米国防総省は「穏健な反体制派」への軍事教練プログラムの「重大な欠陥」を認め、抜本的改革に乗り出す(2015年9月6日)

『ニューヨーク・タイムズ』(9月6日付)は、米国防総省が、ダーイシュ(イスラーム国)掃討を目的として米軍行っている「穏健な反体制派」の軍事教練プログラムの「重大な欠陥」を認め、その抜本的改革を行うための計画を策定していると伝えた(http://www.nytimes.com/2015/09/07/world/middleeast/us-to-revamp-training-program-to-fight-isis.html?_r=0)。

この改革により、米トルコ両政府が設置合意した「安全地帯」に多数の戦闘員を派遣するとともに、彼らの戦闘技術の向上、良質の情報の提供などがめざされるという。

この改革計画は、米軍の教練を修了後シリア領内に派遣された第30(歩兵)師団(54人)が、アレッポ県アアザーズ市郊外でアル=カーイダ系のシャームの民のヌスラ戦線に襲撃され、司令官らを拉致されたことを受けて、立案が開始されたという。

ヌスラ戦線の襲撃などから、①「穏健な反体制派」が敵の攻撃に対して充分な備えができないない、②あまりにも小規模でシリア領内に派遣された、③地元住民の支援を受けられなかった、④敵に関する諜報を欠いていた、④戦闘員の多くがイード(ラマダーン明けの祭日)に、家族や親戚がいるシリア国内やトルコ領内の避難民キャンプに戻ったまま、隊に復帰しなかった、といった欠陥が明らかになったという。

国防総省では、こうした欠陥を解消するための改革計画を策定中だという。

The New York Times, September 6, 2015などをもとに作成。

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