トゥラース元国防大臣の次男で離反士官のマナーフ・トゥラース准将が反体制派、シリア軍、シリア民主軍が参加する移行軍事評議会の発足を決意(2021年2月8日)

トゥルキー・ビル=アラビー(2月9日付)は、「イスラーム革命」をめざす複数の活動家の話として、ムスタファー・トゥラース元国防大臣の次男で離反士官のマナーフ・トゥラース准将が、反体制派、シリア軍、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が参加する移行軍事評議会を発足させる決意をした、と伝えた。

同サイトによると、移行軍事評議会は、反体制派、シリア軍、シリア民主軍の士官それぞれ8人、計24人から構成され、アサド大統領の退陣と移行期の指導をめざすという。

これに関して、反体制武装集団の一つでトゥラース家の地元であるヒムス県ラスタン市を拠点としていた自由将校連合のタラール・ファルザート准将は2月9日、支持を表明した。

AFP, February 9, 2021、ANHA, February 9, 2021、Arab-Turkey.com, February 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 9, 2021、Reuters, February 9, 2021、SANA, February 9, 2021、SOHR, February 9, 2021などをもとに作成。

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親政権サイトは政府の粛清に晒されているビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏(アサド大統領のいとこ)の大統領選挙への出馬とバアス党家族支配根絶をめざすとする声明を掲載(2021年2月8日)

親政権サイトの一つバフルーリーヤ・ニュースはフェイスブック(https://www.facebook.com/albahluliaNews7777/)を通じて「声明第1号」なる声明を掲載した。

声明は「シリア国内のラーミー・マフルーフの追随者と支持者によるバアス党へのクーデタ計画が始まった」と題されて、一昨年末から当局の粛清に直面しているアサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルール氏を今年半ばに予定されている大統領選挙の候補者とすることに同意するとしたうえで、①バアス党の根絶、②家族支配の廃止と近代的民主主義の確立、③治安機関の解体、④シリア人の殺害に関与した全員の処罰、⑤経済復興、アニーサ・マフルーフ大統領夫人の親戚と彼女が支援する戦争成金によって略奪された国家の財産の回復、⑥石油電力部門の復興、⑦パン生産の支援、⑧配給用スマート・カードの廃止、⑨シリアの「真の友好国」による復興支援の確保、⑩国連憲章第7章に依拠したすべての緩衝国の排除、を掲げている。

https://www.facebook.com/albahluliaNews7777/posts/260185489091078

AFP, February 8, 2021、ANHA, February 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 8, 2021、Reuters, February 8, 2021、SANA, February 8, 2021、SOHR, February 8, 2021などをもとに作成。

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アサド大統領が2021年法令第54号を施行し、テロ法廷(テロ事件裁判所)の判事12人を交代(2021年2月8日)

親政府系のイスラーヒーヤ(2月8日付)などは、アサド大統領が2021年法令第54号を施行し、テロ法廷(テロ事件裁判所)の判事12人を交代するなどの大幅な人事改編を行ったと伝えた。

AFP, February 8, 2021、ANHA, February 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 8, 2021、Reuters, February 8, 2021、SANA, February 8, 2021、SOHR, February 8, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県ではダーイシュがシリア軍とクドス旅団の車列とティーム油田を襲撃、兵士多数を殺害(2021年2月8日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団、アイン・フラート(2月8日付)によると、シリア政府の支配下にあるマヤーディーン市近郊の砂漠地帯(ファイダト・ブン・ムワイニア地区)で、シリア軍とパレスチナ人民兵組織のクドス旅団の車列がダーイシュ(イスラーム国)の要撃を受け、激しい戦闘となった。

この戦闘で、シリア軍兵士とクドス旅団の民兵39人が死亡した。

一方、ダイル・ザウル24(2月8日付)によると、シリア政府の支配下にあるティーム油田をダーイシュ(イスラーム国)と思われる武装グループが襲撃し、シリア軍兵士3人が死亡、16人が負傷した。

AFP, February 8, 2021、ANHA, February 8, 2021、‘Ayn al-Furat, February 8, 2021、Dayr al-Zawr 24, February 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 8, 2021、Reuters, February 8, 2021、SANA, February 8, 2021、SOHR, February 8, 2021などをもとに作成。

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トルコ占領下のアレッポ県バーブ市一帯でトルコ軍・国民軍がシリア民主軍が激しく交戦、シリア民主軍は「ロシアの指示」を受けてバーブ市を砲撃、住民多数負傷(2021年2月8日)

アレッポ県では、ANHA(2月8日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、占領下のバーブ市の東に位置するシリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下のアリーマ町、カーウカリー村、ジュッブ・ハムラ村を砲撃した。

これに対して、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するバーブ軍事評議会とシリア軍が応戦した。

シリア人権監視団によると、シリア民主軍はまた、「ロシアの指示」を受けてバーブ市を砲撃、子供2人と女性3人を含む9人を負傷させた。

SANA(2月8日付)も、バーブ市西郊外での国民軍とシリア民主軍の交戦で、子供5人と女性3人を含む住民14人が巻き添えとなって負傷したと伝えた。

一方、国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるマンビジュ市一帯に潜入し、同地に展開するシリア民主軍所属のマンビジュ軍事評議会の拠点複数カ所を攻撃したが、マンビジュ軍事評議会が応戦し、戦闘員5人(司令官1人を含む)を殺害した。

