々はシリアが化学兵器を保有していることを知っており、そのことを考慮に入れる必要がある…。このことがまた、我々の同盟国であるトルコの防衛、保護の実質的保障を火急の課題としている」と述べた。

こう発言し、ラスムセンNATO事務局長は、欧米諸国が突如として(再)主張するようになったアサド政権による化学兵器使用の可能性を、パトリオット・ミサイル配備のトルコへの配備と結びつけた。

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フランス外務省副報道官は、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「いかなる使用も容認されないだろう…。シリア高官は国際社会に監視されており、化学兵器を使用すれば、報復なしでは済まされないだろうということを知るべきである」と述べた。

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ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「容認されないだろう」と述べた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ブリュッセルでのNATO外相会合後、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「誇張」、「噂」と批判した。

また「武器の配備は使用の危険を増幅させる」と述べ、NATOによるトルコへのパトリオット・ミサイル配備を暗に批判した。

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中国外交部報道官は、「我々は化学兵器の使用禁止に関する国際的な取り決めをすべての当事者が遵守することを希望する」と発表し、アサド政権だけでなく、反体制武装勢力に対しても大量破壊兵器の使用を行わないよう求めた。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、アサド政権による化学兵器使用の可能性について、「シリア国民、あるいは近隣諸国に対してシリア政府が使用する場合であれ、邪悪な者たちの手によるものであれ、いかなるシナリオにおいてもこれらの兵器が使用されることを国際社会は容認しないことをシリア政府は熟知している」と述べ、化学兵器の使用が国際社会の介入を招くだろうとの見方を示した。

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『ニューヨーク・タイムズ』(12月4日付)は、トルコ高官の話として、ロシアがアサド大統領に退任を満足させるための新たな外交トラックに合意した、と報じた(未確認情報)。

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サウジアラビアのファイサル・サウード外務大臣は、シリアでの「体制転換プロセスは、シリアの領土と国民の統一を維持するためにこれまで以上に必要且つ必然的となっている」と述べるとともに、体制転換後のマイノリティの処遇への恐怖を煽ることは非現実的で、体制打倒を妨げるとの見方を示した。

一方、シリアの反体制勢力に関しては、シリア革命反体制勢力国民連合の発足を「最近でのもっとも重要な出来事」と高く評価しつつ、「反体制勢力と連合はアサド後のシリアを運営できる」と述べ、連合がすべての反体制勢力を包摂していないことを暗に認めた。

AFP, December 4, 2012、Akhbar al-Sharq, December 4, 2012、AKI, December 4, 2012、The Guardian, December 4, 2012、al-Hayat, December 5, 2012、Kull-na Shuraka’, December 4, 2012、al-Kurdiya News,
December 4, 2012、Naharnet, December 4, 2012、The New York Times, December 4, 2012、NNA, December 4, 2012、Reuters, December 4, 2012、SANA,
December 4, 2012、al-Thawra, December 4, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

マクディスィー報道官が家族とともにロンドンに向かい政権を離反したと報じられる、米高官らは化学兵器使用の可能性をめぐってシリア政府をけん制(2012年12月3日)

国内の暴力

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(12月3日付)によると、ラアス・アイン市に対して、軍が午前10時に2度にわたって空爆を行った。

「ヘヴェダール」を名乗るクルド人活動家によると、空爆はダウワール・アアラーフ地区、マハッタ地区、市内の郵便局に対してMiG戦闘機によって行われた。

クルディーヤ・ニュース(12月3日付)はこの空爆で反体制武装勢力戦闘員と民間人合わせて4人が死亡、多数が負傷したと報じた。

シリア人権監視団によると、空爆は市南西部のマハッタ地区に対して行われ、反体制武装勢力の戦闘員8人を含む12人が死亡し、約30人が負傷した。

同地区はシャームの民のヌスラ戦線とシャーム外国人大隊が占拠している地区。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、空港街道に近いバイト・サフム市、バサーティーン市に対して軍が空爆を行った。

またザバダーニー市では、反体制武装勢力がザバダーニー地方局舎を襲撃、地元警察が交戦した、という。

このほか、ハジャル・アスワド市で複数の爆発音が聞こえた。

一方、『サウラ』(12月4日付)によると、ダーライヤー市、ジスリーン町、ミスラーバー市、リーハーン農場などで、軍が反体制武装勢力の掃討を継続、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷し、装備を破壊・押収した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区で複数の爆発音が聞こえた。

また未明から朝にかけて、タダームン区、ヤルムーク区で砲撃があった、という。

一方、『サウラ』(12月4日付)によると、タダームン区で爆弾を積んだ車が爆発し、乗っていた「テロリスト」1人が死亡、全員が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市メリディアン地区の軍検問所で未明に車に仕掛けられた爆弾が爆発し、複数が負傷した。

一方、『サウラ』(12月4日付)によると、アレッポ・ラッカ街道、フライターン市、カフルナーハー村、ダーラ・イッザ市、ハンダラート・キャンプ、ムスリミーヤ地方などで軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

また、反体制武装勢力はアレッポ市工学部前で車爆弾を爆発させ、市民4人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市教育学部地区近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発し、女子学生が負傷した。

また市内の3月8日通りで反体制武装勢力と治安部隊が交戦した。

ハマー市郊外のアクラブ町では、軍のヘリコプターが反体制武装勢力に対して空爆を行った。

一方、『サウラ』(12月4日付)によると、アクラバー村で軍・治安部隊が反体制武装勢力を撃退し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーらを殺害した。

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ヒムス県では、地元調整諸委員会によると、ヒムス市各所、ハウラ地方、ラスタン市などで砲撃があった。

一方、『サウラ』(12月4日付)によると、ヒムス市内でシャームの民のヌスラ戦線メンバーが治安部隊の襲撃を試みたが、軍・治安部隊が応戦、多数の戦闘員を殺傷した。

またラスタン市郊外、ハウラ地方などでは軍が反体制武装勢力のアジトを破壊した。

さらにタルビーサ市近くのダマスカス・アレッポ街道上で旅客バスが反体制武装勢力の砲撃を受け、乗っていた2人が負傷した。

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イドリブ県では、『サウラ』(12月4日付)によると、ムハムバル村、ビンニシュ市、タフタナーズ市、トゥウーム村、ダイル・サンバル村、サルジャ村、イドリブ・ハーリム街道、アリーハー市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

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ザマーン・ワスル(12月3日付)は、自由シリア軍最高軍事評議会議長のムスタファー・シャイフ准将の甥のハーリド・シャイフ少尉がイドリブ県で何者かに殺害されたと報じた。

ハーリド・シャイフ少尉は今年の夏に軍を離反したが、イドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所がサラフィー主義者の手に落ちる前に、投降し、軍に復帰していた。

シリア政府の動き

シリア外務在外居住者省はクリントン米国務長官の発言(後述)に対して、声明を出し、「いかなる状況下においても、こうした兵器(化学兵器)が国民に対して使用されることはない」と発表した。

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アクス・サイル(12月3日付)は、アサド大統領がジャーミア・ジャーミア少将を空軍情報部アレッポ支部長に任命した、と報じた。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月3日付)は、シリア外務在外居住者省のジハード・マクディスィー報道官が家族とともにシリア国外の「安全な場所」に脱出、政権を離反したと報じた。

同報道によると、マクディスィー報道官一家は11月30日にシリアを出国したという。

またマナール(12月3日付)は、マクディスィー報道官が外務在外居住者省の許可を得ず、ベイルート国際空港からロンドンに出国、これを受け、同報道官が規律違反で解任された、と報じた。

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アナトリア通信(12月3日付)は、自由シリア軍のアブー・アンマールを名乗る司令官が、「同胞は今のところ、ダマスカス国際空港の戦闘に関する事態を掌握している。現地では具体的な進展があり、戦闘は近く自由シリア軍優位のもとに決着するだろう」と述べたと報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月3日付)は、革命軍事評議会のハサン・アブドゥッラー大佐が、ハサカ県ラアス・アイン市のクルド人住民に向け、「我々はあなたたちとシリアを解放するためにやって来た…。我々はシリアのいかなる成員にも敵対しない…。自由シリア軍にはクルド人もいる」との声明を発表したと報じた。

同声明によると、2日にシリア・クルド国民評議会と自由シリア軍ラアス・アイン市合同指令部が、民主統一党と自由シリア軍の停戦、捕虜交換などについての協議を行い、民主統一党による武装放棄と同市の引き渡しに48時間の猶予を与えた、という。

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アクス・サイル(12月3日付)は、内務省組織運営局のズィヤード・ハマド・バディーウィー局長が離反し、ヨルダンに逃走したと報じた(未確認情報)。

レバノンの動き

ナジーブ・ミーカーティー首相は首相府でのシリア人避難民問題への対応をめぐるUNHCRなどとの会合で、「レバノンだけでは彼ら(シリア人避難民)の負担を支援しきれない」と述べ、支援を求めた。

諸外国の動き

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がトルコを訪問し、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相と会談、シリア情勢について協議した。

会談後の記者会見で、プーチン大統領は、「シリア情勢の正常化の手段をめぐって、ロシアとトルコは今のところ共通のビジョンに達していない」と述べた。

またパトリオット・ミサイル配備に関して「国境地帯への伝統的兵器の配備は事態を沈静化させず、逆に緊張化させる」と指摘した。

一方、エルドアン首相は、「シリア危機を巡ってある程度両国は接近している」としつつ、「多大なる努力を通じて、明確な共通点に達するべく協力するだろう」と述べた。

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『ハヤート』(12月4日付)などは、トルコ治安筋の話として、トルコ政府がシリアのハサカ県ラアス・アイン市の自由シリア軍の拠点に対するシリア軍の空爆を受け、ヂャルバクル基地からF16戦闘機を派遣する一方、地上部隊を対シリア国境地帯に展開させた、と報じた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は訪問中のプラハでアサド政権による化学兵器使用の可能性について言及、「米国にとってレッドラインである…。アサド政権が国民に対して化学兵器を使用したことが明らかになったときの具体的措置について言及はしない。しかし、我々は必ずこうしたことが起きたら行動すると言うだけで十分だろう」と述べた。

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バラク・オバマ米大統領は、アサド政権による化学兵器使用の可能性について、「世界は見張っている…。もしお前がこれらの兵器を使うという悲劇的な間違えを犯したら、結果が生じ、お前は責任を負うだろう」と述べた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、「我々はこれまでにも増して、シリアの化学兵器のことが心配だ。なぜなら米国が心配しているからだ」と述べた。

