イドリブ県でシリア軍が「決戦」作戦司令室の支配地域を砲撃(2020年8月22日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから169日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のファッティーラ村、カンスフラ村、スフーフン村、バーラ村、バイニーン村、ルワイハ村、ダイル・サンバル村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約145輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を2件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を3件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県1件、ハマー県1件)確認した。

AFP, August 22, 2020、ANHA, August 22, 2020、AP, August 22, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 22, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 22, 2020、Reuters, August 22, 2020、SANA, August 22, 2020、SOHR, August 22, 2020、UPI, August 22, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民375人と国内避難民(IDPs)5人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は590,021人、2019年以降帰還したIDPsは66,168人に(2020年8月22日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(8月22日付)を公開し、8月21日に難民375人(うち女性113人、子供192人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民375人(うち女性113人、子供192人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は590,021人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者194,773人(うち女性58,572人、子ども99,064人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,704,192人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は819,301人(うち女性245,848人、子供417,555人)となった。

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一方、国内避難民5人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは5人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した5人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は5人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は66,168人(うち女性23,071人、子供27,228人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,334,764人(うち女性405,630人、子供670,994人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 22, 2020をもとに作成。

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ダイル・ザウル県でロシア軍士官が爆殺される瞬間の映像が公開される(2020年8月21日)

8月18日にロシア軍将兵4人が死傷したダイル・ザウル市近郊での爆発の瞬間を撮影したとされる映像がインターネット上で拡散された。

https://twitter.com/alshmali_alhr0/status/1296766944742379520?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1296766944742379520%7Ctwgr%5E&ref_url=https%3A%2F%2Feldorar.com%2Fnode%2F154916

映像には、シリア軍、親政権民兵の国防隊、そしてロシア軍の将兵や車輌が多数写っている。

映像は、現場にいたシリア軍兵士の1人が撮影したものと思われるという。

AFP, August 21, 2020、ANHA, August 21, 2020、AP, August 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 21, 2020、Reuters, August 21, 2020、SANA, August 21, 2020、SOHR, August 21, 2020、UPI, August 21, 2020などをもとに作成。

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トルコ占領下のハサカ県ラアス・アイン市およびマスバガ村で、水と電気の不足や国民軍に抗議するデモ(2020年8月21日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のラアス・アイン市と近郊のマスバガ村で、ラアス・アイン国境通行所局長の人事に異議を唱え、業務を停止したラアス・アイン地元評議会と連帯するための抗議デモが行われ、デモ参加者は、トルコの支援を受ける国民軍の退去を求めた。

抗議を受け、国民軍の憲兵隊とスルターン・ムラード師団は村からの撤退を余儀なくされる一方、ムウタスィム旅団は住民と連帯し、村にとどまった。

デモは、ラアス・アイン市でも行われ、住民数十人が国境通行所前で、断続的に不足している水と電気の供給を求めると共に、通行所局長の人事見直しを要求した。

AFP, August 21, 2020、ANHA, August 21, 2020、AP, August 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 21, 2020、Reuters, August 21, 2020、SANA, August 21, 2020、SOHR, August 21, 2020、UPI, August 21, 2020などをもとに作成。

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ロシア軍がヒムス県、スワイダー県でダーイシュの残党を爆撃(2020年8月21日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)の残党が潜伏を続ける県東部の砂漠地帯を爆撃した。

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スワイダー県では、シリア人権監視団によると、ザルフ・ダム近くにダーイシュ(イスラーム国)の残党が仕掛けたと思われる爆弾が爆発し、シリア軍兵士3人が死亡、3人が負傷した。

ドゥラル・シャーミーヤ(8月21日付)によると、爆発は地雷によるもので、死亡したのは親政権民兵の士官4人。

これを受けて、ロシア軍戦闘機が同地一帯を爆撃した。

AFP, August 21, 2020、ANHA, August 21, 2020、AP, August 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 21, 2020、Reuters, August 21, 2020、SANA, August 21, 2020、SOHR, August 21, 2020、UPI, August 21, 2020などをもとに作成。

