米国高官とシリア使節団がオマーンの首都マスカットで秘密裡に直接交渉:シリア側は米軍撤退を米国側は米国人記者の消息についての情報を開示を求める(2023年5月16日)

米国のオンライン・ニュース・マガジンのクラドル(5月16日付)は、アラブ連盟の幹部外交官筋の話として、米国高官とシリアの使節団がオマーンの首都マスカットで秘密裡に直接交渉を行っていると伝えた。

同筋によると、会議には、両国の治安関係者や外務省の代表らが参加しており、シリア側は違法駐留を続ける米軍の撤退を求めたのに対して、米国側は2012年に首都ダマスカス郊外で失踪した(当局に拘束されたとみられる)米国人記者のオースティン・タイス氏の消息についての情報を開示するよう求めたという。

会談において、シリア側はタイス氏についての情報は持っていないと答えたという。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、The Cradle, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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トルコ占領下の「オリーブの枝」地域内のアレッポ県ガザーウィヤ村近くで、同地の治安を掌握しているシャーム解放機構が住民1人を逮捕(2023年5月16日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下の「オリーブの枝」地域内のガザーウィヤ村(シーラーワー町近郊)近くで、同地の治安を掌握しているシャーム解放機構が検問所でイドリブ県ファルカヤー村出身の住民1人を逮捕した。

AFP, May 18, 2023、ANHA, May 18, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 18, 2023、Reuters, May 18, 2023、SANA, May 18, 2023、SOHR, May 18, 2023などをもとに作成。

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【トルコ・シリア大地震】日本の外務省はシリアでの被害に対して合計1,430万ドルの追加的な人道支援を実施すると発表(2023年5月16日)

日本の外務省は公式HP(https://www.mofa.go.jp/)を通じて報道発表を行い、トルコ・シリア大地震によるシリアでの被害に対して、合計1,430万ドルの追加的な人道支援を実施することを決定したことを明らかにした。

「シリアにおける地震被害に対する追加的人道支援」と題された報道発表の内容は以下の通り。

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5月16日、日本政府は、2月に発生したトルコ南東部を震源とする地震によるシリアにおける被害に対して、合計約1,430万ドルの追加的な人道支援を実施することを決定したところ、詳細は以下のとおりです。

  1. 我が国政府は、750万ドルの追加的な緊急無償資金協力により、国連世界食糧計画(WFP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、国際移住機関(IOM)、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を通じて、甚大な被害を受けたシリアの被災者に対し、生活必需品、食料、水・衛生、保健・医療等の分野において、人道支援を実施します。
  2. また、国際連合との連携により、国際連合人間居住計画(UN-Habitat)を通じて、約680万ドル(9億3,000万円)を供与額とする無償資金協力「アレッポ及びラタキアにおける震災後の早期復旧及びレジリエンス構築のための統合的な支援計画(UN連携/UN-Habitat実施)」を実施します。
    本事業は、アレッポ県及びラタキア県の被災者の多い地域に対し、被害状況アセスメント、住民参加による震災からの早期復旧計画策定、優先度の高い公共サービスの修復等を実施するもので、国内避難民を含む脆弱層に対して震災からの早期復旧支援を行い、同国の人道状況の改善に寄与するものです。
    本件について、16日(現地時間同日)、UN-Habitat本部のあるナイロビにおいて、北川裕久在ケニア共和国臨時代理大使と、エルファン・アリ国際連合人間居住計画事務局長室官房長(Mr. Erfan Ali, Chief of Staff, Office of the Executive Director, UN-Habitat)との間で、交換公文の署名が行われました。
  3. これらの支援により、2月に決定した約1,850万ドルの人道支援及び国際原子力機関(IAEA)を通じた約10万ドルの医療支援、3月に決定した約610万ドル(6億6,200万円)の無償資金協力「保健医療サービス強化計画(WHO連携)」及び約100万ドルのジャパン・プラットフォーム(JPF)経由の支援と合わせて、シリアにおける地震被害に対し、合計約4,000万ドルの人道支援を実施することとなります。日本政府として、引き続き被災者が必要とする人道支援、被災地域の1日も早い復旧に向けた支援を実施していきます。

