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アサド政権の動き
『インディペンデント』(10月18日付)は、バッシャール・アサド大統領夫人のアスマー・アフラス女史が9月に、デモでの負傷者の治療に当たっているシリア人援助隊員と懇談した際の様子を報じ、隊員の一人の証言を掲載した。その内容は以下の通り。
「我々は彼女にデモ参加者が殺されていると話した…。我々は治安部隊がデモ参加者を攻撃していると話した…。何の反応もなかった…。毎日起きている普通の話を話されたかのように…、彼女はまったく反応しなかった…。彼女は現下の状況において働くことの危険について尋ねた…。彼女はここで起きているすべてを見ている…。彼女が知らないはずない」。
また同記事は、「彼女がどのような意見を持っていようと、彼女は完全に身動きがとれない…。体制は彼女が反対意見を述べることも国を去ることも許さない」とのアラブ・英国理解評議会のクリス・ドイル議長の話を紹介した。
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ワリード・ムアッリム外務大臣は、ムハンマド・リダー・シーバーニー在ダマスカス・イラン新大使との会談し、「非合法」であるシリア国民評議会を承認、ないしは接触する国家に対して厳しい措置を講じると述べた。
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イスラエル占領下のゴラン高原で15年間拘束されていたシリア人捕虜、ウィアーム・アンマーシャ氏(1981年生まれ、レジスタント、1998年にイスラエルによって逮捕、2005年に禁固20年の有罪判決)がマジュダル・シャムスに帰還し、住民から歓迎を受けた。
しかしシリア国営メディアはハマースとイスラエルによる捕虜交換を大々的に報じたこととは対照的に、同氏帰還の報道を控えた。
その理由に関して、「アフバール・シャルク」(10月18日付)は、アンマーシャ氏が獄中でシリア国内の反体制運動を支持したためと報じた。同報道によると、スワイダー調整(委員会)のフェイスブック上のページで、「シリア国民の革命との連帯を叫びハンストを行ったという理由で、シリアのメディアがシリア人捕虜の一人が釈放されなかったことを無視するのはおかしい」と述べたという。
http://www.youtube.com/watch?v=X9Xg6rAr7Bc
反体制勢力の動き
国内外の反体制勢力から、アラブ連盟外相会談での決議をめぐって賛否両論の声があがった。
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国民民主諸勢力国民調整委員会は、アラブ連盟外相会議での決定を審議するための会合を開いた。
会合後、ハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役が声明を読み上げ、「シリアの危機解決の出口を作り出し、暴力と殺戮、そして武装デモの停止をめざすアラブ連盟の努力を委員会は歓迎する」と発表した。
また声明は、委員会を「国内の反体制勢力の主要な代表」と位置づけたうえで、アラブ連盟使節団のシリア訪問と同使節団との対話を受け入れる意向を示す一方、外国の軍事介入を拒否するとの姿勢を改めて表明した。
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国民民主イニシアチブのムハンマド・サルマーン代表(元情報大臣)は、『バラド・ナー』(10月18日付)の取材に対して、アラブ連盟の声明が「まったくバランスがとれていない」と述べたうえで、「我々は2ヵ月前から、シリアでの解決のための国民的なイニシアチブを提起してきた」とし、その解決が「純粋な国内問題」で「実施が義務づけられた外国の産物」であるべきでないとの立場を示した。
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変革解放人民戦線のカドリー・ジャミール代表は、国民対話の重要性を改めて強調したうえで、「シリア国内の愛国的な反体制勢力は外国の干渉を拒否する」と述べ、アラブ連盟外相会議の決議に異議を唱えた。
またトゥーニー・ダウラ神父も同様に、外国の干渉拒否、国民対話の必要性を強調した。
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Elpha.com(10月18日付)は、バッカーラ部族のシャイフの一人ハーリド・ハルフ氏が、アラブ連盟外相会議の決議を、アサド政権に「対話の余地」を与え、「老若男女を殺害する機会を次から次へと与えるだけ」と非難し、「我々シリアの部族は、アラブ連盟のイニシアチブを完全に拒否する」と述べたと報じた。
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スワイダー県では、国民諸勢力連合の結成が発表された。
フェイスブックで発表された発足声明において、同連合は自らを「シリア革命の一部」と位置づけ、アサド政権の打倒を呼びかけるとともに、シリア国民評議会への支持を表明した。
また声明によると、同連合は約16の政治・文化・社会組織、調整諸委員会から構成され、スワイダー県の活動家・支持者500人が声明に署名し、参加している。
反体制運動掃討
シリア軍部隊(兵士約60人)が、レバノンのベカーア県ヘルメル郡カーア地区に逃げ込んだシリア人2人を追跡して、レバノン領に侵入した。
同部隊は逃走したシリア人1人を殺害、もう1人を逮捕した。
逮捕されたシリア人は負傷しているという。カーア地区の住民によると、1日中激しい銃声が聞こえたという。
『ナハール』(10月19日付)によると、侵入したシリア軍は第4師団で、殺害されたシリア人の氏名はアフマド・アーディル・アブー・ジャバルを殺害、逮捕されたシリア人の氏名はアンマール・ヤーティー・アブー・ジャバル。
一方、レバノン軍報道官は作戦がレバノン領内ではなくシリア領内で行われたと述べた。