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アアマーク通信は18日のロシア軍士官殺害にダーイシュが関与したと発表(2020年8月21日)

ダーイシュ(イスラーム国)に近いアアマーク通信は8月20日、8月18日にダイル・ザウル市近郊での爆発でロシア軍将兵4人が死傷した事件への関与を認める記事をテレグラムを通じて配信した。

「ロシアの上級士官と「国防隊」民兵の司令官をヒムス砂漠に仕掛けた爆弾で殺害した」と題された声明の内容は以下の通り:

シリア・ヒムス・アアマーク通信:ロシア軍の士官と親シリア軍民兵の司令官が一昨日(18日)、ヒムス県東部で彼らに対して仕掛けられた爆弾の爆発によって殺害された。

アアマーク通信の複数の情報筋が述べたところによると、ロシア軍パトロール部隊はイスラーム国の戦闘員が「スフナ市」東に敷設した地雷原に入り、彼らに対して仕掛けられていた爆弾の爆発によって、少将1人が殺害され、複数が負傷した。

「国防隊」民兵の司令官1人も護衛多数とともに殺害され、また多数が負傷した。彼らが乗っていた車輌に仕掛けられていた爆弾の爆発によるもので、ロシア軍士官が殺害されたのと同じ地域で行われたものである。

2020年8月20日

AFP, August 21, 2020、ANHA, August 21, 2020、AP, August 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 21, 2020、Elokab.com, August 20, 2020、Reuters, August 21, 2020、SANA, August 21, 2020、SOHR, August 21, 2020、UPI, August 21, 2020などをもとに作成。

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北・東シリア自治局の支配下にあるダイル・ザウル県各所で有志連合にシリア軍、ロシア軍、「イランの民兵」の排除を求めるデモ(2020年8月21日)

ダイル・ザウル県では、ANHA(8月21日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるフサイニーヤ町、ムッラート村、サーリヒーヤ村、ハトラ村、タービヤト・ジャズィーラ村、マズルーム村で「解放の金曜日」と銘打ったデモが行われ、参加した住民らは、米主導の有志連合に対して、シリア軍、ロシア軍、「イランの民兵」の排除するよう要求した。

一方、SANA(8月21日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるブサイラ市で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の司令官が何者かの発砲を受けて死亡した。

AFP, August 21, 2020、ANHA, August 21, 2020、AP, August 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 21, 2020、Reuters, August 21, 2020、SANA, August 21, 2020、SOHR, August 21, 2020、UPI, August 21, 2020などをもとに作成。

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ジャアファリー・シリア国連代表はグテーレス事務総長と電話会談し、トルコによるアルーム揚水所の止水に対応するよう要請(2020年8月21日)

バッシャール・ジャアファリー・シリア国連代表はアントニオ・グテーレス国連事務総長と電話会談を行い、そのなかでトルコの占領下にあるハサカ県アルーク村の揚水所からの水道水供給に伴う深刻な水不足についての現状を報告し、トルコによるこうした犯罪行為を停止させるため、迅速に介入するよう要請した。

これに対して、グテーレス事務総長は、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表に問題に対処するために必要な対応を取るよう付託したと答えた。

SANA(8月21日付)が伝えた。

AFP, August 21, 2020、ANHA, August 21, 2020、AP, August 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 21, 2020、Reuters, August 21, 2020、SANA, August 21, 2020、SOHR, August 21, 2020、UPI, August 21, 2020などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で65人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で0人(2020年8月21日)

保健省は政府支配地域で新たに65人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者15人が完治し、1人が死亡したと発表した。

これにより、8月21日現在の同地での感染者数は計2,073人、うち死亡したのは83人、回復したのは475人となった。

SANA(8月21日付)が伝えた。

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レバノンの総合情報総局は、シリア在住のレバノン国民を受け入れるため、8月25日から27日の3日間、ダマスカス郊外県ジュダイダト・ヤーブース国境通行所に面するベカーア県のマスナア国境通行所、タルトゥース県ダブースィーヤ国境通行所に面する北部県のアブーディーヤ国境通行所を再開することを決定したと発表した。

