ダマスカス郊外県で反体制武装勢力がシリア空軍のヘリコプターを撃墜、シリア国民評議会事務局長は記者会見で近く評議会の構成を改編すると発表(2012年10月5日)

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国内の暴力

ダマスカス郊外県では、各紙によると、反体制武装勢力が、グータ地方で空爆を行っていたシリア空軍のヘリコプターを撃墜、サクバー市に墜落した。

Youtube, October 5, 2012

Youtube, October 5, 2012

シリア革命総合委員会によると、ヘリコプターに乗っていた兵士(4人)が墜落前に脱出したが、ただちに反体制武装勢力に拘束された、という。

http://www.youtube.com/watch?v=QvqPp9FatQI&feature=youtu.be

 

http://www.youtube.com/watch?v=UiCwzYK3RFc

https://www.youtube.com/watch?v=QM-TQSLDbsc&feature=player_embedded

 

 

 

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同じくダマスカス郊外県では、反体制武装闘争と思われる集団がグータ東部にある空軍基地を制圧したと発表するビデオがユーチューブ(10月5日付)で公開された。

この集団はドゥーマー市出身の集団で、攻撃は4日に行われたという。

また映像に映っている基地内の武器庫(ミサイル庫)と思われる施設からは黒煙が上がっていた。

『ハヤート』(10月6日付)によると、武器庫の爆破は仕掛け爆弾によって行われた可能性が高い。

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同じくダマスカス郊外県では、共和国護衛隊のアフマド・ルアイディー大佐が(クドスィーヤー市で)反体制武装勢力に拘束されたと証言、そのビデオがユーチューブ(10月5日付)で公開された。

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同じくダマスカス郊外県では、SANA(10月5日付)によると、クドスィーヤー市で反体制武装勢力によって拉致されていた市民8人を軍・治安部隊が解放した。

またハーマ町、ジャムラーヤー市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、大量の武器弾薬を押収した。

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Youtube, October 5, 2012

Youtube, October 5, 2012

Youtube, October 5, 2012

Youtube, October 5, 2012

Youtube, October 5, 2012

Youtube, October 5, 2012

Youtube, October 5, 2012

Youtube, October 5, 2012

ダイル・ザウル県では、反体制武装勢力がムーハサン市上空でMiG戦闘機を撃墜したとするビデオが、ユーチューブ(10月5日付)にアップされた。

http://www.youtube.com/watch?v=3d_0CFdHa6c

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サーフール地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

またクルディーヤ・ニュース(2012年10月5日付)によると、アフリーン市の検問所でマイクロバスが発砲を受け、6人が死亡した。

一方、SANA(10月5日付)によると、アレッポ市サーフール地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、外国人戦闘員を含む複数の戦闘員を殺害した。

またアレッポ市アズィーズィーヤ地区、カルーム地区、ヒヤーン地区、アウラム・クブラー地区、マア-ディー地区、アナダーン市・フライターン市街道などでは、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殺傷、車輌などを破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がヒムス市ハーリディーヤ地区、ラスタン市を砲撃した。

同監視団のアリー・アブドゥッラー代表によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、ハーリディーヤ地区は反体制派の手に落ちている、という。

一方、SANA(10月5日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、バーブ・トゥルクマーン地区、クサイル郡ブワイダ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、戦闘員を殺傷した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、マアダーン町で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、またラッカ市で活動家の逮捕摘発が行われた。

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ダルアー県では、SANA(10月5日付)によると、ムサイフラ町で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、殲滅した。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のホームページ(10月5日付)は、ムハンマド・アサド傷害事件に関して、ラタキア県カルダーハ市で治安部隊と「シャッビーハ」がイスマーイール家とウスマーン家の家や商店に砲火・破壊し、報復を行っていると発表した。

トルコをめぐる動き

ロイター通信(10月5日付)、AFP(10月5日付)などは、住民などの話として、トルコ軍が戦車や対空ミサイルを展開し、軍備を強化するなか、住民がラッカ県タッル・アブヤド市を自由に往来、シリア人に水や食糧などの供与を始めたと報じた。

5日早朝現在、アクチャカレのトルコ軍による越境攻撃は行われていない、という。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はイスタンブールでの演説で、「我々は戦争を望んでいない…。アサド政権とその支持者に改めて言う。トルコの忍耐を試すような冒険を止めよ」と述べた。

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トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)の公式筋は、アナトリア通信(10月5日付)に対して、シリア領(イドリブ県)からの迫撃砲がハタイ県に着弾、トルコ軍が直ちに反撃した、と報じた。

迫撃砲はエルドアン首相の演説直後にハタイ県に着弾した。

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トルコの著名なジャーナリスト、ジュネイト・オズデミルはCNN Turk(10月5日付)で、「(トルコ)憲法は議会に対して、国境外での政府による軍の使用を承認する権限を与えた。しかし、憲法はまた、トルコ領への外国の軍隊の駐留を認める権限が議会にしかないと規定している。このことを政治家たちは無視している。誰がこの人々にトルコへの駐留を認めたのか?」と述べ、自由シリア軍と「アル=カーイダ」がトルコ領内を拠点にシリアでの反体制武装闘争を行っていることを強く批判した。

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メフル通信(10月5日付)によると、イラン軍のハサン・フェイルーズ・アーザーディー参謀長は、トルコとシリアの国境地帯での応酬に関して、「この戦争(トルコとシリアの戦争)は、アメリカの要請で、両国高官は国境で事態を沈静化し、互いの内政への干渉を止めねばならない…。間違いが起きたことは明らかだが、戦争ではこの間違いは取り繕えず、二つのイスラーム国家を混乱な事態に直面させるだけだ」と述べた。