このほか、シリア人権監視団によると、バーブ市とラーイー村を結ぶ街道で、国民軍に所属するハムザ師団の戦闘員が車に乗った武装集団の銃撃を受けて死亡した。

AFP, February 8, 2021、ANHA, February 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 8, 2021、Reuters, February 8, 2021、SANA, February 8, 2021、SOHR, February 8, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県、ラッカ県でシリア民主軍と住民を狙った襲撃事件が相次ぎ、兵士ら多数死亡(2021年2月8日)

ダイル・ザウル県では、SANA(2月8日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるシャハーバート村、ムハイミーダ村、シュハイル村で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の兵士が発砲を受け、兵士多数が死傷した。

また、シリア人権監視団によると、アブリーハ村でシリア民主軍の兵士がオートバイに乗った2人組の発砲を受けて、死亡した。

一方、ANHA(2月8日付)によると、シュハイル村で住民1人が正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

また、シリア人権監視団によると、ハワーイジュ村でもダーイシュ(イスラーム国)の元メンバーだった住民がオートバイに乗った2人組の発砲を受けて死亡した。

この元メンバーと一緒にいた別の住民も撃たれて負傷したという。

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ラッカ県では、SANA(2月8日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるカブシュ村近くで、シリア民主軍の拠点を何者かが機関銃で攻撃し、兵士複数が死傷した。

シリア人権監視団によると、攻撃はダーイシュ(イスラーム国)のセルによるもので、内部治安部隊(アサーイシュ)の隊員4人が死亡、3人が負傷した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合の車輌約45輌からなる車列が兵站物資などを積んで、イラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入し、ハサカ県の各所に設置されている基地に向かった。

AFP, February 8, 2021、ANHA, February 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 8, 2021、Reuters, February 8, 2021、SANA, February 8, 2021、SOHR, February 8, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で79人、北・東シリア自治局支配地域で10人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で8人(2021年2月8日)

保健省は政府支配地域で新たに79人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者74人が完治し、6人が死亡したと発表した。

これにより、2月8日現在の同地での感染者数は計14,551人、うち死亡したのは958人、回復したのは8,213人となった。

SANA(2月8日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに10人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者4人が完治したと発表した。

これにより、2月8日現在の同地での感染者数は計8,540人、うち死亡したのは296人、回復したのは1,222人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性5人、女性5人。

また地域の内訳は、ハサカ県のマアバダ(カルキールキー)町1人、アレッポ県のアイン・アラブ(コバネ)市2人、シャフバー地区(タッル・リフアト市)1人、ラッカ県のラッカ市3人、タブカ市3人。

ANHA(2月8日付)が伝えた。

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反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で2月8日に新たに8人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、62人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡0人、イドリブ郡0人、ハーリム郡0人、アリーハー郡0人、アレッポ県スィムアーン山郡0人、ジャラーブルス郡0人、バーブ郡0人、アフリーン郡8人、アアザーズ郡0人。

これにより、同地での感染者数は計21,041人、うち回復したのは17,036人、死亡したのは407人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1509398029265083/

AFP, February 8, 2021、ACU, February 8, 2021、ANHA, February 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 8, 2021、Reuters, February 8, 2021、SANA, February 8, 2021、SOHR, February 8, 2021などをもとに作成。

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シリア軍はイドリブ県ザーウィヤ山地方、ハマー県ガーブ平原を砲撃(2021年2月8日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるファッティーラ村、カンスフラ村、スフーフン村、フライフィル村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約20輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のクライディーン村を砲撃した。

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ダルアー県では、HFL(2月9日付)によると、ダルアー市ダーヒヤ、地区で、シリア軍士官と中央委員会の代表が、ロシア軍使節団の仲介のもとに会談し、県西部一帯での戦闘を停止することで合意した。

合意は、シリア政府側が指名手配する活動家の退去(退去先はシリア北西部とはせず)、中火器の引き渡しなどを骨子とする。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を29件(イドリブ県10件、ラタキア県13件、アレッポ県4件、ハマー県2件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は17件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を16件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, February 8, 2021、ANHA, February 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 8, 2021、HFL, February 9, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 8, 2021、Reuters, February 8, 2021、SANA, February 8, 2021、SOHR, February 8, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民59人と国内避難民(IDPs)4人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は648,135人、2019年以降帰還したIDPsは71,010人に(2021年2月8日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月8日付)を公開し、2月7日に難民59人(うち女性18人、子供30人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民59人(うち女性18人、子供30人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は648,135人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者252,887人(うち女性76,017人、子ども128,700人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,729,796人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は877,415人(うち女性263,293人、子供447,191人)となった。

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一方、国内避難民4人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは4人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所経由の帰還者のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は4人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は71,010人(うち女性25,002人、子供28,512人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,339,606人(うち女性407,561人、子供672,278人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 8, 2021をもとに作成。

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