2011年12月29日のシリア情勢

アラブ連盟監視団

アラブ連盟監視団はダマスカス郊外県のドゥーマー市に予告なく訪問した。

Ugarit News Network, December 29, 2011

Ugarit News Network, December 29, 2011

住民の一部によると、監視団が乗った車を見たが、誰も監視団と面談できなかった、という。

**

『ハヤート』(12月30日付)によると、ハマー県ハマー市やドゥーマー市の住民らは、治安当局が厳戒態勢を敷き、民間人が包囲されるなかで、住民が監視団と面談することが困難になっていると不満を漏らしている、という。

**

アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ダーニー団長は、『ハヤート』(12月30日付)に対して、監視団の活動が順調に行われていると述べたうえで、「ヒムス情勢が平穏だと述べた」との一部報道を否定した。

反体制運動掃討

シリア人権監視団など反体制活動家らは、ヒムス県、ハマー県、ダルアー県、ダマスカス郊外県(ドゥーマー市)、イドリブ県で反体制デモが発生し、治安部隊が実弾を発射し強制排除を試み、少なくとも40人が殺害されたと発表した。シリア革命総合委員会によると死者数は34人。

シリア人権監視団は、監視団の訪問に合わせるかたちで、ダマスカス郊外県ドゥーマー市のカビール・モスク広場に約30,000万人が集まったが、治安部隊が発砲し、6人が殺害されたと発表した。

また反体制筋によると、ハマー市では、治安部隊の発砲により少なくとも6人が殺害された。

ハマー市の活動家によると、「住民は使節団到着を待って街頭に出たが、治安部隊や狙撃手が多数展開・配置されていた」と述べた。

イドリブ県ではシリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市、マアッラト・ヌウマーン市などで6人が殺害された。

しかしSANA(12月29日付)によると、ヒムス県ではヒムス市グータ地区の軍事工場に勤務するナーディル・ダイリー氏(技師)が武装テロ集団に襲撃、殺害された。また同市ブスターン・ディーワーン地区で武装テロ集団が仕掛けた爆弾3発を爆弾処理班が撤去した。

反体制組織の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、カイロでアラブ連盟監視団のナビール・アラビー事務総長と会談し、監視団がより大規模であるべきだったとの意見を述べた。

**

シリア国民評議会メンバーで活動家のウサーマ・ムナッジド氏は、AP(12月29日付)に対して、アラブ連盟監視団が「何の権限も権威もない歯の抜かれた状態で…、政府は日々の犠牲者数を減らそうとすら感じていない」と非難した。

**

カイロで反体制活動を行うムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員は国連に対して、民間人の保護、暴力停止のための実質的な措置を求めた。

**

国内で反体制活動を行うシリア国家建設潮流は声明を出し、アラブ連盟監視団に報道関係者を同行させよう求めた。

**

シリア言論犯良心犯擁護センターのハリール・マアトゥーク代表は、AKI(12月29日付)に対して、アラブ連盟監視団の「活動計画を我々は知らない」と述べ、不信感を露わにした。

マアトゥーク代表は「彼らはシリアの一部の活動家と接触していたが、その組織構成、活動プログラムはまだ知られていない。彼らはまずシリアの人権団体と接触し、会合すべきだった」と批判した。

**

ダマスカス国民民主宣言事務局はAKI(12月29日付)に対して、国際的な利害対立や中東地域内の利害対立がアサド政権を延命させ、国民の抗議運動弾圧のための時間的猶予を政権に与えていると述べ、国際社会、アラブ諸国の対応を批判した。

**

シリア人有識者約100人が連名でアラブ連盟監視団に対して書簡を送り、監視団本部のダマスカスでの設置、各地での事務所設置、ホットライン開設などを通じた市民との連絡経路の確保、インターネット開設などを通じた情報公開などを提言した。

レバノンの動き

最高国防委員会が開催され、レバノン領内外への武器密輸の抑止、国境地域の治安強化などの必要を確認した。

**

アリー・アブドゥルカリーム在レバノン・シリア大使は『インティカード』(12月29日付)の取材に対して、武器密輸抑止のためレバノンの治安当局による国境警備の強化を求めた。

諸外国の動き

『ハヤート』(12月30日付)は、国連安保理の西側消息筋が、アラブ連盟監視団の活動が国際機関によって「監視、フォローアップ」されており、監視団がシリア各地に「自由に、そして妨害なく」訪問する必要があると述べたと報じた。

**

中国外交部報道官は定例記者会見で「中国はアラブ連盟監視団がシリアで客観的な調査を行っていることを歓迎する」と述べた。

**

米国務省のマーク・トナー副報道官は、シリア情勢に関して「民主的な体制転換」が不可避だとの立場を示した。

AFP, December 29, 2011、Akhbār al-Sharq, December 29, 2011、AKI, December 29, 2011、AP, December 29, 2011、al-Ḥayāt, December 30, 2011、al-Intiqād, December 29, 2011、Kull-nā Shurakā’, December 29, 2011、Naharnet.com, December
29, 2011、Reuters, December 29, 2011、SANA, December 29, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

カテゴリー: シリア政府の動き, レバノンの動き, 反体制勢力の動き, 国内の暴力, 諸外国の動き パーマリンク