西側の諜報機関と連携し、ダーイシュと戦う反体制武装集団「殉教者アフマド・アブドゥー軍団」の司令官らが暗殺(2016年6月9日)

ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(6月11日付)によると、殉教者アフマド・アブドゥー軍団団の司令官バックール・サリーム大佐(離反士官)、フィラース・ジブル・ナジュア大尉、ムハンマド・アフマド・シャッラール大尉ら軍団戦闘員多数が何者かによって暗殺された。

シリア人権監視団によると、サリーム大佐の親戚の一人がダーイシュに参加しており、この人物が暗殺に関与している可能性が高いという。

なお、サリーム大佐は、欧州の諜報機関と連携してダマスカス郊外県東部およびヒムス県東部の砂漠地帯(イラク、ヨルダン国境地帯)でダーイシュと戦っており、新シリア軍によるタンフ国境通行所制圧(3月)を支援していたという。

シリア人権監視団によると、9日にはまた、カラムーン地方の無人地帯でシャーム自由人イスラーム運動の幹部1人が何者かに暗殺されたという。

AFP, June 10, 2016、AP, June 10, 2016、ARA News, June 10, 2016、Champress, June 10, 2016、al-Hayat, June 11, 2016、Iraqi News, June 10, 2016、Kull-na Shuraka’, June 10, 2016、al-Mada Press, June 10, 2016、Naharnet, June 10, 2016、NNA, June 10, 2016、Reuters, June 10, 2016、SANA, June 10, 2016、UPI, June 10, 2016などをもとに作成。

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シリア軍はダイル・ザウル市郊外でのダーイシュとの戦闘で支配地域拡大(2016年6月9日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、サルダ山一帯でシリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、シリア軍が同地の広範囲を奪還した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ジャズル油田一帯、ジュッブ・ジャッラーフ村一帯でシリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

一方、SANA(6月9日付)によると、シリア軍、人民防衛諸組織が県東部のアブー・ハワーディード村南東部、ジャズル油田北東部でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、県東部のイスリヤー村・サッブーラ村回廊一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

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ダマスカス郊外県では、ARA News(6月9日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がカラムーン山地南東部で殉教者アフマド・アブドゥー軍団と交戦、司令官のバックール・サリーム大佐(離反士官)を殺害した。

AFP, June 9, 2016、AP, June 9, 2016、ARA News, June 9, 2016、Champress, June 9, 2016、al-Hayat, June 10, 2016、Iraqi News, June 9, 2016、Kull-na Shuraka’, June 9, 2016、al-Mada Press, June 9, 2016、Naharnet, June 9, 2016、NNA, June 9, 2016、Reuters, June 9, 2016、SANA, June 9, 2016、UPI, June 9, 2016などをもとに作成。

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アレッポ市でヌスラ戦線などの攻撃による54人が死亡、93人が負傷するなか、ファトフ軍、「穏健な反体制派」はアレッポ市一帯でシリア軍に反転攻勢(2016年6月9日)

アレッポ県では、SANA(6月9日付)がラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センター発表として伝えたところによると、シャームの民のヌスラ戦線がアレッポ市シャイフ・マクスード地区、マイダーン地区、ハンダラート・キャンプを砲撃し、54人が死亡、93人が負傷した。

これに関して、シリア人権監視団は、アレッポ市で活動を続ける反体制武装集団がアレッポ市フルカーン地区、ハムダーニーヤ地区、アクラミーヤ地区、シャフバー地区、ハラブ・ジャディーダ地区を砲撃したと発表した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(6月9日付)によると、ファトフ軍がアレッポ市南部郊外でシリア軍、シリア人・外国人民兵と戦闘の末、カラースィー村を制圧した。

シリア人権監視団によると、両者はハミール村とカラースィー村を結ぶ回廊地帯で戦闘を続けているという。

また、ARA News(6月9日付)によると、ヌールッディーン・ザンキー旅団、シャーム自由人イスラーム運動などからなる武装集団がシリア軍との戦闘の末、アルド・マッラーフ地区を奪還した。

これに対して、シリア軍はアレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区を砲撃し、1人が死亡、また戦闘機(所属不明)が、ハイヤーン町、マアーッラト・アルティーク村を空爆した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、バイト・サワー村に迫撃砲弾複数発が着弾、またシリア軍がハーン・シャイフ・キャンプ一帯を砲撃、ハサヌー村一帯に「樽爆弾」を投下した。

またドゥラル・シャーミーヤ(6月9日付)によると、イスラーム殉教者師団がダーライヤー市に進攻しようとしたシリア軍と交戦、これを撃退した。

AFP, June 9, 2016、AP, June 9, 2016、ARA News, June 9, 2016、Champress, June 9, 2016、al-Durar al-Shamiya, June 9, 2016、al-Hayat, June 10, 2016、Iraqi News, June 9, 2016、Kull-na Shuraka’, June 9, 2016、al-Mada Press, June 9, 2016、Naharnet, June 9, 2016、NNA, June 9, 2016、Reuters, June 9, 2016、SANA, June 9, 2016、UPI, June 9, 2016などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍がマンビジュ市一帯でダーイシュとの戦闘を続ける(2016年6月9日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が有志連合の空爆支援を受けて2日に開始されたマンビジュ解放作戦でのダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員死者数が合計で130人を越え、132人を記録した。