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Wired.comのDanger Room(12月3日付)は、米国高官(匿名)の話として、アサド政権がサリンガス製造に必要な化学物質の調合を始め、「物理的に、彼らは航空機に搭載し、投下する段階に達した」と報じた。しかし同記事は同高官の発言の根拠については報じなかった。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はAFP(12月3日付)に対して、「(アサド政権の崩壊)はいつでも起こり得る…。現地ではシリアの反体制勢力が政治的、軍事的に前進していることは明らかだ。毎日進軍している…。戦闘は今やダマスカスで行われている」と述べた。

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イラクの運輸省のカリーム・ヌーリー報道官は、「イラクは領空を通過してシリアに向かうイランの航空機の検査を遵守している。疑わしい航空機の検査から目を背けているというもは正しくない…」と述べ、米紙の報道に反論した。

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エジプト航空高官は、運行が一時中止されていたカイロ・ダマスカス便を再び運休した、と発表した。

同高官によると、ダマスカスからの情報を受け、エジプト当局は第721便にカイロへの帰還を要請した、という。

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国連のマーティン・ニスルキー報道官は、ダマスカス郊外県での戦闘激化を受け、同国内での活動を無期限で停止し、約100人からなる職員(人道支援などにあたるスタッフ)のうち非常勤職員25人の出国を決定した、と発表した。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長付報道官のマイケル・マン氏は、ダマスカス郊外県での戦闘激化を受け、ダマスカス県内のEU代表部の職員を必要最低限に削減する、と発表した。

AFP, December 3, 2012、Akhbar al-Sharq, December 3, 2012, December 4, 2012、‘Aks al-Sayr, December 3, 2012、Danger Room, December 3, 2012f、al-Hayat, December 4, 2012、The Independent, December 4, 2012、Kull-na Shuraka’, December 3, 2012、al-Kurdiya News, December 3, 2012、al-Manar, December 3, 2012、Naharnet, December 3, 2012、Reuters, December 3, 2012、SANA, December 3, 2012、al-Thawra, December 3, 2012、Zaman al-Wasl, December 3, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

複数県で軍・治安部隊とヌスラ戦線の戦闘が活発化、民主的変革諸勢力国民調整委員会のアブドゥルアズィーム代表が露外相と面会しアサド政権に暴力停止を促すよう求める(2012年12月2日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダイル・アサーフィール市、バイト・サフム市など東グータ地方一帯で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、ドゥーマー市、ランクース市、サイイダ・ザイナブ町、ザバダーニー市、アルバイン市、ハラスター市、マダーヤー町、バービッラー市、ヤルダー市が砲撃を受けた。

またダーライヤー市は早朝に2度にわたって空爆を受けたという。

一方、『サウラ』(12月3日付)によると、ザマルカー町、シャイフーニーヤ村、ダーライヤー市、アクラバー村、バイト・サフム市、フジャイラ村、ダイル・アサーフィール市などで、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら「指名手配中のアル=カーイダのテロリスト」数十人を軍の部隊が殲滅、外国製の兵器などを押収した。

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ヒムス県では、SANA(12月2日付)によると、ヒムス市ハムラー地区で爆発があり、市民15人が死亡、24人が負傷した。

シリア・アラブ・テレビ(12月2日付)は、爆発が車爆弾によるテロだと報じた。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、ハムラー地区はシリア軍が数ヶ月前に反体制武装勢力から奪還した地区、だという。

一方、『サウラ』(12月3日付)によると、軍がヒムス市内および郊外でシャームの民のヌスラ戦線のアジトを攻撃し、「テロリスト」数十人を殺傷した。

またクサイル市郊外の対レバノン国境では、シリア領内への潜入を試みる反体制武装勢力戦闘員を国境警備隊が撃退した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、アクラブ町の軍検問所を反体制武装勢力が制圧した。制圧に際して、反体制武装勢力の戦闘員8人が死亡した、という。

一方、『サウラ』(12月3日付)によると、アクラバー村で軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、戦闘員数十人を殺害した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市南東部のサフィーラ地方で未明から朝にかけて、シャームの民のヌスラ戦線が国防省施設への突入を試みたが、軍の空爆を受けて、戦闘員8人が死亡した。

またシリア人権監視団は、アレッポ市南部の入り口に位置するナイラブ橋、シャイフ・サイード橋で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、軍・治安部隊が両橋の検問所から撤退した、と発表した。

一方、『サウラ』(12月3日付)によると、シャイール村、バービンス村、ファーフィーン村、アムリート村、カッバースィーン村、ターリヤ村、アズィーザ村、登塔者聖シメオン教会(スィムアーン修道院)跡付近、ダーラ・イッザ市などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊・押収した。

またアレッポ市ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

アレッポ市マルジャ地区では、アレッポ市全地区からのテロリストの退去を求めるデモが行われたが、反体制武装勢力が発砲し、複数の参加者が負傷した。

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イドリブ県では、『サウラ』(12月3日付)によると、イドリブ・ハーリム街道の水資源公社施設近くで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、戦闘員数十人を殺害した。

またアリーハー・イドリブ街道、ムハムバル村などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラッカ県では、『サウラ』(12月3日付)によると、ラッカ市東部のサブハ地方、カラーマ地方で、軍が道路封鎖を行っていた反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、『サウラ』(12月3日付)によると、バイト・ファーリス村・サラヤー村間に集結していた反体制武装勢力を軍が攻撃、殲滅した。

またサルマー町、カフフ・アドラー村、ワーディー・アズラク村、ワーディー・ダウリーン、ナビー・ユーヌス村などで軍が反体制武装勢力の追撃を行い、甚大な被害を与えた。

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アナトリア通信(12月2日付)は、ハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)レイハンル村にシリア領から発射された迫撃砲が複数着弾した、と報じた。

トルコ軍が応戦したかどうかは不明。

同報道によると、迫撃砲着弾と前後して、イドリブ県バーブ・ハワー国境通行所付近で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

シリア政府の動き

シリアのファイサル・ミクダード外務副大臣は、モスクワでの国際外交慈善年次展覧会の開会式に出席するためロシアを訪問し、ロシア外務省高官らとシリア情勢について協議した

シリア・アラブ・テレビ(12月2日付)によると、会談で、ミクダード外務副大臣は、シリア危機への対応をめぐってシリア・ロシア関係は強化されたと述べた。

一方、ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、「シリア情勢の悪化…とりわけ紛争が明らかに宗派対立の様相を呈していることに大いなる懸念を表明する」と述べた。

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は、セルゲイ・ラブロフ外務大臣らとの会談のためロシアを訪問した。

Kull-na Shuraka', December 2, 2012
Kull-na Shuraka’, December 2, 2012

RT(12月2日付)によると、アブドゥルアズィーム代表はロシア側との会談で、アサド政権による暴力が、ジハード主義者の暴力と湾岸アラブ諸国などによるシリア国民懐柔を助長すると述べ、アサド政権による暴力停止を促すようロシア側に求めた。

また、アサド政権下の憲法改正に代表される一連の改革を拒否する姿勢を示す一方、外国による軍事介入にも改めて反対、安保理諸国内、さらにはトルコ、イラン、カタール、サウジアラビアとそれ以外のアラブ諸国の間でのコンセンサスを通じて、ジュネーブ合意に基づく危機解決が初めて可能になるとの見方を示した。

一方、タルトゥース市にあるロシア海軍の基地に関しては、体制転換後も存続させる意向を示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のハイサム・マーリフ法務委員会委員長は『ハヤート』(12月3日付)に対して、カイロでの会合で「きわめて重要な多くの問題を処理した」と述べ、審議事項の承認・決定を先送りしたとの一部見方を否定した。

マーリフ法務委員会委員長は「政治局メンバーの選定だけを延期したに過ぎない…。メンバーは(連合の)議長によって指名され、マラケシュでの会合で合意を得るだろう…。暫定政府首班と閣僚の自然も(マラケシュでの)会合まで延期された。合意か選挙で選出するという点をめぐって意見の相違はない」と述べた。

一方、マーリフ法務委員会委員長は、カイロでの会合で、シリア国民評議会を廃止し、反体制勢力が「双頭体制」とならないようにすべきだとの提案を行ったが、この提案は却下されたことを明らかにした。

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クッルナー・シュラカー(12月2日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立に対抗するシリア国民民主同盟の組織図および主要な構成メンバーを公開した。

Kull-na Shurakā’, December 2, 2012
Kull-na Shuraka’, December 2, 2012

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月2日付)は、イラク・クルディスタン地域のマスウード・バールザーニー大統領の庇護のもと、シリア・クルド民主党(アル・パールティ)アブドゥルハキーム・バッシャール派、シリア・クルド・アーザーディー党ムスタファー・ウースー派(クルド青年運動党)、同ムスタファー・ジュムア派、シリア・クルド・イェキーティー党(イスマーイール・ハミー)が、新たな政治同盟「シリア・クルド政治同盟」の結成に向けた準備を進めていると報じた。

レバノンの動き

レバノン軍司令部によると、ベカーア県カーア地方(マシャーリーウ・カーア)の軍の拠点が早朝にシリアの反体制武装勢力の発砲を受け、応戦した。死傷者は出なかった。

反体制武装勢力の戦闘員はカー地方からシリア領内に潜入しようとしていた、という。

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アドナーン・マンスール外務大臣は訪問先のトルコのイスタンブールでシリア情勢に関して、「いかなる外国の軍事勢力、介入があってはならない…。対話こそが唯一の危機解決策」と述べた。

AFP, December 2, 2012、Akhbar al-Sharq, December 2, 2012、al-Hayat, December 3, 2012、Kull-na Shuraka’, December 2, 2012、al-Kurdiya News,
December 2, 2012、Naharnet, December 2, 2012、Reuters, December 2, 2012、SANA,
December 2, 2012、al-Thawra, December 3, 2012などをもとに作成。

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東京でアラブ連盟、GCC、EU諸国などが参加するシリアの友連絡グループ会合が開かれるなか、シリア各地では「自由シリア軍浄化」「革命浄化」を訴えるデモが実施される(2012年11月30日)

国内の動き

AFP(11月30日付)は、シリア各地で「自由シリア軍浄化」「革命浄化」を訴えるデモが実施されたと報じた。

アレッポ市シャッアール地区でのデモとされる映像(フェイスブック)では、「我々はイスラーム軍が必要だ。自由シリア軍は盗人だ」、「自由シリア軍よ、前線出ていて」、「人民は自由シリア軍の改革を望む」といったシュプレヒコールが叫ばれ、市街地を占拠する反体制武装勢力の退去が訴えられた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、29日夜以来インターネット、国際電話、携帯電話回線の遮断が続くなか、ダマスカス国際空港街道付近を軍が空爆、またアクラバー村、バービッラー市、ダーライヤー市、アルバイン市、バイト・サフム市周辺などで軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

地元調整諸委員会によると、戦闘はダマスカス国際空港西側で激しく行われており、反体制武装勢力は空港防衛の任務に就く軍の兵舎を砲撃、また「空港街道の第2陸橋から第4陸橋の区間を制圧した、という。