SANA(8月21日付)が伝えた。

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で8月21日に2人の新型コロナウイルス感染者が完治したと発表した。

これにより、同地での感染者数は計59人、うち回復したのは48人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1363682970503257/

AFP, August 21, 2020、ACU, August 21, 2020、ANHA, August 21, 2020、AP, August 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 21, 2020、Reuters, August 21, 2020、SANA, August 21, 2020、SOHR, August 21, 2020、UPI, August 21, 2020などをもとに作成。

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シリア軍がイドリブ県、ラタキア県などを砲撃し、住民2人死亡(2020年8月21日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから168日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のファッティーラ村、カンスフラ村、スフーフン村、フライフィル村を砲撃し、ファッティーラ村では、イチジクの収穫をしていた住民2人が死亡した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約50輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるトルコマン山地方各所を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市ダム街道地区でシャーム解放機構の元戦闘員が正体不明の武装集団の襲撃を受けて、死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を2件(イドリブ県0件、ラタキア県0件、アレッポ県2件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, August 21, 2020、ANHA, August 21, 2020、AP, August 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 21, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 21, 2020、Reuters, August 21, 2020、SANA, August 21, 2020、SOHR, August 21, 2020、UPI, August 21, 2020などをもとに作成。

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所属不明の戦闘機がダイル・ザウル県南東部に展開するファーティミーユーン旅団の拠点複数カ所を爆撃(2020年8月20日)

ダイル・ザウル県では、ドゥラル・シャーミーヤ(8月20日付)によると、所属不明の戦闘機が県南東部に展開する「イランの民兵」の拠点複数カ所を爆撃した。

爆撃を受けたのは、シリア政府の支配下にあるマヤーディーン市南の砂漠地帯展開するファーティミーユーン旅団の拠点で、2人が死亡、4人が負傷した。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

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米国務省はシリア政府・軍の要人6人を新たに制裁対象に追加(2020年8月20日)

米国務省は声明を出し、2013年8月22日のダマスカス郊外県グータ地方での化学兵器使用疑惑事件の発生から7年目を迎えるのに合わせて、大統領令第13573号(2011年5月18日)に基づき、6人を新たに制裁対象に追加すると発表した。

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新たに制裁対象に追加されたのは以下6人。

ルーナー・シブル:外務在外居住者省報道官
ヤースィル・イブラーヒーム:外務在外居住者省副報道官
ギヤース・ダッラー:准将、第42師団司令官
ムハンマド・アンマール・サーアーティー:バアス党幹部
ファーディー・サクル:国防隊司令官
サーミル・イスマーイール:スハイル・ハサン准将率いる第25特殊任務師団所属のハイダル連隊司令官

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なお、米財務省の外国資産管理局(OFAC)が公開しているリストによると、8月20日現在、一連の対シリア制裁法で制裁対象となっている個人・団体は647にのぼる。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍と国民軍による水道水供給停止でハサカ市および周辺の農村地帯が深刻な水不足に(2020年8月20日)

シリア人権監視団は、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるハサカ県ハサカ市およびその周辺の農村地帯が深刻な水不足に見舞われていると伝えた。

これに関して、SANA(8月20日付)は、100万人の住民が水不足と新型コロナウイルス感染症拡大の脅威という二重苦に晒されていると伝えた。

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トルコとその支援を受ける国民軍が8月に入り、ラアス・アイン市近郊のアルーク村にある揚水所からの水道水の供給を保守点検を口実に断続的に停止していることが、水不足の原因。

もっとも最近では、8月13日に水道水の供給が停止された。

トルコ軍と国民軍が水道水の供給停止に踏み切るのはこれが8度目。

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ハサカ県水道局のマフムード・アクラ局長は、SANAの特派員に対して、「アルーク村の揚水所での復旧作業は未だに行われていない」としたうえで、「住民の苦難は気温が上昇しているなかで続いており、現時点でアルーク揚水所以外に水の供給源がないなかで、より多くの水が必要になっている」と危機感を露わにした。