132人のほとんどは有志連合の空爆で死亡したという。

シリア人権監視団によると、有志連合の空爆ではまた子供11人を含む30人が死亡しており、2014年9月に開始された有志連合のシリア空爆開始での民間人死者総数は447人にのぼっているという。

一方、ダーイシュとの戦闘でのシリア民主軍での死者は21人にのぼるという。

マンビジュ解放作戦でシリア民主軍は現在、マンビジュ市一帯の75カ村・農場を制圧し、ラッカ市を東部、北部、南部の三方から包囲、ラッカ市とマンビジュ市、マンビジュ市とジャラーブルス市を結ぶ兵站路を遮断したという。

ARA News(6月9日付)によると、シリア民主軍は9日、マンビジュ市西部郊外のマシュラファ村、ウンム・マイヤール村、シュワイハ村を新たに制圧したという。

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同じくアレッポ県では、ARA News(6月9日付)によると、タッル・リフアト市南東部のハルバル村一帯で、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

AFP, June 9, 2016、AP, June 9, 2016、ARA News, June 9, 2016、Champress, June 9, 2016、al-Hayat, June 10, 2016、Iraqi News, June 9, 2016、Kull-na Shuraka’, June 9, 2016、al-Mada Press, June 9, 2016、Naharnet, June 9, 2016、NNA, June 9, 2016、Reuters, June 9, 2016、SANA, June 9, 2016、UPI, June 9, 2016などをもとに作成。

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フランス外務省は、YPG主体のシリア民主軍支援のため、シリアに特殊部隊を派遣していることを事実上認める(2016年6月9日)

フランス外務省の消息筋はAFP(6月9日付)に対して、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のマンビジュ解放作戦は米国だけでなく、フランスを含む複数の国から明らかに支援を受けていると述べ、フランス軍がシリア領内に特殊部隊を派遣していることを事実上認めた。

同消息筋によると、「フランス軍の兵士はダーイシュの戦闘員、なかでもマンビジュ市内のダーイシュに参加しているフランス人戦闘員とは直接戦っていない」という。

これに先立ち、フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン国防大臣は、フランス軍兵士はアレッポ県マンビジュ市に対して攻撃を行っているシリア民主軍を支援する米軍兵士とともにいる」と述べ、特殊部隊がシリア領内で活動していることを認めた。

ARA News(6月9日付)が伝えた。

AFP, June 9, 2016、AP, June 9, 2016、ARA News, June 9, 2016、Champress, June 9, 2016、al-Hayat, June 10, 2016、Iraqi News, June 9, 2016、Kull-na Shuraka’, June 9, 2016、al-Mada Press, June 9, 2016、Naharnet, June 9, 2016、NNA, June 9, 2016、Reuters, June 9, 2016、SANA, June 9, 2016、UPI, June 9, 2016などをもとに作成。

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ロシア、イラン、シリアの国防大臣がテヘランで会合し、シリアの反体制派に和平、停戦、安定、そしてテロとの戦いを強化するための対話を支援するべきだと主唱(2016年6月9日)

イランの首都テヘランで、ロシア・イラン・シリアの国防大臣会合か開かれ、イランのホセイン・デフガーン国防大臣、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣、シリアのファフド・フライジュ国防大臣が、シリア情勢などへの対応について協議した。

会談はイランの呼びかけによるもの。

デフガーン国防大臣は会談後、「三者会談は、米国、イスラエル、そして一部のテロ支援国家の拡張主義的で敵対的な政策に起因する最近の地域情勢の進展を受けて開催された」としたうえで、「イランはシリア危機に国内での対話を通じて対処するという政治的選択を行うよう呼びかけてきた」と主張した。

そのうえで「シリアのすべての反体制派は平和的な選択肢を案出し、和平、停戦、安定、そしてテロとの戦いを強化するための対話を支援するべきだ」と主唱した。

またこの三者会談を通じて「分割と不安定化を意図した危険な陰謀に立ち向かうための戦略的な決定」がなされることへの期待を寄せた。

イラン国防省によると、三者会談では、テロ活動と対決するための協力協調態勢の強化のしくみについての各国見解が示された」という。

AFP, June 9, 2016、AP, June 9, 2016、ARA News, June 9, 2016、Champress, June 9, 2016、al-Hayat, June 10, 2016、Iraqi News, June 9, 2016、Kull-na Shuraka’, June 9, 2016、al-Mada Press, June 9, 2016、Naharnet, June 9, 2016、NNA, June 9, 2016、Reuters, June 9, 2016、SANA, June 9, 2016、UPI, June 9, 2016などをもとに作成。

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「穏健な反体制派」はダーイシュ支配下にあるアレッポ県北西部のラーイー村を包囲(2016年6月9日)

アレッポ県では、ARA News(6月9日付)によると、マーリア市に対する包囲を解いたダーイシュ(イスラーム国)部隊がマンビジュ市方面に撤退するなか、ダーイシュが依然として掌握しているトルコ国境に近いラーイー村を反体制武装集団が包囲した。

