諸外国の動き:「ホラサン」が欧米諸国へのテロを画策か?(2014年9月20日)

『ニューヨーク・タイムズ』(9月20日付)は、米高官の話として、シリア国内で結成された「ホラサン」を名乗る過激派が、ダーイシュ(イスラーム国)以上に米国およびその在外機関に対するテロを計画している、と報じた。

「ホラサン」は約1年前に、ウサーマ・ビン・ラーディンの側近の一人ムフスィン・ファドリー氏が結成した組織で、中東諸国、東南アジア、北アフリカ出身者から構成されており、欧米諸国でテロを行うために欧米の若者を戦闘員として勧誘しているという。

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トルコのヌマン・クルトゥルムシュ副首相は、18日にアイン・アラブ市(アレッポ県)郊外の対トルコ国境地帯へのダーイシュ(イスラーム国)の攻勢により、約4万5,000人のシリア人(クルド人)が8カ所の国境通行所を経由してトルコ領内に避難している、と発表した。

トルコ政府によると、トルコ領内に避難したシリア人(クルド人)の数は6万人に及んでいるという。

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トルコのアフメト・ダウトオール首相は、イラクのモスルでダーイシュ(イスラーム国)によって拘束されていたトルコ領事館の職員ら49人が、トルコの諜報機関との「作戦」によって解放されたと発表した。

49人はモスルで拘束されたのち、シリア領内に移送されていたという。

身代金の支払いはなされなかったという。

しかし、シリア・クルド・イェキーティー党の幹部マルワーン・イーディー氏は、ダーイシュ(イスラーム国)によるトルコ領事館職員らの解放に関して、ARA(9月20日付)に、「数日前、トルコはタッル・アブヤド市(ラッカ県)の国境通行所を経由して鉄道でダーイシュに武器を供与した」と主張、ダーイシュが武器入手と「イラクでのダーイシュ掃討のための国際的な同盟へのトルコの不参加」を条件に人質を釈放したとの見方を示した。

AFP, September 20, 2014、AP, September 20, 2014、ARA News, September 20, 2014、Champress, September 20, 2014、al-Hayat, September 21, 2014、Kull-na Shuraka’, September 20, 2014、al-Mada Press, September 20, 2014、Naharnet, September 20, 2014、The New York Times, September 20, 2014、NNA, September 20, 2014、Reuters, September 20, 2014、SANA, September 20, 2014、UPI, September 20, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き:ダーイシュのアイン・アラブ侵攻を受けトルコ、イラク方面からクルド人戦闘員が結集(2014年9月20日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アイン・アラブ市郊外の対トルコ国境地帯に、トルコ領内からクルド人戦闘員300人以上が未明に駆けつけ、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に加わり、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

これによりダーイシュ戦闘員18人が死亡した。うち1人は中国人だった。

ロイター通信(9月20日付)によると、人民防衛隊に加わったクルド人戦闘員の所属は不明。

戦闘は、カッラ・ムーグ村などで激しく行われ、地元住民(クルド人)数千人がトルコ領内に避難した。

シリア人権監視団はまた、ダーイシュがアイン・アラブ市郊外でクルド人住民11人を処刑、またダーイシュの狙撃によって少女1人が死亡した。

UPI(9月20日付)は、イラク・クルディスタン地域高官の話として、キンディール山一帯に駐留するPKK戦闘員約600人が、シリア領内に入り、アイン・アラブ市に向かったと報じた。

一方、SANA(9月20日付)によると、アイン・アラブ市郊外のタッル・タイヤール村、サブト村、カフジャ村、ジャアダ村、タッル・クーン・アフタール村、のダーイシュ(イスラーム国)拠点を攻撃、複数の戦闘員を殺傷した。

ARA News, September 20, 2014
ARA News, September 20, 2014

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ハサカ県では、ARA News(9月21日付)によると、アームーダー市でシリア・クルド国民評議会が、ダーイシュ(イスラーム国)によるアイン・アラブ市一帯への攻撃に抗議するデモを呼びかけ、多数の住民が参加した。