アクラ局長によると、緊急対策として、カンシャーファ村、タッル・ブラーク町、ハンマ村で表層取水を行い、政府や関連機関のタンクローリーで水道水を運搬する一方、住民が井戸を堀って地下水を汲み上げるなどしているが、井戸水は飲料には適していないという。

そのうえで、局長は「占領国のトルコがアルーク村の揚水所を水道局の労働者に引き渡すのが唯一の解決策だ。それ以外の方法で一時的に解決したとしても、問題は続くことになる」と強調した。

シリア人権監視団の複数の情報源によると、トルコは北・東シリア自治局に対して支配地域から「平和の泉」地域への電力供給量を増加するよう要求しているが、北・東シリア自治局がこれを拒否しているために、対抗措置としてアルーク村の揚水所からの水道水供給を停止しているという。

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水道水供給停止に対抗して、北・東シリア自治局もラアス・アイン市への電力の供給を停止している。

また、ANHA(8月20日付)は、北・東シリア自治局のジャズィーラ地域ハサカ地区の水道局が、アルーク揚水所の代替施設として、ハンマ村で新たな井戸を掘削し、水道水の供給を行っていると伝えた。

ハサカ地区の水道局は、50の井戸を新たに掘削することを計画、現在までに25の井戸を掘削、稼働させているという。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

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北・東シリア自治局の支配下のダイル・ザウル県で混乱続く(2020年8月20日)

ダイル・ザウル県では、SANA(8月20日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるズィーバーン町で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が住民に向けて発砲、1人が負傷した。

これを受けて、住民とシリア民主軍との間で戦闘が発生、住民側は、同町にあるシリア民主軍の本部を襲撃した。

また、同じく北・東シリア自治局の支配下にあるブサイラ市では、シリア民主軍の兵士1人が何者かに撃たれて死亡した。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

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アレッポ市で第3回シリア部族愛国エリート会合が開催:北・東シリア自治局、米国、トルコに対する人民抵抗への支持を表明(2020年8月20日)

アレッポ県では、シリア政府支配下のアレッポ市で、第3回シリア部族愛国エリート会合が開催され、北・東シリア自治局の支配下にあるユーフラテス川東岸(ダイル・ザウル県、ハサカ県)での「占領者(米国、トルコ)」および「その傭兵、協力者、依存者」(北・東シリア自治局、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍など)に対する人民抵抗への支援を表明した。

SANA(8月20日付)が伝えた。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

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トルコ占領下のハサカ県ラアス・アイン市で国境通行所局長の任命をめぐって国民軍の戦闘員どうしが交戦(2020年8月20日)

ハサカ県では、SANA(8月20日付)によると、トルコの占領下にあるラアス・アイン市で国民軍の戦闘員どうしが交戦し、多数が負傷した。

シリア人権監視団によると、交戦したのは、ハサカの盾旅団の戦闘員とハムザ師団が支援する部族の民兵。

戦闘は、ラアス・アイン国境通行所局長にハムザ師団司令官の兄弟にあたるアフマド・ブーラート氏が任命されたことをめぐる対立に端を発し、双方合わせて3人が死亡、5人が負傷した。

また、ラアス・アイン市の地元評議会は、ブーラート氏の任命に抗議するとして、業務を停止した。

さらに、活動家らが、ラアス・アイン市の住民に対してブーラート氏の任命に抗議するデモを呼びかけているという。

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ラッカ県では、SANA(8月20日付)によると、トルコの占領下にあるスルーク町で車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、住民2人が負傷した(ドゥラル・シャーミーヤ(8月20日付)によると2人死亡)。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で81人、北・東シリア自治局支配地域で27人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で1人(2020年8月20日)

保健省は政府支配地域で新たに81人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者15人が完治し、4人が死亡したと発表した。

これにより、8月20日現在の同地での感染者数は計2,008人、うち死亡したのは82人、回復したのは460人となった。

SANA(8月20日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)のムスタファー・ジューワーン議長は、支配地域で新たに27人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者2人が死亡したと発表した。

