2012年5月15日のシリア情勢

第10期人民議会選挙の結果

選挙最高委員会はダマスカスで記者会見を開き、ハルフ・アザーウィー委員長が第10期人民議会選挙の結果を発表した。

Kull-nā Shurakā’, May 15, 2012

Kull-nā Shurakā’, May 15, 2012

それによると、有権者総数は10,118,519人で、うち5,186,957人が投票、投票率は51,26%だった。

記者会見では各選挙区の当選者の氏名が発表されただけで、獲得票数、所属リストは示されなかった。

SANA(5月15日付)は、反体制武装活動が激しいイドリブ県、ダルアー県、ヒムス県、ダマスカス郊外県での投票率に関して、アザーウィー議長が、「人民議会はシリア国民全体を代表している…。こうした情報は各県の小委員会や選挙センターが提示するかもしれない」と回答を避けたと報じた。

また女性の当選者の数が30人に達したと付言した。

http://www.sana.sy/ara/2/2012/05/15/419128.htm

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市での犠牲者の葬儀の会葬者に治安部隊が発砲し、20人が死亡した。

この攻撃で、UNSMISの車輌が爆発に巻き込まれ大破した。隊員7人にケガはなかった。

自由シリア軍メンバーや隊員などによると、攻撃は、UNSMISが自由シリア軍の随行のもと市内の視察を行っている最中に始まった、という。

一方、UNSMISの車輌攻撃に関して、SANA(5月15日付)などシリア公式筋は、武装テロ集団の犯行だと報じる一方、離反兵は軍・治安部隊の攻撃によるものだと主張した。

他方、SANA(5月15日付)によると、ドゥライキーシュ市の国境警備隊がトルコ領内から潜入を試みる武装テロ集団と交戦、テロリスト多数を死傷させた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市郊外で女性1人を含む市民4人が治安部隊に射殺された。

一方、SANA(5月15日付)によると、ヒムス・ダマスカス街道シンシャール交差点近くで武装テロ集団がニザール・フサイン准将が乗っていた車を襲撃、准将と運転手の合わせて2人を暗殺した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で警官1人、市民6人が治安部隊の発砲で殺害された。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町で市民1人が殺害された。

一方、SANA(5月15日付)によると、ダルアー市郊外で武装テロ集団が仕掛けた爆弾の爆発で治安維持部隊の大尉が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、各地で4人が殺害された。

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タルトゥース県では、シリア人権監視団によると、バーニヤース市内の住宅ビルに仕掛けられた爆弾が爆発し、市民4人が死亡した。

この事件に関して、SANA(5月15日付)は、テロリスト3人も倒壊した建物の下敷きになって死亡した、と報じた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ラターミナ町で市民3人が殺害、遺棄された。

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ダマスカス県では、『クッルナー・シュラカー』(5月15日付)によると、ダマスカス大学電気機械工学部の学生数百人がキャンパス内で反体制デモを行い、シリア学生国民連合の学生や大学警備当局と衝突し、情報学科の学生1人が逮捕された。

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SANA(5月15日付)は、チュニジア人2人とリビア人1人が、アル=カーイダと自由シリア軍を名のる民兵との調整のもと、トルコ国境を経てシリア領内に潜入したと自供したと報じた。

なおロイター通信(5月15日付)はチュニジアの対リビア国境の町ベンガルダンの当局や若者らへのインタビュー、証言をもとに、チュニジアの青年がシリアでの反体制武装集団の活動に参加している、と報じた。

SANA, May 15, 2012

SANA, May 15, 2012

反体制勢力の動き

シリア国民評議会事務局はローマで運営委員会議長の選挙を行い、ブルハーン・ガルユーン現議長の再選出(三選)した。

選挙にはガルユーン議長とジョルジュ・サブラー氏が立候補し、秘密投票により前者が21票、後者が11票を得票した。

これまで議長は執行委員会が選出・再任していたが、事務局が議長を選出したのは今回が初めて。

なおシリア国民評議会は運営委員会議長選出と合わせて声明を出し、「現地での革命および革命かとさらなる接近、連携する」との意思を示した。

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「シャームの民のヌスラ(救済)戦線」は声明を出し、5月10日のダマスカスでの同時自爆テロの犯行を否定した。

声明では「複数の通信社、ウェブサイト、チャンネルが…ユーチューブで配信されたビデオを根拠として、この行為を救済戦線によるものだと伝えている…。しかしこのビデオやそこで発表された声明はねつ造である」と主張している。

AFP(5月16日付)が伝えた。

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シリア人権監視団は、4月末に逮捕されたパレスチナ人思想家のサラーマ・キーラ氏が当局の「激しい拷問」に曝されていると発表、非難した。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、EUによる追加制裁発動に歓迎の意を示した。

レバノンの動き

北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区でスンナ派住民とアラウィー派住民の衝突が再び激化し、3人が負傷した。

これを受け、レバノン国軍が両地区に展開した。

両地区での対立は、治安得局がサラフィー主義者のシャーディー・マウラーウィー氏をテロ容疑で逮捕したことをきっかけに5月12日に始まり、既に9人が死亡、数十人が負傷している。

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NNA(5月15日付)は、ベカーア県ヒルミル郡の対シリア国境に位置するハウシュ・サイイド・アリー地方の農夫複数が、シリア領内で耕作中に迫撃砲の流れ弾に当たり、1人が死亡、複数が負傷した、と報じた。

諸外国の動き

UNSMISのロバート・ムード司令官は、監視員が200人を越え、またダイル・ザウル県内に拠点を開設したと発表した。

AFP, May 15, 2012、Akhbār al-Sharq, May 15, 2012、al-Ḥayāt, May 16, 2012、Kull-nā Shurakā’, May 15, 2012, May 16, 2012、Naharnet.com,
May 15, 2012、NNA, May 15, 2012、Reuters, May 15, 2012、SANA, May 15, 2012、al-Waṭan, May 15, 2012などをもとに作成。

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