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反体制勢力の動き
『ハヤート』(11月25日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立の使節団がジュネーブを訪問し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表、米露高官と会談、ジュネーブ2会議の開催を2014年2月に延期するよう求めた。
延期要請の理由は、武装集団との調整に時間が必要なためだという。
使節団は、バドル・ジャームース書記長(団長)、アブドゥルカリーム・バッシャール氏、ナズィール・ハキーム氏、アブドゥルアハド・アスティーフー氏からなる。
シリア政府の動き
外務在外居住者省高官は、イランと米英独仏中ロの6カ国がジュネーブでの外相級協議で、イランによるウラン濃縮活動などの核開発縮小と、同国への西側諸国の制裁の一部緩和を骨子とする「第1段階措置」について合意に達したことに関して「イラン国民の国益を保障し、核エネルギーの平和的利用の権利を同国に付与する歴史的合意」と賞賛した。
SANA(11月24日付)が伝えた。
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SANA(11月24日付)は、人民議会予算委員会で、新IDカード発行予算2,800ユーロ相当を含む内務省の予算が承認されたと報じた。
国内の暴力
ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東グータ地方(ウタイバ村一帯)で軍とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などからなるサラフィー主義武装集団が交戦し、双方に100人以上の死者が出た。
反体制武装集団の死者数は55人で、うちダーイシュの戦闘員が41人、司令官も7人だという。
またシリア軍側の死者数は56人で、うちシリア軍兵士が36人、アブー・ファドル・アッバース旅団と国防隊の戦闘員が20人だという。
なお戦闘に巻き込まれ、反体制組織に同行していた記者5人も死亡した。
しかし、クッルナー・シュラカー(11月24日付)によると、死亡した記者のうち4人がイスラーム軍の記者、1人がダマスカス郊外革命指導評議会報道官。
この戦闘に関連して、シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、「自由シリア軍」がダマスカス国際空港に近いダマスカス郊外県の6市を制圧し、東グータ地方への兵站路を確保するという「大勝利」を収めたと発表した。
連立によると、制圧されたのは、ザマーニーヤ市、カイサー市、バハーリーヤ市、カースィミーヤ市、ダイル・サルマーン市、ダイル・アティーヤ市。
また同声明によると、「自由シリア軍」はアレッポ市各所、ラタキア県ドゥーリーン高地などでも進軍を続けており、これらは「合同軍事作戦の計画・実施の調整の結果」なのだという。
ダマスカス郊外県ではこの他にも、ナブク市などが軍の空爆を受けた。
一方、SANA(11月24日付)によると、バービッラー市、ダイル・アティーヤ市、カーラ市、バハーリーヤ市・カースィミーヤ市回廊、シャーミーヤ村周辺、ダイル・サルマーン市周辺、ハラスター市、アドラー市、アルバイン市、ザマルカー回廊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、アバービール・ハウラーン大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム(ダーイシュ)とシャーム自由人運動などからなるサラフィー主義武装集団が、アレッポ・ハナースィル・ムスリミーヤ街道を制圧した。
しかし、SANA(11月24日付)によると、シリア軍消息筋は、アレッポ・ハナースィル・ムスリミーヤ街道が制圧されたとするシリア人権監視団の発表を否定した。
一方、SANAによると、アレッポ市ラーシディーン地区、シャイフ・サイード地区、サーフール地区、ジュダイダ地区、ハーン・トゥーマーン村、ワディーヒー村、クワイリス村、キンディー大学病院周辺、アレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市、フライターン市、ナッカーリーン村などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、SANA(11月24日付)によると、バルザ区、カーブーン区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、特殊任務中隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(11月24日付)によると、ラスタン市、ダイル・フール村、ザアフラーナ村、タッルドゥー市、タイバ村、ダール・カビーラ村、ガースィビーヤ村、マシュラファ村、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、ワアル地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(11月24日付)によると、イドリブ市南東部、ハーミディーヤ村・ワーディー・ダイフ村間、マアッラトミスリーン市郊外、アブー・ズフール市郊外、サラーキブ市、ビンニシュ市、サルミーン市、ラーミー村、ナフリヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(11月24日付)によると、ダルアー市各所、ムアーウィヤ村、アトマーン村、タファス市、ヒーラーン村、ナースィリーヤ村、タイバ町・アルシューナ村間で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラッカ県では、シリア革命総合委員会が、マンスーラ村のイマーム・ガザーリー学校に対して軍が砲撃を加え、子供5人が死亡、市民6人が負傷したと主張した。
レバノンの動き
ナビーフ・ビッリー国民議会議長はイランを訪問し、アリー・ラリージャーニー国会議長と会談した。
会談後、ビッリー議長は空港で、イランと米英独仏中ロの6カ国がジュネーブでの外相級協議で、イランによるウラン濃縮活動などの核開発縮小と、同国への西側諸国の制裁の一部緩和を骨子とする「第1段階措置」について合意に達したことに関して「政治は今後、イラン、とくにテヘランから生まれることになろう…。(こうした合意は)政治的な核爆弾となり…、シリアにおける問題解決の素地を作り出すだろう」と述べた。
NNA(11月24日付)が報じた。
諸外国の動き
オックスフォード・リサーチ・グループは「Stolen Futures」と題した報告書(http://oxfordresearchgroup.org.uk/sites/default/files/Stolen%20Futures.pdf)を発表、そのなかでシリアの紛争で命を失った11,420人以上の子供(17歳以下)のうち、128人が化学兵器で、389人が狙撃されて死亡し、また764人が処刑され、100人が拷問で死亡したと発表した。
死者数は、シリアの4団体(シリア統計調査センター、シリア追跡者、シリア人権ネットワーク、違反文書センター)が発表したデータをもとに算出されているという。
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カタール通信(11月25日付)によると、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣がドーハを急遽訪問し、タミーム・ビン・ハマド首長と会談した。
『ハヤート』(11月25日付)によると、会談では、シリア情勢や、駐カイロ・トルコ大使の国外追放などで緊迫化するエジプト情勢について協議されたという。
AFP, November 24, 2013、al-Hayat, November 25, 2013、Kull-na Shuraka’, November 24, 2013、Naharnet, November
24, 2013、NNA, November 24, 2013、Reuters, November 24, 2013、Rihab News,
November 24, 2013, November 25, 2013、SANA, November 24, 2013、UPI, November
24, 2013などをもとに作成。
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