これにより、8月20日現在の同地での感染者数は計280人、うち死亡したのは17人、回復したのは36人となった。

感染者の内訳は、ハサカ県のハサカ市5人、カーミシュリー市17人、マーリキーヤ(ダイリーク)市5人、男性16人、女性11人。

ANHA(8月20日付)が伝えた。

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で8月20日に新たに1人の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表した。

これにより、同地での感染者数は計59人、うち回復したのは46人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1362770357261185/

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一方、シリア人権監視団は、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県の「解放区」とトルコ占領下のアレッポ県北部で、新型コロナウイルス感染者1人が確認されたと発表した。

感染者が確認されたのはイドリブ県サルマダー市にある国内避難民(IDPs)キャンプ。

これにより、6月9日以降、「解放区」と占領地で確認された感染者数は計59人(うち28人は「解放区」、29人はトルコ占領地)、うち死亡したのは1人、回復したのは46人となった。

AFP, August 20, 2020、ACU, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県でのシリア軍との戦闘で「決戦」作戦司令室戦闘員2人死亡(2020年8月20日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから167日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のファッティーラ村、バーラ村などを砲撃し、ファッティーラ村で「決戦」作戦司令室の戦闘員2人が死亡、住民3人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対して「決戦」作戦司令室はシリア政府の支配下にあるハントゥーティーン村を砲撃した。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約20輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

このほか、「決戦」作戦司令室の支配下にある県北部のアッラーニー村で爆弾によると思われる爆発が発生し、子供3人が死亡、2人が負傷した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるトルコマン山地方のタッル・スルール村、ザイトゥーナ村、カルズ村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のズィヤーラ町一帯を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ウンム・ワラド村で、シリア政府との和解に応じ、軍事情報局に配属された元反体制武装集団のメンバー1人が、同じく元反体制武装集団メンバーの住民と交戦し、死亡した。

元反体制武装集団のメンバーらによって構成される第5軍団が介入し、事態を収拾した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を1件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を1件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

AFP, August 20, 2020、ANHA, August 20, 2020、AP, August 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 20, 2020、Reuters, August 20, 2020、SANA, August 20, 2020、SOHR, August 20, 2020、UPI, August 20, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民442人と国内避難民(IDPs)4人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は589,250人、2019年以降帰還したIDPsは66,148人に(2020年8月20日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(8月20日付)を公開し、8月19日に難民432人(うち女性133人、子供225人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民432人(うち女性133人、子供225人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は589,250人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者194,002人(うち女性58,341人、子ども98,670人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,704,192人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は818,530人(うち女性245,617人、子供417,161人)となった。

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一方、国内避難民4人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは4人(うち女性2人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した4人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は4人(うち女性2人)だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は66,148人(うち女性23,066人、子供27,221人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,334,744人(うち女性405,625人、子供670,987人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 20, 2020をもとに作成。

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イドリブ県で18日に米軍ドローンMQ-9リーパー2機とロシア軍所属と思われるドローン1機が墜落(2020年8月19日)

反体制系ニュース・サイトのバラディー報道ネット(8月19日付)は、8月18日にイドリブ県で3機の無人航空機(ドローン)が墜落したと伝えた。

3機のうちの2機は米軍所属機、1機はロシア軍所属機と思われ、米国防総省は非公式に2機の墜落を認めたが、ロシア側は認めていないという。

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ロシアのANNA(8月19日付)は、無人航空機3機が墜落したとしつつ、「こうした航空機を保有しているのは、ロシアではなく、トルコ、イラン、米国だ」と伝えた。

一方、米国防総省は、無人偵察機2機がシリアのイドリブ県上空で衝突し、墜落したことを非公式に認めたうえで、衝突の経緯を調査していることを明らかにした。

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バラディー報道ネットの特派員によると、衝突・墜落したのはMQ-9リーパー。

米軍所属機2機を含む3機はイドリブ県カフルタハーリーム町近郊に墜落した。

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バラディー報道ネットはYouTubeのアカウントに合わせて映像も公開した。