『ハヤート』(12月1日付)は、ダマスカスの外交筋の話として、軍による攻勢は、反体制武装勢力の寸断と、ダマスカス郊外県南東部の制圧を目的としている、という。

同外交筋は、「軍の砲撃が自由シリア軍戦闘員の寸断に成功したかどうかは分からないが。これまでの経験からすると、彼らはいずれにしてもすぐに復活する…。ダマスカス攻撃は最終段階に入っているのだと思う」と付言したという。

ダマスカス国際空港のギーダー・アブドゥッラティーフ社長は、AFP(11月30日付)に対して、「ダマスカス国際空港は通常通り動いている。空港か移動は100%安全だ」と述べた。

アブドゥッラティーフ社長は「昨日は…街道の状況悪化を受けて、運行中止を求める電報を送ったが、街道の事態が収拾したので、(現在は)まったく逆に運行再開を求める電報を送った」と付言した。

そのうえで、「アルジェリア航空、アラビーヤ航空、イラク航空、イラン航空、エジプト航空が予定通り離着陸を行い、モスクワ、アルジェ、ドバイ、クウェートからの便が午前中に空港に着陸した」ことを明らかにした。

しかし第23ゲートは「技術的理由」で閉鎖されている、という。

一方、国連のファルハーン・ハック副報道官は、ダマスカス国際空港に向かっていた13台の車輌からなるUNDOFの車列が何者かの銃撃を受け、オーストリア軍兵士2人が負傷した、と発表した。AFP(11月30日付)が報じた。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(11月30日付)が、イランのアーラム・チャンネルの放送用車輌が爆破された、と報じた。

アーラム・チャンネル事務所の監視カメラには、何者かが車輌に爆弾を仕掛けて、逃げ去る映像が映っていた。

死傷者はなかった。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団が、マヤーディーン市北部のウマル油田から軍が撤退することで、ダイル・ザウル市以東の軍事拠点のすべてを放棄したと発表した。

同監視団によると、11月4日、反体制武装勢力がワルド油田を制圧、11月18日には、ジャフラ油田を制圧、11月27日にはコノコフィリップ社の工場・油田で軍兵士45人の離反を受けて制圧していた、という。

なお同監視団によると、軍はダイル・ザウル県西部のティーム、マズラア、ヒラータ、マハーシュ、バシャリーの油田を依然掌握している、という。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(11月30日付)によると、カーミシュリー市で民主統一党人民防衛隊(YPG)とタイイ部族(アラブ人)の体制支持派の民兵が約1時間にわたって交戦した。

同報道によると、交戦は、市内の検問所が軍・治安部隊からYPGに移管されたことが原因だという。

一方、クルディーヤ・ニュース(12月1日付)によると、衝突は市内の女性連合本部の占拠を試みた体制支持派と、彼らの退去を求めた民主統一党の間で発生したという。

タイイ部族の戦闘員はムハンマド・ファーリス元人民議会議員が組織した。

ファーリス元議員はカーミシュリー市で人民保護諸委員会を設置、指導している。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(11月30日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市での民主統一党と自由シリア軍の捕虜交換の交渉が失敗に終わった、と報じた。

同報道によると、失敗の原因は、交渉場所であるラアス・アイン市中心部上空を軍のヘリコプターが4時間以上にわたって旋回していたため。

また交渉では、民主統一党が自由シリア軍によるラアス・アイン市・ダルバースィーヤ街道襲撃、西クルディスタン人民議会のラアス・アイン議長のアービド・ハリール暗殺を非難した。

一方、自由シリア軍は27日に民主統一党人民防衛隊(YPG)の戦闘員3人を釈放したにもかかわらず、民主統一党が自由シリア軍の戦闘員の釈放を行おうとしないと批判した。

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クッルナー・シュラカー(11月30日付)は、ヒラール・アサドが率いるシャッビーハ約200人が政権を離反したと報じた(未確認情報)。

レバノンの動き

『ハヤート』(12月1日付)などは、治安筋の話として、レバノン北部県トリポリ市出身のレバノン人戦闘員17人がヒムス市郊外で、シリア軍の要撃を受けて、殺害された、との情報が流れた。

別の治安筋によると、要撃で死亡したのは18~20人で、いつレバノンを出国したのは不明だという。

同消息筋によると、殺害された戦闘員のうち3人はファタハ・イスラームの戦闘員で、それ以外はサラフィー主義者で、「スンナ派救済」のためにシリアに潜入したのだという。

さらに別の消息筋によると、彼らは総勢25人でヒズブッラーに対抗するかたちで二手に分かれ、29、30日にシリアに潜入したが、潜入を監視されていた可能性が高く、要撃を受け、17人が死亡、8人が逃走した、という。

諸外国の動き

東京でシリアの友連絡グループ会合が開かれ、アラブ連盟、GCC、EU諸国など67カ国の参加、「国際社会、とりわけ国連安保理に…シリア政府への圧力を強化するため、早急且つ断固たる行動を責任をもってとるよう」呼びかける声明を出し、シリアへのさらなる制裁を呼びかけた。

会合冒頭で玄馬光一郎外務大臣は「国際社会が圧力を加えることが重要」、「国際社会による反政府勢力への支援が不可欠」などと述べ、アサド政権を含むすべての当事者の対話を通じた解決を定めたシリア問題をめぐる一連の決議や6月のジュネーブ会議での関係各国の合意を無視する意向を暗に示した。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は国連総会でシリア情勢について報告、そのなかで「現下の悲劇を終わらせ、国民の意思に応える新たなシリア」を建設するための政治プロセスが開始されなければ、シリアが「失敗国家」に転落すると警鐘を鳴らした。

ブラーヒーミー共同特別代表は、当事者どうしの暴力を停止させるため、「充分に教練された強力な監視機関を展開させ…、それは強大な平和維持軍を通じてよりよい方向へと組織され得る」との見方を示し、そのために安保理決議を採択する必要があると強調した。

また移行プロセスを成功させるうえで、反体制勢力の統合が重要だとし、シリア革命反体制勢力国民連立を「正しい方向への重要なステップ」と評価した。

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ロシアのアレクサンドル・グルシュコNATO代表は、ブリュッセルでのロシアNATO会合で、トルコの対シリア国境地域へのパトリオット・ミサイル配備に関して、「シリア情勢にNATOを関与させようとするあからさまな措置」と批判した。

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国連難民高等弁務官は、シリア赤新月社に登録されているヒムス市および郊外の国内避難民の数が25万人に達していると発表し、紛争当事者に、彼らが戦闘の「標的」とならずに避難するための「回廊」を設置するよう呼びかけた。

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ロイター通信(11月30日付)は、ハッカー集団アノニマスが、シリアでのインターネット通信の遮断に異議を唱え、シリア国外のサーバーを使用しているシリア政府関連のインターネットサイトにサイバー攻撃をかけるとの意思を表明したと報じた。

AFP, November 30, 2012、Akhbar al-Sharq, November 30, 2012、al-Hayat, December 1, 2012、Kull-na Shuraka’, November 30, 2012、al-Kurdiya News,
November 30, 2012, December 1, 2012、Naharnet, November 30, 2012、Reuters,
November 30, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス郊外県ジャルマーナー市の二か所で車2台が連続して爆発し34人が死亡、シリア革命反体制勢力国民連立が暫定政府設置に関する会合を開催(2012年11月28日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(11月28日付)によると、ジャルマーナー市の二カ所で爆弾が仕掛けられた車2台が連続して爆発し、34人が死亡、80人以上が負傷した。

シリア人権監視団によると、死者は54人、負傷者は120人以上にのぼった。

連続爆弾テロが発生したのは市内のラウダ地区とカルヤート地区。

AFP(11月29日付)は、住民の話として、1台目の車は幹線道路で爆発し、住民が爆発現場に集まるなかで、2台目の車が反対車線で爆発した、と報じた。

しかし、クッルナー・シュラカー(11月28日付)は、ジャルマーナー市の複数の消息筋の話として、連続爆弾テロの直前に、現場近くに治安機関の軍用車が停車しており、乗っていた一団が実行犯で、政権支持者(ドゥルーズ派住民)による自作自演の可能性が高いと報じた(未確認情報)。

SANA, November 28, 2012
SANA, November 28, 2012
SANA, November 28, 2012
SANA, November 28, 2012
SANA, November 28, 2012
SANA, November 28, 2012
SANA, November 28, 2012
SANA, November 28, 2012

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同じくダマスカス郊外県では、SANA(11月28日付)によると、フジャイラ村でも、反体制武装勢力が仕掛けようとしていた爆弾が誤爆し、戦闘員8人が死亡、13人が負傷した。

ダーライヤー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、ブワイダ市、ザマルカー町、アルバイン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員など複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

一方、シリア軍筋によると、ダマスカス県の幅約8キロにわたって「防衛ライン」が確保され、反体制武装勢力の拠点を殲滅、少なくとも66人の戦闘員を殺害した。

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アレッポ県では、AFP(11月29日付)の記者が、ダーラ・イッザ地方で、反体制武装勢力が軍の戦闘機を撃墜したと報じた。

『ハヤート』(11月29日付)によると、撃墜されたのはMiG戦闘機かスホーイ戦闘機で、シャイフ・スライマーン防空大隊基地近くのタルマーニーン村から約1キロ離れた地点のオリーブ畑に墜落した。

AFPによると、撃墜したのは「ダーラ・イッザ自由人」を名乗る集団で、シリア人権監視団によると、撃墜には地対空ミサイルが使用されたという。

またAFP(11月28日付)は、複数の目撃者の証言として、パイロット2人はパラシュートで脱出、うち1人は反体制武装勢力に捕捉され、もう1人は行方不明だ、と報じた。

その後、ユーチューブ(11月28日付)で、パイロットだとされる血まみれの男性の遺体が搬送される映像がアップされた。だが『ハヤート』(11月29日付)によると、戦闘機にパイロットが何人搭乗していたのか、また映像の男性がパイロットなのかの事実確認はとれない、という。

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サーフール地区、マイダーン地区で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(11月28日付)によると、ムスリミーヤ村、ダーラ・イッザ市、カフルハムラ村、ミンタール村、アッザーン市、アンジャーラ村、アレッポ市ブスターン・カスル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、旧市街、ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、スルターニーヤ地方、ヒムス市ダイル・バアルバ地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数が死傷した。

一方、SANA(11月28日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、バーブ・フード地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃するなどして、多数の戦闘員を殺傷した。

またハウラ地方などでは、軍・治安部隊がシャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員の追撃を継続し、多数の戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

