シリア軍、ロシア軍がアレッポ市の反体制派支配地域を激しく攻撃、市内のバヤーン病院一帯が標的となり20人以上が死亡(2016年6月8日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市シャッアール地区、マルジャ地区、サーフール地区、マサーキン・ハナーヌー地区にヘリコプターで「樽爆弾」を投下し、子供複数を含む23人が死亡、数十人が負傷した。

空爆による標的にはシャッアール地区のバヤーン病院一帯も含まれており、同地での死者は15人にのぼるという。

Kull-na Shuraka', June 8, 2016
Kull-na Shuraka’, June 8, 2016

また戦闘機(所属明示せず)がアレッポ市スッカリー地区、サーリヒーン地区、ブスターン・バーシャー地区、シャイフ・ナッジャール市、ブライジュ村を空爆した。

さらにシリア軍は、アレッポ市北部のカースティールー地区一帯を砲撃した

一方、アレッポ市南部郊外一帯では、シリア軍がファトフ軍との戦闘を続け、兵士3人が戦死した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がマアッラト・ヌウマーン市各所を空爆し、女性1人が死亡した。

空爆はまたザーウィヤ山のバーラ村各所に対しても行われた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がザーラ村一帯、ヒルブナフサ村を砲撃した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダイル・ハビーヤ村農村地帯を砲撃、またハーン・シャイフ・キャンプに近いサラーム交差点一帯を「樽爆弾」で空爆した。

また、クッルナー・シュラカー(6月8日付)によると、シリア軍がダーライヤー市への突入を試み、反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(6月8日付)によると、シリア軍がハラスター市近郊の軍事拠点に向けて反体制武装集団が掘削した地下トンネルを発見し、これを破壊した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がアティーラ村一帯でシリア軍の車輌を攻撃、大佐1人を含む兵士6人が死亡した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、6月7日に7件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県でのイスラーム軍などによる砲撃だったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は650件。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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米国、トルコ、サウジアラビアが支援するイスラーム過激派と「穏健な反体制派」の連合体シャーム戦線が「ロシアと共謀」しようとしたナスル旅団の幹部を逮捕(2016年6月8日)

アレッポ県では、ARA News(6月8日付)によると、アレッポ県北部およびアレッポ市一帯で活動するシャーム戦線は、ナスル旅団のアフマド・マフムード・ファットゥーフ氏を含む同旅団メンバー多数をアレッポ市北部郊外で拘束した。

シャーム戦線の声明によると、拘束はナスル旅団が「ロシアおよびシリア政府と共謀し、連絡をとっていた」ことが理由だという。

シャーム戦線はまた、「米国とロシアは信用できない。この二国を反体制派の戦略的同盟者とみなすことは間違っている。有志連合への接近やロシアとの連携は大きな間違えだ」と強調した。

シャーム戦線は、トルコ、サウジアラビア、米国が支援するイスラーム過激派と「穏健な反体制派」の連合組織で、「命じられるままに進め」連合、ムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線、シャーム自由人イスラーム運動、ヌールッディーン・ザンキー運動、アサーラ・ワ・タンミヤ運動、ハズム運動からなっている。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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米国とトルコの支援を受けるムウタスィム・ビッラー旅団の司令官が失踪、同旅団はヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構の関与を疑う(2016年6月8日)

ARA News(6月8日付)は、米国、トルコの支援を受ける「穏健な反体制派」のムウタスィム・ビッラー旅団の司令官ムハンマド・ハサン・ハリール中佐が数日前にダーラト・イッザ市を訪問後、マーリア市への帰路で失踪したと伝えた。

これに関して、ムウタスィム・ビッラー旅団政治局のムスタファー・ムスタファー氏は、ダーラト・イッザ市の法務委員会から、ハリール中佐を一時身柄を拘束したが、3時間後に釈放したとの連絡を受けていたと述べた。

そのうえで、「我々はトルコ、米国から支援を受けているため…、彼らは我々を「覚醒評議会」だとみなしている。我々は、ダーラト・イッザ市を含むアレッポ県西部の大部分を掌握するシャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構といったイスラーム過激派の攻撃を受けている」と述べ、ファトフ軍による拉致の可能性を示唆した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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アレッポ県北西部のトルコ国境一帯からダーイシュが突如撤退し、米国とトルコの支援を受けるムウタスィム・ビッラー旅団が同地に展開、トルコ領と反体制派の拠点都市アアザーズ市、マーリア市を結ぶ兵站路が再開(2016年6月8日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県北西部の反体制武装集団の戦略拠点マーリア市近郊に位置するサンダフ村、カフルカルビーン村、カフジャブリーン村から突如撤退、2週間にわたるマーリア市への包囲を解除した。

