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フサイン・ハルムーシュ大佐の証言
SANA(9月15日付)によると、シリア・アラブ・テレビは9月15日から、自由将校運動司令官のフサイン・ハルムーシュ大佐の証言を放映した。
証言のなかでハルムーシュ大佐は離反した理由について「街での血塗られた惨状を目の当たりにして軍を脱走した。街では多くの死者がいた。民間人を殺害しているのが武装集団であるのは確かだ…」と述べた。
また軍・治安部隊による民間人への発砲に関しては、「軍にいる間、民間人らへの発砲の命令は一度も受けなかった。また軍司令官がそのような命令したのを見たことも聞いたこともない…」と応え、否定した。
反体制勢力との関係に関しては以下のように述べ、シリア・ムスリム同胞団、ラフィーク・ハリーリー・レバノン前首相暗殺へのシリア(とヒズブッラー)の関与を証言・非難する勢力、アブドゥルハリーム・ハッダーム前大統領らがその背後にいると指摘した。
「軍から脱走すると、たくさんの人が私に連絡をとってきた。そのほとんどが在外の反体制勢力だった。だが、月日が経つなかで、彼らのほとんどが、私に連絡し、物的支援、武器兵站支援などを行うことを約束して、私に(武装闘争を)させようとしていることがわかった…」。
「シリア・ムスリム同胞団が最初に連絡を取ってきたが、彼らはみな偽名を使い、「アブー・ハーリド」を名乗る男が(避難していたトルコの)キャンプに会いに来た。また(ラフィーク・ハリーリー元首相暗殺へのシリアの関与を「偽証」した)ムハンマド・ズハイル・スィッディーク…、アブドゥルハリーム・ハッダーム(前副大統領)、ムハンマド・シャバクらアンタルヤ大会の面々も連絡してきた。その数は300人以上はいたと思う…」。
「私が「自由将校運動」の声明第1号を発表すると、リフアト・アサドの事務所が私に連絡してきた…」。
「ヒムス市のバーブ・ドゥライブ地区の(テロ)集団を率いるアブー・ムハンマド、アブー・サイフ地区の(テロ)集団、バーブ・アムル地区、バーブ・スィバーア地区の(テロ)集団との調整を行った…」。
「スィッディークとシリア・ムスリム同胞団がシリアに武器を密輸入していた…。トルコからこれらの地域(ヒムス、ハマー、イドリブ、ラタキア県ラムル地区など)への武器密輸は…承認を経由して行われた」。
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SANA(9月15日付)は、シリア・アラブ・テレビが9月15日午後8:30にフサイン・ハルムーシュ大佐の証言を放映すると発表したと報じていた。また9月17日にはイマード・ムグニーヤ暗殺を共謀したとされるスパイの証言をシリア・アラブ・テレビが放映すると発表。
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自由将校運動はハルムーシュ大佐の証言が放映された直後に声明を出し、トルコ政府がハルムーシュ大佐の逮捕とシリアへの引き渡しに対して「完全なる責任」を負っていたと発表し、トルコ政府を非難した。
同声明によるとハルムーシュ大佐は8月29日にトルコのキャンプで失踪した。
反体制運動をめぐるその他の動き
トルコのイスタンブールで、「シリア国民評議会」の発足が宣言された。
シリア国民評議会は140人のメンバーからなり、6ヵ月以内の体制打倒をめざすとともに、「アサド政権打倒までの闘争継続」、「平和的手段の行使」、「領土保全」の3原則のもとでの反体制勢力の統一を表明した。
記者会見でアブドゥルバースィト・スィーダー氏は、メンバーの60%が8月23日に発足した会議のメンバーで、40%が在外活動家であると述べた。メンバーはシリア・ムスリム同胞団、左派活動家、アラブ民族主義者、無所属、宗教団体、エスニック団体などの代表からなるが、「安全上の理由」により72人の氏名しか公表されず、また議長も任命されなかった。
結成大会にはカナダ、オランダ、日本、スーダンが、大会オブザーバーとして外交官を派遣した。
シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、「対話会合で最初の分裂が起きた後、革命青年組織、政治運動、活動家、テクノクラートはシリア国民評議会を発足することを決定した」と述べた。
また評議会は、6ヵ月以内の専制体制の打倒と暫定政府の発足を目的としている、という。同報道官は、外国の軍事介入を否定しなかったが、現時点ではアサド政権への外交・経済的圧力に力点を置いている、と述べた。
議長が任命されなかったことに関して、在米のヤースィル・タッバーラ弁護士は、「選任された評議会議長はまだいない。なぜなら我々は民主的プロセスのもとにあり、評議会が開放的な会合だからである」と述べた。
また「外国の行動に関して、評議会は国際社会がアサド政権後に懸念している真空を埋めることをめざす」と述べた。また諸外国、国連、アラブ連盟、イスラーム協力機構との非公式の折衝を行っている、と述べた。
メンバーの一人アディーブ・シーシャクリー氏は、評議会がシリア国民の希望に沿って活動することへの国際社会の承認を得ることが次のステップになると述べた。
シリア国民評議会発足声明全文は以下の通り。