このほか、タッルカラフ市郊外では、レバノン領内からの潜入を試みる反体制武装勢力を軍・治安部隊が撃退した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(11月29日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市南部で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦し、また同市などに対して空爆が行われた。

一方、SANA(11月28日付)によると、ファイルーン村、カフルルーヒーン村、ビンニシュ市、ビクファルーン村、クーリーン村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを破壊、多数の戦闘員を殺傷した。

またハーリム市、ジスル・シュグール市および郊外では、軍・治安部隊がイドリブ殉教者旅団を名乗る武装勢力や外国人戦闘員を追撃、戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(11月28日付)によると、ブスラー・シャーム市で爆弾が仕掛けられた車が自爆し、市民2人が死亡、7人が負傷した。

国内の動き

ジャルマーナー市での連続爆破テロの負傷者が搬送されたダマスカス県ムワーサー病院を訪れたムハンマド・ヤフヤー・マアッラー高等教育大臣は「テロ行為」と批判した。

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SANA(11月28日付)によると、ダマスカス郊外県ジャルマーナー市では、連続爆破テロの発生を受け、市民数千人が犠牲者を悼む行進を行った。

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クッルナー・シュラカー(11月28日付)は、シリア・ポンドが闇レートで1ドル95ポンドまで急落した、と報じた。

公定レートでは1ドル71.28ポンドだという。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立はカイロで暫定政府設置に関する会合(29日までの予定)を開催した。

ジャズィーラ(11月28日付)によると、会合では、東京での「シリアの友連絡グループ」会合に合わせて、暫定政府首班の人選を行うことに力点が置かれた。

ロイター通信(11月28日付)によると、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相(ヨルダン在住)、アスアド・ムスタファー元農業大臣(クウェート在住)らが首班の候補者として名前があがっている、という。

しかし、『ハヤート』(11月29日付)によると、カイロでのシリア革命反体制勢力国民連立の会合では、定数63議席中27議席を占めるシリア国民評議会が議席の増加を冒頭に要求、出席者どうしの対立が表面化した。

シリア国民評議会のメンバー(匿名)によると、「この問題が解決するまで、事態の進展はない」という。

また会合出席者の一人は、「(連立は)、季節に合わせて混ぜたり、何かを加えたりするサラダじゃない。シリアの未来は危機に瀕している。ムスリム同胞団は、議席の半分を実質的に押さえているのに、さらに多くのタカ派を連立に送り込もうとしている」とシリア国民評議会の姿勢を批判した。

シリア革命反体制勢力国民連立メンバー以外の反体制活動家も多数、会合が開かれたホテルに現れたが、その多くはシリア・ムスリム同胞団のメンバーないしはそれに近い活動家だったという。

一方、別の出席者によると、「問題はムスリム同胞団をめぐる問題よりも大きい。我々は部族的な分配の思考を克服できるように思う。もっとも重要な問題、すなわち(暫定)政権の発足と国際社会の対応が若干延期されるだけだ」と述べ、事態収拾が可能だとの見方を示した。

また、別の参加者は「ほとんどの発言は、リヤード・サイフとムスタファー・サッバーグによって行われている。アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長はほんの少し発言しただけだ」と述べた。

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クッルナー・シュラカー(11月29日付)によると、カイロでのシリア革命反体制勢力国民連立会合の招聘者・出席者は以下の通り

  • ジョルジュ・サブラー(シリア国民評議会)
  • アブドゥルバースィト・スィーダー(シリア国民評議会)
  • アブドゥルアハド・アスティーフー(シリア国民評議会)
  • ハーリド・サーリフ(シリア国民評議会)
  • ファールーク・タイフール(シリア国民評議会)
  • アフマド・ラマダーン(シリア国民評議会)
  • ヒシャーム・ムルーワ(シリア国民評議会)
  • ハーリド・ナースィル(シリア国民評議会)
  • サーリム・ムスラト(シリア国民評議会)
  • ルワイユ・サーフィー(シリア国民評議会)
  • サミール・ナッシャール(シリア国民評議会)
  • ハイサム・ラフマ(シリア国民評議会)
  • フサイン・サイイド(シリア国民評議会)
  • ジャマール・ワルド(シリア国民評議会)
  • ムハンマド・ヤフヤー・マクタビー(シリア国民評議会)
  • ワースィル・シャマーリー(シリア国民評議会)
  • ムナー・ムスタファー(シリア国民評議会)
  • マルワーン・ハッジュー(シリア国民評議会)
  • ナズィール・ハキーム(シリア国民評議会)
  • バドル・ジャームース(シリア国民評議会)
  • アフマド・サイイド・ユースフ(シリア国民評議会)
  • ハッサーン・ハーシミー(シリア国民評議会)
  • ムンズィル・マーフース(無所属、シリア国民評議会)
  • ブルハーン・ガルユーン(無所属、シリア国民評議会)
  • リヤード・サイフ(無所属、シリア国民評議会)
  • アフマド・アースィー・ジャルバー(シリア部族革命評議会、シリア国民評議会)
  • ムスタファー・サッバーク(シリア・ビジネスマン・フォーラム、シリア国民評議会)
  • フサイン・アブドゥッラー(トルクメン組織、シリア国民評議会)
  • ハーリド・ハウジャ(トルクメン組織、シリア国民評議会)
  • ナジーブ・ガドバーン(シリア国民評議会):欠席
  • ヤフヤー・ウカーブ(シリア国民民主ブロック、シリア国民評議会)
  • リーマー・フライハーン(スワイダー地元評議会)
  • ワリード・ブンニー(無所属)
  • カマール・ルブワーニー(無所属)
  • ハイサム・マーリフ(革命評議会)
  • サーディク・ジャラール・アズム(シリア作家連盟):欠席
  • タウフィーク・ドゥンヤー(無所属):欠席
  • アブドゥルカリーム・バッカール(無所属)
  • バッサーム・ユースフ(自由民主シリアのための「ともに」潮流)
  • タイスィール・ナッジャール(アラブ社会主義連合民主党)
  • ユースフ・アブダルキー(共産主義行動党):欠席
  • マルワーン・カーディリー(シリア・ウラマー連盟)
  • ズィヤーダ・ハサン(トルクメン組織)
  • スハイル・アタースィー(シリア革命総合委員会)
  • ジャービル・ズアイン(地元調整諸委員会)
  • ハーリス・ナッバハーン(市民権潮流)
  • ジャラールッディーン・ハーンジー(アレッポ地元評議会)
  • アドナーン・ラフムーン(イドリブ地元評議会)
  • ムハンマド・ムスタファー・ムハンマド(ハサカ地元評議会)
  • ムスタファー・ナウワーフ・アリー(ラッカ地元評議会)
  • ムーサー・ムハンマド・ハリール(クナイトラ・ゴラン地元評議会)
  • ズィヤード・ガッサーン・ライイス(ラタキア地元評議会)
  • サラーフッディーン・ハマウィー(ハマー地元評議会)
  • アブドゥルイラーフ・ファフド(ヒムス地元評議会)
  • ムハンマド・フサイン・カッダーフ(ダルアー地元評議会)
  • アフマド・ムアーッズ・ハディーブ(ダマスカス地元評議会)
  • リヤード・ハサン(ダイル・ザウル地元評議会)
  • ジャワード・アブー・ハトブ(ダマスカス郊外地元評議会)
  • ムハンマド・アブドゥッサラーム・サイイド(タルトゥース地元評議会)
  • ハビーブ・イーサー(民主的変革諸勢力国民調整委員会):欠席
  • フサイン・アウダート(民主的変革諸勢力国民調整委員会):欠席
  • ハーリド・アブー・サラーフ(無所属):欠席
  • アーリフ・ダリーラ(民主的変革諸勢力国民調整委員会):欠席
  • アロー・サドルッディーン・バヤーヌーニー(シリア・ムスリム同胞団)
  • ヤフヤー・クルディー(無所属):欠席
  • ミシェル・キールー(シリア民主フォーラム):欠席
  • アブドゥー・フサームッディーン(政権離反者)
  • アブドゥルハキーム・バッシャール(シリア・クルド国民評議会):欠席
  • ムスタファー・ウースー(シリア・クルド国民評議会):欠席
  • アブドゥー・カッドゥー(シリア・クルド国民評議会):欠席

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国民行動グループのムハンマド・ヤースィーン・ナッジャールは『ハヤート』(11月29日付)に、女性メンバー不在だったシリア国民評議会現事務局に、ラファー・ムハンディス(国民行動グループ)、ムナー・ジュンディー(国民具ロック)、タグリード・ハジャリー(シリア自由人連合、ズィヤード・アブー・ハムダーンと交替)が選出されたことを明らかにした。

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アレッポ県北部で反体制武装闘争を続けるアフマド・ファッジュ准将は、AFP(11月28日付)に対して、アターリブ市郊外の第46中隊基地を制圧し、地対空ミサイルを奪取したと述べた。

レバノンの動き

ワーイル・アブー・ファーウール社会問題大臣(進歩社会主義党)は、レバノン国内のシリア人避難民が急増した場合、避難民キャンプを設置する可能性を排除しない、と述べた。

しかし現在閣内では避難民キャンプについての議論はなされていない、という。

諸外国の動き

国連総会第3委員会は、反体制武装勢力・サラフィー主義者によるテロと、政府軍によるその掃討作戦の激化を受け、シリア政府による「深刻且つ体系的な人権侵害」を非難するとともに、「すべての当事者にあらゆる暴力の停止」を呼びかける決議を採択した。

決議案は、アサド政権と敵対する欧米諸国、湾岸アラブ諸国20カ国が提出し、122カ国が賛成した。

キューバ、北朝鮮など12カ国が反対、35カ国が棄権した。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は総会第3委員会で、欧米諸国などが提出したシリア非難決議に対して、武装テロ集団とこれらの集団を支援する国家を非難していないと述べ、決議がシリア国内での暴力の激化を助長することにつながると非難した。

そのうえで、シリア国民が、国連人権規約に反する人権問題を抱えるサウジアラビアやカタールといった国々の干渉を排除し、自らの手で公正と平等に基づく社会を建設することをめざしている、と訴えた。

SANA(11月28日付)が報じた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ロシア紙(Аргументы и Факты)に対して、「いかなる状況であっても、ロシアを武力紛争に引き込むことを話題にする余地はない。タルトゥース港でのロシア海軍基地への技術的・物的支援は通常通り行われている…。軍事・技術分野で数年にわたる(シリアへの)支援は、何よりもまず、中東の安定を支援するためで、シリア国内のいかなる勢力をも支援することを目的としてない」と述べた。

AFP, November 28, 2012、Akhbar al-Sharq, November 28, 2012、Aljazeera.net, November 28, 2012、al-Hayat, November 29, 2012、Kull-na Shuraka’, November 28, 2012, November 29, 2012、al-Kurdiya
News, November 28, 2012、Naharnet, November 28, 2012、Reuters, November 28,
2012、SANA, November 28, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

