国連安保理でシリア情勢に関する会合が開かれ、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表が状況報告を行った。
デミストゥラ氏は会合で、シリア軍と反体制派の戦闘に関して「私が特別代表に就任して以降もっとも激しく、危険で懸念すべき状況」と指摘、「即時無条件で緊張緩和」するよう呼びかけ、アスタナ会議の保証国であるロシア、トルコ、そしてイランに影響力を行使し、暴力軽減に努めるよう求めた。
一方、シリア国内での諸外国の軍事行動がエスカレートしていることに関しては、トルコ軍のシリア軍の交戦、米軍とシリア軍の交戦に焦点を当て、「緊張緩和地帯にかかる合意や地域の安定を脅かすだけでなく、政治的解決に向けた取り組みも反故にしかねない」と警鐘を鳴らした。
他方、シリア国民対話大会で設置合意された制憲委員会に関しては、ジュネーブ会議が委員会の詳細な構成の検討作業を引き継ぐと述べ、国連の監督下で和平プロセスを進めることを強調した。
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バッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は、米国を批判するとともに、ソチでのシリア国民対話大会の成果を遵守すると述べた。
ジャアファリー国連代表は、米国がシリアに進駐することで、シリアの主権、独立、統一の維持を確認した国連安保理決議第2254号や国連憲章第8条に違反していると非難、「これらの目的や意図を保証するため、安保理が何を行ってきたのか改めて問いたい」と述べた。
また、ジュネーブ会議で仲介役を務めるスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表が、米国やトルコがシリア領を占領していることを、安保理において提訴しないことに遺憾の意を示した。
一方、1月29~30日にロシアのソチで開催されたシリア国民対話大会に関して、ジャアファリー国連代表は、ロシアの取り組みに改めて謝意を示すとともに、同大会がシリアにおける政治プロセスが、外国の干渉を排除し、シリア人が主体となって初めて開始・継続されるものであることを再確認したと評価した。
そのうえで、大会に参加したシリア人の投票で圧倒的多数の承認を得た閉幕声明、そして大会で設置合意された制憲委員会が、あらゆる政治プロセスにおいて、法的基礎、唯一の起点、確固たる礎となった、と強調した。
SANA(2月14日付)が伝えた。
AFP, February 14, 2018、ANHA, February 14, 2018、AP, February 14, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 14, 2018、al-Hayat, February 14, 2018、Reuters, February 14, 2018、SANA, February 14, 2018、UPI, February 14, 2018などをもとに作成。
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