ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍などからなる「ヤルムークの戦い」作戦司令室がラタキア県北部の戦略的要衝キンサッバー町一帯を約4ヶ月ぶりに奪還(2016年7月1日)

ラタキア県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月1日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなる「ヤルムークの戦い」作戦司令室が、シリア軍との戦闘の末、トルコ国境に近い要衝のキンサッバー町、シャラフ村、シール・クブーア村、ハムッラート村、同地一帯の丘陵地帯、イドリブ県西部に至る一帯を奪還した。

キンサッバー町は2016年2月にシリア軍によって制圧されていた。

これを受け、戦闘機(所属明示せず)は、キンサッバー町を含むクルド山一帯を空爆、また同地一帯で「ヤルムークの戦い」作戦司令室と砲撃戦を行った。

反体制武装集団が撃った砲弾複数発は、カルダーハ市郊外にまで達し、ラタキア県のほぼ全域が一時停電となったという。

「ヤルムークの戦い」作戦司令室には、第1沿岸師団、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍、アンサール・シャーム、第2沿岸師団、ファトフ軍、トルクメン・イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線などが参加している。

Kull-na Shuraka', July 1, 2016

Kull-na Shuraka’, July 1, 2016

クッルナー・シュラカー(7月2日付)などによると、ファトフ軍の事実上の統括者のサウジアラビア人説教師のアブドゥッラー・ムハイスィニー氏が、「ヤルムークの戦い」作戦司令室が制圧したキンサッバー町で捕獲した戦車のうえから戦闘員を鼓舞する映像(https://www.youtube.com/watch?v=ahcL0qW6r9k)がインターネットを通じて拡散された。

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イドリブ県では、『ハヤート』(7月2日付)によると、戦闘機(所属明示せず)がサラーキブ市、ハーン・スブル村各所を空爆した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が、フライターン市などアレッポ市北部一帯、アレッポ市バーブ街道地区を空爆し、子供複数を含む11人が死亡、またシリア軍がアレッポ市バニー・ザイド地区、ハーリディーヤ地区一帯を砲撃した。

また、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団がアレッポ市南部郊外などで、シリア軍、ヒズブッラー、イラン人民兵などへの攻撃を行った。

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ダマスカス郊外県では、SANA(7月1日付)によると、シリア軍、人民防衛諸集団が東グータ地方で反体制武装集団と交戦し、バハーリーヤ村・マイダアー町間の複数カ所を制圧した。

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ダルアー県では、SANA(7月1日付)によると、シリア軍がダルアー市市街地、ヌアイマ村でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

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アレッポ県では、SANA(7月1日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市市街地を砲撃し、1人が死亡、5人が負傷した。

 

クッルナー・シュラカー(7月2日付)によると、シャーム革命家大隊は声明を出し、シャーム戦線から分離すると発表した。

同声明によると、分離後もアレッポ・ファトフ軍作戦司令室には残留するという。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、6月29日に2件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス郊外県で発生し、イスラーム軍が砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は739件。

AFP, July 1, 2016、AP, July 1, 2016、ARA News, July 1, 2016、Champress, July 1, 2016、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2016、al-Hayat, July 2, 2016、Iraqi News, July 1, 2016、Kull-na Shuraka’, July 1, 2016、July 2, 2016、al-Mada Press, July 1, 2016、Naharnet, July 1, 2016、NNA, July 1, 2016、Reuters, July 1, 2016、SANA, July 1, 2016、UPI, July 1, 2016などをもとに作成。

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