カイロでシリア国民民主同盟大会が開会するなか、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会が自由シリア軍に対抗するための「クルド統合軍」を発足することで合意(2012年11月23日)

国内の動き

アサド大統領がダマスカスを訪れたイランのアリー・ラーリージャーニー諮問評議会(国会)議長と会談した。

SANA, November 23, 2012
SANA, November 23, 2012

会談で、アサド大統領は、イラン政府によるシリア国民への支援と、政治的対話支持の姿勢を高く評価し、国民対話を成功させ、シリアおよび地域全体の不安定化を狙ったテロと戦い続けるとの意思を示した。

またシリア情勢への対応のほか、イスラエルによるガザ空爆の失敗とパレスチナ人レジスタンスの勝利などについて協議した。

会談後の記者会見で、アサド大統領は、「(ラーリージャーニー議長訪問は)緊急訪問ではない…。我々とイラン高官は様々なレベルで常に連絡を取り合っている。しかし訪問が国会議長レベルとなれば、それ以外の高官との間で最近行われたすべての会談が総括される。とくに、急速に進展する事態や、ガザに対するイスラエルの攻撃を踏まえ、我々は過去の会談を再評価した。もちろんイスラエルの攻撃は私とラーリージャーニー議長博士の今日の会談では大きく取り上げた」と述べた。

SANA(11月23日付)が報じた。

シリア・アラブ・テレビ(11月23日付)によると、ダマスカス国際空港に到着したラーリージャーニー議長は、記者団に対して、「シリアに問題を作り出すことで、地域においてアドベンチャーを行おうとしている者がいる…。改革の名のもとに衝動的な行為を行い、混乱をもたらそうとしている武装集団もあるが、そうした試みが実現することはないだろう」と述べた。

また、ラーリージャーニー議長はシリア出国後にレバノンに到着、ベイルートでナビーフ・ビッリー国民議会議長と会談した。

SANA(11月23日付)によると、会談後、ラーリージャーニー議長は記者団に対して、シリアへの軍事介入を拒否するとの姿勢を示した。

SANA, November 23, 2012
SANA, November 23, 2012

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シリアの外務在外居住者省は声明を出し、トルコのNATOへのパトリオット・ミサイル配備要請に関して「新たなる挑発的措置」と評し、トルコ政府が「シリア・トルコ国境における事態の軍事化、緊張・被害の増大をもたらし、友好的な両国国民の利害を損ねている」と批判した。

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シリア・カトリック教会ハサカ司教区のベフナーン・ヒンドゥー大司教は書簡を出し、ローマ法皇、国連、国際社会に対して、ジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東)への支援と、戦火拡大回避への努力を呼びかけた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市で、軍・治安部隊の砲撃により反体制武装勢力の戦闘員5人が死亡した。

一方、SANA(11月23日付)によると、ザマルカー町、アルバイン市、アイン・タルマー村、ズィヤービーヤ町、ダーライヤー市、フジャイラ村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を継続し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(11月23日付)によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区、スッカリー地区、ムスリミーヤ地区、シャイフ・ルトフィー村、カフルナーハー村、アターリブ市、ファーフィーン村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市マルジャ地区では、数百人の市民が「テロリスト退去」を訴え抗議デモを行い、反体制武装勢力がデモの排除を試み、子供1人を殺害、複数を負傷させた、という。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市の軍住宅機構近くの軍・治安部隊の検問所で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、兵士3人が死亡、15人が負傷した。

一方、SANA(11月23日付)によると、サルミーン市・イドリブ市間の街道で反体制武装勢力が爆弾をしかけた車を爆破し、市民3人を殺害、多数を負傷させた。

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ハサカ県では、クルディーヤ・ニュース(11月23日付)によると、軍が戦車4輌、装甲車10輌、輸送車輌15輌をカーミシュリー市防衛のために増援した、と報じた。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月23日付)によると、ダイル・ザウル市各所、ブー・ウマル村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

また突撃大隊、ハムザ・ブン・アブドゥルムトリブ大隊を名乗る武装集団が、バアス党ダイル・ザウル支部の元メンバーでアラブ作家連盟会員のムハンマド・ラシード・ルワイリーら4人を殺害し、シリア軍の犯行だとする嘘の映像を公開した。

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ハマー県では、SANA(11月23日付)によると、ガーブ地方の街道の複数カ所で、シャームの民のヌスラ戦線が仕掛けた爆弾を爆破した。

反体制勢力の動き

シリア民主フォーラムは声明を出し、11月23日から25日でカイロで開催される反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)に関して、参加の意思を表明した。

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革命青年連合なる組織が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立に対して、カイロでの反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)に参加するよう呼びかけた。

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カイロで反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)が開会された。

大会は25日までの3日間の予定。

大会には、シリア民主フォーラムのミシェル・キールー、ハーズィム・ナハール、国民変革潮流のバッサーム・ブンニー、ワヒード・サクル、アンマール・カルビー、ヨルダンで活動するカマール・ルブワーニー(シリア革命反体制勢力国民連立)、ワリード・ブンニー、シリア自由人党のムンズィル・アクビークらが参加した。

また国内で活動する民主的変革諸勢力国民調整委員会も参加した。

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シリア・ヤズィーディー評議会なる組織が声明を出し、議長のマズキーン・ユースフ女史とスィルハーン・イーサー報道官がイラクのクルディスタン愛国同盟(PUK)の正式な招待を受け、イラク・クルディスタン地域を訪問する、と発表した。

クルド民族主義勢力の動き

イラク・クルディスタン地域のアルビール市で、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会の代表が11月21日から23日にかけてシリア北東部の治安対策に関して協議し、自由シリア軍に対抗するためのクルド統合軍を発足することで合意した。

西クルディスタン人民議会のムハンマド・ラシューはアルビール市で「あらゆる敵対行為からクルド地域を保護することを開始」するため、「いかなる組織にも属さない軍を設置することで原則合意した」と述べた。

ラシューはまた「自由シリア軍がラアス・アイン市をはじめとするクルド地域に来て以降、彼らはアラブ人地区に展開していただけだとの認識があった。しかしほどなく、彼らは、クルドの旗が掲げられているとの口実で、これらの旗を焼き、我々と交戦した」と述べた。

そのうえで「タウヒード旅団、シャーム外国人大隊、そしてときに(シャームの民の)ヌスラ戦線が、クルド人市民を襲っている…。自由シリア軍はこれらの組織との関係を否定することもあるし、関係を認めることもある」と付言した。

またフェヴェダールを名のる活動家は、「イラク・クルディスタン地域で、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会がクルド地区を保護し、治安を脅かす者から地域を防衛するためのクルド軍結成で合意した…。(軍は)民主統一党とクルディスタン地域のクルド人離反兵によって構成される」と述べた。

AFP(11月23日付)が報じた。

また西クルディスタン人民議会のアブドゥッサラーム議長もクルディーヤ・ニュース(11月23日付)に対して、シリアの主要なクルド民族主義政党・組織が「クルド統一軍」を結成することで合意した、と述べた。

レバノンの動き

レバノンの各メディアによると、軍事情報局がアーシューラの祝祭を狙った爆弾テロを計画していたとされるシリア人5人をナバティーヤ県ナバティーヤ市で逮捕した、と報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は記者団に対して、「武器の蓄積は脅威を投げかけ、多くの場合、力に訴えようと望む者たち(の暴力)を促す」と述べ、トルコ政府のNATOへのパトリオット・ミサイル配備要請を批判した。

またラブロフ外務大臣は、「兵器拡散は、危険な武力紛争を挑発する脅威を投げかけるものであり、我々はこうしたことによる代償を避けたいと考えている」と付言した。

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ロシア外務省は声明を出し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣がアナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長に対して、トルコへのパトリオット・ミサイル配備(要請)への懸念を伝えた、と発表した。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、チューリッヒ大学で講演し、トルコへのパトリオット・ミサイル配備(要請)に批判的立場をとるロシアの姿勢を「正当でない」と述べた。

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イラン外務省報道官は、トルコのNATOへのパトリオット・ミサイル配備要請に関して「シリアにおける事態の正常化に資さず、事態悪化と危機激化をもたらすだろう」と批判した。

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UNHCR報道官はジュネーブで記者団に対して、シリア人避難民の数が44万23256人に達したと発表した。

このうち21万3000人以上が9月以上に避難を余儀なくされ、12万7420人がレバノンに、12万5670人がヨルダンに、12万3747人がトルコに、5万5685人がイラクに、9734人が北アフリカ諸国など逃れた、という。

またシリア国内で支援が必要な市民の数は約250万人で、そのうち95%が国内避難民だという。

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イラクのクルディスタン愛国同盟(PUK)政治局のサアディー・アフマド・ビーラは、AFP(11月23日付)に対して、シリアのクルド人はイラクのクルド人に軍事支援を要請していないとしたうえで、「我々はシリアのクルド人からの武器支援に関する要請を認めたことはない。我々は常に彼らに軍事的な問題から身を遠ざけるよう忠告してきた。我々は人道的、政治的、外交的な側面から彼らの要求をかなうよう支援している」と述べた。

AFP, November 23, 2012、Akhbar al-Sharq, November 23, 2012、al-Hayat, November 24, 2012, November 26 2012、Kull-na Shuraka’, November 23, 2012,
November 25, 2012、al-Kurdiya News, November 23, 2012、Naharnet, November
23, 2012、Reuters, November 23, 2012、SANA, November 23, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア民主フォーラムはシリア革命反体制勢力国民連立に関して「両者の組織的関係を問わず」協力・対話を進めたいと発表、一方米国は同連立を「亡命政府」として承認せず(2012年11月15日のシリア情勢

国内の動き

バアス党シリア地域指導部は矯正運動42周年に合わせて声明を出し、「シリア・アラブ人民が改革、発展、そしてアラブ民族の愛国的プロジェクトに対する驚異に立ち向かう意志」を確認するとともに、「アサド大統領が安定と治安への保障、改革路線、民族の不変的基礎…を真に代表する存在である」と表明した。

矯正運動とは1970年11月16日のハーフィズ・アサド前大統領による政権掌握を意味する。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、安保理会合で、シリア国内でのすべてのテロ活動と、外国によるテロ組織への資金援助、潜入支援を停止させるために必要な措置を即時に講じるよう求めた。

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Syria Steps(11月15日付)は、シリア・ポンドの下落が続き、1ドル90ポンドに近づきつつある、と報じた。