反体制勢力の動き

トルコを拠点に反体制活動を行うシリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はイスタンブールで記者会見を開き、評議会の構成を改編し、近く新たな組織を新規加入させ、指導部選挙を実施すると述べた。

記者会見に同席したサミール・ナッシャール執行部メンバーは、この組織改編により、革命運動勢力や市民社会団体が新規加入するとしたうえで、評議会の定数を300から600人に増やし、その3分の1以上を39の新規革命組織に与えるとの意向を示した。

また、「革命」開始後に結成された市民社会団体24団体が新規加入し、その代表が定数の10%以上を占め、また女性も15%に達すると述べた。

定数を拡大した評議会の大会は10月半ばに召集される、という。

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「自由アラウィー派」を名のる反体制活動家が、アラウィー派に反体制運動への参加を呼びかけた。

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各紙によると、金曜礼拝後にアレッポ県、ハマー県、ダマスカス郊外県などで反体制デモが発生したが、20人が逮捕されたハマー市クスール地区以外では大きな混乱もなく終わった。

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シリア人権監視団によると、ハマー市各所で金曜礼拝後に反体制デモが発生し、クスール地区では治安当局によって20人が逮捕された。

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インターネット上では、アレッポ市ブスターン・カスル地区、ダマスカス郊外県ドゥーマー市、イドリブ県カフルナブル市、ハーッス村などで反体制デモが行われているビデオがアップされた。

このほか、『ハヤート』(10月5日付)によると、ダルアー県、ハサカ県、ヒムス県でも反体制デモが発生した。

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インターネット上では、「我々の子供たちを氏から守るため、声明ではなく武器が欲しい」金曜日と銘打って、反体制デモが呼びかけられていた。

クルド民族主義勢力の動き

『クッルナー・シュラカー』(10月5日付)は、ハサカ県のアームーダー市、ダルバースィーヤ市、ラアス・アイン市、マアバダ(カルキールキー)市の学校が閉鎖された。

閉鎖は、クルド語の学校教育を求める民主統一党が受け入れられなかったため。

シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会は合同使節団を結成し、ハサカ県知事と教育局長を訪問し、クルド語教育解禁を求める予定。

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シリア・クルド・アーザーディー党中央広報局は、10月3日にカーミシュリー市近くの検問所で市民4人が逮捕された、と発表した。

4人はアレッポ県からカーミシュリー市に向かっていた。

レバノンの動き

レバノンのナビーフ・ビッリー国民議会議長は第4次中東戦争戦勝記念日に合わせて、アサド政権に祝電を送り、「抵抗と矯正に向けたあなたの試練は、危機の克服を可能とするだろう」とエールを送った。

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MTV(10月5日付)は、内務治安総軍諜報局がミシェル・サマーハ元情報大臣のテロ未遂事件に、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官が関与していることを突き止めたと報じた。

同報道によると、サマーハ元情報大臣のダマスカス滞在中にシャアバーン大統領府政治情報補佐官に電話で、自らの計画の進捗を報告した、という。

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レバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表は、モーラ・コネリー米大使との会談後、ヒズブッラーのメンバーがシリア国内で殺害された事件に関して、「シリアでのこれらのメンバーの死はシーア派に危険な影響を及ぼすだろう…。(アサド政権支援は)ヒズブッラー指導部による不適切、かつ賢明さを欠く振る舞い」と述べた。

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NNA(10月5日付)は、レバノンの内務治安総軍がシャブアー農場に密入国したシリア人2人を拘束した、と報じた。

諸外国の動き

国連安保理はプレス向け声明(SC/10784)を採択、アレッポ市でのシャームの民のヌスラ戦線による連続爆弾「テロ」を「もっとも強い調子」で非難した。

声明の全文は以下の通り:

The members of the Security Council condemned in the strongest terms the terrorist attacks in Aleppo, Syria, on 3 October, causing dozens of deaths and over 100 civilians injured, responsibility for which was claimed by the Jebhat al-Nusra group affiliated with Al-Qaida. They expressed their deep sympathy and sincere condolences to the families of the victims of these heinous acts and to the people of Syria.

The members of the Security Council reaffirmed that terrorism in all its forms and manifestations constitutes one of the most serious threats to international peace and security, and that any acts of terrorism are criminal and unjustifiable, regardless of their motivation, wherever, whenever and by whomsoever committed.

The members of the Security Council reiterated their determination to combat all forms of terrorism, in accordance with its responsibilities under the Charter of the United Nations.

The members of the Security Council reminded States that they must ensure that measures taken to combat terrorism comply with all their obligations under international law, in particular international human rights, refugee and humanitarian law.

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エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は、トルコへの越境砲撃に関して、「シリア政府に流血、暴力停止とその拡大防止の責任がある」と非難した。

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パレスチナのイスラーム聖戦ラマダーン・シャッラフ書記長は、ガザでの組織結成31周年の集会で、パレスチナ人数万人を前に、「軍事的決着の道はいずれの方向にも閉ざされている…。政治的解決以外に出口はない」と述べた。

AFP, October 5, 2012、Akhbar al-Sharq, October 5, 2012、al-Hayat, October 6, 2012、Kull-na Shurakaʼ, October 5, 2012、al-Kurdiya News, October
5, 2012、MTV, October 5, 2012、Naharnet.com, October 5, 2012、NNA, October
5, 2012、Reuters, October 5, 2012、SANA, October 5, 2012などをもとに作成。

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