2014年1月29日のシリア情勢:反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会の執行部は声明を出し、ジュネーブ2会議に関して、委員会排除により反体制勢力の代表性が制限されていることを「ジュネーブ合意への明らかな違反」と非難した。

そのうえで、ジュネーブ2会議の成功を切望しつつ、委員会やクルド最高委員会などを含む内外のすべての反体制勢力の代表による対話会合をカイロで早急に開催し、民主化に向けた統一ヴィジョンと合同代表団の結成で合意し、ジュネーブ2会議後の政治プロセスに備えるべきだと呼びかけた。

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シリア革命家戦線の司令官の一人ハイサム・ウサイフィー大佐がクッルナー・シュラカー(1月29日付)の単独インタビューに応じた。

このなかでウサイフィー大佐は、「自由シリア軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と戦う最大の理由は…彼らがシリア解放や革命に奉仕しようとせず、国家を押しつけ、人々を支配しようとしているからだ」と述べた。

またイドリブ県での戦闘に関して、ウサイフィー大佐は、サラーキブ市をダーイシュが制圧する以前は、軍戦闘機がシリア革命家戦線とイスラーム戦線を偵察・空爆していたが、ダーイシュの制圧以降、軍の偵察・空爆はないと主張した。

また捕捉したダーイシュ戦闘員に関して「ほとんどがアラブ人で、政権が流布しているようなヨーロッパ人はいなかった…。ダーイシュの本部にはバッシャール・アサドの写真が貼ってあり…、その大部分はシャッビーハで、なかにはイランのパスポートを持っているものもいた」と豪語した。

一方、戦線のジャマール・マアルーフ司令官が死亡したとの一部報道については、政権が流したデマだと否定した。

ジュネーブ2大会に関しては「シリア革命家戦線は、ジュネーブ合意の完全履行、政権退陣、アサド退任、移行期政府への政権移譲を条件に支持を表明した最初の武装集団だ」としつつ、このことが戦線の武装解除を意味しないと付言した。

自由シリア軍参謀委員会に関しては「サリーム・イドリースが自分たちだけでハズム運動を結成したことで、その消滅したと考えている…。参謀委員会は虚構だった」と批判した。

そのうえで「我々は、サリーム・イドリースが率いている参謀委員会の…恣意的な活動とは無縁の組織的な活動を現地で行うため、新たな参謀委員会の結成を多くの部隊とともにめざしている」と強調した。

Kull-na Shuraka', January 29, 2014

Kull-na Shuraka’, January 29, 2014

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シリア人権監視団は、ダマスカス県ヤルムーク区に対する軍の包囲による餓死者・病死者の数が85人に達していると発表した。

うち25人が女性、5人が子供だという。

AFP, January 29, 2014、AP, January 29, 2014、Champress, January 29, 2014、al-Hayat, January 30, 2014、Iraqinews.com, January 29, 2014、Kull-na Shuraka’, January 29, 2014、Naharnet, January 29, 2014、NNA, January 29, 2014、Reuters, January 29, 2014、Rihab News, January 30, 2014、SANA, January 29, 2014、UPI, January 29, 2014などをもとに作成。

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