同報道によると、ダマスカスでは1ドル88ポンド、アレッポでは89ポンド、レバノンでは81ポンドにまで下落している、という。

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オリエント・ニュース(11月15日付)は、シリア国内で人道支援活動が認められているNGO・組織がラーミー・マフルーフが会長を務めるブスターン協会と、反体制活動家のルワイユ・フサインが指導するシリア国家建設潮流に限定されている、と批判した。

同報道によると、フサインは政権との「合意」のもと反体制活動を行っているという(未確認情報)。

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クッルナー・シュラカー(11月15日付)は、数千人の逮捕者がテロ法廷に起訴された、と報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、サクバー市に軍が空爆を行い、複数名が死傷した。

またジスリーン町、ハラスター市、アルバイン市、ザマルカー町、ヤルダー市、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市が軍の砲撃を受けた。

ドゥーマー市での軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘では、反体制武装勢力の戦闘員1人が死亡した。

一方、SANA(11月15日付)によると、ハラスター市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、ハラスター調整の指導者、ファタハ・イスラーム旅団メンバー、外国人戦闘員ら多数の戦闘員を殲滅した。

またフジャイラ村などでも軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、「ゴラン自由人」を名のるパレスチナ人戦闘員ら多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区が砲撃を受けた。

『ハヤート』(11月16日付)は、シリアの高官筋の話として、タダームン区のヌジューム映画館近くで「野戦病院」が発見され、「テロリスト」が強奪した大量の医薬品が押収されたと報じた。

一方、SANA(11月15日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市で反体制武装勢力が同市の軍事情報局施設を襲撃し、軍・治安部隊と交戦、兵士1人と3人の戦闘員が死亡した。

同監視団によると、戦闘の末、反体制武装勢力は、市内の軍事情報局施設、農業銀行を占拠した、という。

一方、SANA(11月15日付)によると、ダイル・ザウル市各所およびブーカマール市各所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区とダイル・バアルバ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員4人が死亡した。

一方、SANA(11月15日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、バーブ・トゥルクマーン地区、ワルシャ地区、ワアル地区、アビル市、東ブワイダ村、ジャンダル市、ラスタン市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

これに対して、反体制武装勢力は、ヒムス市・ミスヤーフ市街道で旅客バスを襲撃し、乗客複数が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、マンナグ航空基地周辺で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、またアアザーズ市に軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(11月15日付)によると、バーブ市、ダイル・ハーフィル市、マンビジュ市、ジュッブ・アブシャ市、カフルナーハー村、アレッポ市カーディー・アスカル地区、スッカリー地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(11月15日付)によると、ハーリム市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトなどを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

これに対して、反体制武装勢力はアリーハー市・サラーキブ市間の街道に爆弾を仕掛け、爆発させ、市民2人を殺害、3人を負傷させた、という。

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ダルアー県では、SANA(11月15日付)によると、ブスラー・シャーム市で反体制武装勢力が治安機関の関連施設を襲撃したが、軍・治安部隊が応戦、反体制武装勢力の戦闘員6人を殺害した。

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『ハヤート』(11月16日付)などによると、ハサカ県の対トルコ国境に位置するラアス・アイン市での軍による反体制武装勢力への空爆・掃討作戦を受けるかたちで、トルコ軍は複数の戦闘機を南東部に派遣した。

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クナイトラ県では、イスラエル国防軍によると、シリア領内での銃撃戦の流れ弾がイスラエルが占領するゴラン高原に着弾した。被害はなかった、という。

反体制武装勢力の動き

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(11月15日付)に対して、2011年3月以降の死者数が39,112人にのぼる、と述べた。

うち27,410人が民間人、1,359人が離反兵、9,800人が軍兵士だという。

しかし、アブドゥッラフマーン代表は、この数値には逮捕・行方不明者数千人、さらには「シャッビーハ」とみなされ反体制武装勢力が殺害した約1,000人は含まれておらず、また軍、反体制武装勢力が死者数を開示していないため、死者数は厳密ではない、と述べ、シリア人権監視団が発表してきた死者数が推計であることを認めた。

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ミシェル・キールーが代表を務めるシリア民主フォーラムはシリア革命反体制勢力国民連立の結成に関する声明を発表した。

声明のなかで、フォーラムは、結成を歓迎し、その指導部を承認し、言動を支持するとしつつ、「フォーラムと連立の組織的関係は問わず」、協力と対話を進めたいとの意思を示した。

具体的には、体制打倒、国家・社会の統一維持、民主化といった目標に向けて、連立との協力・対話の意思を示し、「民主的で公正な革命的性格の強化」、「宗教宗派、思想信条、人種的属性を超えた市民のための自由な国家の建設」、「男女平等」、「連立が例外なくすべてのシリア人のための組織となること」を連立に求めた。

そのうえで連立の指導部が他の政治組織と対立、ないしは他の政治組織を支配することなく、民主的に反体制勢力の統合をめざすことを監視し続けると付言した。

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ロンドンを拠点とするシリア中道党(マフムード・アルー・ハルフ党首)なる組織が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立への参加を表明した。

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スワイダー自由在外居住者連盟なる組織が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立への全面支援を表明した。

クルド民族主義勢力の動き

クルド最高委員会の渉外委員会のムスタファー・ウースーは声明を出し、11月16日にイラク・クルディスタン地域でシリア・クルド国民評議会が会合を開き、シリア革命反体制勢力国民連立結成への対応、自由シリア軍との関係、そして「流入アラブ人」への対応について協議する、と発表した。

「流入アラブ人」(العرب الغمر)は、アラブ・ベルト構想によって1960年代半ば以降にハサカ県に移住した移民(シリア・アラブ人)。

ハサカ県の住民平和評議会メンバーのムハンマド・イスマーイールはクルディーヤ・ニュース(11月15日付)に対して、「流入アラブ人は、体制が衰退し、現地での影響力が消えて以降、自由シリア軍に近づこうとしている」と述べ、警戒感を露わにした。

レバノンの動き

『アフバール』(11月15日付)は、北部県アッカール郡バッダーウィー市の内務治安軍総局の武器庫からカラシニコフ銃3,000丁が盗まれ、シリアの反体制武装勢力に売却された可能性がある、と報じた。

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サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー前首相は声明を出し、「シリア革命と時を同じくして(イスラエル軍によるガザ)攻撃が発生したことは、可能な限り革命を阻止しようとする明確な意思の表れだとの疑義を呈する」と述べた。

しかしこの論理によると、シリアの反体制勢力が優勢だとの(西側諸国の)認識に立った場合、イスラエルの攻撃が反体制武装勢力によるシリア国内でのテロの被害を隠蔽するタイミングでなされたとも解釈できる。

イスラエルの動き

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とエフード・バラク国防大臣は占領下のゴラン高原を視察した。

占領地へのシリア領からの流れ弾の着弾に関して、バラク国防大臣は、「高原の麓のほぼすべての村、そしてその後背地は、事実上破壊分子の手に落ちている…。シリア軍の能力は断続的に低下している」と述べ、反体制武装勢力の勢力増大への懸念を示しつつ、「アサドの支配の痛ましい崩壊」を引き続き中止し続けるとの意思を示した。

ネタニヤフ首相もアサド政権に「亀裂」が生じつつあると指摘する一方、「イスラエルに対してより敵対的な国際的ジハードに属す勢力がそのプレゼンスを強化している」と反体制武装勢力の台頭に懸念を表明した。

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領は、再選後初の記者会見で、「亡命政府として承認する準備はない」と述べ、シリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表として承認する意思がないことを明言、「我々は反体制勢力がシリア国民の意思の正統な代表だとみなす」と述べ、フランス、トルコ、GCCとの姿勢の違いを示した。

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ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェビィッチ報道官は記者会見で、「多くの国の都市が近代的兵器の供与を制約した…。合法的政府に対する武装闘争を行う反体制勢力への外国の支援は、国際法が定める基準を明確に侵害している」と述べた。

ルカシェヴィッチ報道官はまた「国際法の原則において…、いかなる国にも、他国において武力で体制打倒をめざす武力行為を組織、支援、資金援助する権利はないと明記されている」と付言した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、シリア情勢に関する関係閣僚・軍高官との会合後の記者会見で、シリアの反体制勢力との協力を「優先事項」としつつ、「明確な暫定計画」を提示するよう呼びかけた。

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アナトリア通信(11月15日付)によると、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、ジブチでのイスラーム諸国会議機構(OIC)の外相会議でシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表とみなすと改めて述べる」と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「フランスの姿勢は紛争への武器不供与を原則とするが、政府の戦闘機の空爆に曝される解放区があることは認められない」と述べ、反体制勢力への「自衛のための武器」供与禁止を解除することをEUにおいて求める移行を示した。

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国連のマーティン・ニスルキー報道官は、ゴラン高原の非武装地帯の村を占拠する反体制武装勢力への攻撃に関して、UNDOFの同意のもとに攻撃を行っているとのファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣の発言(11月14日)に対して、「UNDOFはシリアのこうした軍事作戦に口頭で同意していない…。1974年に署名された兵力引き離し協定に觝触している」と否定した。

AFP, November 15, 2012、Akhbar al-Sharq, November 15, 2012, November 15, 2012、al-Hayat, November 16, 2012、Kull-na Shuraka’, November 15, 2012、al-Kurdiya News, November 15, 2012、Naharnet, November 15, 2012、Orient News, November 15, 2012、Reuters, November 15, 2012、SANA, November 15, 2012、Syria Steps, November 15, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

民主統一党とシリア・クルド国民評議会は共同声明のなかで自由シリア軍のアイン・アラブ市進入を厳しく非難、フランスがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」として承認(2012年11月13日)

クルド民族主義勢力の動き

西クルディスタン人民議会(民主統一党)とシリア・クルド国民評議会は共同声明を出し、自由シリア軍のアイン・アラブ市進入を「政治的、軍事的に正当性がない」と厳しく非難し、撤退を要求した。

共同声明では、「シリアと世界の世論に対して、体制打倒のための革命が平和的であるべきだと強調する」と主張、自由シリア軍の進入により、「無実の市民の血が流されている」との惨状を訴えた。

そのうえで「すべての武装大隊の撤退の必要」を強調、また自由シリア軍掃討のために展開した「政府軍の即時撤退」を求めた。

国内の暴力

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市で県知事の車を狙った爆弾テロが発生し、ハサン・サーリフ・ジャラーリー県知事が負傷、また女性1人と士官1人が死亡した。

このテロに関して、SANA(11月13日付)は、武装テロ集団が仕掛けた爆弾がサイイダ・ビシャーラ教会近くで爆発し、女性1人が死亡した、と報じた。県知事の負傷については報じなかった。

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アレッポ県では、SANA(11月13日付)によると、タッル・ラッハール村、ダイル・ハーフィル市、アレッポ市旧市街、ライラムーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(11月13日付)によると、ジスル・シュグール市郊外のタッル・シュグール地点の検問所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またマアッラト・ヌウマーン市南部および南東部の入り口で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷したほか、ムハムバル村などで反体制武装勢力の追撃が行われた。