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ヒムス県では、複数の活動家・目撃者によると、各所で反体制デモや離反兵と軍・治安部隊の戦闘が行われ、過去24時間で民間人27人、軍人7人が死亡した。
ヒムス市では軍・治安部隊がバーブ・スィバーア地区に突入し、准将1人を含む45人の離反兵を逮捕した。
これに関してヒムス県の活動家の一人はAFP(10月18日付)に対して、「我々の革命は平和的であり、体制打倒までそうあり続ける。デモ参加者との連帯を表明して離反した離反兵と我々は無関係だ」と述べた。
匿名の活動家によると、クサイル市で兵士約40人が離反し、レバノンに脱走、これを受け軍・治安部隊がクサイル市を包囲した。
ヒムス県の活動家の一人はAFP(10月18日付)に対して、クサイル市で夜間のデモを呼びかけ、約5,000人が参加し、その場で体制打倒まで平和的な革命を行うことを確認した。
シリア人権監視団によると、兵員輸送車や装甲車が市内に展開し、バイクなどに発砲し、5人が負傷した。地元調整諸委員会によると、治安部隊とシャッビーハが市内各所に検問所を設置し、住民の移動を禁じ、また住民のバイクを没収し、焼却した。
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ダマスカス郊外県では、軍・治安部隊が「これまでもっとも激しい」(シリア人権監視団)逮捕・捜索活動を行った。
シリア人権監視団と地元調整諸委員会によると、サクバー市、ハムーリーヤ市、カフルバトナー町、ジスリーン町、マディーラー市、ミスラーバー市、ハラスター市東部、ドゥーマー市東部、アルバイン市東部で大規模な逮捕・捜索活動が行われた。
シリア革命総合委員会によると第4機甲師団と共和国護衛隊の約40,000兵がダマスカス郊外県で軍離反者を掃討するため、グータの複数の地域で作戦を展開した。
複数の活動家・目撃者によると、ムウダミーヤト・シャーム市で完全武装した複数の兵士が離反し、ラウダ・モスク、ウマリー・モスク周辺に結集、多数の空軍情報部兵士が(ドゥマイル)空軍基地から派遣され、激しい戦闘を行った。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、多数の戦車、装甲車がダイル・ザウル市に展開し、治安当局が活動家のファーディル・ジャブル氏、ジャアファル・カースィム氏を逮捕した。ジャブル氏は治安当局に逮捕される際に、逃走を試み、撃たれ、負傷したという。
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ダルアー県では、複数の活動家・目撃者によると、各地でデモ参加者が治安部隊の発砲を受けた。
シリア人権監視団によると、フラーク市で軍・治安部隊の発砲により、3人が殺害された。またイフスィム村ではシリア軍士官1人と兵士3人が離反兵によって設置されたと思われる時限爆弾によって殺害された。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、17歳の青年が流れ弾にあたって死亡した。
SANA(10月19日付)は、ハマー県のムハルダ市・ハマーミーヤート村間でハマー県消費機構の貨物車が武装テロ集団に襲撃され、積んでいた砂糖4トンが盗まれたと報じた。
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SANA(10月19日付)は、イドリブ県アズマーリーン村でピックアップ・トラックに積まれた大量の武器弾薬を押収し、乗っていた男性2人を逮捕したと報じた。
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シリア人権擁護連盟は、複数の消息筋のデータを総合し、10月18日に3月半ば以降のシリア国内の被害状況を発表し、アサド大統領が人道に対する罪を犯していると非難、その裁判を行うべきだと述べた。
同連盟によると、主な被害状況は以下の通り:
死者数:3,482人
殺害された子供の数:212人
殺害された女性の数:99人
負傷者数:少なくとも4,232人
当局の拷問による死者数:191人
行方不明者数:約5,000人
医療活動中に逮捕された医師、薬剤師の数:少なくとも250人
諸外国の動き
エジプトの中東通信(10月18日付)は、アラブ連盟のアフマド・ベン・ヒッリー事務副長が、アラブ連盟外相会議の決議に関して「連盟はシリアからの公式の回答を待っている状況にある」と述べたと報じた。
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レバノンのムスタクバル潮流は、バアス党創設者で山地県アレイ郡在住のシブリー・アイサミー氏失踪(誘拐)などレバノン国内でのシリア人の失踪・誘拐に在レバノン・シリア大使館とシリアの治安機関が関与していると非難し、同問題に対して必要な措置を講じるよう求めた。
レバノンの自由国民潮流のミシェル・アウン議員は、アサド政権が倒れれば、多元的体制ではなく過激なイスラーム主義体制がシリアにできるだろうと警鐘をならした。
AFP, October 18, 2011、Akhbar al-Sharq, October 18, 2011, October 19, 2011、AP, October 18, 2011、Balad-na, October 18, 2011、Elpha.com, October 18, 2011、The Independent, October 18, 2011、al-Hayat, October 19, 2011、Kull-na Shuraka’, October 18, 2011、al-Nahar, October 19, 2011、Reuters, October 18, 2011、SANA, October 19, 2011などをもとに作成。
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