AFP, September 20, 2014、AP, September 20, 2014、ARA News, September 20, 2014、September 21, 2014、Champress, September 20, 2014、al-Hayat, September 21, 2014、Kull-na Shuraka’, September 20, 2014、al-Mada Press, September 20, 2014、Naharnet, September 20, 2014、NNA, September 20, 2014、Reuters, September 20, 2014、SANA, September 20, 2014、UPI, September 20, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き:ヒズブッラー検問所への自爆攻撃で3人死亡(2014年9月20日)

NNA(9月20日付)によると、ベカーア県バアルベック郡フライバ村郊外にあるヒズブッラーの検問所に対して、武装集団が爆弾を積んだ車で自爆攻撃を行い、3人が死亡した。

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シャームの民のヌスラ戦線は、拘束していたレバノン軍兵士のムハンマド・ハミーヤ氏の処刑映像を公開した。

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NNA(9月20日付)によると、ベカーア県アルサール郡アルサール村郊外にある武装集団拠点をレバノン軍が砲撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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レバノンの声(9月20日付)によると、ベカーア県バアルベック郡で、武装集団(シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)に拉致されているレバノン軍、内務治安軍総局の家族が、武装集団に協力的だとされるフジャイリー家、フライティー家の子息5人を拉致した。

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ナハールネット(9月20日付)によると、ナバティーヤ県マルジャアユーン郡サルダー村にイスラエル軍の無人偵察機が侵犯、レバノン軍が撃墜した。

AFP, September 20, 2014、AP, September 20, 2014、ARA News, September 20, 2014、Champress, September 20, 2014、al-Hayat, September 21, 2014、Kull-na Shuraka’, September 20, 2014、al-Mada Press, September 20, 2014、Naharnet, September 20, 2014、NNA, September 20, 2014、Reuters, September 20, 2014、SANA, September 20, 2014、UPI, September 20, 2014、Voice of Lebanon, September 20, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力:シリア軍がアドラー市奪還に向けて攻勢(2014年9月20日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アドラー市、タッル・クルディー町一帯をシリア軍が11回にわたって激しく空爆した。

またザマルカー町およびその周辺をシリア軍が3度にわたって空爆たほか、ハーン・シャイフ・キャンプ、ダルーシャー村、ダイル・マーキル町郊外(クナイトラ県ダナージー農場方面)、ザバダーニー市を「樽爆弾」などで空爆した。

一方、SANA(9月20日付)によると、シリア軍がイスラーム軍などによって占拠されているアドラー市旧市街に対する大規模軍事作戦を開始し、同市を包囲し、同市に向けて進軍、「テロ集団」が拠点としていた施設複数カ所、地下トンネル、武器弾薬庫などを制圧した。

またシリア軍は、タッル・サワーン、ザマールカー市、ドゥーマー市、アイン・タルマー渓谷、ハーン・シャイフ・キャンプ、ドゥッハーニーヤ町、ハラスター市、カースィミーヤ町・バハーリーヤ村間の農場、アルサール市郊外無人地帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区をシリア軍が空爆した。

一方、シリア軍は、SANA(9月20日付)によると、ジャウバル区で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区・サールーフ地区間の幹線道路をシリア軍が「樽爆弾」で空爆し、女性1人と子供1人を含む5人が死亡した。

またバドル殉教者旅団がアシュラフィーヤ地区のシリア軍拠点に向かって迫撃砲を発射し、同区一帯で散発的に戦闘した。

さらにザフラー協会地区にもシリア軍が「樽爆弾」を投下、またシリア軍、バアス大隊、ヒズブッラー戦闘員が同地区およびハンダラート・キャンプ一帯でアンサール・ディーン戦線などからなる武装集団と交戦した。