このほかイドリブ市では、反体制武装勢力が道路公社イドリブ支部のアブドゥッラッザーク・ユースフ技師を暗殺した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハーリブー村で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、軍兵士7人と反体制勢力の戦闘員2人が死亡した。

一方、SANA(11月13日付)によると、ザマルカー町、スバイナ町、サイイダ・ザイナブ町、アルバイン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、「ダマスカス解放旅団」のムハンマド・アブドゥッサラーム・イドリースを含む多数の戦闘員を殺傷した。

またアイン・フィージャ町では、反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、女性、子供を含む多数の市民が負傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区に対して、軍・治安部隊が砲撃を加え、「同地区の制圧を試み」、戦闘員4人が死亡した。

またヤルムーク区にも迫撃砲が着弾し、アサーリー地区などに対しても砲撃が行われたという。

『ワタン』(11月14日付)によると、「早朝に重火器によって支援された軍部隊が二方向からタダームン区に突入し…、戦闘は晩まで続き、武装集団は甚大な被害を受け、撤退を余儀なくされた」という。

一方、SANA(11月13日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またヤルムーク区では、パレスチナ人難民からなる人民諸組織が反体制武装勢力と対峙した。

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ヒムス県では、SANA(11月13日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ラスタン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅した。

一方、ヒムス市ワアル地区では、反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、子供2人が死亡、女性を含む6人が負傷した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、軍がラアス・アイン市周辺における軍備増強を開始した。

また軍がラアス・アイン市の総合情報部(反体制武装勢力が占拠)や反体制武装勢力の拠点を空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がブーカマール市の軍の拠点複数カ所を襲撃した。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、AFP(11月13日付)の電話取材に対して、「シリア人はバッシャールの戦闘機の空爆に直面している。彼らは高度な兵器が必要だ」と述べ、反体制武装勢力への武器供与の必要を強調した。

「高度な兵器」が何を意味するかは詳述しなかった。

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シリア国民評議会執行部メンバー兼シリア革命反体制勢力国民連立メンバーのアフマド・ラマダーンは『ハヤート』(11月14日付)に対して、「フォード(米大使)は、「我々は(シリア革命反体制勢力国民連立の)行動に期待する。我々は何が起きるかを見極めて、米国政府に報告し、措置を講じる」と述べた…。(シリア革命反体制勢力国民連立発足に対する米国の)歓迎は不充分だ」と述べた。

また「シリア革命反体制勢力国民連立に関するアラブ連盟の決定も不充分だ。声明は連立がシリア国民の「意思」を表現しているとしているが、シリア国民そのもの代表として承認していない点で十分でない」と批判した。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者は『ハヤート』(11月14日付)に対して、反体制勢力のなかで影響力を強めようとしているとの一部の疑念に対して、「ヘゲモニーに関する問題は、根拠のない言いがかりだ。我々はすべての組織の一部をなし、シリア国民評議会、そしてすべての大会に貢献してきた」と否定した。

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国内で反体制活動を行う民主的諸勢力国民調整委員会は声明を出し、イランで18日に開催予定のシリア国民対話会合への招待状を受け取ったが、「ドーハ、テヘラン、イスタンブール、パリといった紛争当事国の首都で行われる調整のための…会合には参加しない」と述べ、不参加を表明した。

レバノンの動き

サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るムスタクバル潮流のサアド・ハリーリー前首相は、声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を「シリア大衆の革命を続け、バッシャール・アサド大統領の体制を転覆するための正しい方向に向けたステップ」と支持を表明した。

諸外国の動き

カイロでアラブEU外相会議が開かれた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、アラブEU外相会議出席のためにカイロを訪問し、同地で記者会見を開いた。

記者会見でファビウス外務大臣は、「我々は様々な国がシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表として承認することを希望する…。フランスの役割はこの希望を可能なものにすることだ」と述べた。

またフランス自身による承認に関しては、「幾つかの段階がある。まずシリア国民評議会の幹部、とりわけジョルジュ・サブラー事務局長がいて、次にカイロで明日のともに朝食をとる予定の新たな幹部からなるより広範な委員会(シリア革命反体制勢力国民連立)がある」と述べた。

さらに反体制勢力への武器供与に関しては、「これまでは欧州諸国の側に武器問題に関する禁止事項が合った…。(反体制勢力が)講じる措置を見て、この決定は修正されるだろう。我々はこの問題を検討するだろう」と述べた。

しかし、シリアへの軍事介入に関しては、「重要な国々」がアサド政権を支援していると述べ、リビアのケースとは「同じでない」と否定、また「こうした状況はおそらく変わるだろう。今後解決に向けて行動する」と付言した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アラブEU外相会議で、シリア革命反体制勢力国民連立の結成を「きわめて重要な礎石」と歓迎しつつ、「すべての反体制勢力が参加し、シリア国内の支援を得ることを望む。そうなれば我々は、彼らをシリア国民の正統な代表として承認するだろう」と述べ、慎重な姿勢を示した。

また反体制勢力への武器供与については、EUがシリアへの武器供与を禁止しているため、武器を送る用意はない、と否定した。

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、アラブEU外相会議で、シリア革命反体制勢力国民連立の結成を歓迎するとともに、「政治、安全保障、人道面でシリア国民を支えるため必要な支援を拡充すべき」と述べるとともに、シリア国民の正統な代表として承認を得るべく、国内外のすべての反体制勢力が連立のもとに結集するよう希望する、と述べた。

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『ハヤート』(11月14日付)によると、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はアラブEU外相会議に「シリアにおける人道的ニーズに関する覚書」を提出した。

同覚書では、少なくとも250万人がシリア危機の被害を受け、その数は2012年末には400万人にのぼり、うち150万人が国内での避難生活を余儀なくされ、食糧・医療などの支援が火急に必要となるだろうとの試算されている。

また同覚書では、イラク、レバノン、ヨルダン、トルコ、北アフリカに避難したシリア人の数が39万5000人に達しており、2012年末までにその数は71万人に達すると試算されている。

さらにシリア国内の病院の67%が戦闘の被害を受け、29%が医療活動を行えない状態にある、と指摘、約2000の学校で避難民が避難生活を送り、2000の学校が破壊されたとの実態も明らかにしている。

また、パレスチナ難民についても、約50%が被害を受けたと指摘している。

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フランスのフランソワ・オランド大統領は、記者会見で、「私はフランスがシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の唯一の正統な代表として承認すると宣言する」と述べた。

またシリアへの軍事介入の可能性に関して「安保理の決議がなされないかたちでの軍事介入はあり得ない…。ロシアの立場を踏まえると、それが提起されることはない。しかし、シリア革命反体制勢力国民連立の権威のもとに開放地区を保護するというかたちでそれに訴え得るという別の方法もある」と述べた。

さらにオランド大統領は反体制勢力への武器供与に関しては「シリアに正統な政府が成立すれば、フランスだけでなくシリア革命反体制勢力国民連立を承認するすべての国にとって再検討は不可欠になる」と述べた。

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フランスのジャン・イブ・ルドリアン国防大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立の結成に関して「ドーハでの出来事は大きな前進だ。国際的に承認され得る暫定政府のような存在となるには未だ不十分だとしても、我々はそれが重要だと考える。しかしすべての武装集団もこれとともに統合されるべきだ」と述べた。

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米国のマーク・トナー国務省副報道官は、「我々はシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表(の一つ)で、シリア国民を反映していると考える…。我々はまた同組織がシリア国内のシリア人を代表する能力を示すことを望んでいる」と述べた。

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AFP(11月13日付)は、アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチが、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を受け、同組織に対して、反体制武装勢力に対して戦時国際法を遵守するよう明確なメッセージを発すとともに、違反者を処罰するよう要求した、と報じた。

AFP, November 13, 2012、Akhbar al-Sharq, November 13, 2012, November 14, 2012、al-Hayat, November 14, 2012、Kull-na Shuraka’, November 13, 2012, November 15, 2012、al-Kurdiya
News, November 13, 2012、Naharnet, November 13, 2012、Reuters, November 13,
2012、SANA, November 13, 2012、al-Watan, November 14, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アラブ連盟緊急外相会議が開かれシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の意思を代表する正統な代表」とする声明を承認、人民防衛隊がマーリキーヤ市からの軍・治安部隊の撤退を受け同市を掌握(2012年11月12日)

反体制勢力をめぐる動き

カタールのドーハで11日晩から未明にかけてシリア革命反体制勢力国民連立発足記念祝賀会が開かれた。

al-Hayat, November 13, 2012
al-Hayat, November 13, 2012

祝賀会には、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣、チュニジアのラフィーク・アブドゥッサラーム外務大臣、アラブ連盟のタラール・アミーン代表、GCCのアブドゥッラティーフ・ブン・ラーシド・ズィヤーニー事務局長、UAEのファーリス・ムハンマド安全保障軍事担当副大臣、米仏英などの代表が出席した。

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祝賀会で、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、出席した各国代表に対して「アラブ連盟、GCC、欧州の友人、そして米国は、この政体(連立)がすべてのシリア人を代表する唯一の正統な組織であることを切望している。これは我々に対するあなた方の権利である。我々に対するあなた方の権利は、救援だけでない」と述べ、連立の国際承認を求めた。

また、出席したシリアの反体制活動家らに対して、「ハマド・ブン・ハリーファ首長とタミーム・ブン・ハマド皇太子は、シリア国民が望むことを我々が実行するうえで、あなた方の合意が手助けになる、ということを知っている」と述べた。

そのうえで、「出席したすべてのシリアの反対勢力」に「合意は力であるがゆえ、合意し、分裂しない」よう呼びかけ、自身がシリアの反体制勢力の指導者であるかのような傲慢な姿勢を示した。

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GCCのズィヤーニー事務局長は、「GCCはシリア革命反体制勢力国民連立を…シリア国民の正統な代表とみなし承認すると発表する」と述べた。

またシリア国民の要求と希望を実現するため、この組織を支援すると述べ、アラブ諸国、諸外国、国際社会が連立を国際承認することをGCCとして注視していると強調した。

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祝賀会で、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、「シリア公民の最大の望みは、安全に暮らし、恐れることなく眠ることだった。しかし、今は体制を根絶することを望んでいる」と断じた。

またシリア革命反体制勢力国民連立の活動に関しては、緊急支援、流血停止、そして体制打倒が最優先事項だと述べた。

さらに「カタール、サウジアラビア、UAE、そしてそのほかのGCC諸国、トルコ、エジプト、リビア、ヨルダン、友好諸国に感謝する」と締めくくった。

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祝賀会で、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長は「我々は真の救援を必要としている…。我々は我々の子供たちを守るため、パンではなく武器が必要だ。なぜなら体制は武器を増強しているからだ」と述べた。