ラーイー村のダーイシュを包囲したのは、ハムザ旅団、ムウタスィム・ビッラー旅団、ヌールッディーン・ザンキー旅団、スルターン・ムラード旅団など。

AFP, June 9, 2016、AP, June 9, 2016、ARA News, June 9, 2016、Champress, June 9, 2016、al-Hayat, June 10, 2016、Iraqi News, June 9, 2016、Kull-na Shuraka’, June 9, 2016、al-Mada Press, June 9, 2016、Naharnet, June 9, 2016、NNA, June 9, 2016、Reuters, June 9, 2016、SANA, June 9, 2016、UPI, June 9, 2016などをもとに作成。

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デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表「当事者が移行期の基準を合意しない限り、ジュネーブ3会議は再開しない」(2016年6月9日)

スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表は、スイスの首都ジュネーブでISSG(国際シリア支援グループ)代表とシリアでの人道支援活動への対応について協議、その後の記者会見で、紛争当事者が移行期の基準を合意しない限り、シリア政府と反体制派の協議(第4ラウンド)を再開しないとの意向を表明した。

デミストゥラ氏はまた、シリアの当事者に対して国連と技術的折衝を行うよう呼びかける一方、人道面での対応に関して、シリア政府が最近多数の拘置者を釈放したとの情報をロシアから得たが、詳細は確認していないと述べた。

加えて、シリア政府が今月末に包囲下の19地域への人道支援物資の搬入に同意したと付言した。

AFP, June 9, 2016、AP, June 9, 2016、ARA News, June 9, 2016、Champress, June 9, 2016、al-Hayat, June 10, 2016、Iraqi News, June 9, 2016、Kull-na Shuraka’, June 9, 2016、al-Mada Press, June 9, 2016、Naharnet, June 9, 2016、NNA, June 9, 2016、Reuters, June 9, 2016、SANA, June 9, 2016、UPI, June 9, 2016などをもとに作成。

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米国務省は、ダーイシュに忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団をテロ組織に指定(2016年6月9日)

米国務省は、ヤルムーク殉教者旅団を大統領命令第13224号が定める「特別指定国際テロリスト」(Specially Designated Global Terrorists、SDGT)に指定したと発表した。

同発表によると、ヤルムーク殉教者旅団は2012年8月にダルアーで結成され、シリア南部、とりわけ対イスラエル、対ヨルダン国境で活動、2013年3月にはUNDOFのフィリピン人隊員21人を拉致、2014年を通じてアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線と密接な協力関係を築き、2014年半ば以降は、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓い、活動を継続していた。

なお、米国務省は、2004年12月17日にイラク・アル=カーイダを外国テロ組織(Foreign Terrorist Organization、FTO)に指定、2012年12月11日にヌスラ戦線を、また2014年5月14日に(イラク・シャーム・)イスラーム国をイラク・アル=カーイダの別名(Alias)として認定している。

国務省はまた、2014年9月24日にムハージリーン・ワ・アンサール軍、シャーム・イスラーム運動、そしてジュヌード・シャームの指導者でチェチェン人のムラド・マルゴシュヴィリを特別指定国際テロリストに追加している。

AFP, June 9, 2016、AP, June 9, 2016、ARA News, June 9, 2016、Champress, June 9, 2016、al-Hayat, June 10, 2016、Iraqi News, June 9, 2016、Kull-na Shuraka’, June 9, 2016、al-Mada Press, June 9, 2016、Naharnet, June 9, 2016、NNA, June 9, 2016、Reuters, June 9, 2016、SANA, June 9, 2016、UPI, June 9, 2016などをもとに作成。

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米主導の有志連合は8日にシリア領内で16回の爆撃を実施、うち11回はマーリア市近郊のダーイシュが標的(2016年6月9日)

米中央軍(CENTCOM)は、6月8日のシリア、イラク両国での有志連合の戦果をHPで発表した。

発表によると、有志連合はシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して34回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は16回で、ラッカ市近郊(4回)、マンビジュ市近郊(11回)、マーリア市近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

AFP, June 9, 2016、AP, June 9, 2016、ARA News, June 9, 2016、Champress, June 9, 2016、al-Hayat, June 10, 2016、Iraqi News, June 9, 2016、Kull-na Shuraka’, June 9, 2016、al-Mada Press, June 9, 2016、Naharnet, June 9, 2016、NNA, June 9, 2016、Reuters, June 9, 2016、SANA, June 9, 2016、UPI, June 9, 2016などをもとに作成。

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シリア軍、ロシア軍がアレッポ市の反体制派支配地域を激しく攻撃、市内のバヤーン病院一帯が標的となり20人以上が死亡(2016年6月8日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市シャッアール地区、マルジャ地区、サーフール地区、マサーキン・ハナーヌー地区にヘリコプターで「樽爆弾」を投下し、子供複数を含む23人が死亡、数十人が負傷した。

空爆による標的にはシャッアール地区のバヤーン病院一帯も含まれており、同地での死者は15人にのぼるという。

Kull-na Shuraka', June 8, 2016
Kull-na Shuraka’, June 8, 2016

また戦闘機(所属明示せず)がアレッポ市スッカリー地区、サーリヒーン地区、ブスターン・バーシャー地区、シャイフ・ナッジャール市、ブライジュ村を空爆した。

さらにシリア軍は、アレッポ市北部のカースティールー地区一帯を砲撃した

一方、アレッポ市南部郊外一帯では、シリア軍がファトフ軍との戦闘を続け、兵士3人が戦死した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がマアッラト・ヌウマーン市各所を空爆し、女性1人が死亡した。

