米英が軍事支援を行う「新シリア軍」がダイル・ザウル県内に進入、ダーイシュ支配下の国境の町ブーカマール市突入作戦を開始(2016年6月28日)

『ハヤート』(6月29日付)などは、米英両国が軍事支援を行う「新シリア軍」が、ヒムス県東部のイラク国境地帯からダイル・ザウル県内に進入したと伝えた。

シリア人権監視団によると、ヒムス県のタンフ国境通行所を拠点とする新シリア軍は、「ヒムス県境、ダイル・ザウル県境、イラク国境が接する三角地帯に到達、有志連合航空機8機の航空支援を受けてシリア砂漠を横断し、ダイル・ザウル県内に進入した」という。

「新シリア軍」はまたSNSを通じて、ブーカマール市突入作戦を開始したと発表し、戦闘員がパラシュートで降下する写真や砂漠を走行する画像(https://youtu.be/XZilhvnVcp8)などを公開した。

新シリア軍の進軍には、他の反体制武装集団も支援し、対するダーイシュ(イスラーム国)はブーカマール市一帯に堀を掘削し、地雷を敷設するなどして進軍に備えているという。

Kull-na Shuraka', June 28, 2016

Kull-na Shuraka’, June 28, 2016

Youtube, June 28, 2016

Youtube, June 28, 2016

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なお、シリア人権監視団によると、新シリア軍はこれに先だって、東部の獅子軍、イラク部族軍と会合開き、シリア、イラク両国国境地帯での対ダーイシュ作戦の調整について検討したという。

東部の獅子軍は2014年8月に、ダイル・ザウル県からダマスカス郊外県カラムーン地方に敗走した武装集団が結成した武装連合組織で、アサーラ・ワ・タンミヤ戦線、ファトフ旅団、アフワーズ旅団、シュアイタートの旗、イブン・カイイム旅団、ウンマの盾旅団、ウマル・ムフタール旅団、カーディスィーヤ旅団、ハムザ大隊、アーイシャ末裔大隊、アブドゥッラー・ブン・ズバイル連合、アブー・ウバイダ・ブン・ジャッラーフ大隊からなり、「新シリア軍」と同根組織と目されている。


AFP, June 28, 2016、AP, June 28, 2016、ARA News, June 28, 2016、Champress, June 28, 2016、al-Hayat, June 29, 2016、Iraqi News, June 28, 2016、Kull-na Shuraka’, June 28, 2016、al-Mada Press, June 28, 2016、Naharnet, June 28, 2016、NNA, June 28, 2016、Reuters, June 28, 2016、SANA, June 28, 2016、UPI, June 28, 2016などをもとに作成。

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