(参考1)案件別支援額内訳

(1)緊急無償資金協力:750万ドル

  • 国連世界食糧計画(WFP):220万ドル
    食料
  • 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR):150万ドル
    生活必需品
  • 赤十字国際委員会(ICRC):100万ドル
    保健・医療、保護
  • 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC):100万ドル
    水・衛生
  • 国際移住機関(IOM):100万ドル
    生活必需品
  • 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA):80万ドル
    シェルター、生計支援

(2)無償資金協力(UN連携/UN-Habitat実施):9億3,000万円(約680万ドル)

  • 震災被害状況アセスメント、震災からの早期復旧計画策定、公共サービスの修復等

(参考2)シリアにおける地震被害

現地時間2月に発生したトルコ南東部を震源とする地震により、シリアにおいて生じた被害に関する正確な数字の把握は困難であるが、報道等によると、シリア国内の被害は、死者5,900人以上に上っている。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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イドリブ県ザーウィヤ山地方で、シャーム解放機構がシリア国民軍(国民解放戦線)に所属するハムザ師団の司令官を逮捕(2023年5月16日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構の支配下にあるザーウィヤ山地方で、同機構の総合治安機関がシリア国民軍(国民解放戦線)に所属するハムザ師団の司令官を逮捕した。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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ハマー県とアレッポ県でシリア軍と「決戦」作戦司令室が交戦(2023年5月16日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室に所属するナスル軍の戦闘員がガーブ平原でシリア軍と交戦、兵士1人を狙撃し、負傷させた。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対して、シリア軍はシャーム解放機構の支配下にあるヒルバト・ナークース村、カーヒラ村を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャーム解放機構の支配下にあるマクラビース村、カフル・アンマ村、カスル村、ワサータ村を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナスィーブ村で麻薬密売人とされる男性が正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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シャーム解放機構がイドリブ県カッリー町でイスラーム解放党メンバーの若い男性1人を逮捕、同県アティマ・キャンプ、アレッポ県サッハーラ村で釈放を求めるデモ(2023年5月16日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構がカッリー町でイスラーム解放党メンバーの若い男性1人を逮捕した。

一方、シャーム解放機構の支配下にあるアティマ村のアティマ国内避難民(IDPs)キャンプで、女性らが同機構が逮捕した住民、とりわけイスラーム解放党メンバーの釈放を求めて抗議デモを行った。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構の支配下にあるサッハーラ村で、女性らが同機構が逮捕した住民、とりわけイスラーム解放党メンバーの釈放を求めて抗議デモを行った。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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【トルコ・シリア大地震】ヨルダン国民と「世界中のイスラーム教徒」協会が用意した仮設住宅10棟を積んだ貨物車輌5輌がダルアー県のナスィーブ国境通行所を経由してシリアに(2023年5月16日)

ヨルダン国民と「世界中のイスラーム教徒」協会が在ヨルダン・シリア大使館と連携して用意した仮設住宅10棟を積んだ貨物車輌5輌がダルアー県のナスィーブ国境通行所(ヨルダン側はジャービル国境通行所)を経由してシリアに入り、シリア開発信託に積み荷を引き渡した。

過越住宅はラタキア県の救援委員会に引き渡される。


SANA(5月16日付)が伝えた。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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第32回アラブ連盟首脳会議を準備するための高官級会合が開催:スーサーン外務在外居住者省次官は難民帰還の重要性を強調(2023年5月16日)

5月19日に開催される第32回アラブ連盟首脳会議を準備するための高官級会合が、2日前の経済社会理事会高官会議、前日の経済社会評議会閣僚級会合に続いて、サウジアラビアのジェッダで開催され、シリアからは、アイマン・スーサーン外務在外居住者省次官を代表とする使節団が参加した。

会合において、スーサーン外務在外居住者次官は、シリアがアラブの共同行動、アラブ諸国との二国間、多国間の関係強化に関心があると表明した。





シリアの使節団は、スーサーン外務在外居住者省次官、バッサーム・サッバーグ国連シリア代表、リヤード・アッバース外務在外居住者省アラブ問題局長、クサイ・ダッハーク同国際機関局長、ジャマール・ナジーブ同外務省局長、イーハーブ・ハーミド同局員、イフサーン・ルンマーン同省顧問から構成された。