これにより、マーリア市と、シャームの民のヌスラ戦線を含む反体制武装集団の県北西部における最大拠点都市のアアザーズ市、バーブ・サラーマ国境通行所を結ぶ街道が再開した。

シリア人権監視団によると、ダーイシュはまたスーラーン町、タラーリーン村、カッラ・クーバリー村、ヤーン・ヤバーン村、ドゥーディヤーン村、ブライシャ村、ガザル村などトルコ国境沿いの複数の村々からも撤退した。

ドゥラル・シャーミーヤ(6月8日付)によると、ダーイシュはさらにジャーリズ村、ヤフムール村からも撤退した。

クッルナー・シュラカー(6月8日付)によると、撤退した村々にはムウタスィム・ビッラー旅団が展開したという。

ムウタスィム・ビッラー旅団は米国とトルコから支援を受けていることを公言する組織で、7日、マーリア市で籠城していた反体制武装集団を糾合したとするビデオ声明(https://youtu.be/qCS_55GW8dI)を発表していた。

Youtube, June 7, 2016
Youtube, June 7, 2016



撤退したダーイシュの部隊は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が進軍する県東部のマンビジュ市方面に移動したという。

そのマンビジュ市一帯では、米主導の有志連合の航空支援を受けるシリア民主軍がダーイシュと交戦し、2カ村を新たに制圧、また有志連合がカルサーン村のダーイシュ拠点を空爆し、戦闘員16人が死亡した。

なお、マンビジュ軍事評議会のシャルファーン・ダルウィーシュ報道官は、ロイター通信(6月7日付)に対して、「シリア民主軍はマンビジュ市の間近にいるが、民間人が市内にいるため、同市への突入を躊躇している。ただ、我々は自分たちが望む時に突入できる」と述べた。

一方、アアザーズ市西部に位置する西クルディスタン移行期民政局の拠点都市アフリーン市に、ヌスラ戦線と共闘する反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が撃ち込まれ、人民防衛隊隊員3人が死亡した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Durar al-Shamiya, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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シリア軍がラッカ県の南西部のダーイシュ拠点を爆撃(2016年6月8日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が砂漠の鷹旅団などの民兵とともにユーフラテス川右岸のダーイシュ(イスラーム国)の拠点都市タブカ市に向けて進軍を続け、ダーイシュと交戦、また戦闘機(所属明示せず)がラサーファ村一帯を空爆した。

また、SANA(6月8日付)によると、シリア軍がラサーファ村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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米主導の有志連合は7日にラッカ市近郊、マンビジュ市近郊で10回の爆撃を実施(2016年6月8日)

米中央軍(CENTCOM)は、6月7日のシリア、イラク両国での有志連合の戦果をHPで発表した。

発表によると、有志連合はシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して25回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は10回で、ラッカ市近郊(2回)、マンビジュ市近郊(8回)に対して攻撃が行われた。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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トナー米国務省報道官は全土奪還の意思を表明したアサド大統領の演説を「奨励されるべきものではない」と一蹴(2016年6月8日)

マーク・トナー米国務省報道官は7日のアサド大統領の人民議会での施政方針演説に関して「我々は、ロシアとイランが少なくとも(シリアの)政権にとどまっている連中に敵対行為停止合意の完全な瓦解を回避するよう呼びかけることができると考えている」と述べた。

また「繰り返すが、(アサド大統領)が今日(7日)に言ったことは何らの驚きももたらすものではないが、周知の通り、奨励されるべきものでもない」と強調、全土奪還への意思を示したアサド大統領を牽制した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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南部戦線がイスラエルとの合意に基づき、クナイトラ県に人道支援物資を搬入、住民は受け取りを拒否(2016年6月8日)

