アレッポ県北部で有志連合はダーイシュ(イスラーム国)の拠点のみを、シリア軍はダーイシュとヌスラ戦線などの拠点を爆撃、シリア人権監視団は有志連合の爆撃をアル=カーイダ系組織への「間接支援」と非難(2015年6月7日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、スーラーン・アアザーズ町一帯でダーイシュ(イスラーム国)とアル=カーイダ系組織シャームの民のヌスラ戦線などからなる武装集団が交戦するなか、米国が主導する有志連合が、6日晩から7日にかけてで、同地のダーイシュ拠点複数カ所に対して4回にわたり空爆を行った。

この空爆で、シリア人司令官(アミール)を含むダーイシュ戦闘員8人が死亡、20人以上が負傷した。

クッルナー・シュラカー(6月7日付)によると、死亡したシリア人司令官(作戦司令官)はヒラール・アブー・サーイル氏。

この空爆に関して、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(6月7日付)に対し「ダーイシュと戦闘するクルド人以外の反体制武装勢力を有志連合が支援するのはこれが初めてだ」と指摘、「米国はスーラーン(・アアザーズ)町からトルコとの国境に位置するアアザーズ市にダーイシュが進軍するのを阻止することを決意した」としたうえで、アル=カーイダ系の「シャームの民の自由人イスラーム運動とヌスラ戦線への間接支援」になると批判した。

一方、シリア軍も、ダーイシュによって制圧されているマーリア市各所と、ヌスラ戦線などが支配下に置くアアザーズ市一帯を空爆した。

他方、SANA(6月7日付)によると、カフラ村、マーリア市、ハルバル村、フライターン市、タッル・リフアト市、アアザーズ市、カブターン・ジャバル村、ハッダーディーン村北部に対してシリア軍が重点的に特殊作戦、空爆を行い、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破

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ラッカ県では、ARA News(6月7日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のユーフラテスの火山合同作戦司令室はタッル・アブヤド市南西部のジャウルターナク村一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦、同地を制圧した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がクーリーヤ市で男性1人を斬首処刑した。

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ヒムス県では、SANA(6月7日付)によると、柑橘農園のガス・パイプライン一帯などでシリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(6月7日付)によると、アトシャーン村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, June 7, 2015、AP, June 7, 2015、ARA News, June 7, 2015、Champress, June 7, 2015、al-Hayat, June 8, 2015、Iraqi News, June 7, 2015、Kull-na Shuraka’, June 7, 2015、al-Mada Press, June 7, 2015、Naharnet, June 7, 2015、NNA, June 7, 2015、Reuters, June 7, 2015、SANA, June 7, 2015、UPI, June 7, 2015などをもとに作成。

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