空爆はまたザーウィヤ山のバーラ村各所に対しても行われた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がザーラ村一帯、ヒルブナフサ村を砲撃した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダイル・ハビーヤ村農村地帯を砲撃、またハーン・シャイフ・キャンプに近いサラーム交差点一帯を「樽爆弾」で空爆した。

また、クッルナー・シュラカー(6月8日付)によると、シリア軍がダーライヤー市への突入を試み、反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(6月8日付)によると、シリア軍がハラスター市近郊の軍事拠点に向けて反体制武装集団が掘削した地下トンネルを発見し、これを破壊した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がアティーラ村一帯でシリア軍の車輌を攻撃、大佐1人を含む兵士6人が死亡した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、6月7日に7件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県でのイスラーム軍などによる砲撃だったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は650件。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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米国、トルコ、サウジアラビアが支援するイスラーム過激派と「穏健な反体制派」の連合体シャーム戦線が「ロシアと共謀」しようとしたナスル旅団の幹部を逮捕(2016年6月8日)

アレッポ県では、ARA News(6月8日付)によると、アレッポ県北部およびアレッポ市一帯で活動するシャーム戦線は、ナスル旅団のアフマド・マフムード・ファットゥーフ氏を含む同旅団メンバー多数をアレッポ市北部郊外で拘束した。

シャーム戦線の声明によると、拘束はナスル旅団が「ロシアおよびシリア政府と共謀し、連絡をとっていた」ことが理由だという。

シャーム戦線はまた、「米国とロシアは信用できない。この二国を反体制派の戦略的同盟者とみなすことは間違っている。有志連合への接近やロシアとの連携は大きな間違えだ」と強調した。

シャーム戦線は、トルコ、サウジアラビア、米国が支援するイスラーム過激派と「穏健な反体制派」の連合組織で、「命じられるままに進め」連合、ムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線、シャーム自由人イスラーム運動、ヌールッディーン・ザンキー運動、アサーラ・ワ・タンミヤ運動、ハズム運動からなっている。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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米国とトルコの支援を受けるムウタスィム・ビッラー旅団の司令官が失踪、同旅団はヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構の関与を疑う(2016年6月8日)

ARA News(6月8日付)は、米国、トルコの支援を受ける「穏健な反体制派」のムウタスィム・ビッラー旅団の司令官ムハンマド・ハサン・ハリール中佐が数日前にダーラト・イッザ市を訪問後、マーリア市への帰路で失踪したと伝えた。

これに関して、ムウタスィム・ビッラー旅団政治局のムスタファー・ムスタファー氏は、ダーラト・イッザ市の法務委員会から、ハリール中佐を一時身柄を拘束したが、3時間後に釈放したとの連絡を受けていたと述べた。

そのうえで、「我々はトルコ、米国から支援を受けているため…、彼らは我々を「覚醒評議会」だとみなしている。我々は、ダーラト・イッザ市を含むアレッポ県西部の大部分を掌握するシャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構といったイスラーム過激派の攻撃を受けている」と述べ、ファトフ軍による拉致の可能性を示唆した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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アレッポ県北西部のトルコ国境一帯からダーイシュが突如撤退し、米国とトルコの支援を受けるムウタスィム・ビッラー旅団が同地に展開、トルコ領と反体制派の拠点都市アアザーズ市、マーリア市を結ぶ兵站路が再開(2016年6月8日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県北西部の反体制武装集団の戦略拠点マーリア市近郊に位置するサンダフ村、カフルカルビーン村、カフジャブリーン村から突如撤退、2週間にわたるマーリア市への包囲を解除した。

これにより、マーリア市と、シャームの民のヌスラ戦線を含む反体制武装集団の県北西部における最大拠点都市のアアザーズ市、バーブ・サラーマ国境通行所を結ぶ街道が再開した。

シリア人権監視団によると、ダーイシュはまたスーラーン町、タラーリーン村、カッラ・クーバリー村、ヤーン・ヤバーン村、ドゥーディヤーン村、ブライシャ村、ガザル村などトルコ国境沿いの複数の村々からも撤退した。

ドゥラル・シャーミーヤ(6月8日付)によると、ダーイシュはさらにジャーリズ村、ヤフムール村からも撤退した。

クッルナー・シュラカー(6月8日付)によると、撤退した村々にはムウタスィム・ビッラー旅団が展開したという。

ムウタスィム・ビッラー旅団は米国とトルコから支援を受けていることを公言する組織で、7日、マーリア市で籠城していた反体制武装集団を糾合したとするビデオ声明(https://youtu.be/qCS_55GW8dI)を発表していた。

Youtube, June 7, 2016
Youtube, June 7, 2016



撤退したダーイシュの部隊は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が進軍する県東部のマンビジュ市方面に移動したという。

