2012年8月4日のシリア情勢

国内の暴力(アレッポ県)

シリアの治安当局高官はAFP(8月4日付)に対して、「アレッポの戦闘はまだ始まっておらず、現下の砲撃は単なる準備に過ぎない…。「メインディッシュはもうすぐ出てくる」」と述べた。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐はアレッポ市の「サラーフッディーン地区への砲撃は戦闘開始以来もっとも激しいが、バッシャールの軍は前進できずにいる」と述べた。

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一方、SANA(8月4日付)によると、アレッポ市のハムダーニーヤ地区、スッカリー地区、サラーフッディーン地区、サーフール地区、バーブ・ナイラブ地区、サイフ・ダウラ地区、フルカーン地区、カッラーサ地区、ハーン・アサル村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷、逮捕し、武器弾薬を押収した。

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ジャズィーラ(8月4日付)は、自由シリア軍がサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)から2キロの距離にあるラジオ・テレビ機構ビルを攻撃したのを受け、アレッポ市内での地上テレビ放送が一時視聴不能になったと報じた。

これに対して、SANA(8月4日付)は、反体制武装勢力がアレッポ市内のラジオ・テレビ機構を襲撃したが、軍・治安部隊が撃退、多数を殺傷した、と報じた。

またシリア人権監視団によると、反体制武装集団がアレッポのラジオ・テレビ機構ビル周辺への砲撃を避けて撤退する前に、仕掛け爆弾を爆発させた、という。

しかし『シャルク・アウサト』(8月5日付)は、自由シリア軍消息筋の話として、ラジオ・テレビ機構ビル近くにシリア空軍の戦闘機が墜落した、と報じた。

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SANA(8月4日付)によると、アレッポ市郊外のカブターン・ジャバル地方で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員に甚大な被害を与えた。

国内の暴力(その他)

シリアの軍消息筋は、ダマスカス県の「マイダーン地区から、ザーリー、マッザ、カダム、スバイナ、ダッフ・シューク、ヤルダー、バッビーラー、タダームン、ハジャル・アスワドにいたるすべての地区を我々は浄化した」と発表した。

またSANA(8月4日付)によると、軍・治安部隊がタダームン区とズライハ地区の「浄化」を完了した。

一方、SANA(8月4日付)によると、ヤルダー地区で反体制武装勢力が誘拐・殺害した市民の遺体が遺棄された集団墓地が発見された。

これに関して、AFP(8月4日付)は、ヤルダー地区のゴミ処理場で約15体の遺体が発見された、と報じた。

またアッバースィーイーン病院裏に迫撃砲が着弾し、市民1人が犠牲となった。

一方、『クッルナー・シュラカー』(8月4日付)によると、早朝からバーブ・シャルキー地区やジャルマーナー市で軍・治安部隊による激しい砲撃が行われたという。

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SANA, August 4, 2012

SANA, August 4, 2012

ダマスカス郊外県でイラン人巡礼者48人が乗ったバスがバスジャックされた。

アブドゥルマジード・カーンジョー駐シリア・イラン領事によると、巡礼者は巡礼ツアーを終え、ダマスカス国際空港に向かう途上で「武装集団」に誘拐された。

またシリア・アラブ・テレビ(8月4日付)によると、誘拐された巡礼者がサイイダ・ザイナブ・モスクを巡礼しようとしていた、と報じた。

一方、SANA(8月4日付)によると、アルバイン市で道路を封鎖しようとした反体制武装勢力と軍・治安部隊が交戦した。

このほか、『クッルナー・シュラカー』(8月4日付)は、ダマスカス郊外県での軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘で、第10師団のウマル・ジャッバーウィー司令官(少将)が戦死した、と報じた。

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ヒムス県では、SANA(8月4日付)によると、タルビーサ地方、ラスタン地方、クサイル地方各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月4日付)によると、マヤーディーン市やクーリーヤ市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(8月4日付)によると、ジスル・シュグール地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

シリア政府の動き

アラビーヤ(8月4日付)は、シリアのバッシャール・ジャアファリー国連大使とその家族が殺人の脅迫を受けており、米当局に通報したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はイラク・クルディスタン自治区のエルビルで記者会見を開き、「自由シリア軍はアレッポから撤退していないし、今後も撤退しないだろう」と述べる一方、「イラクのようにバアス党を根絶するつもりはない」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、シリアの現下の紛争を「代理戦争」と評した潘基文国連事務総長の発言(8月3日)に関して、「シリア国民への侮辱」と強く非難した。

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シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、7月19日に誘拐されていたムハンマド・サイード氏(シリア・アラブ・テレビのキャスター)を殺害したと発表した。

声明は「第41号」との連番が振られている。

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ロンドンで活動する反体制組織のシリア人権監視団は、7月の死者数が4,239人に上ったことを明らかにした。

ラーミー・アブドゥッラフマーン会長によると、このうち3,001人が民間人、1,133人が軍・治安部隊兵士、105人が離反兵だという。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は『シャルク・アウサト』(8月5日付)に対して、「手を血で染めていない政府高官と交渉する用意がある」と述べた。

レバノンの動き

LBC(8月4日付)は、シリア解放党なる組織のシャイフ・イブラーヒーム・ズウビー党首の話として、レバノン人巡礼者(シーア派)11人をアレッポ県で誘拐した誘拐犯のアジトが砲撃を受け、人質2人が脱走した、と報じた。

マヤーディーン(8月4日付)はこの砲撃により、誘拐犯の一人「アブー・イブラーヒーム」が負傷した、と報じた。

ズウビー党首は、誘拐犯グループは残る人質とともに別の場所に移動した、という。

またズウビー党首は、脱走した人質と、砲撃で負傷した人質の氏名を近く明らかにすると付言した。

諸外国の動き

中国外交部の王克倹西アジア北アフリカ局副局長は記者会見で、シリア情勢に関して「政治的解決の扉を性急に閉さず、ましては軍事介入を開始しない」よう呼びかけた。

また「シリアに対する中国の姿勢をめぐる一部の国の批判は根拠がない…。これらの国は自国の地政学的国益を擁護し、紛争の政治的解決を妨害、ないしは反故にしようとさえしている。しかも他国に事態が困難であることの責任を押しつけようとしている」と非難した。

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ロイター通信通信は声明を出し、ハッカーが同通信社のウェブサイトに侵入し、自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐との会談に関する偽のニュースを配信した、と発表した。

AFP, August 4, 2012、Akhbār al-Sharq, August 4, 2012、Alarabia.net, August 4, 2012、Aljazeera.net, August 4, 2012、al-Ḥayāt, August 5, 2012、Kull-nā Shurakāʼ, August 4, 2012、Naharnet.com, August
4, 2012、Reuters, August 4, 2012、SANA, August 4, 2012、al-Sharq al-Awsaṭ, August 5, 2012などをもとに作成。

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