PLO幹部「ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ内での政治的解決の可能性について言及することは難しい」;ハイダル大臣「軍事的な事態収拾が不可欠」(2015年4月8日)

アリー・ハイダル国民和解担当大臣は、ダマスカスを訪問中のPLO(パレスチナ解放機構)執行委員会メンバーのアフマド・マジュダラーニー氏と会談し、ダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線によるヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ侵攻・占拠への対応について意見を交わした。

『ハヤート』(4月9日付)などによると、ハイダル大臣は会談後の共同記者会見で「現在の最優先事項は、キャンプから武装集団とテロリストを排除することで、現状を踏まえると、軍事的な事態収拾が不可欠だが、それを選択したのは国家(シリア)ではなく、キャンプに侵入し、我々が継続してきたこと(国民和解への試み)のすべてを打ち壊した者だ…。軍事行動はいかなる状況でも開始されるし、軍および軍とともに戦う勢力は成果を得てきた」と述べた。

ハイダル大臣は、シリア軍のキャンプ突入の可能性に関して「シリア国家が作戦遂行上、突入の必要があると決定し、シリア国家がそう決定すれば、パレスチナ自治政府と本件への対応を任された(パレスチナ側の)委員会はこれを支援するだろう」と述べる一方、「キャンプがシリア領であり、シリアの主権がキャンプとの関係を司るものである」との合意をパレスチナ側から得ていることを明らかにした。

そのうえで「キャンプ内の問題への対応を任された(パレスチナ側の)委員会は、キャンプにかかるあらゆる問題に対するシリア国家の決定を待っている」と強調した。

ハイダル大臣によると、この委員会は、現地での武装集団との交渉(国民和解)にあたってきたパレスチナ諸派の代表からなっており、「キャンプでの戦闘をシリア側との調整のもとに行っている」のだという。

一方、マジュダラーニー氏も「ヤルムーク・キャンプの事態の変化を踏まえると、キャンプ内での政治的解決の可能性について言及することは、近い将来は難しい」と述べ、シリア軍の介入を認める意思を暗に示した。

AFP, April 8, 2015、AP, April 8, 2015、ARA News, April 8, 2015、Champress, April 8, 2015、al-Hayat, April 9, 2015、Iraqi News, April 8, 2015、Kull-na Shuraka’, April 8, 2015、al-Mada Press, April 8, 2015、Naharnet, April 8, 2015、NNA, April 8, 2015、Reuters, April 8, 2015、SANA, April 8, 2015、UPI, April 8, 2015などをもとに作成。

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