そのマンビジュ市一帯では、米主導の有志連合の航空支援を受けるシリア民主軍がダーイシュと交戦し、2カ村を新たに制圧、また有志連合がカルサーン村のダーイシュ拠点を空爆し、戦闘員16人が死亡した。

なお、マンビジュ軍事評議会のシャルファーン・ダルウィーシュ報道官は、ロイター通信(6月7日付)に対して、「シリア民主軍はマンビジュ市の間近にいるが、民間人が市内にいるため、同市への突入を躊躇している。ただ、我々は自分たちが望む時に突入できる」と述べた。

一方、アアザーズ市西部に位置する西クルディスタン移行期民政局の拠点都市アフリーン市に、ヌスラ戦線と共闘する反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が撃ち込まれ、人民防衛隊隊員3人が死亡した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Durar al-Shamiya, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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シリア軍がラッカ県の南西部のダーイシュ拠点を爆撃(2016年6月8日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が砂漠の鷹旅団などの民兵とともにユーフラテス川右岸のダーイシュ(イスラーム国)の拠点都市タブカ市に向けて進軍を続け、ダーイシュと交戦、また戦闘機(所属明示せず)がラサーファ村一帯を空爆した。

また、SANA(6月8日付)によると、シリア軍がラサーファ村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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米主導の有志連合は7日にラッカ市近郊、マンビジュ市近郊で10回の爆撃を実施(2016年6月8日)

米中央軍(CENTCOM)は、6月7日のシリア、イラク両国での有志連合の戦果をHPで発表した。

発表によると、有志連合はシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して25回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は10回で、ラッカ市近郊(2回)、マンビジュ市近郊(8回)に対して攻撃が行われた。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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トナー米国務省報道官は全土奪還の意思を表明したアサド大統領の演説を「奨励されるべきものではない」と一蹴(2016年6月8日)

マーク・トナー米国務省報道官は7日のアサド大統領の人民議会での施政方針演説に関して「我々は、ロシアとイランが少なくとも(シリアの)政権にとどまっている連中に敵対行為停止合意の完全な瓦解を回避するよう呼びかけることができると考えている」と述べた。

また「繰り返すが、(アサド大統領)が今日(7日)に言ったことは何らの驚きももたらすものではないが、周知の通り、奨励されるべきものでもない」と強調、全土奪還への意思を示したアサド大統領を牽制した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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南部戦線がイスラエルとの合意に基づき、クナイトラ県に人道支援物資を搬入、住民は受け取りを拒否(2016年6月8日)

ARA News(6月8日付)は、南部戦線に属するシリア革命家戦線が、イスラエル領とイッシャ村を隔てる検問所を経由して、人道支援物資を搬入したと伝えた。

人道支援物資には、砂糖、米、乳児用のミルクなどの食糧物資が含まれているという。

人道支援物資搬入は、イッシャ村一帯の地域で強い影響力を持っているシリア革命家戦線が、検問所通過はイスラエルとの合意のもとに行われたという。

なお、クナイトラ県の人権活動家を名乗るアーミル・アーミル氏はARA Newsの取材に対して、「クナイトラ県のほとんどの住民は、物資にヘブライ語の標記を見つけ、これらの物資がどこから来たのかを知って、受け取りを拒否し、一部の住民にいたっては物資を焼却し、「ユダヤの飯を食べる暗いなら死んだほうがましだ」と述べていた」と答えた。

ARA News, June 8, 2016
ARA News, June 8, 2016

なお、これに関連して、SANA(6月7日付)は、クナイトラ県の複数の地元消息筋の話として、イスラエルからヌスラ戦線支配地域への人道支援物資の配給は定期的に行われている、と伝えた。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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イスラエル軍がシリア領内を侵犯し、ヒムス県のシリア軍基地を爆撃か?(2016年6月8日)

ARA News(6月8日付)は複数の活動家の話として、イスラエル軍がヒムス市南部のシャンシャール村一帯に展開するシリア軍第18師団司令部に対して空爆を実施したと伝えた。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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ロシア訪問中のネタニヤフ首相「衰退したシリアがイスラエル攻撃の拠点とならないようにするため行動する」(2016年6月8日)

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は訪問中のモスクワでロシアのユダヤ教法曹界の代表ら(ラヴィのベレル・ラザル師ら)と会談した。

会談でネタニヤフ首相は、「シリアなど我が国の周辺諸国の多くが衰退した。それゆえ、我々には新たな措置が必要だ」と述べた。

アサド大統領の進退に関して、ネタニヤフ首相は「我々はこの問題には干渉しない」としたうえで、「我々はシリアがイスラエル攻撃の拠点とならないようにするため行動する。シリア軍、イラン軍、ヒズブッラー、イスラーム過激派による攻撃を抑止するだけでなく、シリアには余るほど多くの敵がいる」と述べた。

そのうえで「我が国の政策は、我々に対する攻撃を抑止するのに必要なすべての措置を講じることを必要としている。我々は常にこうしたニーズに基づいて行動する」と付言した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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西側諸国はリヤド最高交渉委員会に対し、代表団メンバーを変更し「モスクワ・リスト」などと協議するよう圧力(2016年6月8日)

