2013年8月17日のシリア情勢

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は『ハヤート』(8月18、19日付に連載)のインタビューに応じ、そのなかで連立が「6,000人の中核からなるシリア国民軍」の結成を進めていると改めて認める一方、その司令官に関して「私は国民軍司令官に(マナーフ・)トゥラースを推挙しない。マナーフは体制を離反した点で感謝に値するが…、このことは軍司令部の中心を彼が引き受けるということではない」と述べた。

al-Hayat, August 18, 2013

al-Hayat, August 18, 2013

また「イラン軍が今や、シリアの土地を汚している。我々はこの汚れをシリアの土地から浄化せねばならない。これは強力で訓練された国民軍があって初めてできる…。我々にはそうするためのマンパワーはある。支援と武器供与が必要なのだ」と述べた。

さらに「シリアの真の為政者はイラン・イスラーム革命防衛隊で、彼らがアサドとヒズブッラーの戦闘員を支援している」と断じた。

ジャルバー議長は、シリア人がほとんど身に着けることがないサウジ人風の白のガラビーヤを纏い、インタビューに応じた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、15日のベイルート郊外ダーヒヤでの自爆テロに関して「民間人を標的とすることを拒否する」姿勢を示す一方、「シリア国民に対するハサン・ナスルッラーの脅迫に反対する」と非難した。

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『ハヤート』(8月18日付)は、反体制勢力の複数の消息筋の話として、シリア革命反体制勢力国民連立政治委員会がイスタンブールでの会合で、暫定政府首班の指名、「シリア国民軍(中核)」の設置、クルド民族主義勢力とサラフィー主義者の緊張緩和を目指している、と報じた。

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『ハヤート』(8月18日付)によると、使徒末裔旅団は声明を出し、ラッカ県でのイラク・シャーム・イスラーム国に対する軍事作戦を停止すると発表、「対立を解消し、体制(アサド政権)に共に武器を向ける」ことを呼びかけた。

国内の暴力

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市とダルバースィーヤ市を結ぶ街道に位置するアサディーヤ村をイラク・シャーム・イスラーム国が襲撃、住民(クルド人)が応戦した。

同監視団によると、戦闘は16日から行われており、多数の住民が避難したという。

これに関して、クルドオンライン(8月17日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国とシャームの民のヌスラ戦線の襲撃に応戦したアサディーヤ村住民でヤズィーディー派クルド人のムラード・サアドゥー・バッルー氏が殺害され、また兄弟のアリー・バッルー氏が誘拐された、と報じた。

また、村人らがその後、ヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国と交戦し、40人以上の外国人戦闘員を殺害したと報じた。

このほか、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線とイラク・シャーム・イスラーム国は、ラアス・アイン市を重火器で砲撃する一方、近郊のアスファル・ナッジャール村、タッル・ハルフ村を襲撃、民主連合党人民防衛隊と交戦した。

これらの戦闘で、サラフィー主義者11人、クルド人戦闘員4人を含む17人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、キリスト教徒が多いワーディー・ナサーラー地方の検問所や避暑地のレストランをシャームの民のヌスラ戦線が襲撃し、国防隊の戦闘員5人と民間人6人を殺害した。

一方、SANA(8月17日付)によると、ダール・カビーラ村、ラスタン市、タルビーサ市、マシュラファ市、タッルカラフ市、ヒムス市クスール地区、カラービース地区、ワーディー・サーイフ地区、バーブ・フード地区、ハミーディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区で、軍た反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市郊外のカスル・イブン・ワルダーン地方が軍の空爆・砲撃を受けた。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、サルマー町などを軍が空爆・砲撃、また軍と反体制武装集団が交戦し、複数の外国人戦闘員が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区を軍が地対地ミサイルで攻撃し、「自由シリア軍」が占拠していた住宅ビル3棟が破壊され、40人が死亡した。

またアレッポ中央刑務所周辺、ラスム・バクルー村、アレッポ市ハーリディーヤ地区、バニー・ザイド地区などで、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(8月17日付)によると、ムスリミーヤ・アレッポ街道、ハイヤーン町、バヤーヌーン町、バービース村、マンスール村、バーブ・アレッポ街道、アターリブ・アレッポ街道、クワイリス村、フライターン市で、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市では、ブスターン・カスル地区、ザバディーヤ地区、ラーシディーン地区、ブスターン・バーシャー地区、旧市街で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タマーニア町、アリーハー市、ザーウィヤ山などを軍が砲撃した。