AFP, August 19, 2020、ANNA, August 19, 2020、ANHA, August 19, 2020、AP, August 19, 2020、Baladi-news, August 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 19, 2020、Reuters, August 19, 2020、SANA, August 19, 2020、SOHR, August 19, 2020、UPI, August 19, 2020などをもとに作成。

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ヨルダン内務省は新型コロナウイルス感染症対策としてジャービル国境通行所の閉鎖期間を1週間延長(2020年8月19日)

ヨルダンのサラーマ・ハマード内務大臣は、新型コロナウイルス感染症対策として、シリアとの国境に面するジャービル国境通行所(シリア側はダルアー県ナスィーブ国境通行所)の閉鎖期間を1週間延長し、8月26日までとすると発表した。

AFP, August 19, 2020、ANHA, August 19, 2020、AP, August 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 19, 2020、Reuters, August 19, 2020、SANA, August 19, 2020、SOHR, August 19, 2020、UPI, August 19, 2020などをもとに作成。

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シャーム解放機構参加のグループがザイズーン火力発電所の冷却塔の外壁を取り外し、転売(2020年8月19日)

ハマー県では、シリア人権監視団が複数の情報筋からの情報をもとに発表したところによると、シャーム解放機構に所属する複数のジハード主義グループが、この数日でザイズーン火力発電所の鉄製の外壁のほぼすべてを取り外し、スクラップ市場で転売した。

ザイズーン火力発電所は5月6日、中国新疆ウィグル自治区出身者を中心に構成されるトルキスタン・イスラーム党によって破壊され、冷却塔が倒壊していた。

AFP, August 19, 2020、ANHA, August 19, 2020、AP, August 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 19, 2020、Reuters, August 19, 2020、SANA, August 19, 2020、SOHR, August 19, 2020、UPI, August 19, 2020などをもとに作成。

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アレッポ県北部でトルコの支援を受ける国民軍の砲撃により女性1人負傷(2020年8月19日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領地とシリア政府と北・東シリア自治局の共同支配地域の境界に位置する大トゥーハール村に国民軍が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、女性1人が負傷した。

AFP, August 19, 2020、ANHA, August 19, 2020、AP, August 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 19, 2020、Reuters, August 19, 2020、SANA, August 19, 2020、SOHR, August 19, 2020、UPI, August 19, 2020などをもとに作成。

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シャーム解放機構がイドリブ県ジスル・シュグール市近郊にあるタッル・ガナーム遺跡を盗掘(2020年8月19日)

SANA(8月19日付)は、元筋および報道筋の話として、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が、イドリブ県西部のジスル・シュグール市近郊にあるタッル・ガナーム遺跡に掘削機器や探知機を搬入し、違法な発掘作業を行い、出土した遺物や美術品をトルコに密輸しようとしていると伝えた。

AFP, August 19, 2020、ANHA, August 19, 2020、AP, August 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 19, 2020、Reuters, August 19, 2020、SANA, August 19, 2020、SOHR, August 19, 2020、UPI, August 19, 2020などをもとに作成。

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シリア民主軍のアブディー総司令官がシリア民主軍とアサーイシュの司令官とともにダイル・ザウル県東部を視察(2020年8月19日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の広報センターは、マズルーム・アブディー総司令官がシリア民主軍と内務治安部隊(アサーイシュ)の司令官とともに、ダイル・ザウル県東部を視察したと発表した。

相次ぐアラブ系部族長らの暗殺に伴う現地の混乱への対応を視察し、地元の部族長や名士と意見交換するのが目的。

ANHA(8月19日付)が伝えた。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、米軍の装甲車3輌が、シリア民主軍の車輌1台とともに、カフターニーヤ(ディルベ・スピーイェ)市の東に位置するダイル・グスン村を訪問し、住民と面談した。