なおシリア国民評議会発足声明全文(原文)はhttp://www.levantnews.com/index.php?option=com_content&view=article&id=9021:2011-09-15-11-52-07&catid=81:syria-politics-headlines&Itemid=55を参照。
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フェイスブックの「シリア革命2011」ページは、抗議行動開始6ヶ月に合わせて「誓約更新」と銘打った反体制デモを呼びかける。しかし各地で大規模なデモは発生せず、軍・治安部隊による逮捕・追跡作戦が続いた。
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ダマスカス県カッサーア地区、バーブ・トゥーマー地区の革命調整連合が声明(第2号)を出し、イスタンブールで発足が宣言されたシリア国民評議会に関して、宗派主義的なメンバー配分に基づいているとの理由で、評議会を承認しないと宣言、人選のやり直しを求めた。
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ダマスカス郊外県では、軍・治安部隊がザバダーニー市、ハラスター市に展開し、数十人を逮捕した。
オガレット・ニュース・ネットワークによると、その際にザバダーニー市で、アフマド・アブドゥルアズィーズ氏と見られる人物が軍・治安部隊の発砲で殺害された。またザバダーニー市では住民が、住民の逮捕や家屋を破壊されたことに抗議して小規模なデモを行った。しかし軍・治安部隊はこれに対して実弾で応えた、という。
また複数の活動家らによると、ハラスター市では、軍・治安部隊と離反兵との間で戦闘が発生し、スィール地区では多数の負傷者が出たが、同地区が包囲されているため、負傷者を搬出できないという。シリア革命調整連合は、少なくとも15人が負傷したと発表した。オガレット・ニュース・ネットワークによると、ハラスター市には25台以上の車輌が突入し、無差別発砲を行った。
シリア人権監視団によると、ザバダーニー市とマダーヤー町での軍・治安部隊による大規模逮捕・捜索活動は三日目にはいり、これまでに126人が逮捕されている。
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イドリブ県ザーウィヤ山一帯でも逮捕・捜索活動は継続。シリア人権監視団によると電話回線は依然として不通のまま。シリア人権監視団によると、カンスフラ村、アイン・ラールーズ村、カフル・ウワイド村、アブディーター村、イブリーン村、マアッラト・ハルマ村などで行われている軍・治安部隊による逮捕・捜索活動で、一昨日、2人が殺害され、9人が行方不明、73人が拘留された、という。
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ヒムス県では、ヒムス市で軍・治安部隊が2人の若者を殺害した。
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『シャルク・アウサト』(9月17日付)はシリアのキリスト教徒が声明を出し、レバノン・マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教の発言を批判。「彼の声明は、シリア国民のアイデンティティ、オーセンティシティ、愛国心を貶めるものと見なしている」と非難したと報じた。
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ハサカ県カーミシュリー市でクルド民族主義勢力がカーミシュリー対話会合を開催し、約100人の活動家、作家、有識者が出席した。3月以来の反体制運動やクルド問題について審議し、閉幕声明を発表。
声明の概要は以下の通り。
1. 民族、宗教に基づく差別のない民主的・多元的国家建設をめざす「革命」を支持。
2. 一部のクルド民族主義政党・組織の「革命」への不参加が、民衆参加の拡大を阻害している。
3. 民主主義の原則のもと、クルド人の立場の統一をめざす。
4. 憲法でクルド人の存在を認め、その権利を保障することを通じた、クルド問題の解決。
5. クルド民族主義政党・組織の改革への参画。
6. デモの平和性の維持。
7. クルド民族主義政党・組織以外の文化・社会・政治団体の役割増大。
8. クルド人青年の役割の評価。
9. 民主的・多元的国家建設。
アサド政権の動き
ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問は『ハヤート』(9月16日付)の取材に対して、ロシア訪問中、ロシア高官が「近く実施に移される改革への全面支援」の意思を示したと述べ、来週、ロシア連邦議会の使節団がシリアを訪問すると述べた。
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SANA(9月15日付)によると、ユースフ・アフマド・シリア代表は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長が反体制勢力使節団を受け入れたことに対する「強い調子」の抗議文をアラブ連盟に提出し、「シリアの内政問題に関して、軍事干渉を含むあらゆる外国の干渉を準備することをめざそうとする」要求を反体制勢力使節団から受け取ったことを非難した。