一方、SANA(8月17日付)によると、ガッサーニーヤ村、アーリヤ市、ナージヤ村、アイン・ガザール市、ジャーヌーディーヤ町、ビダーマー町、マアッルバリート市、カフルナジュド市、カフルシャラーヤー市、アルバイーン山、バザーブール村、サルジャ市、マジュダリヤー村、ナイラブ村、マアッルダブサ市、ハーン・スブル村、タッル・ディーニート市、サラーキブ市、アブー・ズフール市西部、バラーギースィー市、カフルルーマー村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、サイイダ・ザイナブ町を軍が空爆、またフジャイラ村で軍と反体制武装集団が交戦した。

またスカイ・ニュース・アラビック(8月17日付)は、「自由シリア軍」がダマスカス国際空港街道で軍の車列を襲撃し、数十人の兵士を殺害したと発表したと報じた。

一方、SANA(8月17日付)によると、ハーミスィーヤ市で、軍が反体制武装集団の掃討を完了し、同市の治安を回復した。

また、軍はムライハ市、シャイフーニーヤ農場、ドゥーマー市郊外、バハーリーヤ市郊外、ダイル・サルマーン市郊外、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、フジャイラ村、ザバダーニー市、ヤブルード市郊外で、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム旅団と交戦、数十人の戦闘員を殺害、拠点・装備を破壊した。

さらに、SANAは、ダマスカス国際空港街道で「自由シリア軍」が軍の車列を襲撃したとのスカイ・ニュース・アラビック(8月17日付)の報道を高官筋が事実無根と否定したと報じた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区、カーブーン区、ジャウバル区、ルクンッディーン区、ヤルムーク区で軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(8月17日付)によると、カーブーン区、バルザ区で、軍が反体制勢力の追撃を続け、バッラー旅団作戦司令室司令官などを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、クタイバ村を軍が攻撃したほか、ダルアー市で女性の遺体3体が発見された。

またダルアー市、ナワー市などを軍が空爆した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ズバイダ市、ルワイヒーナ市、ビール・アジャム市、ブライカ市を軍が砲撃、反体制武装集団と交戦した。

レバノンの動き

ムスタクバル潮流代表のサアド・ハリーリー元首相はツイッター(8月17日付)で、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長の16日の演説を「レバノンをシリアの混乱に引き込む」と非難した。

ハリーリー元首相は「ナスルッラーは一方で自制を呼びかけておきながら、個人的にシリアで戦う用意があると矛盾したことを言っている」と述べたうえで、「もしナスルッラーがテロと戦いたいのなら、バッシャール・アサドを守るための戦争を始める前に、まずレバノン国民の同意を得るべきだ」と非難、シリアでのヒズブッラーの戦争を、15日のダーヒヤでの自爆テロと同様のテロだと断じた。

そのうえで「ヒズブッラーは、国家、軍、国民を超越したため、もはやレジスタンスなどではない」と主張した。

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『ラアユ』(8月17日付)は、15日のベイルート郊外ダーヒヤでの自爆テロに関して、治安当局がベイルート県内(ジュダイダ街道地区)で、レバノン人、シリア人、パレスチナ人容疑者複数名を拘束したと報じた。

諸外国の動き

UNHCRは、周辺諸国に避難したシリア人避難民の数が91万1,282人に達したと発表した。

うちレバノンに68万4,000人、ヨルダンに51万6,449人、トルコに43万5,000人、イラクに15万5,000人、エジプトに10万7,000人、マグリブ諸国に14,000人が避難し、国外避難民の79%が避難民キャンプ外で避難生活を送っている、という。

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AFP(8月17日付)によると、イスラエル軍報道官は、シリア領内から発射された迫撃砲弾3発が占領地ゴラン高原に着弾し、イスラエル軍がただちに迫撃砲で応戦したと発表した。

AFP, August 17, 2013、al-Hayat, August 18, 2013、Kull-na Shuraka’, August 17, 2013、Kurdonline, August
17, 2013、Naharnet, August 17, 2013、al-Ra’y, August 17, 2013、Reuters, August 17, 2013、SANA, August 17, 2013、UPI, August
17, 2013などをもとに作成。

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