『ハヤート』(6月8日付)は、リヤド最高交渉委員会が和平協議に参加する代表団メンバーを変更するよう西側諸国から圧力を受けていると伝えた。

同紙によると、西側諸国は、シリア革命反体制勢力国民連立のハーディー・バフラ前代表やリヤード・フサイン氏といった「穏健派」を代表団に加え、ジュネーブ3会合での間接協議に参加していたいわゆる「モスクワ・リスト」や「カイロ合意グループ」と協議を重ねるよう求めている、という。

リヤド最高交渉委員会は、シャーム自由人イスラーム運動が脱会し、シャームの民のヌスラ戦線との連携を強め、各地で戦闘を激化させている。

またイスラーム軍も、米・ロシアによる敵対行為停止合意を破棄し、戦闘を再開、ムハンマド・アッルーシュ氏はリヤド最高交渉委員会の交渉責任者を辞任している。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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イスラエルのネタニヤフ首相がモスクワでプーチン大統領と会談し、「テロとの戦い」におけるさらなる協力を確認(2016年6月7日)

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はモスクワを訪問し、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領と会談した。

『エルサレム・ポスト』(6月7日付)などによると、会談で両首脳は、「テロとの戦い」においてさらなる協力を行い、シリアなどでの紛争を収束させることが肝要だといった点を確認した。

また両首脳は、イスラエルとトルコの対立、そしてパレスチナとの対立を解消することが重要だという点についても意見の一致を見た。

ネタニヤフ首相はプーチン大統領との会談後の共同記者会見で「両国軍の地域における連携はうまくいっているが、我々は継続中の連携について協議した」と述べた。

ネタニヤフ首相はまた「我々は紛争を回避したいと考えている。すべての人々にとって脅威をもたらす共通の勢力に対して作戦を行っていることを確認しておきたい…。テロやイスラーム過激派といったすべての文明国にとっての脅威について話し合った」と付言した。

これに対して、プーチン大統領は「我々は国際的なテロに対抗するためにさらなる取り組みを行う必要があると話し合った。イスラエルはそれが意味しているの、それが「テロとの戦い」であるということを十分承知している。この点で我々は無条件の同盟国なのだ」と述べた。

ARA News, June 8, 2016
ARA News, June 8, 2016

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、The Jerusalem Post, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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アサド大統領が人民議会で施政方針演説:「我々の「テロとの戦い」は我々が戦争好きだからではなく、サウジアラビア、トルコ、米国が我々に戦争を仕掛けてきたから続いているのだ」(2016年6月7日)

アサド大統領は6月6日に召集された第2期人民議会で施政方針演説を行った。

演説全文はSANA(http://www.sana.sy/?p=391706)に掲載、またその映像はYoutube(https://youtu.be/m9BgXM_6ovA)を通じて配信された。

演説におけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:

SANA, June 7, 2016
SANA, June 7, 2016

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「この選挙(第2期人民議会選挙)は中東地域および大国が現地情勢と政治に注目するなかで実施されたという点で、そして困難な国内情勢のなかで実施されたという点で、通常の選挙とは異なっていた…。しかし、シリア国民は憲法に従ったこの重要な国民投票に広く参加することで世界を再び驚かせた。その参加の規模は多くの避難民が参加したことで前例のないものとなった…。人民議会選挙は世界に対して、国民がこれまで以上に独立を維持していることを明確に示すメッセージとなった…。こうした愛国的姿勢は、国民の参加規模だけでなく、前例のない立候補者の数によっても示された」。

「この選挙はまた…、国民が深い苦しみを乗り越えて出馬した立候補者を選び、投票したという点でこれまでの選挙とは異なっている。今期の議会では、自らの身体の一部を犠牲にして祖国全体を維持しようとする負傷者が初めて当選を果たした」。

「我々が誠意をもって、自分自身ではなく他者のために考え、行動しようとする場合、汚職や不正に端を発する困難を解消し、戦争によって生じた混乱に対処できるようになるべきだ…。そうしようとする場合、あなた方議員が行政府を監視し、その執政を市民のために評価できなければならない。これこそが今期の議会に対してみなが期待していることだ」。

「西側諸国がいかなる代償を払ってでも自らの覇権を維持しようとして行っている国際紛争によって世界が経験している異常な状況のもとで、あなた方は国民としての義務を果たさねばならない…。この紛争は我々の地域、とりわけシリアの情勢に直接影響を与えており、それをより複雑なものとしている…。この紛争が、国際社会、中東地域、そしてシリア内政という三つのレベルで、ジュネーブでの政治プロセスに影響を及ぼしていることは明白だ」。

「テロを支援する諸外国にとっての政治プロセス(ジュネーブ会議)が当初から…憲法を本質とする…祖国という概念の存在を打ち崩そうものだったと今では誰もが包み隠さずに言うようになっている…。これらの国の政略とは、テロを通じた試みが失敗した今、憲法を破壊し…、完全なる混乱状態を作り出し、宗派主義的・人種主義的な憲法を作り、自らの祖国のもとに結束していた国民を、宗派に固執し、外国の力に頼ろうとする集団に分けるものだ…これは自明のものであり…、新しいことではない」。