住民の信頼を醸成するのが訪問の目的。

一方、SANA(8月19日付)によると、北・東シリア自治局の管理下にあるフール・キャンプで、シリア民主軍の兵士1人が何者かによって撃たれて、死亡した。

AFP, August 19, 2020、ANHA, August 19, 2020、AP, August 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 19, 2020、Reuters, August 19, 2020、SANA, August 19, 2020、SOHR, August 19, 2020、UPI, August 19, 2020などをもとに作成。

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米主導の有志連合のコギンズ報道官はCONOCOガス工場の米軍基地近くに迫撃砲弾が着弾したことを認める(2020年8月19日)

ロシアのスプートニク・ニュース(8月19日付)は、米主導の有志連合のマイルズ・コギンズ(Myles Caggins)報道官(米軍大佐)が、オランダのジャーナリスでクルド研究者でもあるヴラジミール・ファン・ウィルゲンブルグ氏とのインタビューのなかで、「8月18日、シリア(ダイル・ザウル県)のCONOCO(ガス工場の)基地近くに小型のカチューシャ・ロケット3発が着弾した…。有志連合に犠牲者、被害はなかった」と述べた、と伝えた。。

AFP, August 19, 2020、ANHA, August 19, 2020、AP, August 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 19, 2020、Reuters, August 19, 2020、SANA, August 19, 2020、SOHR, August 19, 2020、UPI, August 19, 2020などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者は政府支配地域で83人、北・東シリア自治局支配地で34人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で4人(2020年8月19日)

保健省は政府支配地域で新たに83人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者14人が完治し、5人が死亡したと発表した。

これにより、8月19日現在の同地での感染者数は計1,927人、うち死亡したのは78人、回復したのは445人となった。

SANA(8月19日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)のムスタファー・ジューワーン議長は、支配地域で新たに34人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者8人が完治したと発表した。

これにより、8月19日現在の同地での感染者数は計253人、うち死亡したのは15人、回復したのは36人となった。

感染者の内訳は、ハサカ県のハサカ市13人、カーミシュリー市11人、マーリキーヤ(ダイリーク)市5人、アームーダー市4人、マアバダ(カルキールキー)町1人、男性21人、女性13人。

ANHA(8月19日付)が伝えた。

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で8月19日に新たに4人の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表した。

これにより、同地での感染者数は計58人、うち回復したのは46人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1361945097343711/

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一方、シリア人権監視団は、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県の「解放区」とトルコ占領下のアレッポ県北部で、新型コロナウイルス感染者7人が確認されたと発表した。

これにより、6月9日以降、「解放区」と占領地で確認された感染者数は計58人(うち27人は「解放区」、29人はトルコ占領地)、うち死亡したのは1人、回復したのは46人となった。

AFP, August 19, 2020、ACU, August 19, 2020、ANHA, August 19, 2020、AP, August 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 19, 2020、Reuters, August 19, 2020、SANA, August 19, 2020、SOHR, August 19, 2020、UPI, August 19, 2020などをもとに作成。

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前日のロシア軍の爆撃を受けて、トルコ軍がイドリブ県に車輌約450輌を派遣、シリア政府支配地域を砲撃(2020年8月19日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから166日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍が、兵站物資を積んだ車輌約450輌を7回に分けて、カフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

ロシア軍が8月18日にシャイフ・バフル村、ハルブヌーシュ村を爆撃し、緊張が高まったのを受けた動き。

トルコ軍はまた、シリア政府支配下のハーン・スブル村を砲撃、「決戦」作戦司令室も、ハントゥーティーン村、マアッラト・ヌウマーン市近郊を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対し、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるシャイフ・バフル村、ハルブヌーシュ村、ザーウィヤ山地方のスフーフン村などを砲撃した。

一方、「決戦」作戦司令室の支配下にある県北部のダイル・ハッサーン村では、若者どうしの喧嘩で、1人が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカフル・アンマ村、カフルタアール村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のアンカーウィー村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を1件確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を1件(イドリブ県0件、ラタキア県0件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認した。

