ダーイシュが広報ビデオを通じて組織構造の詳細を初めて公表(2016年7月7日)

ダーイシュ(イスラーム国)の広報部門の一つフルカーン広報制作機構は「カリフ制の構造」と題した15分の広報ビデオ(https://www.youtube.com/watch?v=6L-caEJEe50)を発表し、カリフ、シューラー評議会、代表委員会などからなる組織構造の詳細を初めて明らかにした。

これによると、アブー・バクル・バグダーディー氏が務めるカリフは、シャリーアの裁定に基づき人々を支配し、ハッド刑を適用し、軍備を行い、戦線を防衛し、祖国を守り、宗教を正し、布教する役割を担うという。

また、シューラー評議会はカリフの執政を補佐する機関で、良識、高い教育、知識(イルム)を身につけた健常者から構成されるという。

また代表委員会は州や執行機関を監督する役割を持つという。

支配地域に関して、広報ビデオは、ダーイシュが複数の国に35の「州」(ウィラーヤ)からなり、うち19州がシリアとイラク、16州がその他に国に設置されていると説明している。

35州とは、バグダード、アンバール、サラーフッディーン、ファルージャ、ディヤーラ、北バグダード、南部、ニナワ、キルクーク、ティグリス、ジャズィーラ(以上イラク)、バラカ、ハイル、ラッカ、ダマスカス、アレッポ、ヒムス、ハマー、ユーフラテス(以上シリア)、ナジュド、ヒジャーズ(以上サウジアラビア)、シナイ(エジプト)、ブレガ、トリポリ、フェザーン(以上リビア)、アルジェリア、北アフリカ、リワー・アフダル、ホラーサーン、カフカーズ、アデン・アビアン、シャブワ、ハドラマウト、サヌアー、ベイダウ。

執行機関は、シューラー評議会、代表委員会のほか、14のディーワーン、4のマクタブからなるという。

ディーワーンとは、ヒスバ(宗教警察)、コーラン、布教・モスク、ザカート、治安、中央広報、保健、財務、福祉、軍事、資源鉱物、教育、農業、法務からなり、マクタブは、ヒジュラ(移民)、捕虜殉教者、調査研究、遠隔州からなるという。

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このほか「中東かわら版 No.61 イスラーム過激派:「イスラーム国」の広報部門」(http://www.meij.or.jp/kawara/2016_061.html)によると、ダーイシュの中央広報ディーワーン傘下の広報媒体として、フルカーン広報制作機構、ハヤート広報センター、バヤーン・ラジオ、アジュナード機構、ヒンマ文庫、ナバウ紙が存在することが明らかにされた。

このなかには、ダーイシュによるテロを速報し、犯行声明を拡散するアアマーク通信は含まれていない。

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AFP, July 7, 2016、AP, July 7, 2016、ARA News, July 7, 2016、Champress, July 7, 2016、al-Hayat, July 8, 2016、Iraqi News, July 7, 2016、Kull-na Shuraka’, July 7, 2016、al-Mada Press, July 7, 2016、Naharnet, July 7, 2016、NNA, July 7, 2016、Reuters, July 7, 2016、SANA, July 7, 2016、UPI, July 7, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

マンビジュ市一帯でのYPG主体のシリア民主軍とダーイシュの戦闘で民間人9人が死亡(2016年7月7日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がマンビジュ市南部でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、民間人7人が死亡した。

またマンビジュ市郊外のアブー・カルカル村近郊で子供2人が地雷の爆発で死亡した。

一方、ダーイシュは、トルコ国境に近い反体制武装集団の戦略拠点マーリア市をが砲撃し、複数人が死亡した。

また、ARA News(7月8日付)によると、ダイル・ザウル航空基地で戦闘を指揮していたダーイシュの前線司令官アーミル・ガッファール・ハリーフ・サーリフ氏が死亡した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がアイン・イーサー市西部郊外でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

また戦闘機(所属明示せず)がラッカ市各所を空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がダイル・ザウル航空基地一帯を空爆、サルダ山一帯でシリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

一方、SANA(7月7日付)によると、シリア軍がサルダ山一帯、ジャフラ村、ダイル・ザウル航空基地一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

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スワイダー県では、SANA(7月7日付)によると、シリア軍が県東部でダーイシュ(イスラーム国)の車列を空爆した。

AFP, July 7, 2016、AP, July 7, 2016、ARA News, July 7, 2016、July 8, 2016、Champress, July 7, 2016、al-Hayat, July 8, 2016、Iraqi News, July 7, 2016、Kull-na Shuraka’, July 7, 2016、al-Mada Press, July 7, 2016、Naharnet, July 7, 2016、NNA, July 7, 2016、Reuters, July 7, 2016、SANA, July 7, 2016、UPI, July 7, 2016などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ市北部のアルド・マッラーフ地区南部農場を完全制圧し、カースティールー街道に迫る(2016年7月7日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がフライターン市、アレッポ市西部郊外のアブー・アムシャ村、アウラム・クブラー町、第46連隊基地一帯、アレッポ市北部のアルド・マッラーフ地区農場地帯、カースティールー街道一帯、カブターン・ジャバル村、カフルハムラ村を空爆するとともに、シリア軍、親政権民兵がアレッポ市北部のライラムーン地区一帯、バニー・ザイド地区、アルド・マッラーフ地区南部農場地帯、ハンダラート・キャンプ一帯で、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

