プライス米国務省報道官はトルコ占領下のアレッポ県内で相次ぐ爆破事件を「テロ攻撃」と非難(2021年2月1日)

ネッド・プライス米国務省報道官は報道声明を出し、トルコ占領下のアレッポ県アアザーズ市、バーブ市、アフリーン市で相次いでいる爆破事件に関して、「テロ攻撃」の犠牲者に弔意を示すとしたうえで、「こうした攻撃を深く警戒している」と表明、「暴力行使に関与している者たちは法廷に立たされるべきである」と述べた。

AFP, February 2, 2021、ANHA, February 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2021、Reuters, February 2, 2021、SANA, February 2, 2021、SOHR, February 2, 2021などをもとに作成。

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シリア人権監視団が1月の国内の戦闘での死者を発表:547人のうち民間人は145人、シリア軍兵士は106人(2021年2月1日)

シリア人権監視団は、2021年1月のシリア国内での戦闘による死者が547人を記録したと発表した。

内訳は以下の通り:

  • 民間人145人(うち18歳未満の子供37人、18歳以上の女性19人)

シリア軍の砲撃、拷問による死者:12人(うち子供3人、女性2人)
反体制派が殺害:1人
人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が殺害:1人
親トルコ勢力が殺害:1人
トルコ軍憲兵隊が殺害:2人
シャーム解放機構が殺害:3人
不明:14人(うち子供3人、女性2人)
地雷、爆発性戦争残存物(ERW)の爆発で死亡:18人(うち子供1人)
即席爆弾の爆発で死亡:9人(うち子供2人、女性1人)
ダーイシュ(イスラーム国)、シリア民主軍支持者、シリア軍支持者などによる暗殺:60人(うち子供4人、女性10人)
トルコ軍の砲撃で死亡:4人(うち子供2人、女性1人)

  • 戦闘員402人

イスラーム主義武装諸派15人(いずれもシリア軍との戦闘で死亡)
親トルコ諸派20人(死因不明3人、地雷の爆発で死亡4人、即席爆弾の爆発で死亡4人、車爆弾の爆発で死亡4人、何者かによって殺害4人)
シリア民主軍21人(いずれもダーイシュとの戦闘で死亡)
シリア軍離反兵1人(刑務所での拷問で死亡)
シリア民主軍の外国人戦闘員1人(ダーイシュとの戦闘で死亡)
シリア軍兵士106人(イスラエル軍の攻撃で死亡17人、ダーイシュとの戦闘で死亡50人、反体制派との戦闘で死亡20人、地雷の爆発で死亡2人、ジハード主義集団との戦闘で死亡1人、即席爆弾の爆発で死亡7人、正体不明の武装集団の襲撃で死亡8人、シリア民主軍が殺害1人)
レバノンのヒズブッラー戦闘員1人(正体不明の武装集団の襲撃で死亡)
親政府・親イラン民兵の外国人戦闘員48人(イスラエルの攻撃で死亡)
ジハード主義者14人(ダーイシュが殺害3人、地雷の爆発で死亡3人、武器販売施設の爆発で死亡3人、シリア政府が殺害2人、正体不明の武装集団の襲撃で死亡3人)
ダーイシュ92人(ロシア軍の爆撃とシリア軍・親政府民兵との戦闘で死亡90人、ジハード主義者が殺害2人)

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県ブーカマール市近郊の「イランの民兵」の石油精製センターが所属不明の航空機の爆撃で爆発か?(2021年2月1日)

ダイル・ザウル県では、ムドゥン(2月1日付)によると、所属不明の無人航空機複数機が飛来、その直後にシリア政府の支配下にあるブーカマール市近郊の砂漠地帯にある石油精製センター2カ所で爆発が発生した。

同サイトによると、同地には「イランの民兵」の傘下で活動する第47中隊が展開、無人航空機による攻撃は、ミサイル庫など「イランの民兵」の施設やトンネル網を破壊するのが目的だという。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県スブハ村でダーイシュと思われる武装集団がアサーイシュ隊員1人を殺害(2021年2月1日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるスブハ村で、ダーイシュ(イスラーム国)と思われる武装集団が内務治安部隊(アサーイシュ)の隊員を銃で撃ち、殺害した。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

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トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるラッカ県アイン・イーサー市近郊を砲撃(2021年2月1日)

ラッカ県では、ANHA(2月1日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるアイン・イーサー市近郊のサイダー村、M4高速道路沿線を砲撃した。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

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レバノンのヒズブッラーがイスラエル軍のドローンを撃破(2021年2月1日)

レバノンのヒズブッラーが運営するマナール・チャンネル(2月1日付)は、ヒズブッラーが主導するレバノン国民抵抗が、南部県ブリーダー村郊外でイスラエル軍の無人航空機(ドローン)を撃破したと伝えた。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

