2012年6月14日のシリア情勢

国内の暴力

SANA(6月14日付)は、ダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブ町で自爆テロが発生し、14人が負傷したと報じた。

ダマスカス郊外県警察筋によると、このテロは同市内の野外駐車場で発生、自爆犯が爆弾を積んだ車を用いて犯行に及んだ、という。

シリア人権監視団によると、この自爆テロにより、治安機関の施設の一つが標的となり、同施設とサイイダ・ザイナブ廟が被害を受けた、という。

またAFP(6月15日付)によると、爆発現場は、シーア派の聖地の廟・礼拝所、イマーム・サドル病院、治安機関の施設2棟などが近くにあり、爆発により、廟・礼拝所のガラスが割れるなどの被害を受けたほか、隣接する商店なども被害を受けた。

UNSMISがハッファ地方に入り、現地の破壊状況を視察した。

8人の監視団に同行したロイター通信、AFPの記者らによると、市街地には通行人はなく、破壊された車などが散乱し、建物の壁には焦げ跡が見られた。

このほかSANA(6月14日付)によると、治安当局がドゥーマー市で住民の協力のもと、多数のテロリストを拘束した。その際、治安維持部隊兵士3人が犠牲となった。

一方、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で軍・治安部隊の発砲により、市民1人が殺害された。

SANA, June 14, 2012

SANA, June 14, 2012

SANA, June 14, 2012

SANA, June 14, 2012

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市での軍・治安部隊と離反兵の交戦で、離反兵1人、反体制武装活動家2人を含む10人が死亡した。

またハーリド・ブン・ワリード旅団(自由シリア軍)司令官のアフマド・バフブーフ少佐によると、ラスタン市での軍・治安部隊との交戦で、離反兵2人が殺害された。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ラジャート地方で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

またダルアー市に対する軍・治安部隊の攻撃で市民5人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊とアブー・アラマイン大隊(離反兵)が交戦し、前者の兵士3人(うち少佐1人)が死亡した。

またヒヤーリーン町では少女が治安部隊の発砲で死亡した。

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イドリブ県では、SANA(6月14日付)によると、イドリブ市郊外で治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、多数が死傷した。

またザーウィヤ山でも両者が交戦し、テロリスト多数が死傷、逮捕された。

一方、シリア人権監視団によると、イドリブ市の軍・治安部隊の検問所を狙った爆弾攻撃が発生し、兵士1人が死亡した。

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ラタキア県では、SANA(6月14日付)によると、ハッファ地方で武装テロ集団が保有していた大量の武器・弾薬を関係当局が発見・押収した。

押収された武器のなかには、迫撃砲、RPG、ロケット弾、爆弾、爆薬などが含まれていた。

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ダイル・ザウル県では、反体制筋によると、軍・治安部隊がダイル・ザウル市に対して砲撃を加え、少なくとも11人が死亡し、約200人が負傷した。

同消息筋によると、この砲撃に先立って13日、兵士約200人が同市に突入していた。

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SANA(6月14日付)は、シャームの民のヌスラ戦線のメンバー、ムハンマド・フサーム・サダーキー容疑者を逮捕した、と報じた。

SANA, June 14, 2012

SANA, June 14, 2012

サダーキー容疑者は、6月15日(金曜日)、ダマスカス県内のリファーイー・モスクなどで複数のメンバーと同時自爆テロを試みようとしていたと自白している、という。

反体制勢力の動き

シリア人権監視団は、2011年3月以降の死者数が14,476人に達していると発表した。

同監視団によるとこのうち、10,117人が民間人、3,552人が軍・治安部隊兵士、807人が離反兵で、5月13日から6月13日までの過去1ヵ月の死者数は2,302人にのぼる、という。

諸外国の動き

トルコ日刊紙『ヒュッリイェト』(6月14日付)は、最近実施された二つの世論調査の結果、トルコ国民の大多数がシリア内政に干渉を続けるAKPの政策に反対している、と報じた。

第1の世論調査では、67.5%がシリアの危機への平和的な政治・外交活動を支持、21%が軍事介入に反対、88/5%がトルコの直接介入に反対した。またシリア領内での安全地帯の設置を支持したのは6.5%、トルコの軍事介入を支持したのは1.5%、シリアの反体制勢力への武器供与を支持したのは3.5%に過ぎなかった。

第2の世論調査では、60.2%がシリア情勢への介入に反対し、15.9%が間接的な政治・外交活動で充分だと回答した。安全保障地対設置を支持したのは15.9%、反体制勢力への武器供与を支持したのは7.9%だった。

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英国外務省は声明を出し、ウィリアム・ヘイグ外務大臣が訪問先のカブールでロシア、イランの外相と会談し、両国に対してシリアでの紛争を終わらせるため影響力を行使するよう求めるとともに、ロシアが提案する国際会議に関しては、原則歓迎するとしつつ、イランの参加を「不可能」と拒否した。

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フランスのフランソワ・オランド大統領とイタリアのマリオ・モンティ首相は、ローマでの合同記者会見で、シリア情勢に関して「現下の暴力は受け入れられず、もっとも激しく非難されるべき」と述べた。

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ヴァチカンのフィディス通信(6月14日付)は、反体制武装集団がキリスト教徒を標的にしているとの一部メディアの報道を駐シリア・ヴァチカン大使が否定したと報じた。

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アムネスティ・インターナショナルは、軍や民兵(シャッビーハ)が「国益を守るとの名のもとに反体制勢力を支援した集団への復習を行う」など「人道に対する罪」を犯していることを示す新たな証拠を報告書にまとめ、発表した。

http://www.amnesty.org/en/library/asset/MDE24/041/2012/en/2a11c167-c2b9-4936-8961-6ceb379d6d46/mde240412012en.html

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クウェートの国会議員12人と前大臣は、サウジアラビアのアブドゥッラー国王に対して、シリア国民をジェノサイドから救済するよう書簡で呼びかけた。

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ロシア議会下院のアレクセイ・プシュコブ外交関係委員会委員長は、西側記者団に対して、「西側にはシリアに関して何ら政策を持っていない。ロシアの姿勢はあなたたちに寄与している。あなたたちはロシアを非難することで、自分たちがこの危機を解決することが妨げられていると言い訳できる」と述べた。

AFP, June 14, 2012、Akhbar al-Sharq, June 14, 2012, June 15, 2012、al-Hayat, June 15, 2012、Kull-na Shurakāʼ, June 14, 2012、Naharnet.com, June 14,
2012、Reuters, June 14, 2012、SANA, June 14, 2012などをもとに作成。

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