2012年4月26日のシリア情勢

国内の暴力

ハマー市マシャーウ・タヤラーン地区で大爆発し、SANA(4月26日付)によると16人、反体制組織によると50人から70人が死亡した。

爆発をめぐって、SANAは武装テロ集団が爆弾製造中に、爆発物が誤爆したと報じた。

しかしBBC Arabic(4月26日付)など反体制メディアは、複数の活動からの話として、この爆発がシリア政府による「虐殺」であり、その規模は「伝統的兵器」によるとは考えられないと報じた。

またシリア革命総合委員会や地元調整諸委員会は、ロケット弾が着弾し、民家15棟が倒壊し、50人以上が死亡したと発表した。

一方、反体制組織のシリア人権監視団は、「爆発の理由は明らかでない」と発表した。

ハマー県ではこのほかにも、地元調整諸委員会によると、ハマー市の複数地区で銃声や爆発音が聞こえた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団、地元調整諸委員会、シリア革命総合委員会などによると、ザマルカー町、タルマー市、ドゥーマー市で軍・治安部隊と離反兵が交戦、また前者が砲撃を加えた。

一方、SANA(4月26日付)によると、アルバイン市で武装テロ集団が市民を襲撃、4人を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シリア革命総合委員会によると、ダイル・ザウル市各所で軍・治安部隊が戦車、ヘリコプターを動員し、家屋を破壊、多数を死傷させた。

一方、SANA(4月26日付)によると、武装テロ集団がダイル・ザウル市で治安維持部隊を襲撃し、兵士2人を殺害した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市での治安部隊による逮捕・取締活動により4人が殺害され、マーリア市で軍・治安部隊の発砲により2人が死亡した。

またアレッポ革命連合報道官のムハンマド・ハラビーを名のる活動家によると、軍・治安部隊は、アアザーズ市、トゥルクマーン・バーリフ村、マーリア市、ダイル・ジャマール村等に対する砲撃を再開した。

一方、SANA(4月26日付)によると、武装テロ集団がトゥルクマーン・バーリフ村を襲撃し、6人を惨殺、9人を負傷させ、12人を誘拐、民家2棟を焼き討ちにした。

またアレッポ市では、武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、学校の校長1人を暗殺した。

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ダルアー県では、地元調整諸委員会、シリア人権監視団によると、ダーイル町で軍・治安部隊の砲撃によって1人が死亡した。

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シリアの反体制活動家はウガリート・ニューズ・ネットワーク(4月26日付)で、シリア軍兵士が活動家の一人を生き埋めにする映像を公開した。

映像には「獣を埋めろ」、「この獣は映像を配信している」と言う兵士が映っている。

アサド政権の動き

アドナーン・マフムード情報大臣は、武装テロ集団がアナン特使の停戦案発行後に1,300件の停戦違反を行い、市民や治安維持部隊兵士への殺戮、虐殺、爆破、誘拐、暗殺を行った、と発表した。

SANA(4月26日付)が報じた。

第10期人民議会選挙

SANA, April 26, 2012

SANA, April 26, 2012

SANA, April 26, 2012

SANA, April 26, 2012

SANA, April 26, 2012

SANA, April 26, 2012

SANA(4月26日付)は、選挙最高委員会のハルフ・アッサーウィー委員長が声明を出し、5月7日が投票日の第10期人民議会選挙の公正な実施を保障するため、委員会が活動する、と述べたと報じた。

これを受けるかたちで、ダマスカス県選挙区の選挙監視委員会委員は、第一民事初審裁判所のシハーダ・マンスール裁判長の前で宣誓を行い、監視活動を開始した。

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バアス党シリア地域指導部は第10期人民議会選挙投票に先立って声明を出し、次期議会において、国民の生活レベル向上、とりわけ労働者、農民など生産者の生活状況改善をめざすとの選挙綱領を示した。

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『マフジャル』(http://www.mjhar.com/ar-sy/NewsView/2212/39392.aspx、4月26日付)によるとアレッポ市選挙区(定数20、うちA部門7、B部門13)における国民統一リストの立候補者は以下の通り。

A部門

キファーフ・ラバービーディー(Kifāḥ Labābīdī)
バハー・バードンジキー(Bahāʼ Bādunjikī)
アッバース・トゥルクマーニー(ʻAbbās Turkmānī)
イーマーン・バーバッリー(Īmān Bāballī)
ナジュラー・ハーフィズ(Najlāʼ Ḥāfiẓ)

B部門

SANA, April 26, 2012

SANA, April 26, 2012

ファイサル・アズーズ(Fayṣal ʻAzūz)
ジャミール・ハッサーニー(Jamīl Ḥassānī)
アブドゥルムンイム・サウワー(ʻAbd al-Munʻim Ṣawwā)
ウマル・ハッラーク(ʻUmar Ḥallāq)
スハイル・ファラフ(Suhayl Faraḥ)
マルワーン・アラビー(Marwān ʻAlabī)
アブドゥッラー・カイルーズ(ʻAbd Allāh Qayrūz)