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ハサカ市でシリア民主軍の包囲に対する抗議デモの強制排除中に銃殺された犠牲者の葬儀が行われる(2021年2月1日)

ハサカ県では、SANA(2月1日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるハサカ市では、同市とカーミシュリー市のシリア政府支配地域(治安厳戒地区)に対する人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の包囲に抗議するデモを強制排除しようとしたシリア民主軍の発砲を受けて死亡したムハンマド・ラヒール氏の葬儀が行われた。

一方、シリア民主軍は、ハサカ市中心部のヒクマ病院からシャーブー病院、クドス公園に至る街区の各所に検問所を増設し、住民多数を拘束、連行した。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

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アサド大統領は負傷将兵の負債返済を指示(2021年2月1日)

アサド大統領は、軍武装部隊、予備部隊の負傷将兵(2020年12月31日以前の負傷者)の負債のうち、負債比率が40%~100%の負債を、本人に代わって返済するよう指示した。

殉教者負傷者基金が500万シリア・ポンドを上限に返済を肩代わりするという。

SANA(2月1日付)が伝えた。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で82人、北・東シリア自治局支配地域で14人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で9人(2021年2月1日)

保健省は政府支配地域で新たに82人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者48人が完治し、5人が死亡したと発表した。

これにより、2月1日現在の同地での感染者数は計14,096人、うち死亡したのは926人、回復したのは7,644人となった。

SANA(2月1日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに14人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者4人が完治したと発表した。

これにより、2月1日現在の同地での感染者数は計8,490人、うち死亡したのは296人、回復したのは1,216人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性8人、女性6人。

また地域の内訳は、ハサカ県のハサカ市1人、カーミシュリー市1人、マーリキーヤ(ダイリーク)市2人、ジュワーディーヤ(ジャッル・アーガー)村1人、ラッカ県のラッカ市7人、タブカ市2人。

ANHA(2月1日付)が伝えた。

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反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で2月1日に新たに9人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、26人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡2人、イドリブ郡2人、ハーリム郡1人、アリーハー郡0人、アレッポ県スィムアーン山郡0人、ジャラーブルス郡0人、バーブ郡0人、アフリーン郡3人、アアザーズ郡1人。

これにより、同地での感染者数は計21,006人、うち回復したのは16,759人、死亡したのは400人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1504475849757301/

AFP, February 1, 2021、ACU, February 1, 2021 、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

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アレッポ県西部でシリア軍と「決戦」作戦司令室が交戦(2021年2月1日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、県西部の第46中隊基地一帯でシリア軍と「決戦」作戦司令室が砲撃戦を行い、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるタカード村、カフル・ヌーラーン村、カフル・アンマ村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のスフーフン村、カンスフラ村、フライフィル村、ファッティーラ村、バイニーン村、ルワイハ村、カドゥーラ村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のアンカーウィー村を砲撃した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるルワイヒーナ村で軍事情報局に協力している男性1人が正体不明の武装集団に銃で撃たれて死亡した。

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるムサイフラ町の町長(ムフタール)が正体不明の武装集団の発砲を受けて重傷を負い、その後搬送先の病院で死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を20件(イドリブ県10件、ラタキア県6件、アレッポ県3件、ハマー県1件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は16件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を14件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民69人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は647,731人に(2021年2月1日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月1日付)を公開し、1月31日に難民69人(うち女性20人、子供35人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民69人(うち女性20人、子供35人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は647,731人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者252,483人(うち女性75,895人、子ども128,469人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,729,079人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は877,011人(うち女性263,171人、子供446,987人)となった。

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一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は69,421人(うち女性24,401人、子供28,057人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,338,017人(うち女性406,960人、子供671,823人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 1, 2021をもとに作成。

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最新論考 青山弘之「シリア:「常態化した非常時」から「実体化した非常時」へ」(CMEPS-J.net Report No. 53)

第1節 弱い国家と社会の関係

シリア内戦のイメージ

2010年末から始まった「アラブの春」と呼ばれる一大政治変動は、20世紀半ばに領域主権国家群が成立して以降、もっとも深刻な混乱を中東にもたらしたと言っても過言ではない。なかでもシリアは「21世紀最悪の人道危機」(worst humanitarian crisis of the 21st century)と評される過酷な紛争に苛まれた。いわゆるシリア内戦である。

中東でもっとも安定した強い国家の一つに数えられていたはずのシリアは、これを境に弱い国家に転落した。国家機能は麻痺し、国防・治安維持能力は低下、福祉などの福祉財も十分提供されなくなった。また、国内での不和と武力衝突が、国家(政権、ないしは体制)と社会(国民)の関係を希薄化させたと考えられた。

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