また「シリアで起きていることがもはや内政問題ではない」とのアラビー事務総長の発言が、「シリアの内政問題への外国の干渉を奨励・扇動」する「暗黙の措置」だと非難した。
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アレッポ県アレッポ市で、県・大学レベルの国民対話会合が開始された。
「対話ブロック」の名で参加したグループは、一部の国民と政府の間で失われてしまった信頼関係回復の必要と対話の重要性を強調した。また閉幕声明に向けた提言を示し、そのなかで「すべてのシリア人が平等となる憲法改正、平和的な大衆政治運動の承認、すべての政治犯、言論犯の釈放、聖域なき犯罪者の処罰」を求めた。また「内外メディアによる報道の機会の保障、シャッビーハの活動の即時停止、拷問の中止、国内メディアへの反体制勢力の出演許可」も要求した。
またアレッポ商業会議所理事の一人リユーン・ザキー氏も、アナス・アズラク氏(ジャーナリスト)も提言を行った。
しかし、シリア民族社会党インティファーダ派(北部支部代表はイサーム・アッズーズ氏)は不参加を決定した。
一方、アレッポ大学国民対話会合は9月14日に閉幕した。
4. レバノンをめぐる動き
9月15日午後、レバノン国軍の車輌が北部県の国境地帯でシリア軍の誤射を受けた。シリア軍が攻撃を行ったのは国境から約1キロの地点にあるレバノン領北部県アッカール郡ムワンサ村。
攻撃を受けたレバノン国軍の車輌には5人の兵士が搭乗し、ムウスィナ村でパトロールを行っていた。けが人はいなかった。
AFP(9月15日付)は、治安筋の話として、事件が約18人からなるシリア軍部隊が国境地区での掃討作戦を展開している最中に発生したと報じた。一方NNA(9月15日付)によると、シリア軍兵士15人がレバノン領内に進入し、誤射に至った。
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レバノンのサアド・ハリーリー前首相は、滞在先のサウジアラビアから「国際民主主義の日」に合わせて声明を発表、「民主主義最大の的である武器の恐怖に曝されるなか、我々は今日民主主義への関心を声を大にして表明する」と述べ、ヒズブッラーのレジスタンスに疑義を呈する一方、シリア情勢に関して、「シリア国民がアラブの名誉を代表し、自由のために闘う人々の例となることを願う」と述べ、反体制運動への支持を改めて表明。
ハリーリー前首相は「暗殺の恐れ」があるとの理由で現在、レバノンを離れ、サウジアラビアで暮らしている。
4. 諸外国の動き
欧州議会は、デモ弾圧によりアサド政権が正統性を失ったと断じ、「即時」退陣を求める決議を採択した。
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国連の潘基文事務総長は記者会見で、バッシャール・アサド大統領に対する「国際的な統一行動」を呼びかけ、同大統領が交わした多くの約束を履行していないと非難した。
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アラブ議会連盟のアリー・サーリム・ディクバースィー議長は、火曜日のアラブ連盟外相会議会合に関する声明を出し、アラブ連盟に対してアサド政権への制裁、連盟をはじめとするアラブ地域組織のメンバーシップ凍結を決定するよう求めた。
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イタリアとオランダの大使館が、ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー氏、バドルッディーン・ハッスーン氏の暗殺を計画している「シリア革命調整委員会」を支援しているとの『シリアステップス』(9月13日付)に関して、駐シリア・オランダ大使が記事内容を否定する声明を出した。
AFP, September 15, 2011、Akhbar al-Sharq, September 15, 2011、al-Hayat, September 16, 2011, September 17, 2011、Kull-na Shuraka‘ Suriya, September 15, 2011, September 16, 2011、September 17, 2011, September 19, 2011、Naharnet.com, September 15, 2011、NNA, September 15, 2011、Reuters, September 15, 2011、SANA, September 15, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 17, 2011、Syria News, September 16, 2011などをもとに作成。
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