2012年10月23日のシリア情勢

国内の動き

アサド大統領は政令第71号を発令し、2012年10月23日以前の重犯罪者への恩赦を決定した。

同法令は、死刑を無期懲役刑に、無期懲役刑および無期刑を懲役20年に減刑することを定めている。

ただし、武器麻薬密輸犯などテロ撲滅諸法が定めるテロ犯罪者、国外逃亡者などは恩赦の対象外としている。

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進歩国民戦線加盟政党以外の与党および野党からなる国民民主ブロックの代表が、ダマスカスでアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と会談した。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住副大臣は、ダマスカス県でアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が宿泊するホテルを見送りのため訪問し、共同特別代表の訪問が「成功」したと述べた。

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シリアの外務在外居住者省は声明を出し、フランスが反体制武装勢力を招聘するなどしてテロ活動を支援し、シリア国内の平和と安定を脅かしていると非難、国際社会、とりわけ国連安保理に真摯な対応を求めた。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は国連の潘基文事務総長宛に文書を提出し、そのなかでEUおよび米国などによる対シリア経済が、シリアの子供に害を与え、「非道徳的で非合法」と非難した。

国内の暴力

アレッポ県では、複数の活動家・目撃者によると、アレッポ市のハナーヌー地区のパン配給所が砲撃を受け、並んでいた市民ら約20人が死亡した。

死者のなかには、配給所の警備を行っていた反体制武装勢力戦闘員複数も含まれていた。

またシリア人権監視団によると、反体制武装勢力が潜伏するアレッポ市カタールジー地区を軍が空爆した。

一方、SANA(10月23日付)によると、タームーラ村、カフルハムラ村、カブダーン・ジャバル市、アターリブ市、カフルハラブ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトなどを攻撃し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市でも、ダウワール・サーリヒーン、ダウワール・ジャズマーティー、ブスターン・ハナーヌー、スッカリー地区、旧市街(アンタキア門など)などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ザーヒラ地区に軍・治安部隊が突入した。

またドゥワイラア地区で爆弾が爆発し、1人が死亡、ルクンッディーン区で、治安機関の退役士官を狙った爆破テロが発生し、1人が負傷、ティジャーラ地区東部の空軍情報部近くで爆発が発生した、という。

これらの爆破テロに関して、SANA(10月23日付)は、ルクン・ディーン区でテロリストが車に仕掛けた爆弾が爆発した、とだけ報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町、ハラスター市などで、軍・治安部隊が反体制活動家の逮捕・摘発を行った。

また『ハヤート』(10月24日付)が、複数の活動家の話として、ムウダミーヤト・シャーム市で第4機甲師団の拠点で爆発が発生した、と報じた。

一方、SANA(10月23日付)によると、ハラスター市、アルバイン市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を殲滅した。

また反体制武装勢力は警察病院にRPGロケット弾を打ち込んだという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市ジュバイリーヤ地区の政治治安局近くで爆発が発生した。

またブーカマール市の政治治安局近くでも爆弾が爆発した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍がクサイル市を「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(10月23日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ハーリディーヤ地区、東ブワイダ村、タッル・ヒンシュ市、クサイル市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を継続し、甚大な被害を与えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市が軍の空爆を受けた。

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ハマー県では、SANA(10月23日付)によると、スィージャル村で、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、戦闘員を逮捕した。

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ダルアー県では、SANA(10月23日付)によると、同県の国民和解プロセスを主導するシャイフ、ルバイウ・アフマド・アブスィーを反体制武装勢力が襲撃した。

アブスィーは負傷し、ダマスカス県の病院に搬送された。

反体制勢力の動き

民主的諸勢力国民調整委員会は声明を出し、「アサド大統領はキリスト教徒を含むマイノリティの安全を保障する人格を備えている」とのロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣の発言を「体制側の論理」と非難、拒否すると発表した。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はストックホルムで、反体制勢力による政権掌握後もバアス党を解体する意思はないと述べた。

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『クッルナー・シュラカー』(10月23日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市のマブルーク地区を自由シリア軍が制圧したと報じた(未確認情報)。

レバノンの動き

北部県トリポリ市では、レバノン国軍がジャバル・ムフスィン地区とバーブ・タッバーナ地区を隔てるシリア街道に展開し、ウィサーム・ハサン内務治安軍総局情報課長暗殺に伴う武力衝突を収束させた、と発表した。

AFP(10月23日付)によると、この衝突で、11人が死亡、39人が負傷した。

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レバノン国軍は、ウィサーム・ハサン内務治安軍総局情報課長暗殺後のベイルート県や北部県トリポリ市などでの暴動で、シリア人34人、パレスチナ人4人を含む約100人の狙撃主を拘束した、と発表した。

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UNHCRは声明を出し、レバノン国内に避難したシリア人避難民の数が101,283人に達したと発表した。

同声明によると、国外に避難したシリア人の数は358,000人に及び、10万人以上のシリア人が避難した国はトルコ、ヨルダンに続いて3カ国目。

この数値に一時避難(出国)後に帰国したシリア人の数が含まれているか否かは不明。

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ムスタクバル潮流のアンマール・フーリー国民議会議員は、ウィサーム・ハサン内務治安軍総局情報課長暗殺直後に、アサド政権と対立する複数のレバノン人指導者が脅迫のSMSを受けた、と述べた。

脅迫を受けたのは、アンマール・フーリー、アフマド・ファトファト、ハーディー・フナイシュ、ハーリド・ダーヒル、ヌハード・マンシューク。

このSMSは、シリア国内の電話番号から送信されていたという。

諸外国の動き

米大統領選挙の第3回討論会が行われ、バラク・オバマ大統領とミット・ロムニー共和党候補が外交政策について意見を戦わせた。

シリア情勢に関して、オバマ大統領は、「アサドにとって日数は限られていると確信する」としつつ、軍事介入、安全地帯の設置については否定した。

ロムニー候補は、「アサドが去ると信じている」としつつ、軍事介入、安全地帯の設置については否定した。一方、反体制勢力の支援に関して、「我々のパートナー、とりわけイスラエルとともに調整」を行い、アサド政権崩壊後の政権受け皿への支援を行うべきとの見解を示しつつ、「サウジアラビア、カタール、トルコがこの点に関与している」と述べた。

「アフバール・シャルク」(10月23日付)などが報じた。

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トルコのシンクタンク経済外交研究センター(EDEM)はトルコ国内の1,500人を対象にシリア情勢に関する世論調査を行った。

それによると、51%の回答者が「トルコが中立的であるべき」と答え、18%が「紛争当事者の仲介を行うべき」と答えた。

AFP, October 23, 2012、Akhbār al-Sharq, October 23, 2012、al-Ḥayāt, October 24, 2012、Kull-nā Shurakā’, October 23, 2012、al-Kurdīya News,
October 23, 2012、Naharnet, October 23, 2012、Reuters, October 23, 2012、SANA,
October 23, 2012、Syria News, October 22, 2012などをもとに作成。

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