「宗派主義体制は、一つの国民を敵どうしに変貌させる。敵対する当事者というのはどこであっても同盟者を探すものだ。そしてシリア国内に同盟者がいない状況においては…、外国が同盟者となる。ここにおいて、植民地主義諸国は、自らをこうした集団どうしを結びつける存在として売り込み、当該国の内政に正当なかたちで干渉するようになる。そしてその後の段階で、分割の計画が準備できると、分断策に転じるのだ」。

「我々はこれまでも、そしてこれからも彼らがシリアをこのようなかたちで奈落に突き落とすことを許さない…。ジュネーブ3会議の冒頭で、我々は「それ以外の当事者」との協議の基礎を確立すべきだと提案した…。しかし、我々はいかなる「それ以外の当事者」も見ていない。我々は自分たちどうし、ないしは仲介者と協議してきただけだ…」。

「それ以外の当事者」は自らの主人によってジュネーブへの派遣を強いられ…、言いたいことを言って、ホテルに戻っていっただけだ…。彼らは言及にさえ値しない。直接協議は行われず、彼らは別のホテルに腰を下ろし…、自らの主人から常に支持を受けて、発言していただけだ…。彼らが提示した唯一の予定とは、リヤドの承認を受けたものであって、それはいつ起きて、いつ寝て、いつ食べるかといったものに過ぎなかった…。彼らは自分たちの望みが頓挫するや…、テロを支持すると公言し、休戦、ないしは敵対行為停止を撤回した」。

「ザーラ村(ハマー県)での虐殺、タルトゥース市、ジャブラ市での野蛮な爆破事件など病院一連のテロが続き、彼らはシリア構内に内乱を広めようとしている。しかし彼らはそれに失敗し、また今後も失敗するだろう。なぜなら、シリアにおいて内乱の種は眠っておらず、死に絶えており、爆発事件の犠牲者の魂はシリア人どうしを分断することはないからである」。

「サウジアラビアは何度となくテロを支援していると公言してきた。トルコもシリア北部にテロリストを越境させている。米国は(トルコのレジェップ・タイイップ・)エルドアン(大統領)が行っていることから目を背けている…。エルドアンに残されているのは、政治的バルタギーヤ、正則語で言うところの「政治的悪党」としての役割だけだ…停戦であれ、敵対行為停止であれ、よく実施されている。問題はシリア国内にあるのではない。問題は、シリアの紛争の大部分が国際紛争、地域紛争だいうことにある」。

「我々の「テロとの戦い」は、我々が戦争好きだから続いているのではない。彼らが我々に戦争を仕掛けてきたから続いているのだ。我々がテロを根絶するまで流血は止まらないだろう…。我々がタドムル、そしてその前に多くの地域を解放したように、我々は彼らの手からシリア全土を解放するだろう。我々の前には勝利以外の選択肢はない。勝利しなければシリアは存続しないし、我々の子供たちに現代も未来もなくなってしまう。しかし、このことは我々が政治プロセスを信用していないということではない…。我々は政治プロセスを継続するだろう…しかし、いかなる政治プロセスも、テロが根絶しなければ、始まることも、継続することも、終わることもなく、テロが根絶しなければ、意味はなく、望ましい結果も得られない」。

「いかなる理由であれ、武器を持っているすべての者に今一度、和解プロセスに参加するよう言いたい…。テロの道を進んでも、祖国の破壊しかもたらさない」。

「軍武装部隊におけるシリアの英雄たちよ…、私たちはあなた方の英雄的行為、あなた方の家族の英雄的行為に対して頭を下げてお礼がしたい。あなた方が流す血が無に帰することはなく、勝利は間近だとあなた方全員に約束したい」。

「イラン、ロシア、中国といった国々がシリア国民を支持することがなければ、テロを打ち負かすことはできなかった…。我々はレバノンの愛国的レジスタンスによるテロとの戦いを忘れない」。

「シリアが安定を回復し、テロに対する勝利がもたらされ、領土回復、復興が実現すれば、それこそが多くの尊い地を無に帰さない代償となる。汚職、混乱、法律違反といった事象を撲滅することこそが、こうした代償の一部をなす」。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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シリア軍、ロシア軍がアレッポ市およびその周辺一帯を45回以上にわたり爆撃(2016年6月7日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機・ヘリコプター(所属明示せず)がアレッポ市南部郊外のハーン・トゥーマーン村一帯、アレッポ市北部のカースティールー街道一帯、アレッポ市ハイダリーヤ地区、サーフール地区、サーリヒーン地区、バーブ街道地区、マイサル地区、カーティルジー地区、ライラムーン地区、カーディ・アスカル地区を45回以上にわたり空爆した。

アレッポ市南部のアイス村、ハーン・トゥーマーン村、マアッラータ村、ハミーラ村を砲撃した。

これに対して、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍は米国製のTOW対戦車ミサイルでシリア軍戦車1輌を破壊した。

一方、SANA(6月7日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市ハムダーニーヤ地区を砲撃し、1人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアトシャーン村一帯、サラミーヤ市近郊のハニーファ村一帯を砲撃した。

一方、SANA(6月7日付)によると、シリア軍がアトシャーン村一帯でシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などの武装集団の拠点を攻撃し、戦闘員18人を殲滅した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、クルーム丘一帯でシリア軍がシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(6月7日付)によると、シリア軍がハミーディーヤ村・フッリーヤ村間の街道でシャームの民のヌスラ戦線の車輌2台を攻撃、これを破壊した。