アンサール・ディーン旅団は、ムハージリーン・ワ・アンサール軍(外国人)、シャーム・イスラーム運動、シャームの暁イスラーム運動、ハドラー大隊からなる。

一方、SANA(9月20日付)によると、アウラム・クブラー町、ICARDA、バナーン町、ハーン・アサル村、カブターン・ジャバル村、カフルウバイド村、マスカナ市、ラフヤー村、アレッポ市カルーム・アズィーザ地区、シャイフ・サイード地区、アーミリーヤ地区、カースティールー地区、ミンタール地区、シャイフ・ハドル地区で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、オリエント・ネット(9月20日付)によると、シリア軍がカニーヤ村にある反体制勢力の野戦病院を空爆した。

空爆はこれが5回目で、この野戦病院は反体制勢力が運営する野戦病院のなかでは最大規模だという。

一方、SANA(9月20日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市一帯、ビンニシュ市近郊、カニーヤ村周辺で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(9月20日付)によると、アトマーン村、ヒルバト・ガザーラ町周辺、ダイル・アダス村、ブスル・ハリール市南部、インヒル市で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(9月20日付)によると、ムーリク市各所、ヒルバト・マサーフィナ村、サジュナ村、カフルズィーター市で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員多数を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(9月20日付)によると、マスアダ村、ウンム・シャルシューフ村、タイバ村、ザアフラーナ村、ラスタン市、ワーディー・ミール村、ラスム・ハミーダ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, September 20, 2014、AP, September 20, 2014、ARA News, September 20, 2014、Champress, September 20, 2014、al-Hayat, September 21, 2014、Kull-na Shuraka’, September 20, 2014、al-Mada Press, September 20, 2014、Naharnet, September 20, 2014、NNA, September 20, 2014、Orient Net, September 20, 2014、Reuters, September 20, 2014、SANA, September 20, 2014、UPI, September 20, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き:バアス党副書記長がハマー県を視察(2014年9月20日)

バアス党シリア地域指導部のヒラール・ヒラール副書記長は、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団との戦闘でシリア軍が奪還したハマー県アルザ村、ハッターブ町、ハラファーヤー市、ムハルダ市、シャイザル町、タッル・ミルフ村、ジャルマ村を視察した。

SANA(9月20日付)が伝えた。

AFP, September 20, 2014、AP, September 20, 2014、ARA News, September 20, 2014、Champress, September 20, 2014、al-Hayat, September 21, 2014、Kull-na Shuraka’, September 20, 2014、al-Mada Press, September 20, 2014、Naharnet, September 20, 2014、NNA, September 20, 2014、Reuters, September 20, 2014、SANA, September 20, 2014、UPI, September 20, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き:イスラーム軍が反体制武装集団統合に疑義(2014年9月20日)

ダマスカス郊外県で活動するイスラーム軍のザフラーン・アッルーシュ司令官は「ダマスカス郊外特派員ネット」(DCRN)を通じて声明を出し、19日に同県で結成された「ウンマ軍」、「バドル軍団」に関して、「一つの体に二つの頭があることを私は許さない」と述べ、自身の指揮下で戦闘を行うよう求めた。

Kull-na Shuraka', September 20, 2014
Kull-na Shuraka’, September 20, 2014

 

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民主的変革諸勢力国民調整委員会執行部は声明を出し、シリアとイラクにおけるダーイシュ(イスラーム国)の攻勢に関して、「ジュネーブ合意に基づき、全権を有する移行期政府を樹立することが…独裁体制の民主主義に転換するだけでなく、ダーイシュなどのテロを根絶する唯一の方法」だと主張、シリア国内への米国による空爆に消極姿勢を示した。

AFP, September 20, 2014、AP, September 20, 2014、ARA News, September 20, 2014、Champress, September 20, 2014、al-Hayat, September 21, 2014、Kull-na Shuraka’, September 20, 2014、al-Mada Press, September 20, 2014、Naharnet, September 20, 2014、NNA, September 20, 2014、Reuters, September 20, 2014、SANA, September 20, 2014、UPI, September 20, 2014などをもとに作成。

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