イスラーム国をめぐる動き:ダイル・ザウル、ヒムスでシリア軍とダーイシュが交戦(2014年11月17日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダイル・ザウル市フジャイジャト・サクル地区、ウルフィー地区、ジュバイラ地区、旧空港地区のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して10以上にわたり空爆を行った。

一方、ダーイシュはダフラ村で男性1人とその息子2人を、「覚醒評議会」(部族民兵)と関係を持っていたとの罪で斬首刑に処した。

他方、SANA(11月17日付)によると、ダイル・ザウル市各所で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シャーイル油田一帯でシリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

この戦闘で、シリア軍の騎兵大隊「砂漠の鷹」司令官で「砂漠の獅子」の名で知られるムフスィン・サイード・フサイン大佐(コードネーム「フドゥール」)が戦死した。

一方、SANA(11月17日付)によると、シリア軍、国防隊が、ジャズル・ガス採掘所方面からヒヤーン油田一帯に潜入しようとした「武装テロ集団」を撃退、殲滅した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が16日深夜から17日未明にかけて、アイン・アラブ市西部郊外にある西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の拠点複数カ所を攻撃し、同部隊と交戦した。

また両者は市内の自由広場一帯、治安厳戒地区、南部前線でも交戦し、ダーイシュは同市複数カ所を砲撃する一方、人民防衛隊、イラク・クルディスタン地域のペシュメルガ戦闘員は同市郊外のダーイシュ拠点を砲撃し、応戦した。

ARA News(11月17日付)によると、米国など有志連合はアイン・アラブ市一帯に「過去2週間でもっとも激しい」空爆を行った。

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ハサカ県では、マサール・プレス(11月17日付)によると、対イラク国境に面したヤアルビーヤ町一帯で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

この戦闘で人民防衛隊隊員20人が死亡、またダーイシュはクライシュ村方面に進軍を続けた。

またジャズア村一帯では、人民防衛隊とカラーマ軍(国防隊)が、ダーイシュと交戦した。

なおヤアルビーヤ国境通行所は現在、人民防衛隊とカラーマ軍によって制圧されている。

一方、ARA News(11月18日付)によると、シリア軍、国防隊がハサカ県南部のアブドゥルアズィーズ山一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

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クッルナー・シュラカー(11月17日付)は、イスラーム国傘下のアブドゥッラー・アッザーム旅団が密かにダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓っていたことが、シャーム自由人イスラーム運動によるハマー県、イドリブ県でのダーイシュのスリーパー・セル摘発調査で明らかになったと報じた。

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シリア人権監視団は、ダーイシュ(イスラーム国)がカリフ制樹立を宣言した6月末以降、シリアで1,429人が処刑されている、と発表した。

このうち879人が民間人(シュアイタート部族子息約700人を含む)、63人がシャームの民のヌスラ戦線戦闘員、483人がシリア軍、国防隊兵士。

AFP, November 17, 2014、AP, November 17, 2014、ARA News, November 17, 2014、November 18, 2014、Champress, November 17, 2014、al-Hayat, November 18, 2014、Kull-na Shuraka’, November 17, 2014、al-Mada Press, November 17, 2014、Masar Press Agency, November 17, 2014、Naharnet, November 17, 2014、NNA, November 17, 2014、Reuters, November 17, 2014、SANA, November 17, 2014、UPI, November 17, 2014などをもとに作成。

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