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『ハヤート』(11月13日付)によると、シリア国民評議会のサミール・ナッジャール財務局長は、「去年3月以降、4000万ドルの支援しか受け取っていない。月1億5000万ドルの支援を約束されたのに」と述べ、西側諸国、湾岸アラブ諸国の支援の少なさを批判した。

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シリア国民評議会は、フェイスブック(11月12日付)で、リビア在住のシリア人のパスポートの更新を開始した、と発表し、新パスポートの写真を公開した。

Akhbar al-Sharq, November 12, 2012
Akhbar al-Sharq, November 12, 2012

諸外国の動き

アラブ連盟はカイロで緊急閣僚級会合を開催し、シリアおよびパレスチナ情勢について協議した。

会合では、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が、ドーハでのシリアの反体制勢力の大会での成果を踏まえ、シリア危機解決に向けた見通しを示した。

会合には、ナビール・アラビー事務総長、アフマド・ビン・ヒッリー事務副長、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣(シリア問題閣僚委員会)、チュニジアのラフィーク・アブドゥッサラーム外務大臣、レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣、そしてブラーヒーミー共同特別が出席した。

またカタールのハマド首相に連れられ、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長とシリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長が連盟本部に入り、会合に参加した。

複数の消息筋によると、会合において、ブラーヒーミー共同特別は、国連安保理常任理事国がシリア危機に関する決議を遵守する必要があると強調した、という。

また複数の消息筋によると、会合に先立って、ハマド首相は、シリア革命反体制勢力国民連立のハティーブ議長をシリアの代表として主席させることを求めたが、カタール以外の国が難色を示した、という。

また会合でも、シリア革命反体制勢力国民連立をシリア政府に代わる代表とすることを事務局に認めさせようとする動きがあったという。

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シリア革命反体制勢力国民連立の発足を受け、米国のマーク・トナー国務省副報道官は声明を出し、「血塗られたアサド体制終焉への道を開く国民連立への支援を早急に命じる」と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を「反体制勢力統合のための不可欠なプロセスにおける重要なステップ」と高く評価し、「全面支援」を行うと述べるとともに、連立の「国際承認のために活動する」との意思を表明した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を「多様なシリア国民を広範に代表する」ための「重要なステップ」と高く評価するとともに、「暫定移行期間に備え、シリア社会のすべての集団とともにあることを求める」と述べた。

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ドイツ外務省報道官もシリア革命反体制勢力国民連立の発足に関して「アサド体制に代わる満足の行くオルターナティブ」と高く評価した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長と会談した。

会談で両氏の就任を祝福したダウトオール外務大臣は、「シリアの反体制勢力は分裂しており、統合されていない。我々は彼らを支援できない。そう私は話した。しかし、反体制武装勢力は国連、そしてすべての当事者から支援を受けるに値する」と述べた。

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ロシア外務省は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立の発足に関して「(ロシアにとって)もっとも主要な基準は…こうした連立が、外国の介入を排除し、対話を通じたシリア人による平和的紛争解決を原則として行動する用意があるかという点である…。(ロシアは)、シリア政府と”すべての”反体制勢力との連絡を継続し、建設的な方法に従うよう求める」と発表した。

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『ハヤート』(11月13日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、イランがイスラーム諸国会議機構の第39回外相会合(ジブチ)でのシリアの加盟資格停止撤回を目指している、と報じた。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長はプラハでの会合で「NATOは同盟国であるトルコの防衛のために必要なことを組織として行うだろう…。トルコ防衛を可能とするあらゆる計画が準備されている。我々はそれが抑止力となり、トルコが攻撃に曝されないことを希望している」と述べた。

またドーハでの反体制武装勢力の大会に関して、「分裂した反体制勢力はもちろん問題である。それゆえ、我々は反体制勢力にもっと統合して欲しい」と述べた。

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イスラエル国防軍は声明を出し、占領下のゴラン高原の基地近くの空き地にシリア領内からの迫撃砲が着弾、これを受けイスラエル国防軍が迫撃砲の発射地点に向けて戦車で反撃を行った、と発表した。

そのうえで、「シリアからの発砲にこれ以上寛容であるわけにはいかない。激しく報復するだろう」と付言した。

同声明によると、シリア領からの迫撃砲は、軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘の流れ弾で、イスラエル国防軍を狙ったものではない、という。

国連のマーティン・ネスィルキー報道官は、「国連は(紛争の)エスカレートの可能性を大いに懸念する」と述べ、シリアとイスラエルの交戦の可能性への懸念を表明した。

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EU災害危機管理課は、赤十字国際委員会と国際赤十字赤新月社連盟に対して、トルコで避難生活を送るシリア人17万人に対する3230万スイス・フラン掃討の緊急支援を行うよう呼びかけた。

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アラブ連盟緊急外相会議がカイロで開かれ、ドーハで結成されたシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の意思を代表する正統な代表」とする声明を承認した。

声明の採決には、アルジェリアとイラクが態度を留保し、国連憲章第7章に基づく介入を国連に呼びかけた。

またレバノンは、シリア危機と「距離を置く」政策に基づき、声明採決を棄権した。

声明は、シリア革命反体制勢力国民連立に参加しなかった反体制勢力に対して、連立への参加を呼びかけ、シリア国民の諸相のための組織とすることを呼びかけた。

また国際機関に対して、シリア革命反体制勢力国民連立の承認を求めた。

さらに、シリア革命反体制勢力国民連立をはじめとする反体制勢力に対して、権力移譲のための平和的解決策案出のため集中的な対話に入るよう呼びかけた。

緊急外相会議には、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長とシリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長が出席した。

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緊急外相会議後、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は記者会見を開き、「シリア革命反体制勢力国民連立は、シリアの反体制勢力の正統な代表であり、アラブ連盟の基本的交渉相手だ」と述べた。

ハマド首相によると、シリア革命反体制勢力国民連立の「承認」の形式は、リビア暫定国民評議会の承認と形式に準じている、という。

しかし、GCCが「シリア国民の正統な代表」と承認したのに対して、アラブ連盟外相会議は、「シリア国民の”意思”の正統な代表」とし、シリアにおける体制転換に慎重な周辺諸国に一定の配慮を行った。

国内の暴力

ハサカ県では、シリア人権監視団は声明を出し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員7人を含む12人がラアス・アイン市に対する軍の空爆で死亡した、と発表した。

空爆は、反体制武装勢力が占拠した政治治安部の施設に対して行われ、空爆では子供1人、女性1人を含む民間人5人も死亡した、という。

対トルコ国境に位置するラアス・アイン市へのシリア軍の空爆・攻撃に対して、トルコ軍は迎撃しなかった。

アナトリア通信(11月12日付)はまた、軍がラアス・アイン市の食品工場を空爆し、シリア人が少なくとも4人死亡、多数が重傷を負ったと報じた。

この工場も、反体制武装勢力が占拠していた。

シリア人権監視団によると、空爆後、戦闘ヘリコプターがラアス・アイン市に対して機銃攻撃を加え、反体制武装勢力が反撃した、という。またその後、空爆が再開されたという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍がマアッラト・ヌウマーン市への空爆を行う一方、ハーリム市などマアッラト・ヌウマーン市周辺の地域で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(11月12日付)によると、ジスル・シュグール市郊外のタッル・ウワイル村、タッル・ハムカ村、ミンタール村、サッラ・ズフール村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトなどを攻撃し、戦闘員を殲滅した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市が軍の空爆を受けた。

一方、『ハヤート』(11月13日付)によると、反体制武装勢力は、同市のハムダーン空港上空で軍のヘリコプターを撃墜したと証言した(未確認情報)。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、軍がディブスィー・アフナーン村を空爆した。

同村は2日前から反体制武装勢力によって包囲されている、という。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区での砲撃で7人が死亡した。

一方、SANA(11月12日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殲滅、米国製の武器弾薬などを押収した。

なお、『バアス』(11月13日付)は、軍・治安部隊がハラスター市の全地区を制圧した、と報じた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハスヤー町で反体制武装勢力が軍・治安部隊を要撃し、13人を殺害した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(11月12日付)によると、ハラスター市および同市周辺、ザマルカー町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(11月12日付)によると、反体制武装勢力がハンダラート空軍基地を襲撃しようとしたが、軍・治安部隊が撃退した。

またアレッポ市、ブスターン・カスル地区、スッカリー地区、カルム・ジャズマーティー地区、ハーラト・シハーディーン地区、ライラムーン地区、カフルハムラ村、カフルナーハー村、バーブ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、シャームの民のナスラ戦線のメンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

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『アフバール』(11月13日付)は、シリア人ジャーナリストのシャリーフ・シハーダが乗った車が「ウマイヤ末裔旅団」によって襲撃され、シハーダが負傷、ドライバーが死亡したと報じた。

クルド民族主義勢力の動き

シリア人権監視団によると、民主統一党の人民防衛隊(YPG)がマーリキーヤ市からの軍・治安部隊の撤退を受け、同市を掌握した。

al-Kurdīya News, November 12, 2012
al-Kurdiya News, November 12, 2012

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クルディーヤ・ニュース(11月12日付)によると、民主統一党の人民防衛隊(YPG)はハサカ県ダイリーク市内の治安施設・拠点を掌握した。

複数の住民によると、同市の治安施設・拠点には長らく、軍・治安要員は部分的にしか駐留しておらず、人民防衛隊は軍・治安部隊から引き継ぐかたちでこれらの施設・拠点に入ったという。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、殉教者記念日に合わせてテレビ演説を行った。

演説ではシリア情勢についても触れられ、ウィサーム・ハサン内務治安軍総局情報課長暗殺(10月)をアサド政権やヒズブッラーの犯行と断じる3月14日勢力の姿勢を「それで彼らは何を成し遂げたいのか?」と批判した。

また「我々のシリアに対する姿勢は変化しない。政治的解決がシリア国民の利益になる…。しかし危険なのは、新たな反体制勢力の同盟(シリア革命反体制勢力国民連立)が対話を拒む点でコンセンサスに達した点である。彼らはさらなる破壊を望んでいる。これは米国、イスラエル、一部の性根の悪いアラブ諸国の利益になるだけだ」と述べた。

AFP, November 12, 2012、al-Akhbar, November 13, 2012、Akhbar al-Sharq, November 12, 2012, November 13, 2012、al-Ba’th, November 13, 2012、al-Hayat, November 13, 2012、Kull-na Shuraka’, November 12, 2012、al-Kurdiya News,
November 12, 2012、Naharnet, November 12, 2012、Reuters, November 12, 2012、SANA,
November 12, 2012などをもとに作成。

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