AFP, August 19, 2020、ANHA, August 19, 2020、AP, August 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 19, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 19, 2020、Reuters, August 19, 2020、SANA, August 19, 2020、SOHR, August 19, 2020、UPI, August 19, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民411人と国内避難民(IDPs)14人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は588,808人、2019年以降帰還したIDPsは66,144人に(2020年8月19日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(8月19日付)を公開し、8月18日に難民411人(うち女性210人、子供123人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民411人(うち女性210人、子供123人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は588,808人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者193,560人(うち女性58,208人、子ども98,445人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,704,192人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は818,088人(うち女性245,484人、子供416,936人)となった。

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一方、国内避難民14人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは14人(うち女性4人、子供7人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した14人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は14人(うち女性4人、子供7人)だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は66,144人(うち女性23,064人、子供27,221人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,334,740人(うち女性405,623人、子供670,987人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 19, 2020をもとに作成。

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レバノン特別法廷はR・ハリーリー元首相暗殺事件に関してヒズブッラー・メンバー1人に有罪判決を下すも、ヒズブッラーとシリアの関与を否定(2020年8月18日)

2004年から2008年にかけてのラフィーク・ハリーリー元首相を含むレバノンの要人ら22人が死亡、226人が負傷した一連の事件を審理するためにオランダのハーグに設置されているレバノン特別法廷(デヴィッド・レ裁判長)は、容疑者4人に対する最終審理を行った。

被告はいずれのヒズブッラーのメンバーで、審理は4人の出廷を見ないまま、約1年間にわたって続けられてきた。

裁判官らは、4人の被告のうち、サリーム・アイヤーシュ被告(56歳)のみに対して、「合理的疑いの余地はない」として、ラフィーク・ハリーリー元首相殺害を含む5つの事件の共謀者の1人と断定し、有罪との判決を下した。

アサド・サブラー被告(43歳)、フサイン・ウナイスィー被告(46歳)、ハサン・ハビーブ・マルイー被告(54歳)については、証拠不十分で無罪判決を下した。

なお、レバノン特別法廷は、4人に加えて、ヒズブッラーのムスタファー・バドルッディーン司令官(1961年生まれ)も主犯格として起訴されていたが、2016年5月にダマスカス国際空港近くで反体制武装集団の攻を受けて死亡している。

一方、ヒズブッラーの組織としての関与に関しては、「犯行が政治的動機で行われた」可能性が高いとしつつ、ラフィーク・ハリーリー元首相が殺害される数ヶ月前までハサン・ナスルッラー書記長と良い関係にあったなどとしたうえで、ヒズブッラー指導部の関与を裏付ける証拠はないとの判断を下した。

また、事件発生当初、嫌疑をかけられ、欧米諸国のバッシングに晒されていたシリアについても、関与を裏付ける証拠はなかったと改めて結論づけた。

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最終審理を傍聴するためにハーグを訪れていたサアド・ハリーリー前首相は、結審後に法廷前で記者団らに対して、ヒズブッラーの関与を確信しつつも、判決を受け入れるとの談話を発表した。

サアド・ハリーリー元首相は以下のように述べた。

法廷は判決を下した。故ラフィーク・ハリーリー元首相の家族の名において、そしてまた殉教者と犠牲者の遺族をい代表して、我々は判決を受け入れる…。今日、すべてが真実を明らかにした。

判決は、殺人者たちに政治犯罪の時代が終わったというメッセージを送った。

しかし、今日犠牲を払うべき政党はヒズブッラーだ…。(殺害に)関与しているネットワークがそのメンバーであることは明らかだ。

我々は刑が執行されるまでは安心しない。

レバノン国民は今後も、自分たちの国が殺人者の避難場所になることを受け入れない。

我々は周知の存在だ。我々は顔を隠さず、実名で言いたい。皆に言おう。誰も、私たちが犠牲を強いられることを期待しないで欲しい。我々はもっとも尊いものを犠牲にしてきた。我々はレバノンを諦めない。

AFP, August 18, 2020、ANHA, August 18, 2020、AP, August 18, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 18, 2020、Reuters, August 18, 2020、SANA, August 18, 2020、SOHR, August 18, 2020、UPI, August 18, 2020などをもとに作成。

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