これに対して、ヌスラ戦線はバアス市を砲撃した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ナシャービーヤ町一帯でシリア軍がジハード主義武装集団と交戦した。

またダーライヤー市一帯でのシリア軍との戦闘でイスラーム殉教者旅団の広報活動家が死亡した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がジャウバル区を6回にわたり空爆した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がアリーハー市を空爆した。

またタフタナーズ市で大きな爆発が発生した。

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ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターは、トルコ領内から武器弾薬を積んだ車輌多数とシャームの民のヌスラ戦線戦闘員200人がアレッポ県北部に潜入したことを確認したと発表した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、6月6日に3件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はアレッポ市(マイダーン地区、シャイフ・マクスード地区)でのイスラーム軍による砲撃だったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は643件。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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ラッカ県南西部、ハマー県東部でシリア軍、砂漠の鷹旅団がダーイシュとの戦闘を続ける(2016年6月7日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍、シリア軍の空爆支援を受けたシリア軍および砂漠の鷹旅団などからなる民兵は、タブカ航空基地30キロの距離まで進軍した。

一方、SANA(6月7日付)によると、シリア軍が県南西部ラサーファ村(ハマー県)交差点西方のダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆した。

他方、ダーイシュの広報部門アアマーク通信によると、ダーイシュはイスリヤー村・サラミーヤ市間の街道でシリア軍と交戦し、シリア軍兵士34人を殺害したという。

ARA News, June 7, 2016
ARA News, June 7, 2016

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がラッカ県との県境に近いイスリヤー村・シャイフ・ハラール村回廊一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

両者はまた県東部のサッブーラ村一帯でも交戦した。

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ヒムス県では、ARA News(6月7日付)によると、シリア軍はタドムル市近郊の穀物サイロ地区を、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末に完全制圧した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(6月7日付)によると、シリア軍がシューラー村、ダイル・ザウル航空基地南部、ブガイリーヤ村、アイヤーシュ村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点、車輌を空爆した。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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ダルアー県でダーイシュと「自由シリア軍」が交戦(2016年6月7日)

ダルアー県では、クッルナー・シュラカー(6月7日付)によると、スワイダー県との県境に位置するラジャート高原のフーシュ・ハマード地区でダーイシュ(イスラーム国)を名乗る武装集団と「自由シリア軍」(南部部族自由人連合)が交戦し、後者の戦闘員8人が死亡した。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍はアレッポ県のダーイシュの拠点都市マンビジュ市内への突入を開始か(2016年6月7日)

アレッポ県では、『ハヤート』(6月8日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、有志連合の空爆支援を受け、マンビジュ市一帯でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続け、同市南部2キロ、東部7キロの地点まで進軍した。

ARA News(6月8日付)によると、シリア民主軍は、マンビジュ市に隣接するマンクーバ村を制圧し市北東部に、またカナート・シャフ・タッバーシュ村を制圧し同市東部に到達、7日晩から8日深夜にかけて、ダーイシュが撤退したマンビジュ市郊外の複数の地区への進軍を開始したという。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、シリア民主軍に三方を包囲されたマンビジュ市で、ダーイシュが住民に、西方の支配地域(バーブ市方面)への避難を認め、数千人が市外に退去した。

ダーイシュは当初は、マンビジュ市民の市外への退去を禁じていたという。

なお、シリア人権監視団によると、シリア民主軍は現在、58カ村・農場を制圧、モロッコ人司令官を含むダーイシュ戦闘員30人以上を殺害、またダーイシュとの戦闘でシリア民主軍隊員12人が戦死、民間人25人が死亡している。

『ハヤート』(6月8日付)によると、マンビジュ市は2011年以前は人口12万人を擁したが、シリア民主軍によるマンビジュ解放作戦開始時には2万人に減少していたという。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、June 8, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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「ロジャヴァ・北シリア民主連邦」樹立に向けた社会契約草案の作成完了(2016年6月7日)

ARA News(6月7日付)は、「ロジャヴァ・北シリア民主連邦」樹立に向けた組織委員会の社会契約小委員会は、連邦制樹立にかかる社会契約草案の作成を完了したと伝えた。

小委員会によると、草案は「自由と民主主義」、「共存」という二大原則を掲げているという。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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アレッポ県、イドリブ県、ハマー県の地元評議会はシリア革命反体制勢力国民連立を脱会(2016年6月7日)

アレッポ県、イドリブ県、ハマー県の地元評議会は共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立からの脱会を宣言した。

ARA News(6月7日付)が伝えた。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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「新シリア軍」を主導するアサーラ・ワ・タンミヤ戦線はシリア領内での英特殊部隊の支援活動を否定(2016年6月7日)

米軍の教練を受けた反体制武装集団「新シリア軍」を主導するアサーラ・ワ・タンミヤ戦線のハーリド・ハマード事務局長は自身のフェイスブック・アカウントで、英特殊部隊がシリア国内での「新シリア軍」の活動を支援しているとする『タイムズ』(6月6日付)の記事の内容を否定した。

クッルナー・シュラカー(6月7日付)が伝えた。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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