ARA News(6月8日付)は、南部戦線に属するシリア革命家戦線が、イスラエル領とイッシャ村を隔てる検問所を経由して、人道支援物資を搬入したと伝えた。

人道支援物資には、砂糖、米、乳児用のミルクなどの食糧物資が含まれているという。

人道支援物資搬入は、イッシャ村一帯の地域で強い影響力を持っているシリア革命家戦線が、検問所通過はイスラエルとの合意のもとに行われたという。

なお、クナイトラ県の人権活動家を名乗るアーミル・アーミル氏はARA Newsの取材に対して、「クナイトラ県のほとんどの住民は、物資にヘブライ語の標記を見つけ、これらの物資がどこから来たのかを知って、受け取りを拒否し、一部の住民にいたっては物資を焼却し、「ユダヤの飯を食べる暗いなら死んだほうがましだ」と述べていた」と答えた。

ARA News, June 8, 2016
ARA News, June 8, 2016

なお、これに関連して、SANA(6月7日付)は、クナイトラ県の複数の地元消息筋の話として、イスラエルからヌスラ戦線支配地域への人道支援物資の配給は定期的に行われている、と伝えた。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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イスラエル軍がシリア領内を侵犯し、ヒムス県のシリア軍基地を爆撃か?(2016年6月8日)

ARA News(6月8日付)は複数の活動家の話として、イスラエル軍がヒムス市南部のシャンシャール村一帯に展開するシリア軍第18師団司令部に対して空爆を実施したと伝えた。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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ロシア訪問中のネタニヤフ首相「衰退したシリアがイスラエル攻撃の拠点とならないようにするため行動する」(2016年6月8日)

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は訪問中のモスクワでロシアのユダヤ教法曹界の代表ら(ラヴィのベレル・ラザル師ら)と会談した。

会談でネタニヤフ首相は、「シリアなど我が国の周辺諸国の多くが衰退した。それゆえ、我々には新たな措置が必要だ」と述べた。

アサド大統領の進退に関して、ネタニヤフ首相は「我々はこの問題には干渉しない」としたうえで、「我々はシリアがイスラエル攻撃の拠点とならないようにするため行動する。シリア軍、イラン軍、ヒズブッラー、イスラーム過激派による攻撃を抑止するだけでなく、シリアには余るほど多くの敵がいる」と述べた。

そのうえで「我が国の政策は、我々に対する攻撃を抑止するのに必要なすべての措置を講じることを必要としている。我々は常にこうしたニーズに基づいて行動する」と付言した。

AFP, June 8, 2016、AP, June 8, 2016、ARA News, June 8, 2016、Champress, June 8, 2016、al-Hayat, June 9, 2016、Iraqi News, June 8, 2016、Kull-na Shuraka’, June 8, 2016、al-Mada Press, June 8, 2016、Naharnet, June 8, 2016、NNA, June 8, 2016、Reuters, June 8, 2016、SANA, June 8, 2016、UPI, June 8, 2016などをもとに作成。

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西側諸国はリヤド最高交渉委員会に対し、代表団メンバーを変更し「モスクワ・リスト」などと協議するよう圧力(2016年6月8日)

『ハヤート』(6月8日付)は、リヤド最高交渉委員会が和平協議に参加する代表団メンバーを変更するよう西側諸国から圧力を受けていると伝えた。

同紙によると、西側諸国は、シリア革命反体制勢力国民連立のハーディー・バフラ前代表やリヤード・フサイン氏といった「穏健派」を代表団に加え、ジュネーブ3会合での間接協議に参加していたいわゆる「モスクワ・リスト」や「カイロ合意グループ」と協議を重ねるよう求めている、という。

リヤド最高交渉委員会は、シャーム自由人イスラーム運動が脱会し、シャームの民のヌスラ戦線との連携を強め、各地で戦闘を激化させている。

またイスラーム軍も、米・ロシアによる敵対行為停止合意を破棄し、戦闘を再開、ムハンマド・アッルーシュ氏はリヤド最高交渉委員会の交渉責任者を辞任している。

AFP, June 7, 2016、AP, June 7, 2016、ARA News, June 7, 2016、Champress, June 7, 2016、al-Hayat, June 8, 2016、Iraqi News, June 7, 2016、Kull-na Shuraka’, June 7, 2016、al-Mada Press, June 7, 2016、Naharnet, June 7, 2016、NNA, June 7, 2016、Reuters, June 7, 2016、SANA, June 7, 2016、UPI, June 7, 2016などをもとに作成。

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