シリア国内の暴力:ダマスカスでイラン人1人を含む原子力技師暗殺(2014年11月9日)

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区の科学研究センター(国防省付置機関)で、原子力技師5人が何者かに暗殺された。

シリア人権監視団は10日、殺害された技師のなかにイラン人1人が含まれていたと発表した。

同監視団によると、残る4人はいずれもシリア人(ニザール・サマル氏、カーミル・サワーディー氏、イバーダ・ウユーン氏、ニダール・ガーズィー氏)。

5人はバルザ区に近いハルナ橋近くをバスで移動中に襲撃され、射殺されたという。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(11月9日付)によると、アクナーフ・バイト・ムカッダス大隊が、ヤルムーク区で、シリア軍やPFLP-GC民兵の塹壕、地下トンネルを破壊した。

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ダルアー県では、ARA News(11月9日付)によると、「自由シリア軍」がナワー市を完全制圧、これを受けシリア軍が37回にわたって同市を空爆した。

『ハヤート』(11月11日付)によると、この空爆で女性、子供を含む11人が死亡したという。

なおナワー市制圧に関して、「自由シリア軍」、シャームの民ヌスラ戦線がインターネットを通じて、それぞれ声明・画像を出し、自らが同市を制圧したと発表した。

一方、SANA(11月9日付)によると、シャイフ・マスキーン市、ダーイル市、イブタア町、タファス市、ナワー市一帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市スッカリー地区で、イスラーム戦線の司令官(ブライジュ地区司令官)が何者かに暗殺された。

一方、シリア軍は、ハンダラート・キャンプ一帯を空爆、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、クドス旅団、イラン人・アフガン人戦闘員とともに、アンサール・ディーン戦線と交戦した。

これに対して、ジハード主義武装集団もサイファート村一帯を砲撃した。

他方、SANA(11月9日付)によると、アレッポ市旧市街、ハッダーディーン地区などで、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハーン・シャイフーン市を空爆し、女性1人を含む2人が死亡した。

シリア軍はまたマアッラト・ヌウマーン市、ジャバーラー村、ハーン・スブル村、クマイナース村、フバイト村、タマーニア町に対しても空爆を行った。

一方、SANA(11月9日付)によると、マアッルディブサ村、フバイト村、ダーディーフ村、マアッラト・ヌウマーン市、バスラジャ村、クーリーン村、アルバイーン山南部、サルミーン市、クマイナース村郊外、サイルーン村、シャイフ・ユースフ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヒムス市ワアル地区、ハウラ地方、ハーリディーヤ村を砲撃した。

一方、SANA(11月9日付)によると、シリア軍がラスタン市ガジャル村街道沿いの「武装テロ集団」拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、武器・装備を破壊した。

またシリア軍は、ラスタン湖一帯、ザーラ村西部、ハッターブ村、ムシャイリファ村、ワディーヒー村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、地元和解プロセスの一環で、ヒムス市、ラスタン市、フルクルス町、クサイル市、マシャーヒダ村、ダイル・バアルバ村で当局に投降していた反体制武装集団元メンバー85人が放免となり、釈放された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がラターミナ町を「樽爆弾」で空爆した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザブディーン村各所をシリア軍が空爆した。

一方、SANA(11月9日付)によると、当局に投降していた反体制武装集団元メンバー108人が放免となり、釈放された。

AFP, November 9, 2014、AP, November 9, 2014、ARA News, November 9, 2014、Champress, November 9, 2014、al-Durar al-Shamiya, November 10, 2014、al-Hayat, November 10, 2014、November 11, 2014、Kull-na Shuraka’, November 9, 2014、November 10, 2014、al-Mada Press, November 9, 2014、Naharnet, November 9, 2014、NNA, November 9, 2014、Reuters, November 9, 2014、SANA, November 9, 2014、UPI, November 9, 2014などをもとに作成。

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