2012年5月21日のシリア情勢

アサド政権の動き

アサド大統領は2012年法令第172号を発し、2012年5月25日に第10期人民議会を招集することを決定した。

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シリア外務在外居住者省のジハード・マクディスィー報道官は、「アラブ連盟はシリアの危機を解消するための役割を担っておらず、問題の一部となってしまった」と述べた。

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会は声明を出し、19日に執行部会合を開催し、反体制勢力の統一に関する委員会の立場を示すための覚書を作成し、アラブ連盟に提出することなどを決定したと発表した。

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シリア・ムスリム同胞団が声明を出し、「イスラーム教徒のウンマの成員」に対して、「ウンマと、と社会的安定と諸国民の統合に敵対するコム、ダマスカスの新たなシュウービーヤ」の試みに立ち向かうよう異例の声明を出した。

シリア・ムスリム同胞団は長らく宗教的な言説を避けてきたが、シリアでの反体制運動が高揚した2011年3月以降、ガザ包囲解除をめざすアサド政権に対する反体制運動凍結解除や武装闘争支援など、戦略の揺れが目立つ。

国内の暴力

AFP(5月22日付)は、19日にダイル・ザウル市で発生した「爆弾テロ」に関して、「シャームの民のヌスラ(救済)戦線」が犯行声明を発表した、と報じた。

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ハマー県では、シリア人権監視団や地元調整諸委員会などによると、県内の各地(ラターミナ町)では政権打倒、自由シリア軍の武装支持などを求めるゼネストが行われ、またデモも発生した、という。

またシリア人権監視団によると、ハマー市のアルバイーン地区で未明、治安部隊兵士4人が反体制武装集団によって殺害された。さらにカストゥーン村に対して軍・治安部隊が砲撃を加え、スーハー村で治安部隊が市民1人を殺害した。

このほかシリア人権ネットワークによると、スーラーン市で離反兵5人が処刑された。

一方、SANA(5月21日付)によると、ハマー市郊外で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、前者の士官1人、兵士3人が死亡、テロリスト多数が死傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権ネットワークによると、ドゥーマー市で離反兵9人が殺害された。

またジスリーン、カフルバトナー、サクバーなどでも軍・治安部隊と離反兵が交戦したという。

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ダマスカス県では、SANA(5月21日付)によると、カーブーン区で武装テロ集団が仕掛けた爆弾が爆発市、民間人5人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(5月21日付)によると、ダイル・ザウル市で武装テロ集団が骨董商を暗殺した。

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ハサカ県では、『クッルナー・シュラカー』(5月21日付)によると、ハサカ県で反体制デモが発生し、2人が殺害された。

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イドリブ県では、「ハーン・シャイフーンおよび郊外の解放運動家調整」を名のる組織が、ユーチューブ(5月21日付)で、反体制武装集団と軍・治安部隊がシリア赤新月社とUNSMISを仲介して捕虜交換を行った、と発表した。

Youtube, May 22, 2012

Youtube, May 22, 2012

捕虜交換では、軍・治安部隊が民間人2人を釈放し、自由シリア軍が15日の戦闘で破壊された軍の戦車を引き渡した、という。

https://www.youtube.com/watch?v=3uh6Dc-NKoc&feature=youtu.be

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『クッルナー・シュラカー』(5月21日付)は、治安当局がムハンマド・サルマーン元情報大臣が国外への旅行を禁じたと報じた。

同報道によると、サルマーン元情報大臣は、5月8日に家族らとともにエジプトに発とうとした際、空港で出国を禁じられた、という。

レバノンの動き

AFP(5月21日付)によると、トリポリ市ジャバル・ムフスィン地区・バーブ・タッバーナ地区でRPG弾2発が発射された。被害はなかった。

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アフマド・アブドゥルワーヒド師暗殺に抗議する住民らが、ベイルート南部のナーイマ(山地県シューフ郡、北部県の北部県アッカール郡のアブダ、タッル・アッバース、ハルバ、ベカーア県の複数箇所で道路を封鎖した。

諸外国の動き

ロシア外務省は、レバノンでのアフマド・アブドゥルワーヒド師暗殺に関して、「シリアを不安定化させようとする計画の実現に失敗した勢力が隣国レバノンに向かったように見える」と発表、シリア情勢への外国の介入を拒否し、平和的な事態の解決が必要との立場を改めて示した。

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NATOのアナス・フォー・ラスムセン事務総長は、記者会見で、シリア情勢への懸念を示しつつ、NATOによる軍事介入を改めて否定した。

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ヨルダン通信(5月21日付)、ヨルダンのファーイズ・タラーウィナ首相は、シリアの危機における中国の役割に期待する、と述べた。

AFP, May 21, 2012、Akhbār al-Sharq, May 21, 2012, May 22, 2012、al-Ḥayāt, May 22, 2012、Kull-nā Shurakā’, May 21, 2012、Naharnet.com, May 21, 2012、Reuters,
May 21, 2012、SANA, May 21, 2012、You Tube, May 22, 2012などをもとに作成。

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