これに関して、SANA(7月7日付)は、シリア軍が人民防衛諸集団とともにアレッポ市北部のアルド・マッラーフ地区南部農場を反体制武装集団(ヌールッディーン・ザンキー運動など)との戦闘の末に完全制圧し、カースティールー街道に迫り、同街道を火器によって遮断する態勢に入ったと伝えた。

一方、クッルナー・シュラカー(7月7日付)によると、3カ所は、反体制武装集団がアルド・マッラーフ地区前線でシリア軍の拠点3カ所を制圧した、と伝えた。

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ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月7日付)、ARA News(7月7日付)などによると、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団がランクース市郊外の無人地帯にあるシリア軍・ヒズブッラーの拠点(サファー検問所)を制圧した。

これを受け、シリア軍が同地一帯を空爆した。

しかし、マヤーディーン・テレビ(7月7日付)は、ヒズブッラーの司令官の話として、これを否定した。

またシリア人権監視団によると、ダーライヤー市各所をシリア軍が地対地ミサイルなどで攻撃、マイダアー町一帯では、シリア軍、ヒズブッラーが同地の完全制圧に向けて反体制武装集団との戦闘を続けた。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、7月6日に4件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はアレッポ県、ラタキア県、イドリブ県で発生し、イスラーム軍などが砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は762件。

AFP, July 7, 2016、AP, July 7, 2016、ARA News, July 7, 2016、Champress, July 7, 2016、al-Durar al-Shamiya, July 7, 2016、al-Hayat, July 8, 2016、Iraqi News, July 7, 2016、Kull-na Shuraka’, July 7, 2016、al-Mada Press, July 7, 2016、Qanat al-Mayadin, July 7, 2016、Naharnet, July 7, 2016、NNA, July 7, 2016、Reuters, July 7, 2016、SANA, July 7, 2016、UPI, July 7, 2016などをもとに作成。

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トルコ領内でシリア人2人が爆弾製造中に起きたと思われる爆発で死亡する一方、イラク人難民142人がトルコ領内で拘束(2016年7月7日)

シリアの北西部に接するトルコのハタイ県レイハンル市でシリア人男性2人が爆発により負傷、搬送先の市内の病院で死亡した。

爆発は、この2人が爆弾を製造中に発生したと見られ、AFP(7月7日付)によると、トルコの警察当局は捜査を開始した。

またDHA(7月7日付)によると、警察当局は爆発現場で女性1人を逮捕したという。

逮捕された女性の国籍は不明。

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ARA News(7月7日付)によると、トルコ軍はイドリブ県から越境し、トルコ領内に不法入国したイラク人142人をハタイ県ヤイラダー村で拘束した。

拘束されたイラク人はほとんどが女性、子供で、取り調べの結果、ダーイシュ(イスラーム国)から逃れて来たことが判明したという。

AFP, July 7, 2016、AP, July 7, 2016、ARA News, July 7, 2016、Champress, July 7, 2016、DHA, July 7, 2016、al-Hayat, July 8, 2016、Iraqi News, July 7, 2016、Kull-na Shuraka’, July 7, 2016、al-Mada Press, July 7, 2016、Naharnet, July 7, 2016、NNA, July 7, 2016、Reuters, July 7, 2016、SANA, July 7, 2016、UPI, July 7, 2016などをもとに作成。

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米・ロシア首脳が電話会談でシリア情勢について意見を交わす(2016年7月7日)

ロシアのヴラジミール・プーチン大統領とバラク・オバマ米大統領は電話会談を行い、シリア情勢について意見を交わした。

電話会談は、プーチン大統領が申し出るかたちで行われ、ロシア大統領府によると、両首脳は、シリア国内での軍事作戦での連携、和平協議再開の必要を確認したという。

『ハヤート』(7月8日付)などが伝えた。

AFP, July 7, 2016、AP, July 7, 2016、ARA News, July 7, 2016、Champress, July 7, 2016、al-Hayat, July 8, 2016、Iraqi News, July 7, 2016、Kull-na Shuraka’, July 7, 2016、al-Mada Press, July 7, 2016、Naharnet, July 7, 2016、NNA, July 7, 2016、Reuters, July 7, 2016、SANA, July 7, 2016、UPI, July 7, 2016などをもとに作成。

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アサド大統領夫妻はヒムス県農村地帯の傷痍軍人宅を慰問(2016年7月7日)

アサド大統領とアスマー・アフラス大統領夫人は、ヒムス県のカニーサ村、トゥヌータ村、マダービア村のシリア軍の傷痍軍人の自宅を慰問し、本人および家族と懇談した(https://youtu.be/ftSzwHzeU48https://youtu.be/JjonXncf9lghttps://youtu.be/nJseCWsKES8)。

SANA(7月7日付)が伝えた。

SANA, July 7, 2016
SANA, July 7, 2016

AFP, July 7, 2016、AP, July 7, 2016、ARA News, July 7, 2016、Champress, July 7, 2016、al-Hayat, July 8, 2016、Iraqi News, July 7, 2016、Kull-na Shuraka’, July 7, 2016、al-Mada Press, July 7, 2016、Naharnet, July 7, 2016、NNA, July 7, 2016、Reuters, July 7, 2016、SANA, July 7, 2016、UPI, July 7, 2016などをもとに作成。

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