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スーサーン外務在外居住者省次官は会合後に記者団らに対して、首脳会議で審議される決議案について、真剣且つ透明性の高い雰囲気のなかで議論が行われたとしたうえで、首脳会議をアラブの共同行動の新たな段階の導入部とし、アラブ諸国への過去の影響を乗り越え、未来に向かう必要があるとの認識が確認されたと述べた。

スーサーン次官は会合のなかで、スーダン情勢、リビア情勢に加えて、シリア難民の帰還についての議論が行われたことを明らかにしたうえで、難民の帰還について以下の通り述べた。

国家(シリア)は、恩赦、国民和解、難民に帰還を促すためのすべての措置を実施した。だが、帰還には必要な要件がまだあり、そのなかでもっとも重要なのは、これらの市民が帰還する地域のサービスを充実させることだ。我々は、難民の帰還と復興を結び付けて、名誉ある帰還を実現する必要を理解している。だが、制裁は経済封鎖があるなかで復興は実現するだろうか。シリア国民に一方的な措置を講じている国々がシリア難民の帰国を妨げている。

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SANA(5月16日付)が伝えた。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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アサド大統領はアジア・サッカー連盟のサルマーン会長(バハレーン人)と会談(2023年5月16日)

アサド大統領はシリアを訪れたアジア・サッカー連盟のサルマーン・ビン・イブラーヒーム・アール・ハリーファ会長(バハレーン人)と会談し、サッカー界におけるシリアの地位向上、シリアでの競技開催に対する制裁解除に向けた取り組みなどについて意見を交わした。

会談には、フラース・マアッラー・スポーツ総連合総裁、サラーフッディーン・ラマダーン・シリア・サッカー連盟会長も同席した。

SANA(5月16日付)が伝えた。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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【トルコ・シリア大地震】国民地震センターは過去24時間にマグニチュード1.4~3.1の地震が10回発生したと発表(2023年5月16日)

国民地震センターは声明を出し、過去24時間に、イドリブ県南西部、アレキサンドレッタ地方(トルコのハタイ県)、トルコを震源とするマグニチュード1.4~3.1の地震が10回発生したと発表した。

SANA(5月16日付)が伝えた。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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北・東シリア自治局のスィーマルカー国境通行所、PYDはイラク・クルディスタン自治政府によるフィーシュ・ハーブール国境通行所閉鎖を批判(2023年5月16日)

北・東シリア自治局のスィーマルカー国境通行所は声明を出し、イラク・クルディスタン自治政府が同通行所に面するイラク側のフィーシュ・ハーブール国境通行所を一方的に閉鎖したことについて、イラク・クルディスタン民主党が権威を押し付けるために通行所を「圧力のカード」として利用しているとしたうえで、同党が後援するシリア・クルド国民評議会に反対しているとして、「我々の負傷者」(人民防衛部隊(YPG)の戦闘員)らの移動を阻止している、と非難した。

北・東シリア自治局を主導する民主統一党(PYD)も声明を出し、通行所を人道目的以外に利用していると非難した。

ANHA(5月16日付)が伝えた。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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シリア民主軍は米主導の有志連合、イラク・クルディスタン地域のテロ撲滅部隊(CTG)と連携してラッカ県で治安作戦を実施、ダーイシュ・メンバー1人を殺害、4人を逮捕したと発表(2023年5月16日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の広報センターは声明を出し、同軍テロ撲滅部隊(YAT)が、米主導の有志連合、イラク・クルディスタン地域のテロ撲滅部隊(CTG)とともに、ラッカ県で2回にわたって治安作戦を実施し、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバー1人を殺害、4人を逮捕したと発表した。

声明によると、1回目の作戦は5月13日にラッカ県のカラーマ村で、ダーイシュのスリーパーセルを標的として実施された。

このスリーパーセルは、ラッカ県・ハサカ県間のメンバーの移動支援、フール・キャンプに収容されているメンバーや家族のトルコ占領地(ラッカ県タッル・アブヤド市一帯)への脱走の幇助などにかかわっていた。

2回目の作戦は5月14日にラッカ市で行われた。

作戦は空挺作戦で、同地でのテロ活動の計画・遂行にあたっていたスリーパーセルを摘発した。

ANHA(5月16日付)が伝えた。

AFP, May 16, 2023、ANHA, May 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2023、Reuters, May 16, 2023、SANA, May 16, 2023、SOHR, May 16, 2023などをもとに作成。

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