プーチン大統領とアサド大統領はシリア駐留ロシア空軍の主要部隊の撤退に合意(2016年3月14日)

シリア大統領府は声明を出し、アサド大統領とロシアのヴラジミール・プーチン大統領が電話会談を行い、シリア駐留ロシア軍の兵力を削減することに合意したと発表した。

声明は「シリア・アラブ軍がロシア空軍との協力により「テロとの戦い」において成功を達成し、シリア各地で治安と安定を回復したことを受け…、シリア・ロシア両国は、アサド、プーチン両大統領の電話会談で、現下の戦況に応じるかたちでシリア駐留ロシア軍の兵力を削減するとともに、敵対行為停止を継続、さらに「テロとの戦い」におけるロシアのシリア支援を継続することに合意した」という。

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ロシア大統領府(クレムリン)も同様の声明を発表、「両国首脳は、ロシア空軍の活動によってテロとの戦いの戦況に劇的な変化がもたらされ、テロリストのインフラを解体、彼らに甚大な損害を与えたことに注目した…。これを鑑み、ロシア大統領は、シリア駐留ロシア空軍に与えられていた主な任務は完了したと言明した。ロシア空軍の主要部隊を撤退させることが合意された」と表明した。

また「アサド大統領は、作戦に参加したロシア空軍士官らのプロフェッショナリズム、勇気、英雄的姿勢に言及し、ロシアに深い謝意を示した…。シリアの指導部は、シリアにおける政治プロセスの早急な構築の用意があると強調した。

プーチン大統領は、セルゲイ・ショイグ外務大臣、セルゲイ・ラブロフ外務大臣との会談で、駐留ロシア空軍の撤退を15日から開始すると述べた。

なお、ショイグ国防大臣がプーチン大統領に提出した戦果報告によると、9月末以降のロシア軍による空爆は、出撃回数が約9,000回に達し、戦闘員2,000人(うち前線司令官17人)を殲滅、石油関連施設209棟、車輌約3,000輌などを破壊、シリア政府が400の市町村・住宅地、1万平方キロを奪還するのに寄与したほか、トルコからの主要な兵站路の遮断に成功したという。

AFP, March 14, 2016、AP, March 14, 2016、ARA News, March 14, 2016、Champress, March 14, 2016、al-Hayat, March 15, 2016、Iraqi News, March 14, 2016、Kull-na Shuraka’, March 14, 2016、al-Mada Press, March 14, 2016、Naharnet, March 14, 2016、NNA, March 14, 2016、Reuters, March 14, 2016、SANA, March 14, 2016、UPI, March 14, 2016などをもとに作成。

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