『マフジャル』(http://www.mjhar.com/、4月26日付)によるとアレッポ県諸地域選挙区(定数32、うちA部門17、B部門15)における国民統一リストの立候補者は以下の通り。

ジャマール・バッシュ(Jamāl al-Bashsh)
ムスタファー・ジャーディル(Muṣṭafā Jādir)
カースィム・ハサン(Qāsim Ḥasan)
フサイン・ハムド(Ḥusayn al-Ḥamd)
アフマド・サーリフ・イブラーヒーム(Aḥmad Ṣāliḥ Ibrāhīm)
アリー・サトゥーフ(ʻAlī Ṣaṭūf)
アブドゥッラー・ハマド(ʻAbd Allāh al-Ḥamad)
マルイー・トゥウマ(Marʻī Ṭuʻma)
マアン・アッサーフ(Maʻn ʻAssāf)
イブラーヒーム・サイード・ハーッジ(Ibrāhīm Saʻīd al-Ḥājj)
ムハンマド・ファーディー・カルアーン(Muḥammad Fādī Qarʻān)
ウマル・フサイン・ハマドゥー(ʻUmar Ḥusayn al-Ḥamadū)
フサイン・ハッスーン(Ḥusayn Ḥassūn)
ハサン・ハッルー(Ḥasan Khallū)
イーサー・シャアラーウィー(ʻĪsā Shaʻrāwī)
シャーヒーン・ナアサーン(Shāhīn Naʻsān)
アブドゥッラー・アブドゥッラー(ʻAbd Allāh ʻAbd Allāh)
ムスタファー・クーシュ(Muṣṭafā Qūsh)
シャムスッディーン・シャッダード(Shams al-Dīn Shaddād)
イフラース・バディーウィー(Ikhlāṣ Badīwī)
ムハンマド・アドナーン・アラブー(Muḥammad ʻAdnān ʻArabū)

反体制勢力の動き

シリア国民評議会はハマー市での犠牲者増加を受けるかたちで声明を出し、国連安保理に対して民間人保護のための決議を早急に採択するよう呼びかけた。

レバノンの動き

ミシェル・スライマーン大統領はオーストリア大統領と会談し、「我々はシリアに外国の軍事介入が行われないことを希望している」と述べた。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、アナン特使の和平案が「行き詰まった」としたうえで、「唯一の解決策はアサド大統領の追放だ」と述べた。

諸外国の動き

アラブ連盟緊急外相会合がカイロで開催され、アサド政権に即時暴力停止を求めた。

外相会合は、カタールのサバーフ・ハーリド・アフマド・サバーフ外務大臣(議長)によって招集され、サウジアラビア、カタール、エジプト大使が出席した。

会合ではまた、アナン特使の和平案を「期限付き」で指示することを確認するとともに、国連安保理に対してUNSMISの早期派遣を呼びかけた。

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国連の潘基文事務総長はノルウェーのロバート・モード将軍をUNSMIS司令官に任命した。

UNSMISのニラジュ・シン報道官は、記者団に対して、戦闘の激化を抑えるためにドゥーマー市にUNSMISの監視員を滞在させる必要があることを見出した、と述べた。

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マーク・ルビオ米上院議員は、バラク・オバマ政権がシリアの反体制勢力のために「安全な避難所」を確保すべきである、と述べた。

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アフメト・ダウトオール外務大臣は、現下のトルコ政府の外交方針に対する野党の反発に反論するかたちで、アラブ世界、とりわけシリアにおける「アラブの春」をもたらしたと自賛した。

しかし、シリアの武装集団への支援を通じて同国の混乱の助長する同外相の外交方針はトルコの安全保障を脅威にさらしている。

シリアの反体制勢力への支援を非難する野党の批判に対して、「独裁体制やバアス党を支援する発想は、トルコの対中東外交において理解できない」と述べた。

また「我が国の安全保障を守るため、あらゆる可能性を考慮している」と述べ、シリア人避難民の流入が続いた場合、「一部の人が言うような介入や敵対行動以外」のかたちで国家は対処する義務がある、と述べた。

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ロイター(4月26日付)は、ロシアとイランが、灯油などシリアへの燃料輸出を行っている、と報じた。

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ロシア外務省報道官は定例記者会見で、「シリアには、(アサド政権以外にも)当事者がいる。それは広範なテロを戦術とする反体制集団である」と述べ、アナン特使の停戦案に違反しているのがアサド政権だけではないと強調した。

AFP, April 26, 2012、Akhbār al-Sharq, April 26, 2012、al-Ḥayāt, April 27, 2012、Mihjar.com, April 26, 2012、Naharnet.com, April 26, 2012、Reuters,
April 26, 2012、SANA, April 26, 2012などをもとに作成。

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