2011年5月12日のシリア情勢

反体制勢力の動き

ロイター通信(5月13日付)は、反体制活動家のルワイユ・フサイン氏が、5月12日にブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官から電話で、アサド大統領が金曜日(13日)の反体制デモ参加者に発砲しないよう軍・治安部隊に命令を発したとの報告を受けた、と報じた。

シリア政府の動き

『ハヤート』(5月13日付)によると、アサド大統領は、ダマスカス郊外県の使節団23人と会談し、アーディル・サファル首相が設置した選挙法改正委員会など一連の改革プロセスについて意見を交換した。

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『ワタン』(5月12日付)は、トルコのレジェップ・タイイフ・エルドアン内閣の最近のシリアへの姿勢に関して、「トルコによるデモ弾圧停止要求を「拙速」と批判した。

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SANA(5月12日付)によると、ヒムス県での暴動鎮圧で11日に殺害された兵士2人の葬儀がダイル・ザウル県、アレッポ県で行われた。

国内の暴力

シリア人権監視団によると、軍・治安当局は各地で活動家の大規模な逮捕摘発活動を行い、バーニヤース市議会のアドナーン・シャグリー議長、ジャラール・カンドゥー弁護士、ヒムス市の活動家ムハンマド・ナジャーティー・タイヤーラ氏、ダマスカスの活動家バッサーム・ハラーワ氏、ファウズィー・ハマーダ氏、アレッポ市で活動するブロガーでジャーナリストのジハード・ジャマール氏が逮捕された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表によると、ムウダミーヤト・シャーム市を戦車が依然として包囲、軍・治安部隊が大規模な逮捕摘発活動を続けた。

またカタナー市では、11日から軍・治安部隊が包囲を始め、逮捕摘発活動の準備を進めているという。

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ダルアー県では、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表によると、シャイフ・マスキーン市にいたる街道に軍の戦車が展開する一方、ジャースィム市、インヒル市で治安部隊が検問を設置し、監視活動を続けた。

また、ロイター通信(5月12日付)は、現地の弁護士の話として、ハウラーン地方各所に軍が戦車を展開、11日以降数百人を逮捕し、13人を殺害したと報じた。

一方、SANA(5月12日付)は、軍消息筋の話として、ダルアー市で治安維持活動をあたっていた軍兵士1人が撃たれて死亡したと報じた。

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アレッポ県では、『ハヤート』(5月13日付)によると、アレッポ市中心部にあるフルカーン地区(西部)のアレッポ大学にいたる幹線道路が閉鎖された。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は北極評議会出席のため訪問したグリーンランドで記者団に、米国およびその同盟国がシリア政府に民主的改革を実施させるため、さらなる圧力をかける方法を検討していると述べた。

同国務長官は「シリア政府は、国際社会からの広範な非難にもかかわらず、国民に対する厳しく野蛮な復習行為を続けている」と述べ「シリア政府の責任を追及する」と警告した。

また「現在おそらく、こうした行為が強さの表れと考えている者もいるだろう…。しかしこのような方法で国民に対処することは実際のところ、明白な弱さの証しである」と非難した。

そのうえで、シリア情勢に関して「後戻りはできない」とみなし、シリア政府がすべての国民の意思を反映しなければならないと指摘した。

こうしたなか、米高官はAFP(5月12日付)に対して、米政権が「シリア大統領が正統性を失った」と宣言し、その退任を求めるには至っていないと述べ、そうした決断が「重大な決定である」と慎重な姿勢を示した。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は米ブルームバーグTV(5月12日付)に、アサド政権が早急に改革に着することを望むと述べる一方、「シリアを訪問するたびにアサド大統領に国民が大いに共鳴しているのを見てきた」として、政権退陣を求めるのが「時期尚早だ」と強調した。

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AFP(5月12日付)は、シリア国内で失踪したとされるジャズィーラの女性記者ドゥールースィー・バールファーズ氏(米、カナダ、イランの国籍を保有)に関して、5月1日付でイランに強制退去させた、と在米シリア大使館が発表したと報じた。

AFP, May 12, 2011、Akhbar al-Sharq, May 12, 2011、May 13, 2011、al-Hayat, May 13, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 12, 2011、May 13, 2011、Naharnet, May 13, 2011、Reuters, May 12, 2011、SANA, May 12, 2011、al-Watan, May 13, 2011などをもとに作成。

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